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燭台
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しょくだい
ふりがな文庫
“
燭台
(
しょくだい
)” の例文
旧字:
燭臺
燭台
(
しょくだい
)
のほのかな光にユラユラと揺れて、縁側の奥に坐っていたのは、まがう方なき布引照子であった。死んだ筈の恋人の姿であった。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
諸大名宿泊のおりの人数、
旅籠賃
(
はたごちん
)
から、入り用の
風呂
(
ふろ
)
何本、
火鉢
(
ひばち
)
何個、
燭台
(
しょくだい
)
何本というようなことまで、事こまかに
記
(
しる
)
しつけてある。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
式は八畳の座敷で、
燭台
(
しょくだい
)
の光のもとに厳粛に行われた。外には春雨が勢を増して、庭の木の葉をたたく音がしめやかに聞えて来た。
血の盃
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
やがて龍太郎は、
笈
(
おい
)
のなかから取りのけておいた一体の
仏像
(
ぶつぞう
)
を、
部屋
(
へや
)
のすみへおいた。そして
燭台
(
しょくだい
)
の
灯
(
ともしび
)
をその上へ横倒しにのせかける。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……勤行はまだ始まっていなかった。一人の尼僧は聖像屏の傍に沿うて
燭台
(
しょくだい
)
に
灯
(
ひ
)
を入れて廻り、もう一人は枝つき燭架に灯を入れていた。
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
「岩田はまだ来ないね」池田伊兵衛のこう云うのが聞こえた、「おれより先に来ているはずなんだがね、——いい月だ、
燭台
(
しょくだい
)
はいらないぜ」
合歓木の蔭
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
蝋燭
(
ろうそく
)
にホヤをはめた
燭台
(
しょくだい
)
や
手燭
(
てしょく
)
もあったが、これは明るさが不充分なばかりでなく、何となく一時の間に合せの燈火だというような気がする。
石油ランプ
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
突然彼は身震いをし、
寒気
(
さむけ
)
に襲わるるのを感じた。彼は司教の
燭台
(
しょくだい
)
にともってる
蝋燭
(
ろうそく
)
に照らされたテーブルに
肱
(
ひじ
)
をかけて、ペンを取り上げた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「百物語という触れ込みで、行灯の代りに
燭台
(
しょくだい
)
を十だけ出して置いて、百目
蝋燭
(
ろうそく
)
を一本ずつ消して行く、九つ目が大変で」
銭形平次捕物控:093 百物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
灯が、障子に近々と揺れると、右京の背後から、二人の腰元が、
燭台
(
しょくだい
)
を
捧
(
ささ
)
げて、入ってきた。その
裾
(
すそ
)
の下を右京は、二、三尺
膝行
(
しっこう
)
すると、平伏して
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
座敷の中にはまだその時分は電燈が来ていなかったものかそれとも
風情
(
ふぜい
)
をそえるためにわざとそうしてありましたものか
燭台
(
しょくだい
)
の
灯
(
ひ
)
がともっていて
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
腰硝子
(
こしがらす
)
の障子を立てたきり、此座敷に雨戸はなかった。二つともした
燭台
(
しょくだい
)
の百目蝋燭の火は
瞬
(
またた
)
かぬが、白い障子越しに
颯々
(
さあさあ
)
と云う川瀬の
響
(
おと
)
が寒い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
父親や村の若い人たちは終いに浮かれ出して、愛らしい娘を取り
捲
(
ま
)
いて、明るい
燭台
(
しょくだい
)
の陰で、綺麗なその目や
頬
(
ほお
)
に吸いつくようにしてふざけていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
燭台
(
しょくだい
)
のような形に
坐
(
すわ
)
り、柔らかく息をしながら、しっかり
脣
(
くち
)
を閉じ、眼の縁を
薔薇色
(
ばらいろ
)
にして、彼はじっと眼を据える。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
正面には高くふたつの
燭台
(
しょくだい
)
の間に聖像がかけられ、そのわきの壇上にはばてれんらしい黒衣の老人が腰をかけて、一人の男と何か熱心に話していた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
しかし数ある仏具の中には簡素で健実なものがないわけではありません。
真鍮
(
しんちゅう
)
製の
燭台
(
しょくだい
)
だとか
仏飯器
(
ぶっぱんき
)
などには雄大な感じさえするものを見かけます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
そういう時には、金色の
燭台
(
しょくだい
)
の一点が燈明に鋭く輝いて、その光点から金色の
箭
(
や
)
が八方にさしているのを、
唯一
(
ゆいいつ
)
