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父の正義のしもとにぞ けがれし心ひれ伏さむ 母の慈愛の涙にぞ 罪のゆるしを求め泣く 御神みかみよ我をなかれ 神よが子を逐ふ勿れ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
針間はりま志自牟しじむが家に住みし時に、が命名を顯はさざらませば一三、更に天の下知らさむ君とはならざらまし。これ既にが命のいさをなり。
悩ましき迷誤をのがれ、時空の束縛を脱して、「汝」と「我」と、「がもの」と「我がもの」とは、一つに融けて、崇高なる法悦となった。
トリスタン (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
サンサーンスの妖婦ダリアの『我が心が声に開く』を歌ってさえも、我らに取っては「大好きな小母おばさん」らしさを失わないクルプである。
可惜あたらな奴よ。なんでれは公卿に生れず、鎌倉武士などに生れついた。生れ直せ。まだ青い若入道、時しあれば、生れ直せぬこともないわさ」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
可愛かわゆき児の、何とて小親にのみはなつき寄る、はじめてが頬に口つけしはわれなるを、かいなくかれらるるものかは。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
 わが在りし一日片時子の為めに宜しかりしを疑はぬのみ 又 が母は生きて持ちつる心ほど暗き所にありと思ふな しかし結局思ひ過ぎであつた。
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
がその人に云ひしには、吾はぬすみもいさかひも、なさざりしかど前の世の、罪のむくひのきたりしか、あだ国人と知らざりし、やまとの人に交はりし
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「わが欲情、隊商カラバンの如くかたに向ふ時、なれが眼は病める我が疲れし心を潤す用水の水なり。」と云ひ、又
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
伯母をばいまだ髪もさかりになでしこをかざせる夏にれは生れぬ (弟の子の生れけるに夏子と名をえらみて)
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
かくもまたとともに接吻くちつけて接吻くちつけて、接吻くちつけてほのかにも泣きつつあらば、あはれ、またなにの願か身にあらむ、ああさるをなほ女、はなにかりする
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
山科やましな木幡こはたやまうまはあれどかちおもひかね 〔巻十一・二四二五〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
【昨夜わらわは夢みたりき。山二つ響き高鳴りてこうべに落ち、もはや汝が姿を見るあたわざりき】
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
応仁おうにんの乱か何かにつた人の歌に、「も知るや都は野べの夕雲雀ゆふひばりあがるを見ても落つる涙は」と云ふのがあります。まるうちの焼け跡を歩いた時にはざつとああ云ふ気がしました。
好的々々よし/\が昔の恋人を血膾ちなますにして、なれと共に杯を傾けむ。外道げだう至極の楽しみ、これに過ぎしと打笑ひつゝ起上りしが、遂に妾が計略に掛かりて、今の仕儀となり果て終りしものに侍り。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ある時はファウスト博士が教へける「行爲タートによらでは救はれじ」
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
が顏の醉ひしよろしみ飮め飮めと強ふるこの酒などかは飮まぬ
ねむれねむれ子よが母がきちがひのむかし怖れし桜花はなあらぬ春
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
いまもは廣重の繪をながめつゝ隅田川をば戀しとおもふや
吉井君の歌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
連れだちてあゆむが母みめよきを妾腹しようふくの子よ悲しからずや
小熊秀雄全集-01:短歌集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
にし日の、我等が勇気、今はが、心に抱き進めかし
落ちよ、白き霊体、燃ゆるが空より落ちよ
が背にそびえしくれなゐの まろき柱はいかに
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
我を強ひ、時ならぬを、さわがしむなる。
リシダス (旧字旧仮名) / ジョン・ミルトン(著)
「おもひで」よ、なほくまもなく、が胸の
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
希望のぞみ、あくがれ、吟咏ながめたかわらひ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
やがてが婚姻するは、まことなるか。
不思議やなれが踊ればわれが泣く
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
れッ! 乾雲か。来いッ!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
下なる人は のみかも 天雲の
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
あゝかばやな——がもとに。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
が聲に青き蚊帳かやは更に青し。
そぞろごと (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
が胸のうちにそを建立せよ。
は酔ひれて うちをどる
隅田川 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
が魂は身内に眠れる時……
連嶺の夢想よ! が白雪を
わがひとに与ふる哀歌 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
かよわなる がおもだちよ
蛇の花嫁 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
が立てるこそ切なけれ。
佐藤春夫詩集 (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
したもえいそぐがあしを
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
のたまはぬはかなし
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
利心とごゝろくまゝに
騎士と姫 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
はそれ生ける音樂か。
天地有情 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)
真珠まだまころがすが声に
枯草 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「われはねまし、されどは踊らでやまず。」恋をしながら踊らずにいられぬという、なさけない矛盾が彼をさいなんだ……
「天照らす大御神高木の神の命もちて問の使せり。うしはける葦原の中つ國に、が御子の知らさむ國と言よさしたまへり。かれ汝が心いかに」
梨のしんを絞りしつゆも、木槿の花を煮こみし粥も、が口ならばうまかるべし。姉上にはいかならむ。その姉上と、大方はわれここに来て、この垣をへだててまみえぬ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自分の旧作に、「れもまた夜明かし癖か冬の蠅」とか「木枯らしや夜半の中なるわが机」とか、夜半の句が幾つもあるが、それをまたこの年暮くれには幾晩も味わった。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「風まじり雨降る夜の、……如何にしつつか、が世は渡る」といえば、一人が、「天地は広しといへど、あがためくやなりぬる、……斯くばかりすべ無きものか、世間よのなかの道」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
欠くるなき盈つるあらぬあめつちに在りて老いよともつくられぬ (秀を生みし時)
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
ベルリン国立歌劇場合唱団をブレッヒの指揮した『さまよえるオランダ人』の「つむぎ歌」と『魔弾の射手』の「がために花嫁」(JH五七)は、たった一枚だが非常に良い。