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往來
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ゆきゝ
ふりがな文庫
“
往來
(
ゆきゝ
)” の例文
新字:
往来
お文さんの
許
(
ところ
)
は極く懇意で、私の家とは互に近く
往來
(
ゆきゝ
)
しました。風呂でも立つと言へば、互に提灯つけて通ふほどの間柄でした。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
お高は
往來
(
ゆきゝ
)
の人のなきを見て、力ちやんお前の事だから何があつたからとて氣にしても居まいけれど、私は身につまされて源さんの事が思はれる
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
走り過るトラツクの灯に、眞直な國道の行手までが遙に照し出されるたび/\、荷車や人の
往來
(
ゆきゝ
)
も一歩々々途絶え
勝
(
が
)
ちになることが能く見定められる。
或夜
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
其赤い火影が、一筋町の賑ひを樂しく照して、晴着を飾つた
往來
(
ゆきゝ
)
の人の顏が何れも/\醉つてる樣に見える。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
この兒をさほど
欲
(
ほ
)
しと思はゞ、直に連れて歸りても好し。若し
肋
(
あばら
)
二三本打ち折りて、おなじやうなる
畸形
(
かたは
)
となし、
往來
(
ゆきゝ
)
の人の袖に縋らせんとならば、それも好し。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
定め其處よ
彼處
(
かしこ
)
と思へ共
竟
(
つひ
)
に其日は捨兼て同じ宿なる
棒端
(
ぼうばな
)
の
境屋
(
さかひや
)
と云
旅籠屋
(
はたごや
)
に一宿なして明の朝此所の
旅店
(
やどや
)
を立出て人の
往來
(
ゆきゝ
)
の無中に
疾
(
と
)
く
捨
(
すて
)
なんと
右
(
と
)
つ
左
(
おい
)
つ其場所がらを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其間に四谷見附の花家とかと
往來
(
ゆきゝ
)
して居たやうですが、其邊の悉しい話は私は殆ど知らない。
「青白き夢」序
(旧字旧仮名)
/
森田草平
(著)
非道な
高利貸
(
かうりかし
)
を始め、生活を極度に切り詰めて、
手強
(
てごは
)
く意見をするお皆を裸にして放り出したのは今から十年前、お皆は人知れず娘お濱と
往來
(
ゆきゝ
)
して、夫の心の解けるのを待ちましたが
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此處を港に
錨
(
いかり
)
を下ろす船は數こそ少いが形は大きく大概は西洋形の
帆前船
(
ほまへせん
)
で、出積荷は此濱で出來る食鹽、其外土地の者で朝鮮貿易に從事する者の持船も少なからず、内海を
往來
(
ゆきゝ
)
する和船もあり。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
○むかしの夢に
往來
(
ゆきゝ
)
せし
北村透谷詩集
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
お
高
(
たか
)
は
往來
(
ゆきゝ
)
の
人
(
ひと
)
のなきを
見
(
み
)
て、
力
(
りき
)
ちやんお
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
だから
何
(
なに
)
があつたからとて
氣
(
き
)
にしても
居
(
ゐ
)
まいけれど、
私
(
わたし
)
は
身
(
み
)
につまされて
源
(
げん
)
さんの
事
(
こと
)
が
思
(
おも
)
はれる
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
山の手では人の
往來
(
ゆきゝ
)
のかなり激しい道のはたにも暗くならぬ中から、下町では路地の芥箱から夜通し微妙な秋の曲が放送せられる。道端や芥箱のみではない。
虫の声
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
酒屋の
香氣
(
にほひ
)
のする庭を通り拔けて、藏造りになつた二階の部屋へ上つて見ました。隣とはよく
往來
(
ゆきゝ
)
をしましたが、そんなに奧の方まで連れられて行つたのは私には初めてです。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
左隣の
檜木
(
ひのき
)
さんは、昔からの知合だと言つてる癖に、
往來
(
ゆきゝ
)
