ずき)” の例文
小児せうにの如くタワイなく、意気地いくぢなく、湾白わんぱくで、ダヾをこねて、あそずきで、無法むはふで、歿分暁わからずやで、或時あるときはおやま大将たいしやうとなりて空威張からゐばりをし
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
亡くなつた良人をつとが辞書などを著した学者であつただけに婆さんも中中なか/\文学ずきで、僕の為にいろんな古い田舎ゐなかの俗謡などを聞かせてくれる。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
致すはこゝのこと林藏はよいとしことほかずき夫故大方然樣さやうな一けんでも御座りませうが主有者ぬしあるものに手を出すの密夫まをとこなどは致ませんが只々たゞ/\ぜに
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なにあんな風で、交際ずきというわけではないでしょう。それだからめったには来ないが、今日は誘いに寄るといっていたのです。
如何に理窟ずきの躬恒でも斯様かような説を聞いたらさぞかし困り可申候。屑屋が躬恒の弁護などするは贔屓ひいきの引倒しにや候べき。(三月二十四日)
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
福井 あのお神さんは世話ずきだからね。言いなり次第に世話になっていないとうるさいからさ。おとなしく見ておもらいよ。
この衝立ついたての後に有合物ありあいもので一杯やって居ります、へー、碌な物は有りませんが、此のうちの婆さんは綺麗ずきで芋を煮ても牛蒡ごぼう
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
けれども、あの位研究ずきあにが、この位自分を可愛がつて呉れるのだから、それを思ふと、あには日本中で一番い人に違ないと云ふ結論であつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あの旦那の飛んだものずきから、洒落しゃれにまた鑑札を請けて、以前のままの、おさんという名で、新しく披露ひろめをしました。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見ましたが煙脂やにで真黒に染って居ますうしても余程の烟草ずきです煙草入を持て居ない筈は有ません
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
それは江戸の邸に岡見彦曹おかみひこぞうう蘭学ずきの人があって、この人は立派な身分のある上士族で、如何どうかして江戸藩邸に蘭学の塾を開きたいと云うので、様々に周旋して
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
日本ずきの此の令嬢は、瑠璃子とは可なり親しい間柄だつた。彼女は思ひがけない処で、瑠璃子に会つたのを可なり欣んだ。瑠璃子は誘はれるまゝに、大使令嬢の部屋を訪ねて行つた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
ただ一つの希望は「歴史癖と考証ずき」で有名な胡適之こてきし先生の門人が、ひょっとすると将来幾多の新端緒たんしょを尋ね出すかもしれない。しかしその時にはもう阿Q正伝は消滅しているかもしれない。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
ずきだということが一寸ちょっと見ても知れる、太った赭顔あからがおの男である。
独身 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
人間の喧嘩ずきな事だけは、認めて遣らなくては
それでも日本酒ずきになると、何酒よりも日本酒が一番うまいと言ふことは殆ど上戸じょうご一般に声をそろへて言ふ所を見ると
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
向島むこうじまのうらがれさえ見にく人もないのに、秋の末の十二社、それはよし、ものずきとして差措さしおいても、小山にはまだ令室のないこと、並びに今も来る途中
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貞「だから私が先生に申上げて置きました、彼奴あいつは誠にあゝいう処ばかり遊びに参るのが好きでげす、全体道楽者でげすからなア、彼奴余程よっぽど婦人ずきでげすよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
日本ずきの令嬢は、瑠璃子とは可なり親しい間柄だった。彼女は思いがけないところで、瑠璃子に会ったのを可なりよろこんだ。瑠璃子は誘われるまゝに、大使令嬢の部屋を訪ねて行った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ぐ近所にある有名なモニコと云ふ酒場キヤバレエの若い踊子を落籍ひかせて細君にして居る。僕は近頃この若夫婦と一緒に食卓に就くが、文学ずきなピエルはいろんな文学者の逸話などを聞かせてれる。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
おさへ少し辛抱しんばうして居らるゝと屹度きつと出世しゆつせも出來まする其御邸と申のは至つて風儀ふうぎよいとの事傍輩衆はうばいしうも大勢有て御奇麗きれいずきの方々ゆゑ毎日朝から化粧つくろひが御奉公安心なる物なりと口から出次第でしだい喋舌立しやべりたてるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
僕にこの本を貸してくれたものはある文学ずきの友達であった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自から頼む所がなくなってはさるはかりごともしはせまい、憎まれものの殺生ずきはまた相応した力もあった。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此のうちへおまんまべに這入った人達も驚きましたが中には角力ずきで江戸の勇み肌の人も居りまして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文学ずきこの青年医学士は特に良人をつとの乗る船をえらび、部屋迄も同じ部屋を択んで渡欧するのであると語られた。若い美しいその夫人が横浜での別れに泣崩れてられたのは今も目にうかぶ様である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
何にも面白くないと言位の人物にて麻布あざぶに三次郎しばに勘左衞門赤坂に此長助と三人の公事ずき家主なり此長助にはのぞむ所の出入なりと直樣すぐさまお光が力となりしはお光か貞心ていしんつらぬく運と言も畢竟ひつきやう天より定りて人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大丈夫だいぢやうぶよ——かみゆひさんは、きれいずきで、それは消毒せうどくはひつてるんですから。」
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蟠「えゝ/\これはそのなんでござる、実は先日朋友ほうゆうがまいりまして、八丁堀辺の侍の娘で、御殿奉公を致してる者であるが、至って碁ずきな娘、折があったら御前へととと取持とりもちを頼まれまして」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……どこか茶店をと思うのに、本街道は、元来、上の石山を切って通るので、浜際は、ものずき歩行あるくのだから、仕事をしている、布さらし、塩焼に、一杯無心する便宜はありません。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
芝居ずきな方で、酔っぱらった遊びがえりの真夜中に、あなた、やっぱり芝居ずきの俥夫くるまやと話がはずむと、壱岐殿坂の真中まんなかあたりで、俥夫わかいしゅは吹消した提灯かんばんを、鼠に踏まえて、真鍮しんちゅう煙管きせるを鉄扇で
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
窓掛に合歓ねむの花の影こそ揺れ揺れ通え、差覗く人目は届かぬから、縁の雨戸は開けたままで、心置なく飲めるのを、あれだけの酒ずきが、なぜか、夫人の居ない時は、硝子杯コップける口も苦そうに
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くさのまゝです……近頃ちかごろまでに、四五してひとがありましたけれども、ふものか住着すみつきませんから、べつ手入ていれもしないので、貴女あなたのおものずきのまゝにのこつてます、……秋口あきぐちには
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)