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折檻
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せっかん
ふりがな文庫
“
折檻
(
せっかん
)” の例文
そして後ではたまらない淋しさに襲われるのを知りぬいていながら、激しい言葉を
遣
(
つか
)
ったり、厳しい
折檻
(
せっかん
)
をお前たちに加えたりした。
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「さて誰袖の
折檻
(
せっかん
)
も今日はこのくらいにして置いて、次の
処刑
(
しおき
)
に移ろうかい。やいやい加藤次、
白萩
(
しらはぎ
)
めをもっと縁近く曳いて参れ!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「きさま、きのう深川のまま母を洗ってきたとき、このごろじゅう毎晩五つから四つの間に、
折檻
(
せっかん
)
の悲鳴が聞こえるといったっけな」
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ははあ、こやつも楮幣に不服なのか。ならばなぜ、
折檻
(
せっかん
)
などせず、表向きに、
検非違使
(
けびいし
)
ノ庁へつき出さんか。——この良忠から一
札
(
さつ
)
を
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
シロオテは
折檻
(
せっかん
)
されながらも、日夜、長助はるの名を呼び、その信を固くして死ぬるとも志を変えるでない、と大きな声で叫んでいた。
地球図
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
この人は、
婦人
(
おんな
)
を
虐
(
しいた
)
げた罪を知って、朝に晩に
笞
(
しもと
)
の
折檻
(
せっかん
)
を受けたいのです。一つは世界の女にかわって、私がその
怨
(
うらみ
)
を晴らしましょう。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
散々
折檻
(
せっかん
)
された後、私は祖母に引きずられて庭の
籾倉
(
もみぐら
)
の中に押し込まれた。そして、ちょうどこの監獄のように外から
錠
(
じょう
)
をかけられた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
多分三千子のふしだらを感づいて
折檻
(
せっかん
)
でもするつもりだったのがつい激した余り、あんなことになったのではないかと思いますわ。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何か悪いこと、余計なこと、いたずらに類することをすると、たいへんな勢いで怒り、火箸や長
煙管
(
きせる
)
で彼を
打擲
(
ちょうちゃく
)
し、
折檻
(
せっかん
)
した。
記憶
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
彼女はこうした
折檻
(
せっかん
)
によって一種の兇暴な、そして神聖な歓びを感ずるのであった。が、猫はそれに対して
些
(
すこ
)
しも反抗する気色がなかった。
老嬢と猫
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
夜になって家へ帰ると、
奴
(
やっこ
)
さんは僕を
折檻
(
せっかん
)
しようというんだよ。それからのちの冒険については、君は僕自身と同様によく知っているはずだ
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
時々取り出しては
慈母
(
じぼ
)
の
霊前
(
れいぜん
)
に
額
(
ぬか
)
ずくがごとく礼拝した「この人形の
折檻
(
せっかん
)
がなかったら自分は一生
凡々
(
ぼんぼん
)
たる芸人の末で終ったかも知れない」
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
預けられてあった里から帰って来て、今の養家へもらわれて行くまでの短い月日のあいだに、母親から受けた
折檻
(
せっかん
)
の苦しみが、
憶起
(
おもいおこ
)
された。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
頑固親爺
(
がんこおやじ
)
が不幸むすこを
折檻
(
せっかん
)
するときでも、こらえこらえた怒りを動作に移してなぐりつける瞬間に不覚の涙をぽろぽろとこぼすのである。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
空恐
(
そらおそ
)
ろしいやらで……その後、わたくしの受けました厳しいお調べや
折檻
(
せっかん
)
など、あなた様の
艱難辛苦
(
かんなんしんく
)
に比べれば、物の数でもござりませぬ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼女と国吉のことを父に告げたのは、飯炊きの足助老人であること、国吉は放逐されるときに、門の外でひどく
折檻
(
せっかん
)
されたこと、などである。
榎物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
か弱い女性の常として、とても耐えられるものでない、絶体絶命の悲しみとか、
折檻
(
せっかん
)
とかいうようなものも、その原因になるとのことである。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
