構内こうない)” の例文
少年たちはさくの破れ目から、廃工場のある構内こうないへ入っていった。一番手前の工場からはじめて次々に工場の内部をのぞいていった。
骸骨館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すると、ある停車場ていしゃば構内こうないに、ここからは、とおくへだたっている平原へいげんなかのレールからいた番号ばんごう汽罐車きかんしゃがじっとしてやすんでいました。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みちにはすずめのかたびらがを出していっぱいにかぶさっていました。私たちはそこから製板所せいばんしょ構内こうないに入りました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
はつとすると、構内こうないを、東雲しのゝめの一てんに、ゆきの——あとでつた——苅田嶽かつただけそびえたのがえて、あきらかつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一ばんおしまいに、広い構内こうないにでました。ここには、むかしの軍艦の船首像せんしゅぞうがならんでいました。ニールスはこのくらいふしぎなものを見たことがありません。
それから三代目だいめ代目だいめとは、無關係むくわんけいで、構内こうないへは一あし踏入ふみいれなかつたが、到頭たう/\その鷄屋とりやほろびてしまつたので、これをさいはひと佛骨子ぶつこつしをかたらひ、またすこつてた。
住居すまゐはつひ構内こうない長屋ながやの一つであるけれど、『せい/″\かしておやくつてみせます』とつてるやうなむすめこゝろをいぢらしくおもひながら、彼女かのぢよはぱちりと雨傘あまがさをひらく。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
わが研究室に於ける本日の実験においては、出力エネルギーをもって、構内こうないの一隅にある巨大なる山毛欅ぶなを倒そうと計画している。
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二人ふたりは、線路せんろのそばのさくにもたれて、シグナルや、石炭せきたんやまや、トロッコのある、構内こうない景色けしきをながめていました。
昼のお月さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
……去年きよねんはるごろまでは、樹蔭こかげみちで、戸田街道とだかいだう表通おもてどほりへ土地とちひとたちも勝手かつて通行つうかうしたのだけれども、いまは橋際はしぎは木戸きど出來できて、くわん構内こうないつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
泥濘ぬかるみへば、まるでぬまで、構内こうないまで、どろ/\と流込ながれこむで、其処等そこらめん群集ぐんしふ薄暗うすぐらみなあめしをれてた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
執行官たちは念のために構内こうないを見まわったが、べつに怪しい者を見かけなかったから。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
このくまも、やはり毎日駆まいにちかけまわったやまや、たにや、かわのことをおもしているのかもしれませんでした。そのとき、ちょうど停車場ていしゃじょう構内こうないに、にわとりをさがしながらあるいていました。
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みづつたとはこと停車場ステエシヨンわりしづかで、しつとりと構内こうない一面いちめんれてる。赤帽君あかばうくん荷物にもつたのんで、ひろところをずらりと見渡みわたしたが、約束やくそく同伴つれはまだない。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちがったあたらしいえきに、汽車きしゃくと、そこは入隊にゅうたいする兵士へいし見送みおくりで、構内こうないがにぎわっていました。しろ上衣うわぎ国防婦人こくぼうふじんのたすきをかけた婦人ふじんたちがたくさん、かよはいりました。
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
おびただしい荷物の山。まったく夥しい荷物の山だった。山とは恐らくこれほど物が積みあげられているのでなければ、山と名付けられまい。——さすがは大貨物駅だいかもつえきとして知られるS駅の構内こうないだった。
地獄街道 (新字新仮名) / 海野十三(著)
停車場ステーシヨンの一ぱうはしつて、構内こうないはづれのところに、番小屋ばんごやをからくりでせるやうな硝子窓がらすまど小店こみせがあつて、ふう/\しろ湯気ゆげまど吹出ふきだしては、ともしびうす
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わしは、一と通りの探険注意を与えると、一行の先頭に立ち、静かに、構内こうないを、第九工場に向って、行進を始めたのだった。地上をうレールの上には、既に、冷い夜露よつゆが、しっとりと、下りていた。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)