でか)” の例文
チョックラ往きてえと思っても出られねえので無沙汰アしやしたが、能くまア来て下せえやした、本当に見違えるようなでかく成ったね
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
番頭や小僧が大勢いる店と云えば、善どんと小僧とっきりいない米源よりもっとでかい店だろうが、そんな店が自分の家だったのだろうか?
一太と母 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
さうなるまでにはずゐぶんと間もあること故、飛行機を作る仕事だきや、これからなんぼでもでかく、さかんになつて行くと見にやならん。
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
山は御祭礼おまつりで、お迎いだ——とよう。……此奴こやつはよ、でかきのこで、釣鐘蕈つりがねだけと言うて、叩くとガーンと音のする、劫羅こうら経た親仁おやじよ。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おかしな奴だな、斬りたけりゃ斬られてやるから出て来いよ、はばかりながら宇治山田の米友だ、斬って二ツになったらでかい方をくれてやらあ」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「遣り切れない。あの太い腕を剥出しにして、すてでかい図体をした外国婦人に出逢ふと、僕等は参つちまふな。洋行なんかする気になれない。」
芭蕉と歯朶 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「もう宜い、宜いとも! 明日の朝浅七に見て貰うさかい。さア寝て呉れ、でかい御苦労でござった。」と皮肉に言った。
恭三の父 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
「ほら、あっこにでかい池があんだろ? あれが木場でよ、あの横にあんだが……鉄工場が邪魔になって、よくねえや」
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
岩五郎の持っている苫舟を、堀の茶漬屋のお客に、貸したっていうのが、何と、指をってみると、ちょうど堀留にあのでかい騒ぎが起った前の晩です
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お姫様の様なのは出来る筈は無えが、胆が太てえんだからあのでかかい眼で見据えて見ねえ、男の心はびりびりっと震え込んで一たまりも無えに極まって居らあ。
かんかん虫 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「それにしても、考へると、可笑をかしくつてなんねえだよ。あのでかい睾丸を拘へてよ、それで姫ツ子を自由にようつて言んだから、こいつは中々骨が折れるあ!」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「かう言つたつて、真実ほんとうにはさつしやるまいがね、おら達の耕地ちふのは、素晴しくでかいもんでね……」とダコタ生れの農夫ひやくしやうは厚い唇をもぐもぐさせながら言つた。
要するに屋根ばかりだったろう? 田舎の百姓家はあれが発達したものだから、皆屋根が馬鹿でかい。お寺だって然うだろう? 旧式の建築物は皆屋根が勝っている。
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
旦那、これはおふき婆(半蔵の乳母うば)の孫よなし。長いこと山口の方へ行っていたで、お前さまも見覚えはあらっせまいが、あのおふき婆の孫がこんなにでかくなった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
其声それよりでかき声をいだして馬鹿めと罵りながら爲右衞門づか/\と立出で、僮僕をとこども此狂漢きちがひを門外に引き出せ、騒〻しきを嫌ひたまふ上人様に知れなば、我等が此奴のために叱らるべしとの下知
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
五尺六寸四分のでか図体ずうたいをして、鬼をもひしがんばかりの獰猛どうもうな人相をしているくせに、カミナリが怖いなぞと、バカばかりほざいているわけなのであるが、しかし自分ではそう思いながらも
雷嫌いの話 (新字新仮名) / 橘外男(著)
安心して何でもおっしゃいまし、お帰りに重とうござえましょうが、芋茎ずいきでかく成りましたから五六ひっこ抜いてお土産にお持ちなすって
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なるほど、こいつはでかい犬だ、近頃の掘出し物だ、殿様が皮が欲しいとおっしゃるのも御無理はねえ、これなら下手な熊の皮より、よっぽど大したものだ。
「義士の墓がある丈けのこんだから驚かにゃあだ。郷里の東光寺の方が余っ程でかい。鳩も余計いる」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そのおおきな腹ずらえ、——がえりのものが見た目では、でか鮟鱇あんこうほどな燐火ふとだまが、ふわりふわりと鉄橋の上を渡ったいうだね、胸の火が、はい、腹へはいって燃えたんべいな。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此奴こいつ怪しいと思つたから、何をてるんだ! とわざでかい声をけて遣つた。すると、猫のやうな眼で、ぎよろツと僕を見て、そしてがさ/\と奥の方に身を隠して了つた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
其声それよりでかき声をいだして馬鹿めとののしりながら為右衛門ずかずかと立ち出で、僮僕おとこどもこの狂漢きちがいを門外に引きいだせ、騒々しきを嫌いたまう上人様に知れなば、我らがこやつのために叱らるべしとの下知げじ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「何にせい思ひがけぬことででかい拾ひ物した様なもんぢや。」