彼
(
あれ
)
が私を
※
(
ほし
)
殺そうと思って
邪慳
(
じゃけん
)
な奴でございます、藤原も
彼
(
あ
)
んな奴ではございませんでしたが、此の頃は
馴合
(
なれあ
)
いまして私を責め
折檻
(
せっかん
)
致します
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
結局あの娘の持ち前の性格をくたくたに突き崩して、
匂
(
にお
)
いのないただ美しい造花のようにしてしまったのは、僕の無言の
折檻
(
せっかん
)
にあるのでしょう。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
二千八百石取の旗本のすることで、その上有名な御用聞の銭形の平次が付いているのですから、こんな不法の
折檻
(
せっかん
)
をとがめ立てる人もありません。
銭形平次捕物控:003 大盗懺悔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何でも
彼嶺
(
あれ
)
さえ越せばと思って、前の月のある朝
酷
(
ひど
)
く
折檻
(
せっかん
)
されたあげくに、ただ一人思い切って上りかけたのであった。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
偽りを申して、後に露見するよりも——申せぬか?——飽くまで、白状せぬとあれば、
責
(
せめ
)
、
折檻
(
せっかん
)
しても、口を割らすぞえ
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
彼は
折檻
(
せっかん
)
をしたあとでは、かならず「おまえは生きているかぎりはこのことを思い出して、ありがたく思うだろう」
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
秩序というものを
紊
(
みだ
)
る
憂
(
うれ
)
いがあるから、貴様たちのような
木
(
こ
)
ッ
葉
(
ぱ
)
を相手にするのは大人げないと知りながら、こうして
折檻
(
せっかん
)
にあがったのだ、以後は慎め
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
やはり其月の妾のような形で
全
(
まる
)
二年も腰をすえているうちに、其月の焼餅がだんだん激しくなって来て、時によると随分手あらい
折檻
(
せっかん
)
をすることもある。
半七捕物帳:36 冬の金魚
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
にんじん——
折檻
(
せっかん
)
する。セッカンするっていうんだよ、親が子供をぶつ時は……。お前の母さん、折檻するかい?
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
婢
(
じょちゅう
)
や
奴
(
げなん
)
が
過
(
あやま
)
ちをしでかして、主婦に
折檻
(
せっかん
)
せられるような時には、嬰寧の所へ来て、一緒にいって話してくれと頼むので、一緒にいってやるといつも
免
(
ゆる
)
された。
嬰寧
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
されば
悋気
(
りんき
)
深い女房に
折檻
(
せっかん
)
されたあげくの果てに、去勢を要求された場合には、委細承知は
仕
(
つかまつ
)
れど、鰻やスッポンと事異なり、婦人方の見るべき料理でない。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
この
壮
(
わか
)
い美しい婢は、粗相して冷酷な主人夫婦の
折檻
(
せっかん
)
に
逢
(
あ
)
わないようにとおずおず働いているのであった。
皿屋敷
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それが魔王に見つかつて、娘は衣裳を剥ぎとられ杙にしばりつけられて、鞭でもつて
折檻
(
せっかん
)
されるのだ。……
地獄
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
他のことにござれば、恩師より、蹴られ、打たれ、如何ようの
折檻
(
せっかん
)
、お
辱
(
はず
)
かしめも、さらさらお
怨
(
うら
)
みはいたしませぬが、こればかりは、黙して、忍びかねます。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
打擲
(
ちょうちゃく
)
という字は
折檻
(
せっかん
)
とか
虐待
(
ぎゃくたい
)
とかいう字と並べて見ると、
忌
(
いま
)
わしい残酷な響を持っている。嫂は今の女だから兄の行為を全くこの意味に解しているかも知れない。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
前年など、かかえられていた芸者が、この娘の皮肉の
折檻
(
せっかん
)
に堪えきれないで、海へ身を投げて死んだ。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
人間の手でいわゆる面白いかたちを
折檻
(
せっかん
)
されながら、かたちを作っているのだ、それらの松はすべて根元に二人、さきに二人というように人夫四人がかりでないと
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
打った事もある。
蹴
(
け
)
った事もある。が、打っているうちに、蹴っているうちに、おれはいつでも、おれ自身を
折檻
(
せっかん
)
