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即
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すなわち
ふりがな文庫
“
即
(
すなわち
)” の例文
そのころ、わたくしはわが日誌にむかしあって後に埋められた市中溝川の所在を
心覚
(
こころおぼえ
)
に
識
(
しる
)
して置いたことがある。
即
(
すなわち
)
次の如くである。
葛飾土産
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
敵国が未だ兵力を集中せない
即
(
すなわち
)
戦闘準備の
整
(
ととのわ
)
ない虚に乗じて、
急馳
(
きゅうち
)
電撃これを
潰乱
(
かいらん
)
せしめるのである、ネルソンの兵法はそうでない
竹乃里人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
仲々立派な建物で、牛の
住家
(
すまい
)
とは思われない。牛舎の中も暗らかった。暗い建物のその中に、象とも見紛う巨大な獣、
即
(
すなわち
)
闘牛が一匹いた。
闘牛
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし大概な紀行は純粋の美文的に書くものでなくてもやはり出来るだけ面白く書こうとする
即
(
すなわち
)
美文的に書こうとする
徒歩旅行を読む
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
汝がわれを
唾罵
(
だば
)
する心は、これ
即
(
すなわち
)
驕慢
(
きょうまん
)
にして、七つの罪の第一よ。悪魔と人間の異らぬは、汝の実証を見て知るべし。
るしへる
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
それで
私
(
わたくし
)
は
反応
(
はんのう
)
しています。
即
(
すなわち
)
疼痛
(
とうつう
)
に
対
(
たい
)
しては、
絶呌
(
ぜっきょう
)
と、
涙
(
なみだ
)
とを
以
(
もっ
)
て
答
(
こた
)
え、
虚偽
(
きょぎ
)
に
対
(
たい
)
しては
憤懣
(
ふんまん
)
を
以
(
もっ
)
て、
陋劣
(
ろうれつ
)
に
対
(
たい
)
しては
厭悪
(
えんお
)
の
情
(
じょう
)
を
以
(
もっ
)
て
答
(
こた
)
えているです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
苦中楽ありとは
即
(
すなわち
)
是
(
こ
)
れなり。
然
(
しか
)
りと
雖
(
いえど
)
も人生の多情
多慾
(
たよく
)
なる、
殆
(
ほと
)
んど飽くことを知らず。今日の慶應義塾を見るに、その学事は
凡
(
およ
)
そ資金の許す限りに
勉
(
つと
)
めざるはなし。
〔気品の泉源、智徳の模範〕
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
範囲は俳句を作り始めた明治二十四、五年頃から昭和十年まで、
即
(
すなわち
)
昭和十一年十一月二十日に出版した『句日記』の句までとしたので、その後の句はこの集には
洩
(
も
)
れている。
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
魁岸
(
かいがん
)
勇偉、
膂力
(
りょりょく
)
絶倫、満身の
花文
(
かぶん
)
、人を驚かして自ら異にす。太祖に従って、出入離れず。
嘗
(
かつ
)
て太祖に
随
(
したが
)
って出でし時、
巨舟
(
きょしゅう
)
沙
(
すな
)
に
膠
(
こう
)
して動かず。成
即
(
すなわち
)
便舟を負いて行きしことあり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
蝦蟆
(
がま
)
即
(
すなわち
)
牛矣
(
うし
)
、
菌
(
きのこ
)
即
(
すなわち
)
其人也
(
そのひとなり
)
。
古釣瓶
(
ふるつるべ
)
には、その
槐
(
えんじゅ
)
の
枝葉
(
しよう
)
をしたゝり、
幹
(
みき
)
を絞り、根に
灌
(
そそ
)
いで、
大樹
(
たいじゅ
)
の
津液
(
しずく
)
が、
木
(
こ
)
づたふ雨の如く、
片濁
(
かたにご
)
りしつつ
半
(
なか
)
ば澄んで、ひた/\と
湛
(
たた
)
へて居た。
油
(
あぶら
)
即
(
すなわち
)
此
(
これ
)
であつた。
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ブル
即
(
すなわち
)
情慾である。彼らは本能そのものなのだ。衝動は自然だ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そもそもゴンクウルがこの新研究に着手したりしはその著『歌麿伝』の叙にも言へるが如く、浮世絵は
即
(
すなわち
)
十八世紀の美術たるが故なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
余もあながち活動をわるいといふのでないが、活動に伴なふ所の弊害