のすがりどころとじっとみつめていた。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
箱の中から
萌黄
(
もえぎ
)
の絹の袋入りの一刀を取り出して、手さぐりで、その紐を払うと、女は
燭台
(
しょくだい
)
をズッと近くへ寄せて
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
燭台
(
しょくだい
)
が
点
(
とも
)
し放しになっているのだ。その、灯を背負って赤い障子に貼られた
忌中
(
きちゅう
)
の文字は、大きな達筆である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
時々光を、幅広く
迸
(
ほとば
)
しらして、
濶
(
かッ
)
と明るくなると、
燭台
(
しょくだい
)
に
引掛
(
ひっか
)
けた羽織の袂が、すっと映る。そのかわり、じっと沈んで暗くなると、紺の縦縞が
消々
(
きえぎえ
)
になる。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄暗い高座も、貧しい
燭台
(
しょくだい
)
の光も目に入りません。私はただ夢中で聴きとれていました。なお唄い続けます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
吉里は
燭台
(
しょくだい
)
煌々
(
こうこう
)
たる
上
(
かみ
)
の
間
(
ま
)
を
眩
(
まぶ
)
しそうに
覗
(
のぞ
)
いて、「何だか悲アしくなるよ」と、覚えず腮を
襟
(
えり
)
に入れる。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
燭台
(
しょくだい
)
が大小三本、何がそのご神体であるのか小さなほこらが一つ、古ぼけた小机が一個、それから、こればかりは比丘尼にふつりあいななまめかしい夜着が一組み
右門捕物帖:17 へび使い小町
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「どうしやがったのだなあ」「それだからおいらが蝋燭は舟で来る人なんぞに持せて来ては行けないと云ったのだ。差当り
燭台
(
しょくだい
)
に立ててあるのしきゃないのだから」
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
残ったのは、虫の食った
挟箱
(
はさみばこ
)
や、手文庫、軸の曲った
燭台
(
しょくだい
)
、古風な
長提灯
(
ながちょうちん
)
、色の
褪
(
あ
)
せた
裃
(
かみしも
)
といったような、いかにもがらくたという感じのするものばかりであった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
そこには、ぺちゃんこになった椅子の上に、ひん曲がった銅の
燭台
(
しょくだい
)
にさしたろうそくがとぼっていた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
外では雨風の音が烈しく、隙間風に
燭台
(
しょくだい
)
の灯がちらちらと揺れる。一同は思い思いの姿勢で、熱心に聞きとれている。読終ると、てんでに色々な註文や批評を持出す。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「
燭台
(
しょくだい
)
は高きに置け、とバイブルに在るから、高いところがいい。その本箱の上へどうだろう。」
朝
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
去年の夏に新たに建てられし
離家
(
はなれ
)
の八畳には、
燭台
(
しょくだい
)
の光ほのかにさして、大いなる
寝台
(
ねだい
)
一つ据えられたり。その雪白なるシーツの上に、目を閉じて、浪子は横たわりぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そこには下男たちが重そうな銀の
燭台
(
しょくだい
)
に火のともっているろうそくを持って、立っていました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
挙げて
麾
(
さしまね
)
かるることもあらば返すに
駒
(
こま
)
なきわれは何と答えんかと予審廷へ出る心構えわざと
燭台
(
しょくだい
)
を
遠退
(
とおの
)
けて顔を見られぬが一の手と
逆茂木
(
さかもぎ
)
製造のほどもなくさらさらと
衣
(
きぬ
)
の音
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
また白昼、障子の骨もしくは
行灯
(
あんどん
)
、ランプ、
燭台
(
しょくだい
)
等の内外を熟視するときは、細かなる塵毛の群がり立つを見る。その形、毛ようの繊維の立つがごとし。これみな同種類なり。
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
午後、彼は気に入ったものを幾つか択り出した、長いテーブルが二つ、椅子を四つ、一そろいの
香炉
(
こうろ
)
と
燭台
(
しょくだい
)
、一桿のかつぎ
斤量
(
きんりょう
)
、彼は又あらゆる藁灰を欲しいというのであった。
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
燭台
(
しょくだい
)
の
古
(
ふる
)
いのや、
南洋
(
なんよう
)
の
土人
(
どじん
)
が
織
(
お
)
ったような
織物
(
おりもの
)
や、またオランダあたりからきたつぼや、
支那人
(
しなじん
)
の
腰掛
(
こしか
)
けていたような
椅子
(
いす
)
や、ストーブのさびたのなどまで
置
(
お
)
かれてありました。
お父さんの見た人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私が眼を
