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呼鈴
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よびりん
ふりがな文庫
“
呼鈴
(
よびりん
)” の例文
昼頃近くになっても霜柱の消えないような玄関の前に立って
呼鈴
(
よびりん
)
を鳴らしてもなかなかすぐには反応がなくて立往生をしていると
新年雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
すると一人の男、
外套
(
がいとう
)
の
襟
(
えり
)
を立てて
中折帽
(
なかおれぼう
)
を
面深
(
まぶか
)
に
被
(
かぶ
)
ったのが、
真暗
(
まっくら
)
な中からひょっくり現われて、いきなり手荒く
呼鈴
(
よびりん
)
を押した。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
そういっているとき、小食堂の
天井
(
てんじょう
)
にとりつけてあるブザー(じいじいと
蜂
(
はち
)
のなくような音——を出す一種の
呼鈴
(
よびりん
)
)が鳴りだした。
大宇宙遠征隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『はゝゝゝゝ。
君
(
きみ
)
はまだ
私
(
わたくし
)
の
妻子
(
さいし
)
を
御存
(
ごぞん
)
じなかつたのでしたね。これは
失敬
(
しつけい
)
々々。』と
急
(
いそが
)
はしく
呼鈴
(
よびりん
)
を
鳴
(
な
)
らして、
入
(
いり
)
來
(
きた
)
つた
小間使
(
こまづかひ
)
に
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
云いながら、ツカツカと窓の
側
(
そば
)
へ立って行って、その封筒を拾い上げ、気味悪そうに眺めていたが、いきなり
呼鈴
(
よびりん
)
を押して女中を呼んだ。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
気合としては昨夜の温泉で、あんまを呼ぶために、
呼鈴
(
よびりん
)
を押した感じに似ていた。しかし呼鈴を押したばかりに、妙な段取りが完成した。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
件
(
くだん
)
の洋風の
室数
(
まかず
)
を建て増したもので、桃色の
窓懸
(
まどかけ
)
を半ば絞った玄関
傍
(
わき
)
の応接所から、金々として
綺羅
(
きら
)
びやかな飾附の、
呼鈴
(
よびりん
)
、
巻莨入
(
まきたばこいれ
)
、灰皿
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俗間の
好事家
(
こうずか
)
は、それを居間などに置いて唯ポコポコと打って喜んだり、あるいは人を呼ぶ時の
呼鈴
(
よびりん
)
の代りにしたりしておる。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「どうです。これですつかり旅の音楽師でせう。」と言つて、虹猫は大胆に魔法つかひのゐる塔へ行つて
呼鈴
(
よびりん
)
をひきました。
虹猫の大女退治
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
久世氏があたしを引っ立てるようにして、お隣りへついたときは、もう夕方で、門がしまっていて、いくど
呼鈴
(
よびりん
)
を押しても返事がありません。
キャラコさん:08 月光曲
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
心配していた山鹿は、幸い在宅しているらしく、
呼鈴
(
よびりん
)
を押すと
婆
(
ばあ
)
やが出て来た。
兼
(
か
)
ねて打合せたように、鷺太郎を残すと二人は物かげにかくれた。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
恐ろしく
巌畳
(
がんじょう
)
なアーチ形に出来た家々の門の前には遅く帰った人達が立って、
呼鈴
(
よびりん
)
の引金を鳴らしていた。
家番
(
やばん
)
もぐっすり寝込んだ時分であった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そう思い思い私は下宿の表口の
呼鈴
(
よびりん
)
を押して、
閂
(
かんぬき
)
を
外
(
はず
)
してくれた寝ぼけ顔の女中に挨拶をした。いつもの通りに「ありがとう……お休み」……と……。
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
シムソンはそう云いながら、机の上の
呼鈴
(
よびりん
)
を押しました。やがて、
扉
(
ドア
)
をノックして入って来たのは、背の高い、見るから
獰猛
(
どうもう
)
な
面構
(
つらがま
)
えをした外国人でした。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
それから一月
許
(
ばか
)
りたつた雪の朝、まだ夜の明けぬうちから突然玄関の
呼鈴
(
よびりん
)
が乱暴に鳴つたので、驚いた寿枝が出てみると、楢雄が真青な顔で突つ立つてゐた。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
尤
(
もっと
)
も
疳
(
かん
)
が
昂
(
たか
)
