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引張
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ひっぱ
ふりがな文庫
“
引張
(
ひっぱ
)” の例文
直
(
すぐ
)
に往って来いと仰しゃれば、ヘーッてんで直に先生の手を持って
引張
(
ひっぱ
)
って参ります……これは驚きました、これは大変な御病気で
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかもその
戴
(
いただ
)
きが、すでに天秤棒をかつぎ、またはリヤカアを
引張
(
ひっぱ
)
ってあるいている土地は、もうだんだんと多くなっているのである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
さやさやと
葎
(
むぐら
)
を分けて、おじいどうした、と
摺寄
(
すりよ
)
ると、ああ、宰八か助けてくれ。この手を
引張
(
ひっぱ
)
って、と拝むがごとく指出した。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それよりは
其隙
(
そのひま
)
で内職の
賃訳
(
ちんやく
)
の一枚も余計にして、もう、これ、冬が近いから、家内中に綿入れの一枚も
引張
(
ひっぱ
)
らせる算段を
為
(
し
)
なければならぬ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
例の事件を発見する日の前夜、ハリ・ドレゴは水戸を
引張
(
ひっぱ
)
りまわして町中を飲み歩いた。この日二人の間には珍らしく議論が
沸騰
(
ふっとう
)
したのである。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
▼ もっと見る
島田の奴が馬を
引張
(
ひっぱ
)
って来たので、仕方がないから
有合
(
ありあ
)
いのものを典じて始末をつけたが、その
穴埋
(
あなうめ
)
をしなけりゃならん。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
朝起きて
啜
(
すす
)
る渋茶に立つ煙りの
寝足
(
ねた
)
らぬ夢の尾を
曳
(
ひ
)
くように感ぜらるる。しばらくすると向う岸から長い手を出して余を
引張
(
ひっぱ
)
るかと
怪
(
あや
)
しまれて来た。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから二三日
経
(
た
)
つと、彼は屋敷下を通る
頬冠
(
ほおかむり
)
の丈高い姿を認めた。其れが博徒の親分であることを知った彼は、声をかけて無理に縁側に
引張
(
ひっぱ
)
った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
と長く
引張
(
ひっぱ
)
ったところで、つく息と共に汚い
白眼
(
しろめ
)
をきょろりとさせ、
仰向
(
あおむ
)
ける顔と共に首を斜めに振りながら
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
熊吉
(
くまきち
)
という
水撒
(
みずまき
)
人夫がありました。お役所の紋のついた青い水撒車を
引張
(
ひっぱ
)
って、毎日半蔵門の方から永田町へかけて、水を撒いて歩くのが、熊さんの仕事でした。
日輪草:日輪草は何故枯れたか
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
その途端、女房はキャッと叫んだ、見るとその黒髪を
彼方
(
うしろ
)
へ
引張
(
ひっぱ
)
られる様なので、女房は右の手を
差伸
(
さしのば
)
して、自分の髪を抑えたが、その
儘
(
まま
)
其処
(
そこ
)
へ気絶して
仆
(
たお
)
れた。
因果
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
その時大阪では焼ける家の柱に
綱
(
つな
)
を付けて家を
引倒
(
ひきたう
)
すと云うことがあるその網を
引張
(
ひっぱ
)
って
呉
(
く
)
れと云う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
夫は
喫驚
(
びっくり
)
して、
如何
(
どう
)
したのだとその男に
詰
(
なじ
)
ると男は
頗
(
すこぶ
)
る平然として、
何
(
なに
)
これは魔物にちがいない、早く帰ろうといいながら、その男の袖を
引張
(
ひっぱ
)
るようにして、帰途に就いたが
月夜峠
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
すると、もぐらのお母さんは子供を
引張
(
ひっぱ
)
って、ずんずん下の方へ
引込
(
ひっこ
)
んで行きました。
もぐらとコスモス
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
(行きましょう、行きましょう。)ぞっと私は
凄
(
すご
)
くなって、若い人の袖を
引張
(
ひっぱ
)
って、見はるかしの田畝道へ。……ほっとして
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「うーい。こら、こんな面白くない酒場へ
引張
(
ひっぱ
)
って来やがって。こーら、そこにいる大将。早くジンカクを持ちこい」
