へい)” の例文
それを見ると伝二郎は炊事場の上りがまちへ意気地なく額を押しつけてしまった。丁稚も見よう見真似でそのうしろにへい突くばっていた。
をつとかたきおぼえたかといひさま彼の懷劍くわいけん胴腹どうばら突込つきこみしかばへい四郎はアツトこゑたて仰向のつけたふれ七てんたうなすゆゑ隣の座敷ざしきは源八歌浦うたうらなれば此聲このこゑおどろ馳來はせきたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たびかけるだよ。このむらにいたっていいことはない。たびへいってうんとはたらいてくるだ。へいさんも、いかないか。」
赤いガラスの宮殿 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、身をひるがえして、方角をえたとき、小次郎の体は、彼の腕から振り捨てられ、大地にへいつくっていた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
万国と対立するという……世界の最高の文明、強大なる国と対立しようという……対立するといえば文明を等しくするというのである。物へいを得ざれば鳴る。
吾人の文明運動 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
朝といえども省かない。さかなには選嫌えりぎらいをしなかったが、のだへい蒲鉾かまぼこたしんで、かさずに出させた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あいにくなことに、女中が掃除したばかりだろう、こっちの記事部屋の障子がまだあけたままなので、へいつくった文華の、せた小さな、貧相な姿はまる見えだった。
へちまの木 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そのすけへいがちと度が強すぎてな。何と申してよいやら、あのようなのも先ず古今無双じゃ。
その日、清は、牛丸のへいちゃんと連立つれだって、おひるごろカンヌキ山の頂上にたどりついた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
やうめん百万分ひやくまんぶんの一の大きさの鏡をつくると 丁度ちやうど半哩へいほどの鏡がいることになります
それぼく家畜病院長かちくびやうゐんちやうを呼んで診察しんさつをしてもらひましたがな……。「おねつんな塩梅あんばいでございますか。「ねつ京都きやうとたせいかへいをんでげす。「熱度ねつどはどのくらゐで。「三でうでうまうします。 ...
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これは平吉へいきち……へいさんと言うが早解はやわかり。織次の亡き親父と同じ夥間なかまの職人である。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたしは嫉妬しっとしたり、自分のっぽけさ加減に愛想をつかしたり、馬鹿ばかみたいにすねてみたり、馬鹿みたいにへいつくばったり、——そのくせ、どうにもならない引力で彼女の方へ引きつけられて
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
取替とりかはせしに後藤ごとうへい四郎と申名の下におしたる印形いんぎやうは幸之進の實印に相違さうゐなく然れどもそればかりにてさだがたしとぞんじ茶屋ちややまゐこしの物をあらため見候に本夫をつと脇差わきざし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
へい将軍も、将軍も、はやはや退き給え。丞相のご命令である。——北原も味方の敗れとなり、浮橋を焼く計もことごとく齟齬そごいたして、蜀勢はみな敗れ去った」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高調子たかぢょうしで門を入ったのが、此処ここ差向さしむかったこの、平吉のへいさんであった。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「毎日毎日耳の遠い奴じゃな。平七はどこじゃ。へいはおらんか!」
山県有朋の靴 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
すると、椅子の蔭に、かえるのように、へいつくばった男が一人!
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
後年、六波羅の平家一門中、権謀むしろ入道清盛をもこえて、世に“縉紳しんしんきょう”とおそれられたへい大納言時忠こそ、実に、良家の一不良——この日のお玉杓子であろうとは。
たのみ外へ遣置やりおき急立せきたつこゝろしづめて覗見のぞきみるにへい四郎は夜具やぐもたれて鼻唄はなうたうたひ居るにぞよく御出おいでなんしたと屏風びやうぶの中にいりぬしに御聞申事がある布團ふとんの上へあがりけれどもなんの氣もつかところ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もつと使つかひをした、ならずのへい下駄げたどころか、足駄あしだ穿いたにちがひない。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「耳が遠いな。平七はどこじゃ。へいはおらんか!」
山県有朋の靴 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)