ぶって寝付けない事があるので、家庭教師と隆少年の寝室は別で、夜中でも用事があれば呼出せるように、少年の枕元には
呼鈴
(
よびりん
)
が備え付けてあります。
葬送行進曲
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
家主
(
いへぬし
)
の
女主人
(
をんなあるじ
)
の
處
(
ところ
)
に
見知
(
みし
)
らぬ
人
(
ひと
)
が
來
(
き
)
さへすれば
其
(
そ
)
れも
苦
(
く
)
になる。
門
(
もん
)
の
呼鈴
(
よびりん
)
が
鳴
(
な
)
る
度
(
たび
)
に
惴々
(
びく/\
)
しては
顫上
(
ふるへあが
)
る。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
相かわらず人気のない内庭から四階までのぼって、五八のドアの
呼鈴
(
よびりん
)
をならした。スカートのうしろまで鼠色麻の大前掛をかけた、太った年よりの女が出て来た。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
私は雨に濡れながら、
覚束
(
おぼつか
)
ない車夫の提灯の明りを便りにその標札の下にある
呼鈴
(
よびりん
)
の
釦
(
ボタン
)
を押しました。
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「アラ、ほんとにお帰りなの。」と芸者はさも驚いたような顔をしたが、清岡は見向きもせず、丁度窓際の柱に
呼鈴
(
よびりん
)
の
紐
(
ひも
)
がついていたのを引寄せて、ボタンを押した。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
津田は
暗闇
(
くらやみ
)
の中で開けるらしい
障子
(
しょうじ
)
の音をまた聴いた。同時に彼の気のつかなかった、自分の立っているすぐ
傍
(
そば
)
の小さな部屋で
呼鈴
(
よびりん
)
の返しの音がけたたましく鳴った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕は、ひそかに一計を案じて、翌日社の写真班の記者を一人つれて、夫人の玄関の
呼鈴
(
よびりん
)
をおした。
或る探訪記者の話
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
ふと
呼鈴
(
よびりん
)
がけたたましく耳に響いた。茶の間へ出て行くと、今店の方から来たばかりの小僧が一人、奥へ返辞もしないで、明るい電燈の下で、寝転んで新聞を読んでいた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
だから、針差しとか料理の
栞
(
しおり
)
とかいうようなものに返送料までつけてやることは二の足をふむのである。彼女は、
呼鈴
(
よびりん
)
の引き紐を出して、たった一度、第四等名誉賞状を得たきりである。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
近所
(
きんじょ
)
でもよく
知
(
し
)
つていることですが、
老人
(
ろうじん
)
はかなりへんくつな
人物
(
じんぶつ
)
です。ひどく
用心
(
ようじん
)
ぶかくて、
昼日中
(
ひるひなか
)
でも、
門
(
もん
)
の
内側
(
うちがわ
)
に
締
(
しま
)
りがしてあり、
門柱
(
もんちゅう
)
の
呼鈴
(
よびりん
)
を
押
(
お
)
さないと、
門
(
もん
)
をあけてくれません。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
置時計、寒暖計、
硯
(
すずり
)
、筆、
唾壺
(
だこ
)
、汚物入れの
丼鉢
(
どんぶりばち
)
、
呼鈴
(
よびりん
)
、まごの手、ハンケチ、その中に目立ちたる
毛繻子
(
けじゅす
)
のはでなる毛蒲団一枚、これは軍艦に居る友達から贈られたのである。(六月七日)
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「でも……下男を呼びましょう……
呼鈴
(
よびりん
)
が下男部屋に通じているわよ。」
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
激しい
呼鈴
(
よびりん
)
の音で呼ばれてつやが病室に来た時には、葉子は寝床から起き上がって、したため終わった手紙の状袋を封じている所だったが、それをつやに渡そうとする瞬間にいきなりいやになって
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そのゆがみを、夫人はすかさず見て、立ち上って、
呼鈴
(
よびりん
)
を押すと
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「ママ、
呼鈴
(
よびりん
)
があげてあるじゃないの」と、
令嬢
(
れいじょう
)
が注意した。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
それとは思い寄らず一も二も明かし合うたる姉分のお霜へタッタ一日あの方と遊んで見る知恵があらば貸して下されと頼み入りしにお霜は承知と呑み込んで俊雄の耳へあのね尽しの電話の
呼鈴
(
よびりん
)
聞えませぬかと
被
(
かぶ
)
せかけるを
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
血に
染
(
そ
)
みし
呼鈴
(
よびりん
)
の声のごとくふりそそぎ
