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剃刀
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かみそり
ふりがな文庫
“
剃刀
(
かみそり
)” の例文
手足にも胸にも
逞
(
たくま
)
しく毛が生えているし、
髭
(
ひげ
)
もずいぶん濃い。一日でも
剃刀
(
かみそり
)
を当てないと、両頬の上のほうまで黒くなるのであった。
四日のあやめ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
弟は
剃刀
(
かみそり
)
を抜いてくれたら死なれるだろうから、抜いてくれと言った。それを抜いてやって死なせたのだ、殺したのだとは言われる。
高瀬舟
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
米「湯灌は
大体
(
たいてい
)
家柄の
邸
(
うち
)
では
家
(
うち
)
でするが、殊によるとお
香剃
(
こうぞり
)
の時
葢
(
ふた
)
を取ると
剃刀
(
かみそり
)
を当てる時何うかすると顔を見ます事がござります」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
懐中紙入を出すと、一
挺
(
ちょう
)
の
剃刀
(
かみそり
)
のようなものを引き出して、それで身体のあちらこちらを一寸二寸ずつ、スーッスーッと切って廻る。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そして早くよくおなんなすって、またお襟でもあたらして下さいまし、そうまずくはありませんや、
剃刀
(
かみそり
)
だけは御用に立ちます。」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
床屋は西洋
剃刀
(
かみそり
)
を取上げて、せつせと
革砥
(
かはと
)
に当て出したが、急に何か気が
注
(
つ
)
いたやうに、剃刀を持つた儘ぐたりと椅子に尻を落した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
降り立ったのは体躯人にすぐれたる男、すこし長すぎるが、魅力のある浅黒い艶のある顔、
剃刀
(
かみそり
)
をあてたばかりの頬が青く光っている。
心臓盗難:烏啼天駆シリーズ・2
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『註文帳』は廓外の寮に住んでいる娼家の娘が
剃刀
(
かみそり
)
の
祟
(
たたり
)
でその恋人を刺す話を述べたもので、お
歯黒溝
(
はぐろどぶ
)
に沿うた陰欝な路地裏の光景と
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
まったくお葉は主人を殺すつもりで、其月が俳諧の点をしている油断を見すまして、うしろから不意に
剃刀
(
かみそり
)
で斬り付けたんだそうです。
半七捕物帳:36 冬の金魚
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
剃刀
(
かみそり
)
が今朝まで鏡台にあった——とお神楽の親分に申上げたのは、ありゃ間違いですよ。この二三日、誰も使った者がありません。
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
主人に借りた
剃刀
(
かみそり
)
で、髭を剃る。体を丹念に洗う。ついでに下着も洗う。ふたたび体を湯に沈める。誰かが耳のすぐ近くでささやいた。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「斯うやってお客さまの
喉
(
のど
)
の
辺
(
あたり
)
を当っているところへグイッと地面が持ち上ったんで、
剃刀
(
かみそり
)
が一寸も入って即死したと言うんです」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
彼女は家の方に居た時分、妙に家の人達から警戒されて、刃物という刃物は
鋏
(
はさみ
)
から
剃刀
(
かみそり
)
まで隠されたと気づいたことがよくある。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
小平さんは、タオルをのけると、太い筆のやうなものでせつけんの泡を松吉の顔にぬり、
剃刀
(
かみそり
)
で、額ぎはからそりはじめました。
疣
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
それと同時に、その老僧の右の手に、研ぎ澄まされた
剃刀
(
かみそり
)
がほの白く光っているのを見た。が、彼にはそれを防ごうという気もなかった。
仇討三態
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
長江の鼻毛を
剃
(
す
)
った
剃刀
(
かみそり
)
で鼻毛を剃られたら危険である、ということで、われわれは長江の行きつけの床屋を調べたりしたことがあった。
文壇昔ばなし
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
剃刀
(
かみそり
)
が冷やりと顔に触れたとたん、どきッと
戦慄
(
せんりつ
)
を感じたが、やがてさくさくと
皮膚
(
ひふ
)
の上を走って行く
快
(
こころよ
)
い感触に、思わず体が堅くなり
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
佐久間玄蕃允は、その朝、湯あみもし、
剃刀
(
かみそり
)
もあて、
青髯
(
あおひげ
)
のあと涼やかに、髪まで結いあらためて、もみ紅梅の小袖に、大紋の広袖を着
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眼は細くて切れ長で、眼尻が耳まで届いていると、そうもいいたいほどである。その眼の光の鋭いことは! まさしく
剃刀
(
かみそり
)
の刃であった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
伊庭の使ひつけの安全
剃刀
(
かみそり
)
なのであらうが、毒食はば皿までの心理で、じよりじよりと、富岡は、心にひやりとする刃を頬にあててゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
なるほど、男は
小
(
こま
)
いばって、全身が
剃刀
(
かみそり
)
のごと、殺気がみなぎっちょる。肺病とかいうこッちゃが、命短しで、世をすねたかな?