即
(
すなわち
)
厭味とか無理とかいふものを脱することが甚だむづかしいと思ふのである。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
斯
(
こ
)
うして町の外れまで、
即
(
すなわち
)
、沙漠の入口まで、歩いて来た時立ち止まって、博士は行手を眺めてみた。
木乃伊の耳飾
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
幸
(
さいわい
)
にしてタメルランは、千四百〇五年
即
(
すなわち
)
永楽三年二月の十七日、病んでオトラル(Otoral)に死し、二雄
相
(
あい
)
下らずして
龍闘虎争
(
りゅうとうこそう
)
するの
惨禍
(
さんか
)
を
禹域
(
ういき
)
の民に
被
(
こうむ
)
らしむること無くして
已
(
や
)
みぬ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
即
(
すなわち
)
安助高慢の
科
(
とが
)
に依って、「じゃぼ」とて
天狗
(
てんぐ
)
と成りたるものなり。
るしへる
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と言うもの
即
(
すなわち
)
これである。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『乍浦集』の原本は西暦千八百四十二年
即
(
すなわち
)
我が天保十三年壬寅の年英国の軍隊が南
清
(
しん
)
の諸州を
寇
(
こう
)
し遂に
香港
(
ホンコン
)
を割譲せしむるに至った時
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
即
(
すなわち
)
感情任せに句を作って少しも理窟を顧みないというような処が多い。今少し理窟的に研究して貰いたいと思う。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
即
(
すなわち
)
、老人の所有物——縫目のほころびている古靴と、煮〆たようなハンケチと、老人の室の合鍵と……それらが
行衛
(
ゆくえ
)
を失ったのであった。勿論老人は知らなかった。
死の航海
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その男、
即
(
すなわち
)
客人御自分が。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
テイザン
曰
(
いわ
)
く北斎の特徴と欠点とは要するに日本人通有の特徴と欠点なり。
即
(
すなわち
)
事物に対して常にその善良なる方面のみを見んとする事なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
即
(
すなわち
)
、大陸の文化を朝鮮が媒介して日本へ渡来せしめ日本の文化を促進せしめたことであって、兄媛、弟媛、呉織、服織の四人の織女を日本へ送り、機織の業を伝えたことや、阿直岐
日本上古の硬外交
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一般にいうと
心
(
しん
)
の方よりは皮に近い方が甘くて、
尖
(
さき
)
の方よりは本の方
即
(
すなわち
)
軸の方が甘味が多い。その著しい例は林檎である。林檎は心までも食う事が出来るけれど、心には殆ど甘味がない。
くだもの
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
『尾張名所図会』に言う所の博学多材の学者鷲津幽林は
即
(
すなわち
)
この幸八である。わたくしの見た鷲津氏系譜は
何
(
いずれ
)
の時
何人
(
なんぴと
)
の作ったものかを
詳
(
つまびらか
)
にしない。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「心臓捕りの」物語は、
即
(
すなわち
)
、
以上
(
これ
)
で終りである。人工の巨人の運命や、博士と看護婦との成行や、本田捨松の其後に就いては、
機会
(
おり
)
を見て
孰
(
いず
)
れ語ることにしよう。要するに夫れは後日
譚
(
ものがたり
)
である。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
露西亜
(
ロシア
)
の舞踊ニジンスキイ以後の芸術と、支那俳優の舞技と、
即
(
すなわち
)
東西両種の芸術を
渾和
(
こんわ
)
したとか称するもので、男女両性の肉体的曲線美の動揺は
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
採菊山人は
即
(
すなわち
)
山々亭有人
(
さんさんていありんど
)
にして
仮名垣魯文
(
かながきろぶん
)
の歿後われら後学の徒をして明治の世に江戸戯作者の風貌を
窺知
(
うかがいし
)
らしめしもの実にこの翁
一人
(
いちにん
)
ありしのみ。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
僕が二十になった頃から(
即
(
すなわち
)
明治三十年頃から)のことならどうやら記憶しているようだ。一番はずれの江川劇場は
