“満腔:まんこう” の例文
“満腔:まんこう”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治6
夏目漱石4
夢野久作3
永井荷風2
ロマン・ロラン2
“満腔:まんこう”を含む作品のジャンル比率
社会科学 > 社会科学 > 論文集・評論集・講演集11.1%
文学 > フランス文学 > 小説 物語5.8%
歴史 > 伝記 > 個人伝記0.9%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
極めて安心に極めて平和なる曙覧も一たび国体の上に想い到る時は満腔まんこうの熱血をそそぎて敬神の歌を作り不平の吟をなす。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
それ故、「新青年」の編輯者が、かかる隠れたる作家を明るみへ出そうと企てられたことに自分は満腔まんこうの賛意を表するのである。
「二銭銅貨」を読む (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
にくしみを、満腔まんこうに忍んで、彼はやがて仇敵かたきどもがすすめる杯を、今夜も重ねねばならぬのだった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
満腔まんこう慷慨こうがい黙々に付するに忍びず、ただちにその血性をべ発して一篇の著書とはなりしなり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
満腔まんこう慷慨こうがい黙々に付するに忍びず、ただちにその血性をべ発して一篇の著書とはなりしなり。
将来の日本:01 三版序 (新字新仮名) / 新島襄(著)
夢にだもわれをもてあそぶの意思なくして、満腔まんこうの誠を捧げてわが玩具おもちゃとなるを栄誉と思う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
——しかしモークが帰ってゆくと彼はすぐに、そのまったくの温情にたいして満腔まんこうの感謝を覚ゆるのだった。
彼の気魄きはく滴々てきてき墨汁ぼくじゅうと化して、一字一画に満腔まんこうの精神が飛動している。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それらの景色をばいい知れず美しく悲しく感じて、満腔まんこうの詩情を托したその頃の自分は若いものであった。
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ただ彼女が哀れな中宮の運命によせた満腔まんこうの同情を、中宮の描写それ自身の内に生かせて行くのである。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
彼は周密なる思慮をひきいて、満腔まんこうの毒血を相手の頭から浴びせかけ得る偉大なる俳優であった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
生きんがために愛したがり満腔まんこうの愛を消費したがる力強い率直な同情心、それの欠けてることだった。
その彼らにどうして、みずから批判をくだすことなんかできたろう? 彼らはそれら神聖な大家の名前にたいして、満腔まんこうの尊敬をささげていた。
若し理性に終始するとすれば、我我は我我の存在に満腔まんこう呪咀じゅそを加えなければならぬ。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
併しそれを正面から実行した点につき、この方面の作歌に一つの基礎をなした点につき、旅人に満腔まんこうの尊敬を払うてここに一首を選んだのであった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ところで、猊下げいか、あなた様に向かっては満腔まんこうの歓喜を披瀝ひれきいたしまする!
貞昌は、その一言を、満腔まんこうからいった。城兵五百の生命と、徳川家の浮沈のためだ。主君とはいえ、彼のほうからこそ、手をついて頼みたいところだった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
主人が満腔まんこうの熱誠をもって髯を調練していると、台所から多角性の御三おさんが郵便が参りましたと、例のごとく赤い手をぬっと書斎のうちへ出した。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いわんやわれわれ計画する処の事は、皆身命に関する事なるにおいてをや、われは意気相投ずるを待って、初めて満腔まんこうの思想を、陳述する者なりと、何事においても
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
彼は接する者誰にでも、満腔まんこうの親しさと愛とを注ぎかけずにはおかなかった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
時も時、学校をめて何をするという方角もなく、満腔まんこうの不平を抱いて放浪していた時、卒然としてこの文学勃興の機運に際会したは全く何かの因縁であったろう。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
しかし今は時勢にかんがみまた自分の衰老を省みて、今なおわたくしの旧著を精読して批判の労をいとわない人があるかと思えば満腔まんこう唯感謝の情を覚ゆるばかりである。
正宗谷崎両氏の批評に答う (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ところで第二の事実は、今の今まで僕はこの男の風格に、満腔まんこうの敬意を感じていたのに、今や僕の眼から見ると、この男はたちまち低く低く沈みに沈んでゆくということでした。
「暮れて帰れば春の月」と蕪村ぶそんの時代は詩趣満々ししゅまんまんであった太秦うずまさを通って帰る車の上に、余は満腔まんこうの不平をく所なきに悶々もんもんした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
