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凋落
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ちょうらく
ふりがな文庫
“
凋落
(
ちょうらく
)” の例文
その
絢爛
(
けんらん
)
たる開花の時と
凋落
(
ちょうらく
)
との怖るべき距りに就て、すでにそれを中心にした特異な思考を本能的に所有していると考えられる。
青春論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
自分は年ようやくたけて容色は日に日に
凋落
(
ちょうらく
)
してゆくし、そうかと言って、頼るべき親類も、力にすべき子供もないのであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
連日の
旱
(
ひでり
)
に弱り切った草木が
懶
(
ものう
)
い
眠
(
ねむり
)
から醒めて、来る
可
(
べ
)
き
凋落
(
ちょうらく
)
の悲しみの先駆である
此
(
この
)
風の前に、快げにそよいで居るのが見える。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
漣が硯友社の
凋落
(
ちょうらく
)
した後までも依然として一方の雄を称しておるは
畢竟
(
ひっきょう
)
早くから硯友社
埒外
(
らちがい
)
の地歩を開拓するに努めていたからだ。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と三吉は
嫂
(
あによめ
)
の額を
眺
(
なが
)
めた。お倉は髪を染めてはいるが、
生際
(
はえぎわ
)
のあたりはすこし
褪
(
さ
)
めて、灰色に
凋落
(
ちょうらく
)
して行くさまが最早隠されずにある。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
そうして民藝が
廃
(
すた
)
れるなら、工藝もまた
凋落
(
ちょうらく
)
するに至るでしょう。なぜなら民藝こそ工藝の中で最も生活に即したものだからです。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
その折柄にこの大打撃をうけたのであるから、歌舞伎
凋落
(
ちょうらく
)
、新派劇全盛、こうした『
蒙求
(
もうぎゅう
)
』のような文句が諸人の口に伝えられた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すべての物が時と共に
凋落
(
ちょうらく
)
する。けれどもわれわれの内奥には、時と共に磨かれ、輝きを増す金剛石が隠されてはいないのか。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
紅葉は木の葉の
凋落
(
ちょうらく
)
する前の一現象であって、やがてそれは枯葉となってからからにからびて地上を転げるものでありますが
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
凡
(
すべ
)
てが
頽廃
(
たいはい
)
の影であり
凋落
(
ちょうらく
)
の色であるうちに、血と肉と歴史とで結び付けられた自分をも併せて考えなければならなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此処に於て吾人は、先に前の章で暗示しておいた一つの宿題、即ち近代に於ける古典韻文の
凋落
(
ちょうらく
)
を、真の原因について知ることができるのである。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「この叡山の上から見ていると、栄華も
凋落
(
ちょうらく
)
も、一瞬の
間
(
ま
)
だ、まったく、浮世の変遷というものが、まざまざとわかる」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
最近の分では、賢母良妻主義
凋落
(
ちょうらく
)
以後の教育を受けた若い婦人が沢山にある。そのような女性の最も多く進出する処は、云う迄もなく東京であった。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
行く水の流、咲く花の
凋落
(
ちょうらく
)
、この自然の底に
蟠
(
わだかま
)
れる抵抗すべからざる力に触れては、人間ほど
儚
(
はかな
)
い
情
(
なさけ
)
ないものはない。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
こういうことがあってから一月ほどの日が
経
(
た
)
った。万山を飾って燃えていた
紅葉
(
もみじ
)
の錦は
凋落
(
ちょうらく
)
し笹の平は雪に
埋
(
う
)
ずもれた。冬
籠
(
ごも
)
りの季節が来たのである。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
武士たるの実力を棄てて、武士の虚名を擁したり。封建制度は、平和を来し、平和は封建制度の
凋落
(
ちょうらく
)
を来す。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
それは彼女らの
生涯
(
しょうがい
)
中の一瞬にすぎないし、快楽の最初の
眼覚
(
めざ
)
めにすぎなくて、
凋落
(
ちょうらく
)
はほど近い。しかし彼女らは少なくとも、
美
(
うる
)
わしい時を生きたのである。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そして
凋落
(
ちょうらく
)
をまぬがれなかった。
被
(
おお
)
