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例
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ため
ふりがな文庫
“
例
(
ため
)” の例文
「いかにも、拙者は泣き虫です。けれど自分の事では泣いた
例
(
ため
)
しはないつもりでござる。——親の死んだ時と、国を思う時だけだ」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そんな
惡戯
(
いたづら
)
は今に始まつたことぢやないよ。命を取ると言つた奴が、昔から本當に命を取つた
例
(
ため
)
しは無い。放つて置くが宜い」
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
定家卿が後鳥羽上皇に随い熊野に詣りし時の歌にも、「千早振る熊野の宮のなぎの葉を変はらぬ千代の
例
(
ため
)
しにぞ折る」とあり。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「あれを見よ、聖書の中の神聖な文字が血に染まつたではないか。つひぞこれまで、これほどの極悪人が世に現はれた
例
(
ため
)
しはないのぢや!」
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
予め見越しをつけたことで、それのあたった
例
(
ため
)
しがない。愉快な不意打ちばかりくおうと思えば、いやな計画をいくつも立てておけばいい。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
▼ もっと見る
夢
(
ゆめ
)
は
五臟
(
ござう
)
のわづらひといひ
傳
(
つた
)
ふれども
正夢
(
しやうむ
)
にして
賢人
(
けんじん
)
聖人
(
せいじん
)
或は
名僧
(
めいそう
)
知識
(
ちしき
)
の人を
産
(
う
)
むは
天竺
(
てんぢく
)
唐土
(
もろこし
)
我朝
(
わがてう
)
ともにその
例
(
ため
)
し
少
(
すく
)
なからず
已
(
すで
)
に
玄奘法師
(
げんさうほふし
)
は夢を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
もっとも、あの男はこれまでも、ついぞ元の女を
棄
(
す
)
てた
例
(
ため
)
しはないんで、ただ持ち前のぐらぐらな性格から、そこここでちょいと引っかけるだけでね。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
鉱主から直接に来る手紙に碌なことのあった
例
(
ため
)
しはないので、池田は妙な顔をして、ポケットに入れてしまった。
恨なき殺人
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
何を考へてゐるのやら、何を言ひだすのやら、仕出かすのやら、自分の事にせよ、他人事にせよ、解つた
例
(
ため
)
しがあつたのか。鑑賞にも観察にも堪へない。
教祖の文学:――小林秀雄論――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
恐らく、日本に探偵小説が出現して以来、かくも私ほど、敵視された作家も、
例
(
ため
)
しなかったことであろう。
「黒死館殺人事件」著者之序
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
患者の中には良家の者らしい若い女性もゐたが、産婦人科へ
生娘
(
きむすめ
)
が来る
例
(
ため
)
しもすくなかつた。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
又
土
(
つち
)
ハ
土
(
つち
)
デ凡テ土ニ就テ生ズルモノヲ形容シテ
土
(
つち
)
ト云ツタ
例
(
ため
)
シハ頓医抄ニ「土いちごは
蛇苺
(
へびいちご
)
にして」トアリ、又ぬすびとのあしノコトヲ本草類編ニつちとちナドヽ云ツテアル
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
いとヾしき
思
(
おも
)
ひに
身
(
み
)
を
苦
(
く
)
るしむれど、
吾助
(
ごすけ
)
のことも
忘
(
わす
)
れがたし、
免
(
ゆ
)
るせよ
吾助
(
ごすけ
)
、
夢
(
ゆめ
)
さらさら
憎
(
に
)
くからねばこそ、
戀
(
こひ
)
すまじとて
退
(
の
)
く
身
(
み
)
ぞかし、うつせみの
世
(
よ
)
に
斯
(
か
)
かる
身
(
み
)
の
例
(
ため
)
し
又
(
また
)
ありや
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「我が党の歴史を
顧
(
かえり
)
みるに、反対者の発言を
圧服
(
あっぷく
)
して勝利を
獲
(
え
)
たる
例
(
ため
)
しなし」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
これは連れのFさんが、その所属病院のきまりがあつて、濃紺の制服も、白い布のついた同じく濃紺の制帽も、けつして脱いだ
例
(
ため
)
しのない人ですから、なんとしても疑ふわけにはいきません。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
曾
(
かつ
)
ていちどもその頃をなつかしがった
例
(
ため
)
しがない、金物店の時代でも鍛冶屋町の裏長屋よりは増しな生活をしたに違いないが、「あのじぶんはよかった」とひと言くちにしたことがなかった。
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そういう人間は今に限らず、むかしから、ニューヨークが主要産地であったそうで、従ってニューヨークでは変な人間によって、変な恋の行われた
例
(
ため
)
しは決してこれまで少くはなかったのである。