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
少
(
ちい
)
せえ時分に両親が死んだゞね、それから仕様がなくって
親戚
(
みより
)
頼りも
無
(
ね
)
えもんでがすが、懇意な者が
引張
(
ひっぱ
)
ってくれべえと、引張られて
美作国
(
みまさかのくに
)
へ
参
(
めえ
)
りまして
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その日私はまた兄さんを
引張
(
ひっぱ
)
り出して今度は山へ行きました。上を見て山に行き、下を向いて湯に入る、それよりほかにする事はまずない所なのですから。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一部を赤く
塗
(
ぬ
)
って、大きな黒文字で危険と書き、注意と書いてある。
其様
(
そん
)
な危険なものなら、百姓の頭の上を
引張
(
ひっぱ
)
らずと、地下でも通したらよさそうなものだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それでこの物を
繩
(
なわ
)
の
端
(
はし
)
に
括
(
くく
)
りつけて、畠を
引張
(
ひっぱ
)
りあるく風習もひろく行なわれており、その時
唱
(
とな
)
える文句が愉快なので、小児が志願してその役につく場合も多かった。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
また女給さんもつゆ子の通っているような店は、往来へ出て見ず知らずの人を
引張
(
ひっぱ
)
るのだから、万一の事を思えば、危険なことは同じだと言って、その事情をくわしく説明しました。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
巡査は
髭
(
ひげ
)
を
引張
(
ひっぱ
)
って言いました。
都の眼
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
「
小児
(
こども
)
衆ですよ、
不可
(
いけ
)
ません。両方から縄を
引張
(
ひっぱ
)
って、軒下に隠れていて、人が通ると、足へ
引懸
(
ひッか
)
けるんですもの、悪いことをしますねえ。」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『竹花にあの女を与えてなるものか。また、自分を此処まで
引張
(
ひっぱ
)
りまわした女に、素直に幸福を与えてなるものか』
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかしそうすれば私がKを無理に
引張
(
ひっぱ
)
って来た主意が立たなくなるだけです。私にはそれができないのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と下心があると見え、お久の手を取って
五目鮨
(
ごもくずし
)
へ
引張
(
ひっぱ
)
り込むと、鮨屋でもさしで来たから
訝
(
おか
)
しいと思って
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
路傍の
車前
(
おおばこ
)
の
茎
(
くき
)
を
折曲
(
おりま
)
げて
引懸
(
ひっか
)
け
引張
(
ひっぱ
)
り、または
菫
(
すみれ
)
の花の馬の首のようになった部分を
交叉
(
こうさ
)
して、むしろその首のたやすくもげて落ちるのを、笑い興ずるようになっているが
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
東京の寺や墓地でも
引張
(
ひっぱ
)
って来て少しは電鉄沿線の景気をつけると共に、買った敷地を売りつけて
一儲
(
ひともう
)
けする、此は京王の考としてさもありそうな話である。田舎はもとより金が無い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
下枝様がああいう
扮装
(
みなり
)
のまま飛出したのなら、今頃は鎌倉中の評判になってるに違いありません。何をいおうと
狂気
(
きちがい
)
にして
引張
(
ひっぱ
)
って参ります。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし別にクラブ・バッグを
引張
(
ひっぱ
)
り出すわけでもなく、細い
節竹
(
ふしだけ
)
のステッキを軽く手にもつと、外へ飛び出した。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
多「お
母様
(
かゝさま
)
/\、今此処え出てお
母
(
かゝ
)
さんの手を持って
引張
(
ひっぱ
)
り込んだ人は誰だえ、お母様
若
(
も
)
しやお
父様
(
とっさま
)
ではござりやせんかえ、お母様/\、お父様かえ/\/\」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
面目の
髣髴
(
ほうふつ
)
たる今日から
溯
(
さかのぼ
)
って、科学の法則を、想像だも及ばざる昔に
引張
(
ひっぱ
)
れば、
一糸
(
いっし
)
も乱れぬ普遍の理で、山は山となり、水は水となったものには違かなろうが
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あと三個も、補助席二脚へ
揉合
(
もみあ
)
って乗ると
斉
(
ひと
)
しく、肩を組む、頬を合わせる、耳を
引張
(
ひっぱ
)