玉乗
(
たまのり
)
や手品の興行で人に知られていた。
浅草むかしばなし
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
即
(
すなわち
)
荒木古童
(
あらきこどう
)
が『
残月
(
ざんげつ
)
』、
今井慶松
(
いまいけいしょう
)
が『
新曲洒
(
しんきょくさら
)
し』、
朝太夫
(
あさたゆう
)
が『お
俊
(
しゅん
)
伝兵衛
(
でんべえ
)
』、
紫朝
(
しちょう
)
が『
鈴
(
すず
)
ヶ
森
(
もり
)
』の
類
(
たぐい
)
これなり。
一夕
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
新声社は
即
(
すなわち
)
いまの新潮社が前名にて当時は
神田錦町
(
かんだにしきちょう
)
区役所の横手にささやかなる店をかまへゐたり。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
然れども
何人
(
なんびと
)
なるやを知らざれば言葉もかはさで去りぬ。これ
即
(
すなわち
)
上田先生にして、その
夕
(
ゆうべ
)
先生は
英吉利西
(
イギリス
)
風の背広に髭もまた英国風に刈り鼻眼鏡をかけてゐたまひけり。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
即
(
すなわち
)
都市
山川
(
さんせん
)
寺院の如き非情のものを捉へ来りてこれに人物を配するが如き
体
(
てい
)
を取れるものあるいは群集一団体の人間を主となしかへつて個人を次となせるが如きものあり。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
譬
(
たと
)
えば
砲兵工廠
(
ほうへいこうしょう
)
の
煉瓦塀
(
れんがべい
)
にその片側を限られた小石川の
富坂
(
とみざか
)
をばもう
降尽
(
おりつく
)
そうという左側に一筋の
溝川
(
みぞかわ
)
がある。その流れに沿うて
蒟蒻閻魔
(
こんにゃくえんま
)
の方へと曲って行く横町なぞ
即
(
すなわち
)
その一例である。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
人おのおの好むところあり。
下戸
(
げこ
)
あり。
上戸
(
じょうご
)
あり。上戸の
中
(
うち
)
更に泣くものあり笑ふものあり怒るものあり。然れども下戸上戸おしなべて好むところのものまたなきにあらず。淫事
即
(
すなわち
)
これなり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
即
(
すなわち
)
北尾政演
(
きたおまさのぶ
)
が『狂歌五十人一首』の如き、
喜多川歌麿
(
きたがわうたまろ
)
が『絵本
虫撰
(
むしえらみ
)
』、『
百千鳥
(
ももちどり
)
』、『
狂月望
(
きょうげつぼう
)
』、『
銀世界
(
ぎんせかい
)
』、『
江戸爵
(
えどすずめ
)
』の如きまた
北尾政美
(
きたおまさよし
)
が『
江戸名所鑑
(
えどめいしょかがみ
)
』、北尾
重政
(
しげまさ
)
の『絵本
吾妻袂
(
あずまからげ
)
』
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
已に「妾宅」というこの
文字
(
もんじ
)
が、もう何となく廃滅の気味を帯びさせる上に、もしこれを雑誌などに出したなら、定めし文芸
即
(
すなわち
)
悪徳と思込んでいる老人たちが例の物議を起す事であろうと思うと
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この処
即
(
すなわち
)
南画の筆法と見てよし。写生に出でて写生を離るる事なり。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
電車通を行くことなほ二、三町にしてまた坂の
下口
(
おりくち
)
を見る。これ
即
(
すなわち
)
金剛寺坂
(
こんごうじざか
)
なり。文化のはじめより大田南畝の住みたりし
鶯谷
(
うぐいすだに
)
は金剛寺坂の中ほどより西へ入る低地なりとは考証家の言ふところなり。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
井上金峩
(
いのうえきんが
)
、山本
北山
(
ほくざん
)
らの主張した考証折衷の学説が
即
(
すなわち
)
これである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
根津の社前より不忍池の北端に出る陋巷は
即
(
すなわち
)
宮永町である。
上野
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“即”の意味
《形容動詞》
即(そく)
すなわち。同時に。
わずかな時間が過ぎるうちに。
(出典:Wiktionary)
即
常用漢字
中学
部首:⼙
7画
“即”を含む語句
即刻
即座
即興
即死
即日
不即不離
即時
即効紙
煩悩即菩提
即位
即興詩人
即答
即物的
色即是空
当意即妙
即夜
即坐
即身
即席
即吟
...