うものがなければ日の目はあからさまである。冷たい霜も降る、しぐれもわびしく降りかかる。
木枯
(
こがらし
)
も用捨なく吹きつける。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
保胤と順とは別に関渉は無かったが、兎死して狐悲む道理で、前輩知友の段々と
凋落
(
ちょうらく
)
して行くのは、さらぬだに心やさしい保胤には向仏の念を添えもしたろう。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その男は百
米
(
メエトル
)
の満野でした。かつて吉岡が
擡頭
(
たいとう
)
するまでの名スプリンタアではありましたが今度のオリムピックには成績も悪く、いまは
凋落
(
ちょうらく
)
の
一途
(
いっと
)
にあったようです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
芸に伴って顔の
輪廓
(
りんかく
)
が、人生の
凋落
(
ちょうらく
)
の時になって整って来る。普通の人間なら爺顔になりかけの時が、役者では一番油の乗り切った頃である。立役はその期間が割に長い。
役者の一生
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
元来室町幕府にあっては、
斯波
(
しば
)
、畠山、細川の三家を三職と云い、相互に管領に任じて、幕府の中心勢力となって来た。此の
中
(
うち
)
、斯波氏先ず衰え、次で畠山氏も
凋落
(
ちょうらく
)
した。
応仁の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
君もまたクライストのくるしみを苦しみ、
凋落
(
ちょうらく
)
のボオドレエルの姿態に胸を焼き、焦がれ、たしかに私と甲乙なき一二の佳品かきたることあるべしと推量したからである。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
テーブルの上に空の茶椀を置いて、いっ時、庭の
樹
(
き
)
を眺めている。
凋落
(
ちょうらく
)
の
兆
(
きざ
)
しを眺めている。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
香以去後に
凋落
(
ちょうらく
)
して行く遊仲間のさまを示さむがために、此に二三の人の歿年を列記する。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
本朝の誇りたる
業物
(
わざもの
)
うちの技能、ここに
凋落
(
ちょうらく
)
の
兆
(
きざし
)
ありといっても過言ではあるまい。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
誰か
凋落
(
ちょうらく
)
の秋に
遭
(
お
)
うては
酸鼻
(
さんび
)
せざらん。人生酔うては歌い、醒めては泣く、
就中
(
なかんずく
)
余は
孤愁
(
こしゅう
)
極
(
きわま
)
りなき、漂浪人の胸中に思い到る
毎
(
ごと
)
に堪えがたき哀れを感じて、無限の同情を捧ぐるのである。
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それだけその季節の過ぎてからの何とも言えぬ
佗
(
わ
)
びしさのようなものが、いわば
凋落
(
ちょうらく
)
の感じのようなものが、僕自身が病後だったせいか、一層ひしひしと感じられてならなかったのですが
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
けれども冷めたい西風は幾重の
墻壁
(
しょうへき
)
を越して、階前の
梧葉
(
ごよう
)
にも
凋落
(
ちょうらく
)
の秋を告げる。貞子の
豪奢
(
ごうしゃ
)
な生活にも浮世の黒い影は付き
纏
(
まと
)
うて人知れず泣く涙は栄華の袖に
乾
(
かわ
)
く間もないという噂である。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
パンダヌス(小笠原島
辺
(
へん
)
の
章魚
(
たこ
)
の
木
(
き
)
)その他
椰子類
(
やしるい
)
等はその主なるものにて、これを
点綴
(
てんせつ
)
せる各種の珍花名木は常に
妍
(
けん
)
を競い美を闘わし、一度
凋落
(
ちょうらく
)
すれば他花に換え、
四時
(
しじ
)
の美観断ゆる事なし。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
木の葉も
凋落
(
ちょうらく
)
する
寂寥
(
せきりょう
)
の秋が迫るにつれて
癒
(
いや
)
しがたき
傷手
(
いたで
)
に冷え冷えと風の沁むように何ともわからないながらも、幼心に行きて帰らぬもののうら悲しさを私はしみじみと知ったように思われる。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
昔の例を思ってもその時の天子の内親王がたにも配偶者をお選びになって結婚をおさせになることも多かったのですから、まして私のように出家までもする
凋落
(
ちょうらく
)
に傾いた者の子の配偶者はむずかしい。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そのためとしてわたしは彼の勧めにより、その時
凋落
(
ちょうらく
)
の底にある江戸座の俳人の元老市塵庵四季雄の門人となったものだが、そして師匠がわたしの身の上に望んだ事は、自分同様一生の独身であった。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
老年の四すみとは、
凋落
(
ちょうらく
)
と腐朽と零落と悲哀とである。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