僕はモウ二度と貴女にお眼にかからない処へ逃げて行きます。裏切者にならないために、貴女の純真な、切ない愛情をタッタ一つ抱いて、満腔まんこうの感謝を捧げて死んで行きたいために。
近眼芸妓と迷宮事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかし同じ嘆息にしても、ああ——と満腔まんこうからうつを天へ吐きすてるのもあるし、われとわが身へ、ああと歎いて、世の憂いをいよいよ身一つにあつめてしまうものとがある。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長は、満腔まんこうの怒りを、心に抑えつけながら心で叫んだ。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次は幸七に案内させて、奥へ入りました。続いてガラッ八の八五郎。これは満腔まんこうの敵意を、反っくり返った鼻と、山のごとくそびえた肩に見せて、万七の空嘯うそぶく前を通ります。
と、満腔まんこうの若やかな親しみを寄せるけれども、新月を見て、そういう親しみを持ち得る子供はない。新月を見ることを愛するものは、やはり年増の味を愛することを知る人でなければならない。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
信雄はもとより信孝に満腔まんこうの不平を抱いている。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唯一人満腔まんこうの同情を彼に寄せた人があった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
未亡人と娘は名探偵に満腔まんこうの感謝を捧げた。
書けない探偵小説 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
口をきわめてすでに立ち去りたる巡査をののしり、満腔まんこうの熱気を吐きつつ、思わず腕をさすりしが、四谷組合としるしたるすす提灯ちょうちん蝋燭ろうそくを今継ぎ足して
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これ彼が満腔まんこうの不平をべたるなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
すばやく私語しごしあいつつ、なおも障子に躍る片腕長身の士のつるぎの舞いを見つめている両人——諏訪栄三郎満腔まんこうの戦意をこめて思わず柄がしらを握りしめ、おのずからなる武者ぶるいを禁じ得なかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
拙者などが茅屋破窓ぼうおくはそうの下に眠りて、貧苦多患の境遇にありながら、毎日毎日満腔まんこうの愉快をもって日を送るのは、全くこの天地、この万物の不可思議なることを悟りて、朝夕その味を心中に感ずるからであります。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
他の関係筋ではかの女と精神肉体ともに悉く交渉を打切られてしまったわたしは、ただ親切という管に於て、たゞかの女の最上無上の幸福に努力するということだけに於て、わたしの肺臓は満腔まんこうの力を吹き込むのを許されるのだった。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
この革命は諸藩士族の手に成りしものにして、その士族は数百年来周公孔子の徳教に育せられ、満腔まんこうただ忠孝の二字あるのみにして、一身もってその藩主に奉じ、君のために死するのほか、心事なかりしものが、一旦開進の気運に乗じて事を挙げ
徳育如何 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
いま天下に縦横し、ここ江南に臨んで強大の呉を一挙に粉砕せんとし、感慨尽きないものがある。ああ大丈夫の志、満腔まんこう、歓喜の涙に濡る。こよいこの絶景に対して回顧の情、望呉ぼうごの感、抑えがたいものがある。いま予自ら一詩を賦さん。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで金というものは宇宙に浮いているようなものでございますけれども、しかしながらそれを一つにまとめて、そうして後世の人がこれを用いることができるようにめて往かんとする欲望が諸君のうちにあるならば、私は私の満腔まんこうの同情をもって
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
ビクビクと縮こまったまんま、何の華やかさもない生涯を送って来た彼は、その小説や講談の中に出て来る気の毒な、憐れな運命の持主に満腔まんこうの同情を寄せると同時に、そんな人々が正義の力によって救われて行く筋道を、自分の事のように力瘤ちからこぶを入れて読み続けた。
老巡査 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「おう、そう訊くならばいってつかわそう。役寮においては最初、下り松にて吉岡方の大勢をただ一名で相手にしたさむらいと、おてまえに、満腔まんこうの好意をもっていたのであるが、その後、いろいろと悪評が伝わり、お山にかくまい置くべからず——という衆議になったからじゃ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だがまだまだ漢訳でも不十分でありますから、私どもはどうしても、ほんとうの日本訳の聖典を作らねばならぬと存じまして、私などもいろいろそれについて苦心しているわけですが、それにつけても私どもは、経典翻訳者の甚深じんしんなる苦心と労力に対して、満腔まんこうの感謝の意を表さねばならぬと思います。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
「常子夫人の談によれば、夫人は少くとも一ヶ年間、××胡同ことうの社宅にとどまり、忍野氏の帰るを待たんとするよし。吾人は貞淑ていしゅくなる夫人のために満腔まんこうの同情をひょうすると共に、賢明なる三菱みつびし当事者のために夫人の便宜べんぎを考慮するにやぶさかならざらんことを切望するものなり。……」
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)