山中さんちゆう)” の例文
騎兵大隊長きへいだいたいちやう夫人ふじん變者かはりものがあつて、いつでも士官しくわんふくけて、よるになると一人ひとりで、カフカズの山中さんちゆう案内者あんないしやもなく騎馬きばく。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
山中さんちゆうといふだいです。山中さんちゆうみゝきこえるものをいつとほりならべて、そしてものしづかなやま樣子ようすかんがへさせようとしたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
……さて、あたれば、北国ほくこく山中さんちゆうながら、人里ひとざと背戸せど垣根かきねに、かみかせたもゝさくらが、何処どこともそらうつらう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蝋梅ろうばいについではやはなをひらくまんさくは日本につぽんだけの山中さんちゆうに、自然しぜんえるもので、木曾きそ日光地方につこうちほうおほく、また庭木にはきとなつてゑられてゐるのもあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
いま山中さんちゆうむ熊とは違つて、北海道産ほつかいだうさんで、うしても多く魚類ぎよるゐしよくするから、毛が赤いて。甚「へえー、緋縅ひをどしよろひでもひますか。真「よろひぢやアない、魚類ぎよるゐ、さかなだ。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
此夜は山中さんちゆうに一宿の心なれば心用のためつゝをももたせしに、たれの上手しかも若ものなりしが光りをまとにうたんとするを、老人ありてやれまてとおしとゞめ、あなもつたいなし
非常ひじやう困難こんなんあひだに、三日みつか※去すぎさつたが、大佐たいさからはなん音沙汰おとさたかつた、また、左樣さう容易たやすくあるべきはづもなく、四日よつかぎ、五日いつかぎ、六日むいかぎ、その七日目なぬかめまでこのおそろしき山中さんちゆう
白石はくせき手簡しゆかんに八景のはじめは宋人か元人かにて宋復古と申す畫工云々とあるが、それは夢溪筆談に出てゐる度支員外郎宋迪そうてきの事で、平沙へいさ落雁らくがん遠浦ゑんぽ歸帆きはん山中さんちゆう晴嵐せいらん江天こうてん暮雪ぼせつ洞庭どうてい秋月しうげつ瀟湘せうしやう夜雨やう
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
老爺ぢいいてこして、さて、かはる/″\ひもし、きもして、嶮岨けんそ難処なんしよ引返ひきかへす。と二時ふたときほどいた双六谷すごろくだにを、城址しろあとまでに、一夜ひとよ山中さんちゆう野宿のじゆくした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くま本州ほんしゆうやまさんするものは、アジア大陸たいりくさんする黒熊くろぐま變種へんしゆです。秩父ちゝぶやま駿河するが甲斐かひ信濃しなの相模さがみ越中えつちゆう越後等えちごなど山中さんちゆうにをり、ややまぶどうをこのんでべてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
此夜は山中さんちゆうに一宿の心なれば心用のためつゝをももたせしに、たれの上手しかも若ものなりしが光りをまとにうたんとするを、老人ありてやれまてとおしとゞめ、あなもつたいなし
大手筋おほてすぢ下切おりきつた濠端ほりばたに——まだ明果あけはてない、うみのやうな、山中さんちゆうはら背後うしろにして——朝虹あさにじうろこしたやうに一方いつぱうたにから湧上わきあがむかぎしなる石垣いしがきごしに、天守てんしゆむかつてわめく……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じひしんちょう(慈悲心鳥じひしんちよう)のこゑ山中さんちゆうでなければかれません。これは灰黒色かいこくしよくむねはら淡赤茶色うすあかちやいろで、おなじその部分ぶぶんしろいほとゝぎすやかっこうと區別くべつすることが出來できます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)