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
私は彼等から仲間はずれにされないように、苦しげに煙草をふかし、まだ
髭
(
ひげ
)
の
生
(
は
)
えていない
頬
(
ほお
)
にこわごわ
剃刀
(
かみそり
)
をあてたりした。
燃ゆる頬
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
すると主人が
剃刀
(
かみそり
)
を持ったまま出て来てニヤッとして教えてくれた。つまらないものを見にくるもんだ——という表情だった。
浅間山麓
(新字新仮名)
/
若杉鳥子
(著)
ピストルの
手入
(
ていれ
)
をしてみたくなったり……大風の音を
聞
(
きい
)
ているうちに、短刀を
懐
(
ふところ
)
にして歩いてみたくなったり……よく切れる
剃刀
(
かみそり
)
を見ると
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
仏のまへに
新薦
(
あらこも
)
をしきて
幽霊
(
いうれい
)
を
居
(
を
)
らする所とし、入り口の戸をもすこしあけおき、
研
(
とぎ
)
たてたる
剃刀
(
かみそり
)
二てうを
用意
(
ようい
)
し今や/\と
幽霊
(
いうれい
)
を
待居
(
まちゐ
)
たり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
剃刀
(
かみそり
)
をとぐ
砥石
(
といし
)
を
平坦
(
へいたん
)
にするために合わせ砥石を載せてこすり合わせて後に引きはがすときれいな樹枝状の
縞
(
しま
)
が現われる。
物理学圏外の物理的現象
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
黒羅紗
(
くろらしゃ
)
の立派なジャンパーを腰のところで締め、
綺麗
(
きれい
)
に
剃刀
(
かみそり
)
のあたった
頤
(
あご
)
を光らせながら、清二は忙しげに正三の部屋の入口に立ちはだかった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
それは細君の手にしている
剃刀
(
かみそり
)
であった。細君の右の下唇には血があった。章一はいきなりその手を
捩
(
ね
)
じあげてくるりと細君の体を前向にした。
一握の髪の毛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
大久保
(
おほくぼ
)
が、
奈美子
(
なみこ
)
の
美
(
うつく
)
しい
髪
(
かみ
)
を、
剃刀
(
かみそり
)
や
鋏
(
はさみ
)
でぢよき/\
根元
(
ねもと
)
から
全
(
まつた
)
く
切
(
き
)
り
取
(
と
)
つてしまつたことは、
大分
(
だいぶ
)
たつてから
知
(
し
)
つた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼はこういう四肢をもって殆ど音もさせずに歩く。そしてその足指の陰には熊の剛毛をさえも引き裂くべき、
剃刀
(
かみそり
)
のような
鈎爪
(
かぎづめ
)
がかくされている。
黒猫
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
上腮と下腮に生えている一枚歯は、やっとこのように力強く、
剃刀
(
かみそり
)
のように鋭い。この歯に噛まれたらどんな太い
天狗素
(
テングス
)
でも、一噛みでぽきんだ。
海豚と河豚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
練吉の頬はきれいに
剃刀
(
かみそり
)
があてられ、もみ上げから下の青味を帯びつるつるした皮膚にはこまかい汗がにじみ出てゐた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
擬
(
まが
)
ひアストラカンの冬帽をかむつて、三日ばかり
剃刀
(
かみそり
)
を知らない
頬
(
ほほ
)
のままの礼助、しかも
何処
(
どこ
)
となく旅先の
慌
(
あわただ
)
しい疲労を浮べてゐる目つきの礼助は
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
この西洋
剃刀
(
かみそり
)
のような鋭い言葉をきいたときは、無関係なわたしでさえひやりとしました。ところが、どうでしょう。
或る探訪記者の話
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
そして
剃刀
(
かみそり
)
と
仮髪
(
かつら
)
とさえあれば人間の
顔貌
(
がんぼう
)
は変えられると云うことを考え合せると、私はその二人が同じ人間であると疑わざるを得なかったのです。
株式仲買店々員
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
然しこの理髪師はニキビであろうが、何んであろうが、上から下へ一気に
剃刀
(
かみそり
)
を使って、それをそり落してしまった。
独房
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
暗欝
(
あんうつ
)