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
表口の格子の
呼鈴
(
よびりん
)
が鳴る。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
例えば下宿のおかみさんなどが、
呼鈴
(
よびりん
)
や、その電池などの故障があったとき少しの故障なら、たいてい自分で直すのであった。
家庭の人へ
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
三郎が、いやに考えこんでいたとき、天井につけてあった
呼鈴
(
よびりん
)
が、ぶうぶうぶうと鳴りだした。それは艇長をよびだしている信号音であった。
大宇宙遠征隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
呼鈴
(
よびりん
)
を
烈
(
はげ
)
しく
鳴
(
なら
)
して、「矢島をこれへ。」と御意あれば、
畏
(
かしこ
)
まりて
辷出
(
すべりい
)
づる
婢
(
おはした
)
と
入違
(
いりちがい
)
に、
昨日
(
きのう
)
馬を
馭
(
ぎょ
)
せし矢島由蔵、真中の障子を開きて縁側に
跪
(
ひざまず
)
き
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ある午後、粉飾せる死体のそばで、疲れ切って泥の様に眠っていた柾木は、婆やが土蔵の入口の所で引いている、
呼鈴
(
よびりん
)
代りの
鳴子
(
なるこ
)
の音に目を覚ました。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
二人が退場すると轟氏
呼鈴
(
よびりん
)
を押し、這入って来た女中に三枝を呼んで来るように命じ、そのまま寝椅子に長くなる。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
家主
(
いえぬし
)
の
女主人
(
おんなあるじ
)
の
処
(
ところ
)
に
見知
(
みし
)
らぬ
人
(
ひと
)
が
来
(
き
)
さえすればそれも
苦
(
く
)
になる。
門
(
もん
)
の
呼鈴
(
よびりん
)
が
鳴
(
な
)
る
度
(
たび
)
に
惴々
(
びくびく
)
しては
顫上
(
ふるえあが
)
る。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
下で
呼鈴
(
よびりん
)
を鳴す音がしたので、わたくしは椅子を立ち、バスへ乗る近道をききながら下へ降りた。
寺じまの記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お給仕のダーシャから二杯目のお茶をうけとって、牛乳を入れているとき、玄関の
呼鈴
(
よびりん
)
が鳴った。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
電燈は全部消し去られ、いくら
呼鈴
(
よびりん
)
を押しても、とうとう返事を得ることが出来なかった。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
いくども
呼鈴
(
よびりん
)
をおしましたが、誰れも
扉
(
ドア
)
を開けにきません。二階のほうを見あげてみますと、どの窓も、しっかりと
鎧扉
(
よろいど
)
がとざされ、
廃屋
(
はいおく
)
のように森閑としずまりかえっています。
キャラコさん:08 月光曲
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
千種十次郎は、妙な期待に軽い興奮を覚え乍ら、二度、三度、
呼鈴
(
よびりん
)
を押しました。
音波の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
君、そうして廷丁が三人も居るんだよ。それで
呼鈴
(
よびりん
)
と言うので、ちりりんと
拈
(
ひね
)
ると、そのまあ、ちり、ちり、ちりん、の工合で誰ということが分ると見えて、その人がやって来ますね。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
呼鈴
(
よびりん
)
をならした。此のような山の中で聞く呼鈴の音は、妙に非現実的に響いた。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
主人は
呼鈴
(
よびりん
)
を鳴らして、夜食の残りを下げるように命じた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
呼鈴
(
よびりん
)
に答えて、はいって来た女中に
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
怪紳士が
呼鈴
(
よびりん
)
を押すと、二人の男が戸口から入ってきた。そして眠りこけている道夫の頭の方と足の方を持って、室外へ
搬
(
はこ
)
びだしてしまった。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
呼鈴
(
よびりん
)
を押しに立つ事は到底出来ないから浅利君が帰るまで待っている外にはどうする事も出来ないのであった。ガランとした室の天井を見るのが心細かった。
病中記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
呼
常用漢字
小6
部首:⼝
8画
鈴
常用漢字
中学
部首:⾦
13画
“呼”で始まる語句
呼吸
呼
呼息
呼出
呼子
呼応
呼笛
呼気
呼込
呼留