はおろか、朝夕の口もきかず、お向うの按摩さんなどとは前世からの仇同士見たいに、路地で逢つても、お互に顏をそむけて居りました
銭形平次捕物控:303 娘の守袋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
打越
(
うちこえ
)
て柴屋寺へと
急
(
いそぎ
)
ける(柴屋寺と言は柴屋宗長が
庵室
(
あんしつ
)
にして今
猶
(
なほ
)
在
(
あり
)
と)既に其夜も
子刻
(
こゝのつ
)
の
拍子木
(
ひやうしぎ
)
諸倶
(
もろとも
)
家々の
軒行燈
(
のきあんどん
)
も早引て
廓
(
くるわ
)
の中も
寂寞
(
ひつそり
)
と
往來
(
ゆきゝ
)
の人も
稀
(
まれ
)
なれば
時刻
(
じこく
)
も丁度
吉野屋
(
よしのや
)
の
裏口
(
うらぐち
)
脱
(
ぬけ
)
て
傾城
(
けいせい
)
白妙名に
裏表
(
うらうへ
)
の
墨染
(
すみぞめ
)
の衣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
雪
(
ゆき
)
はいよ/\
降
(
ふ
)
り
積
(
つも
)
るとも
歇
(
や
)
むべき
氣色
(
けしき
)
少
(
すこ
)
しも
見
(
み
)
えず
往來
(
ゆきゝ
)
は
到底
(
とても
)
なきことかと
落膽
(
らくたん
)
の
耳
(
みゝ
)
に
嬉
(
うれ
)
しや
足音
(
あしおと
)
辱
(
かたじけな
)
しと
顧
(
かへり
)
みれば
角燈
(
かくとう
)
の
光
(
ひか
)
り
雪
(
ゆき
)
に
映
(
えい
)
じ
巡囘
(
じゆんくわい
)
の
査公
(
さこう
)
怪
(
あや
)
しげに
目
(
め
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
徳右衞門と
往來
(
ゆきゝ
)
はして居たことでせう
銭形平次捕物控:273 金の番
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
冠
(
かぶ
)
りて馬に
乘
(
のり
)
つゝ是々
馬士
(
まご
)
どの今夜は何だか
淋
(
さびし
)
い樣だ
何日
(
いつも
)
は
最
(
も
)
う
寅刻頃
(
なゝつごろ
)
には
徐々
(
そろ/\
)
人の
往來
(
ゆきゝ
)
も有のに鮫洲から
爰迄
(
こゝまで
)
來中
(
くるうち
)
に一人も逢ぬ
扨々
(
さて/\
)
淋
(
さび
)
しいことだぜ
馬士
(
まご
)
アイサ此節は人通りが
少無
(
すくなく
)
なつて否はや一
向
(
かう
)
に
不景氣
(
ふけいき
)
なことさ品川歸りも通らねえ
隨分
(
ずゐぶん
)
氣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
姉
(
ねえ
)
さんの
部屋
(
へや
)
で
今朝
(
けさ
)
結
(
ゆ
)
つて
貰
(
もら
)
つたの、
私
(
わたし
)
は
厭
(
い
)
やでしようが
無
(
な
)
い、とさし
俯向
(
うつむ
)
きて
往來
(
ゆきゝ
)
を
恥
(
は
)
ぢぬ。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あれ
彼
(
あ
)
の
聲
(
こゑ
)
を
此町
(
このまち
)
には
聞
(
き
)
かせぬが
憎
(
に
)
くしと
筆
(
ふで
)
やの
女房
(
にようぼう
)
舌
(
した
)
うちして
言
(
い
)
へば、
店先
(
みせさき
)
に
腰
(
こし
)
をかけて
往來
(
ゆきゝ
)
を
眺
(
なが
)
めし
湯
(
ゆ
)
がへりの
美登利
(
みどり
)
、はらりと
下
(
さが
)
る
前髮
(
まへがみ
)
の
毛
(
け
)
を
黄楊
(
つげ
)
の
鬂櫛
(
びんぐし
)
にちやつと
掻
(
か
)
きあげて
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
夫
(
そ
)
れは
少
(
すこ
)
しも
心
(
こゝろ
)
に
止
(
と
)
まらねども
美登利
(
みどり
)
が
素振
(
そぶり
)
のくり
返
(
かへ
)
されて
正太
(
しようた
)
は
例
(
れい
)
の
歌
(
うた
)
も
出
(
で
)
ず、
大路
(
おほぢ
)
の
往來
(
ゆきゝ
)
の
夥
(
おび
)
たゞしきさへ
心淋
(
こゝろさび
)
しければ
賑
(
にぎ
)
やかなりとも
思
(
おも
)
はれず、
火
(
ひ
)
ともし
頃
(
ごろ
)
より
筆
(
ふで
)
やが
店
(
みせ
)
に
轉
(
ころ
)
がりて
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
往
常用漢字
小5
部首:⼻
8画
來
部首:⼈
8画
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往來傍
往來物
往來皆此路