しているような心もちがした。それも無理はない。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
暫時カーカーとやかましく鳴いた後、五六匹の
折檻
(
せっかん
)
委員を選んで、かの
罪烏
(
ざいう
)
をつつき殺してしまう。
動物界における善と悪
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
このまゝそつと御帰宅なされ候はゞ、親御様も
上部
(
うわべ
)
はとにかく、
必
(
かならず
)
手ひどい
折檻
(
せっかん
)
などはなされまじ。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
せめ
折檻
(
せっかん
)
は常のこと、飼い猫が自分の衣裳を踏んだといっては、しっぽを手に取って、振りまわし、はては見ている者が、思わず、目をおおう様な行いが度々あること。
京鹿子娘道成寺
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
ついて来た
老婢
(
ろうひ
)
が、なにかと
告口
(
つげぐち
)
をするのに、私は何も言わないので母に大層
折檻
(
せっかん
)
されたりした。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そしてあの荒れ小屋に連れこむと、身の自由を奪っていろいろと
折檻
(
せっかん
)
したが、
強情
(
こうじょう
)
な彼奴は、どうしても白状しなかった。私は怒りのあまり、遂に最後の手段を
択
(
えら
)
んだ。
柿色の紙風船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
さながら皇天ことにわれ一
人
(
にん
)
をえらんで
折檻
(
せっかん
)
また折檻の
笞
(
むち
)
を続けざまに打ちおろすかのごとくに感ぜらるる、いわゆる「泣き
面
(
つら
)
に
蜂
(
はち
)
」の時期少なくとも一度はあるものなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
その様子をみていると、本当に切なさそうで、全く、地獄で、
娑婆
(
しゃば
)
の罪人を
業
(
ごう
)
の
秤
(
はかり
)
にかけ、
浄玻璃
(
じょうはり
)
の鏡にひきむけて、
閻魔
(
えんま
)
大王の家来達が、
折檻
(
せっかん
)
しているようにしかみえなかった。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
手と
膝頭
(
ひざがしら
)
を
擦
(
す
)
り
剥
(
む
)
いただけでしたが、私は手ぶらで帰っても浜子に
折檻
(
せっかん
)
されない口実ができたと思ったのでしょう、通りかかった人が抱き起しても、死んだようになっていました。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
フォーシュルヴァンはその
折檻
(
せっかん
)
の下にあって、気が気でなかった。修道院長は続けた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
かの老執事が女主人公の暴れ出すのを
折檻
(
せっかん
)
して取り鎮めるとともに、彼女が金を造り得るという妄信に釣り込まれて、彼女のものすごい試験の助手を勤めていたことだけはわかってきた。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
するとメルキオルは彼を殴りつけ、
悪戯
(
いたずら
)
っ
児
(
こ
)
扱いにし、その手から金を奪い取った。子供はもう十二、三歳で、身体は頑丈で、
折檻
(
せっかん
)
されると怒鳴り出した。けれどもまだ反抗するのが恐かった。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
通
(
とお
)
りがかりの
御挨拶
(
ごあいさつ
)
で、
何
(
な
)
んとも
恐
(
おそ
)
れいりますが、どうやら、
市松
(
いちまつ
)
の
野郎
(
やろう
)
が、
飛
(
と
)
んだ
粗相
(
そそう
)
をいたしました
様子
(
ようす
)
。
早速
(
さっそく
)
連
(
つ
)
れて
帰
(
かえ
)
りまして、
性根
(
しょうね
)
の
坐
(
すわ
)
るまで、
責
(
せ
)
め
折檻
(
せっかん
)
をいたします。どうかこのまま。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
が、子供にとって事実の真相なぞはどうでもよろしいことだったのです。
皺
(
しわ
)
だらけの白髪の祖母が思い入れよろしくあって……こう細い手を伸ばして責め
折檻
(
せっかん
)
する時の顔の怖さといったらありません。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
工夫は一旦その
処
(
ところ
)
を立ち去ったのち、再び引き返して同じ小屋に行ってみると、女房が彼と話をしたのを責めるといって、縛り上げて
折檻
(
せっかん
)
をしているところであったので、もう詳しい話も聞きえずに
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
むやみとその胸のあたりを
抓
(
つね
)
るのか引っ掻くのか妙な
折檻
(
せっかん
)
をする。
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
折
常用漢字
小4
部首:⼿
7画
檻
漢検1級
部首:⽊
18画
“折檻”で始まる語句
折檻状
折檻賽