変な恋
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
そうしたものが
皆
(
み
)
んな、病的な頭脳にとっては異常に陰惨で幻想的な性質を帯びているところへ、湯番をしている
肥
(
ふと
)
った
ウクライナ人
(
とさかあたま
)
がまた、ついぞ口を利いた
例
(
ため
)
しのないむっつり屋と来ているので
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
女がおめかしをして損になつた
例
(
ため
)
しなんかない。
昨今横浜異聞(一幕)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「そんな
悪戯
(
いたずら
)
は今に始まったことじゃないよ。命を取ると言った奴が、昔から本当に命を取った
例
(
ため
)
しはない。放っておくがいい」
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
見せんではないか。もっとも、おまえに来られて、一ぺんでも、ろくなことのあった
例
(
ため
)
しはないからの。……ぶさたも、まず、めでたいが
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、それからっていうもの、夜、ぐっすり眠った
例
(
ため
)
しがないのだ。一生安眠を封じられても、こりゃ、
天罰
(
てんばつ
)
だ。わしは文句をいうところはない。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
そうこうするうちに、この稀有な事件の取沙汰は都の内外に拡がって行ったが、よくある
例
(
ため
)
しで、いつかそれにはあられもない
尾鰭
(
おひれ
)
がつけられていた。
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
事件の解決が下されたなどという神話めいた
例
(
ため
)
しが、
従来
(
これまで
)
にわずかそれらしい一つでもあったであろうか。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
わたしは田舎へ来て、思う通りの暮しのできた
例
(
ため
)
しがない。前にゃよく、二十八日の休暇を取っちゃ、ここへやって来たもんだ。骨休めや何やら——とまあいった次第でな。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
忠見が歌に「子の日する野べに小松のなかりせば千代の
例
(
ため
)
しに何を引かまし」、
俊成
(
しゅんぜい
)
「君が代を野べに出でてぞ祝ひける、
初子
(
はつね
)
の松の末を遥かに」、げに松は霜雪にも
凋
(
しぼ
)
まず
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
当山の衆徒の意見は、世間からも尊重され、決してあなどられた
例
(
ため
)
しはない。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
此處
(
こヽ
)
に
涙
(
なみだ
)
を
盡
(
つ
)
くして
語
(
かた
)
り
明
(
あか
)
せば、
夢
(
ゆめ
)
とや
言
(
い
)
はん
春
(
はる
)
の
夜
(
よ
)
あげ
方
(
がた
)
ちかく、
鳥
(
とり
)
がね
空
(
そら
)
に
聞
(
きこ
)
えて
扨
(
さて
)
も
忙
(
せは
)
しなし、
君
(
きみ
)
は
都
(
みやこ
)
に
我
(
わ
)
れは
鎌倉
(
かまくら
)
に、
引
(
ひき
)
はなれて
又
(
また
)
何時
(
いつ
)
かは
逢
(
あ
)
ふべき、
定離
(
ぢやうり
)
の
例
(
ため
)
しを
此處
(
こヽ
)
に
見
(
み
)
れば
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
かつての同級生の愚鈍な顔を思い出さぬ
例
(
ため
)
しは一度もないくらいである。
髪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
生きている人間なんて仕方のない
代物
(
しろもの
)
だな。何を考えているのやら、何を言いだすのやら、仕出かすのやら、自分の事にせよ、
他人事
(
ひとごと
)
にせよ、
解
(
わか
)
った
例
(
ため
)
しがあったのか。鑑賞にも観察にも
堪
(
た
)
えない。
教祖の文学:――小林秀雄論――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
たえて足ぶみを許された
例
(
ため
)
しのなかつた区域なのでした。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「今日まで、自分もずいぶん大戦に臨んだが、まだその規模の大、軍備の
充溢
(
じゅういつ
)
、これほどまで入念にかかった
例
(
ため
)
しはない」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
駈け出して、船より先に西兩國の船着場に來る工夫はないよ、嘘だと思ふなら、
例
(
ため
)
しにやつて見るが宜い
銭形平次捕物控:166 花見の果て
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
無論そうなると、一種
淫虐性
(
ザディスムス
)
の形式だが……往々感情以外にも、何かの感覚的錯覚から解放されず、しかも、絶えず抑圧を続けられる場合に発する
例
(
ため
)
しがあるのだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
わたしは若い時分から、飲んだくれそっくりの
風采
(
ふうさい
)
——とまあいった次第でな。ついぞ女にもてた
例
(
ため
)
しがない。(腰かけながら)妹のやつ、なぜああ、おかんむりなんだろう?
