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性質
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たち
ふりがな文庫
“
性質
(
たち
)” の例文
それに、野村と二川とは性格が正反対といっていゝほどで野村は
極
(
ご
)
く陽気な
性質
(
たち
)
だったし、二川は煮え切らない引込思案の男だった。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
彼は又優良な
鶏
(
とり
)
の卵を
孵化
(
かへ
)
して、小作人たちの飼つてゐる古い、よぼ/\の、
性質
(
たち
)
のよくない
鶏
(
とり
)
とたゞで取替へてやることを申出た。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
平次の熱は相変らず高く、町内の本道(内科医)は、この風邪は
性質
(
たち
)
が悪いから、当分外へ出ては命に拘わるという脅かしようです。
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかもその相手が最も悪い、雲助のなかでも最も
性質
(
たち
)
の悪い郡内の雲助ですから、米友も実に飛んでもない相手を引受けたものです。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「中島君、安い月給取りの口は別として、金持の未亡人でも
捜
(
さが
)
したら、どうだ。君は女に好かれる
性質
(
たち
)
だから、きっと成功するぜ。」
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
些細
(
ささい
)
のことで
燥
(
はしゃ
)
いだり、又逆に
直
(
す
)
ぐ
不貞腐
(
ふてく
)
された。こういう
性質
(
たち
)
のものは、とうてい我々のような仕事をやって行くことは出来ない。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
『それは
様々
(
さまざま
)
でございます。
中
(
なか
)
には
随分
(
ずいぶん
)
ひねくれた、
気
(
き
)
むつかしい
性質
(
たち
)
のものがあり、どうかすると
人間
(
にんげん
)
を
目
(
め
)
の
仇
(
かたき
)
に
致
(
いた
)
します……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それで僕が六号活字を受持つてゐる時には、
性質
(
たち
)
の
好
(
よ
)
くないのは、大抵
屑籠
(
くづかご
)
へ
放
(
ほう
)
り込んだ。此記事も全くそれだね。反対運動の結果だ
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一番これが
性質
(
たち
)
が悪いので、それを最初から懐中欠乏。それで長逗留との御触れ出しは、半田屋九兵衛、失礼ながら気に入りました
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
(進一さんだって、わずかな金——小判一枚のゆきちがいぐらいで、人を叩き倒すような
兇暴
(
あら
)
い
性質
(
たち
)
の人じゃアないから安心だわ)
猿ヶ京片耳伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ずうずうしく恥を知らない悪さ——すべて天国に遠い
性質
(
たち
)
のよくない悪さ、かかる悪さから文壇は一日も早く清めらるべきである。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
斯
(
か
)
ういふ
性質
(
たち
)
の男は克く北部の信州人の中にあつて、
理由
(
わけ
)
も無しに怒つたやうな顔付をして居るが、其実怒つて居るのでも何でも無い。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
お前さん方もセント・ジョンさんも、どうやらすつかり
性質
(
たち
)
が違つてゐらつしやります。皆さまおつ母さん似でその通り學問がお好きだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
念には念を入れる
性質
(
たち
)
でしたから、
滅多
(
めった
)
に誤診はなく、たまたまあっても、患者の生命に少しの影響をも及ぼしませんでした。
手術
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
ただ絶望のためにやむなく夜の闇の中に恵みを乞うているまだ
性質
(
たち
)
のいい物貰いに、苦い顔を見せる体格のがっしりした職業的な乞食ども。
群集の人
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
あまりに自我の強い芸術は、無意識、つまり法悦的境地を欠くから、感覚の
性質
(
たち
)
が如何によくとも、人をジツクリと楽ませることが出来ない。
詩壇への抱負
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
大
(
あら
)
いところは目につくから——ヘッ、
鰻
(
うなぎ
)
だと思ってるんだね、
小串
(
こぐし
)
のところをやったのでね。
性質
(
たち
)
