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嵩
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かさ
ふりがな文庫
“
嵩
(
かさ
)” の例文
するうち酒屋の借金が
嵩
(
かさ
)
んで長い小説の必要に迫られ、S社に幾らかの前借をして取懸つたのが『狂醉者の遺言』といふわけである。
足相撲
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
彼女はメートルの費用の
嵩
(
かさ
)
むのに少からず
辟易
(
へきえき
)
しながら、電気装置をいじるのを楽しみに、しばらくは毎朝こどものように早起した。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
意趣か、
悪戯
(
いたずら
)
か知らぬが、入費はいかほど
嵩
(
かさ
)
もうと苦しゅうない。是が非でも
曲者
(
くせもの
)
を探し出し、
主君
(
おかみ
)
の手で成敗したいという仰せだ。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
やがて
嵩
(
かさ
)
んだ苦悩のはけ口が患者に向けられて、「この気狂い野郎!」とか「貴様ア馬鹿だぞ、脳味噌をつめ替えなくっちゃア駄目だ」
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
分りかねるならば、
択
(
えら
)
んで行く途なし。さらばやはりみんな買って行こうとすると、これだけ
嵩
(
かさ
)
ばったものを
到底
(
とうてい
)
持ち出しかねる。
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
それから三年の間、
膏汗
(
あぶらあせ
)
を搾るようにして続けた禰宜様宮田の努力に対して、報われたものはただ徒に
嵩
(
かさ
)
んで行く借金ばかりであった。
禰宜様宮田
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
江戸番は一年交代であるがこんどは任期が延び、二年ちかくにもなるため、ひどく出費が
嵩
(
かさ
)
んで、これ以上の滞在は困難になっていた。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
去年の十一月以後は急に驚くほど勘定が
嵩
(
かさ
)
んでおり、妙子がこの家でどんなにしたい
三昧
(
ざんまい
)
の
贅沢
(
ぜいたく
)
をしていたかが想像出来るのであった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
物理学にいう
固形体
(
こけいたい
)
のものを
流動体
(
りゅうどうたい
)
に変じ、ガス
体
(
たい
)
に変ずるがごとく、
嵩
(
かさ
)
は大きくなるけれども、つかみどころがなくなりがちである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
主人はまあそれでもいゝとして、その家来共までが御用の二字を
嵩
(
かさ
)
にきて、道中の
宿々
(
しゅく/″\
)
を困らせてあるいたのは悪いことでした。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そしてその夜一
ト
夜ふりあかしたあくる朝の、ふかぶかとなお曇りつづけた空の下に、重い雪の
嵩
(
かさ
)
をのせてうなだれた門々の笹、しめ……
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
そこをつけ込んで使うだけ使って突放して
終
(
しま
)
うので、金は取れず、食費は
嵩
(
かさ
)
む、仕事には有り付けぬ、というのが続々と出来る。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
借財に借財を重ね、高利貸には責められる、世間への不義理は
嵩
(
かさ
)
む、到底今年選挙を争ふ見込なぞは立つまいといふことは、聞いて居た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
銀行家だからといつて、まさか金塊を
懐中
(
ポケツト
)
に入れてゐる訳でもありますまいから、一億円の金塊は
恰度
(
ちやうど
)
三尺立方の
嵩
(
かさ
)
があります。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ところが自然状態のコロラド河は、夏は非常に水が少くなるが、春さきの雪解け増水の場合は、著しく水
嵩
(
かさ
)
の増す河であった。
アメリカの沙漠
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
濃厚に
嵩
(
かさ
)
を持って、
延板
(
のべいた
)
のように平たく澄んでいる、大岳の影が万斤の重さで
圧
(
お
)
す、あまり
静
(
しずか
)
で、
心臓
(
ハート
)
形の桔梗の大弁を、
象嵌
(
ぞうがん
)
したようだ
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
新たに
嵩
(
かさ
)
む照明費と税金、使用人の増加等を計算する時は、今日の売価をおよそ六、七分方引き上げねば収支償うことができないのである。