な空が低く垂れていて家の中はどことなく薄暗かった。父親の
嘉三郎
(
かさぶろう
)
は鏡と
剃刀
(
かみそり
)
とをもって
縁側
(
えんがわ
)
へ出て行った。
栗の花の咲くころ
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
雪の結晶を切るといっても今のところ別に名案もないので、一つ安全
剃刀
(
かみそり
)
の刃で切って見ようということになった。
雪雑記
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
真剣
(
しんけん
)
だ。
復讐魔
(
ふくしゅうま
)
と化しさっている喬之助の一語一語が、
剃刀
(
かみそり
)
のように冷たさをもって、戸を貫いて壁辰の胸を
刺
(
さ
)
す。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
女が
剃刀
(
かみそり
)
を信玄袋の中から出してゐるのを目にして、⦅何うするのそんなものを持つて行つて?⦆といふやうな顔をすると、女はそれを言ひ解くやうに
浴室
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
頬には一週間も
剃刀
(
かみそり
)
を当ぬかと思うばかりに
贅毛
(
むだけ
)
の延たれど
個
(
こ
)
は死人に
能
(
よ
)
く有る例しにて死したる
後
(
のち
)
急に延たるものなる可く余は
開剖室
(
かいぼうしつ
)
などにて同じ
類
(
たぐい
)
を
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
それから、お前、帆立貝の
猿股
(
さるまた
)
を
穿
(
は
)
いた象の脚、
剃刀
(
かみそり
)
入れ、元禄袖、模範
煙突
(
えんとつ
)
、
羽根箒
(
はねぼうき
)
、これは
棕櫚
(
しゅろ
)
の木、失敬。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
痩せてはいるが、幾分威張って歩きたがる男で、黒い髪と碧い眼を持ち、髭には
叮嚀
(
ていねい
)
に
剃刀
(
かみそり
)
があてられている。
秘密の庭
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
まあ、
百々
(
もも
)
ちゃんはえらいんですよ。私がつれて避難して来る時に、若し、南軍に掴まったら、どうするかってきくとね、おッ母さんと一緒に
剃刀
(
かみそり
)
でのどを
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
ムッソリニと握手する。
一夕
(
いっせき
)
独逸
(
ドイツ
)
廃帝と快諾して思い出ばなしを聞く。ナポレオンの死の床も見たいし、ツタカメン王の使用した安全
剃刀
(
かみそり
)
もぜひ拝観しよう。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
まづ
冷酷
(
れいこく
)
に批評すると、本来
剃刀
(
かみそり
)
で
剃
(
そ
)
るべき
髭
(
ひげ
)
を、
薙刀
(
なぎなた
)
で剃つて見せたと云ふ
御手柄
(
おてがら
)
に感服するだけである。
西洋画のやうな日本画
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
或人が
剃刀
(
かみそり
)
の疵に
袂草
(
たもとぐさ
)
を着けて血を止めたるは好けれども、其袂草の毒に感じて大患に罹りたることあり。畢竟無学の罪なり。呉々も心得置く可きことなり。
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「そうだ、あいつはここに一週間もいたくせに、とうとうオルガに負けて逃げちゃった。」と山口は
剃刀
(
かみそり
)
に溜った石鹸の泡を拭きながら、鏡に向っていった。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
見ると一人は手に
剃刀
(
かみそり
)
とちり紙を持っている。彼女は順吉に命じて
軽業
(
かるわざ
)
のような恰好をさせて、もの慣れた顔つきで器用に剃刀をあつかって毛を
剃
(
そ
)
りおとした。
夕張の宿
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
簡単にあとかきます。会社を二月休んだ原因は、或る事から、酔の上、職人九人を相手にして、
喧嘩
(
けんか
)
をし、ぼくは、十月二十九日、腕を
剃刀
(
かみそり
)
でわられたのです。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
“剃刀”の解説
剃刀(かみそり)とは、皮膚の表面の髪や体毛、髭を除去するための刃物のことである。手動式と電動式がある。電動式は主に男性の髭を剃るために用いられる。語源は「髪剃り」から来ており、飛鳥時代に日本に伝来した当初は出家の際に髪を剃るための仏教の法具として使用されていたためである。
(出典:Wikipedia)
剃
漢検準1級
部首:⼑
9画
刀
常用漢字
小2
部首:⼑
2画
“剃刀”で始まる語句
剃刀創
剃刀屋
剃刀傷
剃刀様
剃刀痕
剃刀研
剃刀砥
剃刀磨
剃刀箱