る、
真赤
(
まっか
)
な
洲浜形
(
すはまがた
)
に、鳥打帽を押合って騒いでいたから。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから彼は若月次長を探し出すと、彼を
引張
(
ひっぱ
)
って行くようにして、室戸博士の一行を訪ねたのであった。
宇宙戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
手前も己も旦那の敵を取って
恩返
(
おんげえ
)
しを仕なけりゃア済まねえ、代官へでも
何処
(
どこ
)
へでも
引張
(
ひっぱ
)
って行くのだ、本堂に若旦那が居るから若旦那に
一寸
(
ちょいと
)
と云って呼んで……
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私は手もなく、魔の通る前に立って、その瞬間の影に一生を薄暗くされて気が付かずにいたのと同じ事です。自白すると、私は自分でその男を
宅
(
うち
)
へ
引張
(
ひっぱ
)
って来たのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「でもね、私、いじめッ
児
(
こ
)
を、
皆
(
みんな
)
引張
(
ひっぱ
)
って電車通りの方へ行って下すった後姿を見て拝んだんですよ。私お地蔵様かと思いました。……ええ。」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
力を入れて無理に剥そうと思い、グッと手を
引張
(
ひっぱ
)
る拍子に、梯子がガクリと揺れるに驚き、足を踏み
外
(
はず
)
し、
逆
(
さか
)
とんぼうを打って畑の中へ
転
(
ころ
)
げ落ち、
起上
(
おきあが
)
る力もなく
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いくらどこからどんな人を
引張
(
ひっぱ
)
って来ても容易に聞かれるものではなかろうとも思うのです。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見ると、見も知らぬ若い白人の女が、しきりに、彼の中国服の
裾
(
すそ
)
を
引張
(
ひっぱ
)
っているのであった。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私
(
わっし
)
なんぞが参りますと、にごり屋のかみさんが
沁々
(
しみじみ
)
愚痴をいいますがね、勘定はいうまでもなく悪いんです、——
連
(
つれ
)
を
引張
(
ひっぱ
)
って来りゃきっと喧嘩。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眞「
来
(
こ
)
うと云うたてもなア、お梅はんが歩けんと云うから、手を
引張
(
ひっぱ
)
ったり腰を押したりするので、共に草臥れるがな、とても/\足も腰も痛んで、どうも歩けぬので」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ところがね、(ハ)の場合だから、引力は距離関係がなくなり、重いものはどんどん軽いものを
引張
(
ひっぱ
)
りつけることになったので、隕石はみんなこの地球へ引きよせられるのさ。
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「いいえ、
貴下
(
あなた
)
、この花を
引張
(
ひっぱ
)
るのは、私を口説くのと
同一
(
おんなじ
)
訳よ。主があるんですもの。さあ、引張って御覧なさい。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
安「困りますね、眼が癒りませんよ
女郎
(
じょうろ
)
なんぞ
引張
(
ひっぱ
)
り出して来て、
併
(
しか
)
しお若いから無理はねえが」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「今日は、皆の
引張
(
ひっぱ
)
り
凧
(
だこ
)
になったから、疲れたんですよ。まあこの可愛いいアンヨは」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
幅狭き
布子
(
ぬのこ
)
の
上掻
(
うわがえ
)
を
引張
(
ひっぱ
)
り合せて、膝小僧を押包み、煮染めたような
手拭
(
てぬぐい
)
にて、汗を
拭
(
ふ
)
き拭き
畏
(
かしこま
)
り、手をつきて美人の顔、じっと見詰むる眼に涙。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
安「これは初めてお出でゞ、他人の女房に惚れているなどといや挨拶の仕様がない、麹屋にいた時分には贔屓にした女だから祝儀も遣って随分
引張
(
ひっぱ
)
って見た事もあるのさ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ニーナは、それをみると、自分の手を入れて、黒い筒を
引張
(
ひっぱ
)
りだした。
人造人間の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
我輩警察のために棄置かん、直ちに貴公のその額へ、白墨で、輪を付けて、交番へ
引張
(
ひっぱ
)
るでな、
左様
(
さよ
)
思え、はははは。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“引張”で始まる語句
引張出
引張込
引張凧
引張合
引張回