(石の)のいいやつばかりお好みと来たのさ。
旧聞日本橋:11 朝散太夫の末裔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
馬具部屋の二階の乾草の中に眠っている二人の若い者をすぐに呼び起したが、二人とも寝ぼすけな
性質
(
たち
)
なので、夜中に何もきかなかったという。
白銀の失踪
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
自分から話題を展開させる
性質
(
たち
)
の男でなかった。彼は、教室に出る時間の都合があると云って、間もなく中座して帰った。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「何アに、はア御話にも何にもなりやしやせん。
放蕩者
(
どらもの
)
で、
性質
(
たち
)
が悪くつて、五六年も前から、もう村の者ア、相手に仕なかつたんでごすから」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
こういう
性質
(
たち
)
の不良なものでは、日本に
天邪鬼
(
あまのじゃく
)
という名があり、西洋にはキリストの弟子のうちに、ユダという男がいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、きこうともしないでも、蓬莱和子は心に秘密しておくことが出来ない
性質
(
たち
)
の人だと、彼女は察していた。案の定
華々しき瞬間
(新字新仮名)
/
久坂葉子
(著)
あたしは誰にでもこんなことをする
性質
(
たち
)
なんだから。あたしあなたには、お気の毒だと思うけど、これも仕様がないわ。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
同人雑誌の発行を、
凱旋的
(
トライアンファント
)
に報じて孤独に苦しんでいる俺を、あくまで傷つけてやろうという彼の
性質
(
たち
)
の悪い悪戯だ。
無名作家の日記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
一躰にちと訳のある御
性質
(
たち
)
で、とても奥様のお勤めが、お出来あそばさぬと申すところから。そこは通つた大殿様、新華族様だけにお呑込みも早く。
誰が罪
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
ところが、この鍛冶屋のお爺さんはまた困ったお爺さんで、何でも自分の見たことやきいたことを人に話したくて話したくてたまらない
性質
(
たち
)
でした。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
いくらか痩せてはゐますが、生き/\した、何でも焼きつくす燃えるやうな
性質
(
たち
)
の男の子です。で、何かに気を取られると、夜も眠る事が出来ません。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
旦那の前ですが、あの女には一寸変ったところがありましてね、詰り痛い目に会わされると喜ぶ様な
性質
(
たち
)
なんでさ。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は
這麽
(
こんな
)
性質
(
たち
)
ですから
諄々
(
つべこべ
)
言つて見ることも御座いますが、人の前ぢや眼許りパチクリ/\さしてゐて、カラもう
現時
(
いま
)
の
青年
(
わかいもの
)
の様ぢやありませんので。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
あまり
性質
(
たち
)
の良くないので、うつかりすれば両眼とも駄目になる恐れがあるといふことだつた。それが為に、又々開店を中止しなければならなかつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
私は余り神経質でもなく
几帳面
(
きちょうめん
)
でもない
性質
(
たち
)
だったが、でもそんな紙には何となく気を入れて書く気がしなかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
すぐ夢中になってしまう
性質
(
たち
)
で、だが、ほんとに好きだったらそれも可愛く思えるのだろうが、あの少女っぽいロマンチックな自己陶酔癖には閉口した。
演技の果て
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
第一に
年齢
(
とし
)
の
違
(
ちが
)
ふ
故
(
せゐ
)
もあつたが、和上は学者で貧乏を苦にせぬ
豪邁
(
がうまい
)
な
性質
(
たち
)
、奥方は町家の
秘蔵娘
(
ひざうむすめ
)
で
暇
(
ひま
)
が有つたら三味線を出して
快活
(
はれやか
)
に
大津絵
(
おほつゑ
)
でも弾かう
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
彼は古本屋らしくない、きゃしゃな、若い男だったが、細君の死骸を見ると、気の弱い
性質
(
たち
)
と見えて、声こそ出さないけれど、涙をぼろぼろ
零
(
こぼ
)
していた。
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いったん気持が、わが子のもとへはしったお蓮様は、だいたいが思いたつと同時に、じっとしていられない
性質
(
