“暗欝”の読み方と例文
読み方割合
あんうつ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
暗欝あんうつな空が低く垂れていて家の中はどことなく薄暗かった。父親の嘉三郎かさぶろうは鏡と剃刀かみそりとをもって縁側えんがわへ出て行った。
栗の花の咲くころ (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
其日は灰色の雲が低く集つて、荒寥くわうれうとした小県ちひさがた谷間たにあひを一層暗欝あんうつにして見せた。烏帽子ゑぼし一帯の山脈も隠れて見えなかつた。父の墓のある西乃入の沢あたりは、あるひは最早もう雪が来て居たらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
忠盛もまた、白河法皇から、宿の妻にせよと、祇園女御ぎおんのにょごを賜わったことが、いかに、いんをなして、青春を無残なものにしてしまったか。以後の長い、暗欝あんうつな十数年の家庭の悩みとなったことか。