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
煩
(
わづら
)
ひ漸く全快はなしたれども
足腰
(
あしこし
)
弱
(
よわ
)
り
歩行事
(
あゆむこと
)
叶
(
かな
)
はず日々身代に苦勞なすと雖
種々
(
しゆ/″\
)
物入
(
ものいり
)
嵩
(
かさ
)
み五年程に地面も
賣拂
(
うりはら
)
ひ是非なく身上を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私は甘っぽく
嵩
(
かさ
)
にかかってゆく気持になって、急な大事な話というのを聞かないで、このまま光子を放すものかと決心した。
或る男の手記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「それああなた、道路はもう、町を形づくるに何よりも大切な問題ですがな」彼はちょっと
嵩
(
かさ
)
にかかるような口調で応えた。
蒼白い月
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そんな
嘘
(
うそ
)
を言って隠し立てをしているこちらの腹の中を見透かされると、柳沢の平生の性質から一層
嵩
(
かさ
)
にかかって逆に出られると思ったから
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
虎の威を
嵩
(
かさ
)
にきてだいぶちょくちょくうまい
汁
(
しる
)
を吸っているものとみえ、御免安のやつ、何かとんでもないことをもくろんでいるらしい——。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
大井川を渡る賃金は、水
嵩
(
かさ
)
によってちがっていて、乳下水、帯上通水、帯通水、帯下水、股通水、股下通水、膝上通水、膝通水と分れていた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
本屋の払いが
嵩
(
かさ
)
みすぎて……もう三月ほど支払を滞らしているから今度は払っておいてやらないとあとがきかなくなるんだ。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
主人が主人なれば、家来もまた家来……主人を
嵩
(
かさ
)
に着た家来たちのために、到頭
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に締め上げられてしまいました。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかし弟子の多くなるに従って何かと物入りの
嵩
(
かさ
)
むは当然で、私が学校へ奉職して、谷中に引っ越した時代は、月給は三十五円でありましたが
幕末維新懐古談:79 その後の弟子の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
山陰、北陸一帯はもとより、遠く北海道にまで船で運ばれます。
嵩
(
かさ
)
のある仕事だけに働きも激しく、体力のない者は堪え得ないでありましょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
何だか泣きたいような気持になって、儘になるなら
直
(
すぐ
)
にも
発
(
た
)
ちたかったが、こうなると当惑するのは、今日の観劇の費用が思ったよりも
嵩
(
かさ
)
んで
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そこで大分にその雹が
解
(
と
)
けて
嵩
(
かさ
)
が低くなったものですから、ようやく半ヵ月前からこの通行が出来るようになったという。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
よいか。そしてその真中へ鎧、刀これも三十人分、甲は無論
小手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
まで添えて並べ立てた。
金高
(
かねだか
)
にしたらマルテロの御馳走よりも、
嵩
(
かさ
)
が張ろう。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『いや、見たい。あの
蓄財家
(
ちくざいか
)
の九郎兵衛が、髪の白くなる迄、爪の
垢
(
あか
)
を貯えて、それがどれ位な
嵩
(
かさ
)
になっているか、話の種に、見て置きたいのだ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
更に次は場所、海の深さ、底は海泥か岩礁か、所謂「根」があるか無いか、川なら淵と浅瀬の水流、水
嵩
(
かさ
)
、砂利の工合といつたものをよく観察する。
日本の釣技
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
ふだんはおとなしい心の弱い性で居ながら、相手が
嵩
(
かさ
)
にかかつて来るとなると、何ものも恐れないと云ふきかん気が此男の頭の中に燃えたつのである。
瘢痕
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
嵩
(
かさ
)
は
半紙
(
はんし
)
の一しめくらいある、が、目かたは
莫迦
(
ばか
)
に軽い、何かと思ってあけて見ると、「朝日」の二十入りの
空
(
あ
)
き箱に水を打ったらしい青草がつまり