醒
(
さ
)
ました時はもう夕方とみえて、天井には電気が、……さすがに電気はないとみえて、これも
故国
(
くに
)
の習慣なのかも知れません、部屋の隅には金の
燭台
(
しょくだい
)
に大きな西洋
蝋燭
(
ろうそく
)
が
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
燭台
(
しょくだい
)
の青い灯に浮いた鏡の中の黒衣の人間の顔が瞬間消えて見えなくなりました。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
そのうちに
燭台
(
しょくだい
)
の花を飾ッて酒宴が始まると、客の求めで娘は
筑紫琴
(
つくしごと
)
を調べたがどうして、なかなか糸竹の道にもすぐれたもので、その
爪音
(
つまおと
)
の面白さ,自分は無論よくは分らなかッたが
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
クリストフは
燭台
(
しょくだい
)
の底に蝋燭の燃えつきるのを、
呆然
(
ぼうぜん
)
としてながめていた。彼は寝ることができなかった。何にも考えてはいなかった。その虚無の境地が一刻ごとに深くなってゆくのを感じた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
高いマロニエの枝の上に白く咲く花も盛りの時で、あだかも隠れた「春」の舞踏に向って
燭台
(
しょくだい
)
をさし延べたかのように見えていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すると、かれは、だまって、前にある一本の
燭台
(
しょくだい
)
をひきよせ、右手の指を、いきなり、
蝋燭
(
ろうそく
)
の炎の中につきさしました。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
席は広間に設けられた、かけつらねた
燭台
(
しょくだい
)
はまばゆいほど明るく、
大和絵
(
やまとえ
)
を描いた
屏風
(
びょうぶ
)
の
丹青
(
たんせい
)
も浮くばかり美しかった。
日本婦道記:糸車
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
八畳と六畳を打ち抜いて、
燭台
(
しょくだい
)
が四つ、平次の前にはお染とお今。その横には和七と仙之助。親類方はその後ろへ、奉公人はその横に並びました。
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
目をひらくと、すぐまえに、りっぱなテーブルがあり、その上に、美しいほりもののある
燭台
(
しょくだい
)
がおかれ、五本のロウソクが、明るくもえていました。
灰色の巨人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして閣下の寝間の暖炉の上から二つの銀の
燭台
(
しょくだい
)
を取ってきて、それにすっかり火をともして食卓の上に置いた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
艶
(
つや
)
の無い、くすぶった
燭台
(
しょくだい
)
の用意はしてあったが、わざと消したくらいで、
蝋燭
(
ろうそく
)
にも及ぶまい、と
形
(
かた
)
だけも持出さず——所帯構わぬのが、
衣紋竹
(
えもんだけ
)
の替りにして
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飾り付けと云っては一隅の三角
棚
(
だな
)
に、西洋の
骨董品
(
こっとうひん
)
らしい、きたならしく
蝋涙
(
ろうるい
)
のこびり着いた
燭台
(
しょくだい
)
と、その他二三の
蚤市
(
のみいち
)
からでも買って来たらしいガラクタと
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
桜の園のご主人さまのな! (うっかり小テーブルにぶつかり、枝付
燭台
(
しょくだい
)
をひっくり返しそうになる)なんでも代は払ってやるぞ! (ピーシチクとともに退場)
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「ウム」と左手へ引っ提げた
重喜
(
しげよし
)
。「その
燭台
(
しょくだい
)
を廊下へ出して、女どもも
余
(
よ
)
が血祭りを見物せい!」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
露に
濡
(
ぬ
)
れた、
老緑
(
ろうりょく
)
の広葉を茂らせている
八角全盛
(
やつで
)
が、所々に白い茎を、枝のある
燭台
(
しょくだい
)
のように
抽
(
ぬ
)
き出して、白い花を咲かせている上に、薄曇の空から日光が少し漏れて
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そのころの
田舎
(
いなか
)
の饗宴の照明と言えば、大きなろうそくを燃やした昔ながらの
燭台
(
しょくだい
)
であった。
映画時代
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“燭台”の意味
《名詞》
燭台(しょくだい)
蝋燭を立てて、点火するための台。
(出典:Wiktionary)
“燭台”の解説
燭台(しょくだい)とは、ろうそくを立てるための台である。蝋燭(ろうそく)立て、蝋燭台、火立て、キャンドルスティック、キャンドルスタンドとも称される。
(出典:Wikipedia)
燭
漢検準1級
部首:⽕
17画
台
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
“燭”で始まる語句
燭
燭火
燭光
燭臺
燭奴
燭涙
燭力
燭燈
燭影
燭明