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
だが、ザマニロフカなんちゅう村はこけえらにゃありもしねえし、あった
例
(
ため
)
しもねえだよ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
埋めて行心の正直
律儀
(
りちぎ
)
者昔しも今も町家には
例
(
ため
)
し少なき忠義なり是皆村井長庵が
惡業
(
あくげふ
)
の爲所にして西も東も知らぬ若者の千太郎を
欺
(
あざむ
)
き多くの人に難儀を掛ること
人面
(
にんめん
)
獸心
(
じうしん
)
の
曲者
(
くせもの
)
なり長庵が惡事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ほんとのところは、
未
(
いま
)
だ
嘗
(
かつ
)
て、にんじんのは
撮
(
と
)
った
例
(
ため
)
しがないのだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
献上の品々、さきの
例
(
ため
)
しに劣りがない。……
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
敵にうしろを見せた
例
(
ため
)
しのないわが甲軍が、織田の援軍が近づくと聞くやいな、逃げ走ったと聞えたら、ふたたびこの汚名と
弱味
(
よわみ
)
は
拭
(
ぬぐ
)
われませぬぞ
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「一人で二人の
声色
(
こわいろ
)
を使う手もあるだろう。一人
碁
(
ご
)
を打って、一人が抜け出した
例
(
ため
)
しもあるぜ」
銭形平次捕物控:243 猿回し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ところで、
例
(
ため
)
しに、こういう場合を考えて見給え。あらかじめ、針に
竜舌蘭
(
リネゾルム・オルキデエ
)
の繊維を結び付けて、一方の
扉
(
ドア
)
に軽く突き立てておき、その一端を鍵穴の中に差し入れて、そこへ水を注ぎ込む。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
……だが、人間の
種
(
しゅ
)
とは一体何だ。幻さ、蜃気楼さ。……世の専制者にして幻想家でなかった
例
(
ため
)
しはない。ねえ君、僕はじつによく彼がわかるんだ。僕は彼を買っている。彼の価値を否定しはしない。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
といえば、事長びくも覚悟か、手を
退
(
ひ
)
くかだった。ただの一ぺんでも、法的な処理などつけえた
例
(
ため
)
しはないのである。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どうしたんだ、金富町の
兄哥
(
あにき
)
らしくもない。昔から
下手人
(
げしゅにん
)
に足のなかった
例
(
ため
)
しはないよ」
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
梁楷
(
りょうかい
)
を模し、友松を
倣
(
なら
)
い、時には松花堂の風をまねたりして——。しかし、彫刻は二、三人にも示したが、画はまだかつて、人に見せた
例
(
ため
)
しはない。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どうかしたら、下手人はあの小僧ぢやないでせうか、——木場の
甲州屋
(
かふしうや
)
の主人殺しの時、下手人の小娘が、疑ひを被せられた人を皆んな助けた
例
(
ため
)
しも、あることはありますが——」
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
冥途
(
めいど
)
のみやげに手頃な首はどれだ。どれもこれも
愍
(
あわ
)
れむべき細首。逆に組し、乱の手先に働いて末始終、胴によくつながっている首はあった
例
(
ため
)
しがないぞ。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傅次郎を殺した刄物は——井戸の中か、縁の下の土の中か、いや、いや、いつぞや材木屋で、銘木の
洞
(
うつ
)
ろの中に物を隱して置いた
例
(
ため
)
しがある。こゝにもそんな隱し場所は澤山ある筈だ
銭形平次捕物控:194 小便組貞女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
森公はまた
頗
(
すこぶ
)
る達者で病気一つした
例
(
ため
)
しはなく、十年一日の如く、その生活
定石
(
じょうせき
)
も崩したことがないという。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
例
常用漢字
小4
部首:⼈
8画
“例”を含む語句
慣例
例之
例令
常例
定例
例外
例年
例日
通例
先例
實例
比例
恒例
例証
実例
惡例
例刻
其例
好例
吉例
...