凋落
(
ちょうらく
)
を迎ふる水の
面
(
おもて
)
に
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
小父さんの
周囲
(
まわり
)
にある人達で
旧
(
むかし
)
を守ろうとしたものは大抵
凋落
(
ちょうらく
)
してしまった。さもなければ
後
(
おく
)
れ
馳
(
ば
)
せに実業に志したような人達ばかりだ。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
だが単純に包まれる美の本質は殺されてしまった。自然への信頼は人為的作法に
虐
(
しいた
)
げられて、美には
凋落
(
ちょうらく
)
の傾きが見える。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
ところが貴族が都の花にうかれて地方管理を地方の土豪に委任しておくうちに、荘園の実権が土豪の手にうつって武家が興り、貴族は
凋落
(
ちょうらく
)
するに至る。
土の中からの話
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
兄は何を考えているのか、はなはだ要領を得ない顔をして、
凋落
(
ちょうらく
)
しかかった前世紀の肉声を夢のように聞いていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
後漢の朝はすでに咲いて
凋落
(
ちょうらく
)
におののく花にも似ている。黒風濁流は大陸をうずまき、群雄いまなおその土に
処
(
ところ
)
を得ず、天下はいよいよ分れ争うであろう。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夏の間は茂っていた木の葉もやがてはこの風によって
凋落
(
ちょうらく
)
する、芭蕉の
梢
(
こずえ
)
に秋声を起こすのもこの風、すべて人生に寂滅の第一義を暗示するものはこの秋風である。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
湯元に来ると二度も雪が降ったという程あって、紅葉は既に爛熟して、次の
木枯
(
こがらし
)
には一たまりもなく吹き掃われそうである。濃紅の色の中にもはや
凋落
(
ちょうらく
)
の悲哀が蔵されている。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
特
(
こと
)
に
洪武
(
こうぶ
)
の末に至っては、元勲宿将多く
凋落
(
ちょうらく
)
せるを以て、炳文は朝廷の重んずるところたり。今大兵を率いて北伐す、時に年六十五。
樹
(
き
)
老いて材
愈
(
いよいよ
)
堅く、将老いて軍
益々
(
ますます
)
固し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
上古において光彩
燦爛
(
さんらん
)
、世界の舞台を装うたる貴族的の現象は今いずくにある。看よ。その一半はすでに
凋落
(
ちょうらく
)
し去り、視聴の世界を去り、すでに記憶の世界に入りしにあらずや。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
小林君は今から二十余年前に世を去ったが、その当時わたしと同じ
桟敷
(
さじき
)
で見物していた各新聞社の劇評家は大抵あとや先に
凋落
(
ちょうらく
)
して、いわゆる蓮台座の見物人となってしまった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
とちのきも、しらかばの
木
(
き
)
も、
黙々
(
もくもく
)
として、やがてやってくる
凋落
(
ちょうらく
)
の
季節
(
きせつ
)
を
考
(
かんが
)
えているごとくでありました。あたりの
谷
(
たに
)
にこだまして、
夕暮
(
ゆうぐ
)
れを
告
(
つ
)
げるひぐらしの
声
(
こえ
)
が、しきりにしています。
谷間のしじゅうから
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この「叙事詩」と「抒情詩」とは実に西洋詩の二大
範疇
(
はんちゅう
)
と言うべきもので、古典韻文の既に全く
凋落
(
ちょうらく
)
した近代に至っても、
尚
(
なお
)
或る
変貌
(
へんぼう
)
した形に於て、本質上から互に対立している有様である。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
私の見た時代は女形
凋落
(
ちょうらく
)
時代で、大概みんな化け猫女形ばかりであった。
役者の一生
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
富士山下
二
雨灰
一
、灰之所
レ
及、木葉
凋落
(
ちょうらく
)
。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お俊は叔父の髪に触れて、一本々々
択
(
え
)
り分けた。
凋落
(
ちょうらく
)
を思わせるような、白い、光ったやつが、どうかすると黒い毛と一緒に成って抜けて来た。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“凋落”の意味
《名詞》
凋 落 (ちょうらく 別表記:彫落)
花が凋(しぼ)んで落ちること。
落ちぶれること。
容貌が衰えること。
衰弱して死ぬこと。
(出典:Wiktionary)
“凋落”の解説
凋落
(出典:Wikipedia)
凋
漢検準1級
部首:⼎
10画
落
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
“凋落”で始まる語句
凋落期