たち
)
。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
平常
(
ふだん
)
は全く無頓着でいるが、雨が降ると不快感の洩らし口を探す為めに新聞の欄外を検めるのだから
性質
(
たち
)
が悪い。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
一体、景岡秀三郎という青年は……チョット
傍道
(
わきみち
)
になりますけれど……少年の時から、極く内気な
性質
(
たち
)
でした。
足の裏
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「何しろ、奴等ダラ幹ときたら
性質
(
たち
)
が悪いからな、出来るだけ高く売りこもうという算段をしてやがるんだ。」
鋳物工場
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
私強
(
わたくしづよ
)
き人の
性質
(
たち
)
として、ある
方
(
かた
)
には人の思わくも思わずわが思うままにやり通すこともあれど、また思いのほかにもろくて人の評判に気をかねるものなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「おつぎは
心持
(
こゝろもち
)
までお
袋
(
ふくろ
)
の
方
(
はう
)
だね、お
前
(
まへ
)
の
※
(
あね
)
だがおつたはあゝいふ
性質
(
たち
)
なのに一つ
腹
(
はら
)
から
出
(
で
)
ても
違
(
ちが
)
ふもんだね」
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それからすぐそんなことは忘れた、といふやうに朗らかになつた。もともとこの女は朗らかな
性質
(
たち
)
である。
四人
(新字旧仮名)
/
芥川多加志
(著)
会ったことはありませんが、何でもひどく
性質
(
たち
)
の悪い兄がどこかのガレージに勤めているという話ですから、多分その男の入智恵ではないかと思われるのです。
死者の権利
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
只、一体が
穏当
(
おだやか
)
でない
性質
(
たち
)
の処へ、料理人に
殆
(
ほと
)
んど共通な、慢心ッ気が手伝って到る所で衝突しては飛出す、一つ所に落着けず、所々方々を
渉
(
わた
)
り歩いたものだ。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
子供に向ってもがみがみ叱る
性質
(
たち
)
で、一人の清吉という息子があったが、母親の
気質
(
きだて
)
に似ないで、父親のように
黙言
(
だんまり
)
な、少しぼんやりとした大柄な子供であった。
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
春葉氏はかなり世話好きな
性質
(
たち
)
だつたので、小猫や
狗
(
いぬ
)
ころを
可愛
(
かあい
)
がつたやうに、若い書生の面倒を見ない事もなかつたが、どうしても弟子が長続きがしなかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
同じ、ぺちんという音にも、いろいろの
性質
(
たち
)
があった。子供は聞き慣れてその音の種類を聞き分けた。
鮨
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
鎌は詰らねえが宜うがすか、お
前
(
めえ
)
さんと中が悪ければ、
酷
(
ひど
)
い
畜生
(
ちきしょう
)
だなんて
遣
(
や
)
り兼ねえ
性質
(
たち
)
だが、旦那にゃア時々
小遣
(
こづけえ
)
を貰ってる私だから、
何
(
なん
)
とも思やアしねえがネ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
泣
(
な
)
く
事
(
こと
)
などは
大厭
(
だいきらひ
)
の
性質
(
たち
)
であるから
一同
(
いちどう
)
は
其
(
その
)
心
(
こゝろ
)
を
酌
(
く
)
んで、
表面
(
うはべ
)
に
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
す
者
(
もの
)
などは
一人
(
ひとり
)
も
無
(
な
)
かつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
かれらにとっては、大河は、最初の朝の板木一件以来、いわば、いい意味での一種の変人であり、何かしら人の意表に出るような親切をやって喜ぶ
性質
(
たち
)
の人であった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
それでこういうのさ——フェリックスはとても感じやすい
性質
(
たち
)
だから、
打
(
ぶ
)
ったり
叩
(
たた
)
いたりしてもなんにもならない。にんじんのほうは、まだそれでいいけれどって……。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
“性質”の意味
《名詞》
性 質(せいしつ)
ある対象を特徴づける形態や機能、傾向。
(出典:Wiktionary)
性
常用漢字
小5
部首:⼼
8画
質
常用漢字
小5
部首:⾙
15画
“性質”で始まる語句
性質上