厄年 (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
人には云えねえが、時節次第しでいで少くも本所半分はおれが地面にしべいと思うのだ、そうはいくめえが棒程願って針程叶えだから、でかくやるべいや
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
与十 でかい事をしたぞ。へい、雪さ豊年のしるしだちゅう、ひでりうおの当りだんべい。大沼小沼が干たせいか、じょんじょろ水に、びちゃびちゃと泳いだ処を、ちょろりとしゃくった。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ええ、でかくばかりあってこの世のごくつぶしみたようなものでございます」
「塩山へかね」と背負籠しよひかごかたはらの石の上に下して、腰を伸しながら、「塩山へは此処からまだ二里と言ひやすだ。あの向ふのでかい山の下にこまかい山が幾箇いくつとなく御座らつせう。その山中やまんなかだアに……」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
でかいことを言うな」
心のアンテナ (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
われが死んだとっさまの達者の時分からの馴染なじみで、己が脊中でたり、脊中で小便はり垂れたりした娘子あまっこが、でかくなったゞが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三ツ目入道、懐手の袖をねて、飽貝あわびっかいの杯を、でかを描いて楽屋を招く。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふけえ馴染の中だで思出おめえだしてなげきが増して母様かゝさまが泣くべえ、それに種々いろ/\用があってねえでいたが悪く思ってくれるなって、でかい身体アして泣いただ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
確かなものに聞きました、どうかお願いでございますからお返しなすって下せい、成程文吉の云った通り是だけのでかうちに奉公人が一人も居ねいのは変だ
これはわしが銭貰うべえと思って貯めたのじゃアねい、まだそれべいじゃアねい、でかく御奉公をしてある事があるが、それはう十年も経ってから見せべい
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
村境むらざかいまで行ってしまう始末さ、わしらもく抱いてもりをしたんだが、今じゃアでかくなってハア抱く事ア出来ねい
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あの正太郎にはやせるほど苦労をしただ、その訳と云えば、あの野郎を連れて来て堅気かたぎ商人あきゅうどへ奉公に遣り、元の様なでかうちこしらえさせたいと思って奉公に遣ると
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
でけえ穴にはなったが疵口が癒ってしまって、達者になったのだ、寿命のある人は別なもんか、助かるめいと思ったおめいさんが此様こんなにでかくなったのにゃア魂消やした
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
深川の猿子橋の側の田月たげつというでかい菓子屋の家に奉公をしてるだが、時々まアそれ親が恋しくなると見えて、来て呉れというので、わしも野郎が厄介に成ると思って
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
嘉「えゝ、五両……魂消たまげますな、五両なんて戴く訳もなし、一疋つかまえて六百文ずつになれば立派な立前たちめえはあるのに、此様こんなに、でかく戴きますのは止しましょうよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
湯河原じゃア知らねい者はいだけんどね、わしイ一番よく知ってるというのア、その孩児ねゝっこ……今じゃア此様こんなにでかくなってるが、生れたばかりのおめえさんをむごくしたのを
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆「呆れた、でかい疵があるに気がかねえで居た、それでわれ黙って居たか、ちゃんに云わねえか」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
きましては、誠に斯様かような事を申しては済みませんが、わしの身に取っては三千円は実にたいした金で、今はでかい損をしたあかつきのことで、此の三千円は命の綱で大事な金でがんすから
なんと魂消たなア、われがそんな心と知んなえで惣次郎がでかい金え使って、うちい連れて来て、真実な女と思ってばかされたのが悔しいだ、そういう畜生ちきしょうの様な心ならたった今出てけやい
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多「でかたまりやしたなア、そうは蓄るめえと思いやしたが、えれえもんでがんす」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
くの「お定がこんなにでかく成りやしたよ、ちょっくらでえて遣っておくんなせえ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
名主殿どんとこのお帳も消すようなことにしようが……そう云えばもっともらしくなったナ、肩巾がでかく成ってや、少し様子が死んだ父さまに似て居る、立って見ろや、少し坐って見ろ、一廻り廻れや
おやマア何とまア見違え申しやすようにでかくおなんなすってマア、何処においでなせえましたかえ、五六日めえに勇助どんがおらうち駈込かっこんで来ましてネ、お嬢さまは此方へねえかと云うから