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さて従前に比して社費は二、三倍に
嵩
(
かさ
)
むゆえに、樵夫、炭焼き輩払うことならず、払わずば社殿を焼き払い神木を伐るべしと
逼
(
せま
)
られ、常に愁訴断えず。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
泥臭い水ではあるが、その空の色をありありと映す川は、水
嵩
(
かさ
)
も増して、躍るやうなさざ波を立てゝ流れて居る。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
が、しかし、先生が松を愛されなかったのはそう云う手数がかかるとか、物入が
嵩
(
かさ
)
むとか云う理由ではなかった。
解説 趣味を通じての先生
(新字新仮名)
/
額田六福
(著)
茄子
(
なすび
)
大根の御用をもつとめける、薄元手を折かへすなれば、折から
直
(
ね
)
の安うて
嵩
(
かさ
)
のある物より外は
棹
(
さを
)
なき舟に乘合の胡瓜、
苞
(
つと
)
に松茸の初物などは持たで
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
半分
(
はんぶん
)
煮
(
に
)
たあとが、
輪
(
わ
)
にして
雜
(
ざつ
)
と
一斤入
(
いつきんいれ
)
の
茶
(
ちや
)
の
罐
(
くわん
)
ほどの
嵩
(
かさ
)
があつたのに、
何處
(
どこ
)
を
探
(
さが
)
しても、
一片
(
ひときれ
)
もないどころか、
果
(
はて
)
は
踏臺
(
ふみだい
)
を
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
て、
押入
(
おしいれ
)
の
隅
(
すみ
)
を
覗
(
のぞ
)
き
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
非常に
嵩
(
かさ
)
の多い滋養に富んだ食事であった。シュルツがザロメの自負心をおだてたのだった。彼女は何か口実さえあれば自分の腕前を見せたがっていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼等は、あまりにふくらんだ、あまりに
嵩
(
かさ
)
ばったやつを好まなかった。そういう嵩ばったやつには、仕様もないものがつめこまれているのにきまっていた。
前哨
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
所詮
(
しょせん
)
、自由になる金は知れたもので、得意先の理髪店を
駆
(
か
)
け廻っての集金だけで細かくやりくりしていたから、みるみる不義理が
嵩
(
かさ
)
んで、
蒼
(
あお
)
くなっていた。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「というわけはこういうわけで」兵馬は紋也のようすが、ますますおかしく思われるのであろう、
嵩
(
かさ
)
にかかった能弁で、まくし立てるように喋舌り出した。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
老齢のため何かと修繕代の
嵩
(
かさ
)
む自動車を一寸怨めしそうに見たが、もとよりそれは心からの恨みでは毛頭なく
寧
(
むし
)
ろ長い間、自分と苦難を
倶
(
とも
)
にして来たために
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
絶え間なく
嵩
(
かさ
)
が増し、幅が広がり、
僅
(
わず
)
かに半時間の後には、
宛
(
あたか
)
も扇とも慧星の尾とも見らるる形となった。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
相手はいよいよ
嵩
(
かさ
)
にかかって、小力を十二分に発揮して相撲の手を濫用して来るから、米友が怒りました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ちょっと
嵩
(
かさ
)
のある風呂敷包を抱えて、裏口から私は伊藤の後を追って行った。と、それを伊藤が見つけて
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
殊に、妊娠をして居る彼の妻の産期が、近づいて来るに従って、色々な出費が
嵩
(
かさ
)
み、大島を買う事をあれほど強く主張した妻も、もう
諦
(
あきら
)
めてしまったらしかった。
大島が出来る話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
最初は小さなものだが、落ちて行く途中で、別な小さな雫と一緒になつて
嵩
(
かさ
)
を増して来る。だから、高いところから降つて来れば来るほど、其の雨は大きくなる。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
石子は支倉がひるむ色を見せたので、
嵩
(
かさ
)
にかゝって云ったが、支倉はまたプッツリと黙り込んで終った。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
嵩
漢検準1級
部首:⼭
13画
“嵩”を含む語句
水嵩
嵩高
荷嵩
気嵩
嵩山
金嵩
年嵩
嵩張
一嵩
亀嵩
皇甫嵩
曹嵩
嵩間
嵩谷
嵩張物
御嵩
嵩山正直
嵩山寺
嵩増
姥嵩
...