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不気味
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ぶきみ
ふりがな文庫
“
不気味
(
ぶきみ
)” の例文
旧字:
不氣味
左衛門 恐ろしいというよりも
不気味
(
ぶきみ
)
な、たちの悪い夢だった。魂の底にこたえるような。(まじめな顔をして、夢をたどっている)
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
死以上の
不気味
(
ぶきみ
)
な恐怖のうちに、間もなく首にされてしまったので、
影
(
かげ
)
と
影
(
かげ
)
二人法師
(
ふたりほうし
)
のからくりは、まだ相手方へ洩れはしなかった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
院長
(
いんちょう
)
は
不覚
(
そぞろ
)
に
哀
(
あわ
)
れにも、また
不気味
(
ぶきみ
)
にも
感
(
かん
)
じて、
猶太人
(
ジウ
)
の
後
(
あと
)
に
尾
(
つ
)
いて、その
禿頭
(
はげあたま
)
だの、
足
(
あし
)
の
踝
(
くるぶし
)
などを
眴
(
みまわ
)
しながら、
別室
(
べっしつ
)
まで
行
(
い
)
った。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そんなことならいつ自分も、そのへんからとび出してきた怪金属のため、からだをのっとられるかもしれないと思えば、
不気味
(
ぶきみ
)
である。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
おかみさんは、ぶっ
倒
(
たお
)
れるかと思うほどおどろいてしまった。ひょいと見た男の顔が、なんと
怪物
(
かいぶつ
)
そのままの
不気味
(
ぶきみ
)
な顔をしているではないか!
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
▼ もっと見る
引添える禰宜の手に、
獣
(
けもの
)
の毛皮にて、
男枕
(
おとこまくら
)
の如くしたる
包
(
つつみ
)
一つ、
怪
(
あやし
)
き
紐
(
ひも
)
にてかがりたるを
不気味
(
ぶきみ
)
らしく
提
(
さ
)
げ来り、神職の足近く、どさと差置く。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのほうに
素早
(
すばや
)
く目を転じたが、その物すごい
不気味
(
ぶきみ
)
さに
脊髄
(
せきずい
)
まで襲われたふうで、顔色をかえて目をたじろがした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ああした事件で注意をうばわれていたが、風はますますつのり、荒れが一層ひどくなって来るばかりで、例の
不気味
(
ぶきみ
)
なきしみ音もはげしく切迫して来た。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
で、お客は少し
不気味
(
ぶきみ
)
に思いながら、行灯の灯をともしたままで、また
床
(
とこ
)
の中にもぐり込みました。と、しばらくするとまたさっきと同じ声がするのです。それもすぐ
枕元
(
まくらもと
)
で
神様の布団
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
漠然
(
ばくぜん
)
とした
不気味
(
ぶきみ
)
さに小さな
慄
(
ふる
)
えを感じながら、私は階段を静かに降りていたのでございました。と、七階から六階へ通じるところでございましたか、誰も人影はございません。
両面競牡丹
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
お宮の松には
梟
(
ふくろう
)
が
棲
(
す
)
んでいたのじゃがと、その
不気味
(
ぶきみ
)
な鳴声を思いだしながら、暗い
梢
(
こずえ
)
を見上げていると、その木蔭から一羽の鳥が
羽叩
(
はばた
)
きして空を横切っているような気がした。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
子どもたちは、すこし
不気味
(
ぶきみ
)
になって、だれも出そうとするものがありませんでした。
名なし指物語
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
くまは、
低
(
ひく
)
く長くうなりだした。それは、さっきまでほえたような声とちがって、
大敵
(
たいてき
)
に
出会
(
であ
)
った
場合
(
ばあい
)
に、たがいにすきをねらってにらみ合っているような、
不気味
(
ぶきみ
)
なものだった。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
お求めなされて、いろいろと、お宅様の様子など訊きますので、
不気味
(
ぶきみ
)
に思うて居りましたところ、一度何処へか立ち去ったと思うと、又ゆうべも来て立っているではございませぬか
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
⦅斯く申し上げれば閣下は「お前の女房は焼け死んだのではないか」と
反駁
(
はんばく
)
なさるかも知れませんが、私は他ならぬ其の
誤謬
(
ごびゅう
)
を正し私と共々此の
不気味
(
ぶきみ
)
な問題を考えて頂き度いのでありますから
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
「これは
不気味
(
ぶきみ
)
な
天候
(
てんこう
)
になったものだ。」
僕はこれからだ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これは
不気味
(
ぶきみ
)
でならなかつた。
鵠沼雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
じろじろと
不気味
(
ぶきみ
)
そうに見て
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そのうちに、彼等の一部は、
不気味
(
ぶきみ
)
な頭を寄せて、天井の一角を
睨
(
にら
)
んだ。そして見ていると、だんだんと首を違った方角に向け直していった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それが一層、この喬之助の放心したような態度には、言い知れぬ
不気味
(
ぶきみ
)
なものが感じられて、しばらくは口もきけなかったが、やっとのことで
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私
(
わし
)
が
拵
(
こさ
)
へものと
思
(
おも
)
ひながら、
不気味
(
ぶきみ
)
がつて、
何
(
なに
)
か
魔
(
ま
)
の
人
(
ひと
)
が
仕掛
(
しか
)
けて
置
(
お
)
く、
囮
(
おとり
)
のやうに
間違
(
まちが
)
へての。
谿河
(
たにがは
)
を
流
(
なが
)
す
筏
(
いかだ
)
の
端
(
はし
)
へ
鴉
(
からす
)
が
留
(
と
)
まつても
気
(
き
)
に
為
(
す
)
るだよ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
わしはすべての陰気なものを生み出すような
祠
(
ほこら
)
の陰の
湿地
(
しっち
)
にぐじゃぐじゃになって、むらがりはえた一種異様な
不気味
(
ぶきみ
)
な色と形をした無数の
茸
(
きのこ
)
を見つけました。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
思わずふりかえった人びとは、
玄関
(
げんかん
)
に
不気味
(
ぶきみ
)
な人かげをみて、ぎょっと
顔色
(
かおいろ
)
をかえた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
その甲板の上には、ぶよぶよした大きなまるい頭が二、三百、
嘔吐
(
おうと
)
をもよおすほどの
不気味
(
ぶきみ
)
な光景をていしながら、ごったがえしてもみあっている。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
部屋の一方にズラリと立ち並んで、
不気味
(
ぶきみ
)
な生物でも見るように、その一個の人物に眼を据えていると——。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
肱
(
ひぢ
)
をばさりと
振
(
ふつ
)
たけれども、よく
喰込
(
くひこ
)
んだと
見
(
み
)
えてなかなか
放
(
はな
)
れさうにしないから
不気味
(
ぶきみ
)
ながら
手
(
て
)
で
抓
(
つま
)
んで
引切
(
ひツき
)
ると、ぶつりといつてやう/\
取
(
と
)
れる
暫時
(
しばらく
)
も
耐
(
たま
)
つたものではない
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
なにしろどうにも手をつけかねるユダヤ結社のことだった。知る人ばかりは知っていて、
其
(
そ
)
の
不気味
(
ぶきみ
)
な底の知れない恐怖に
戦慄
(
せんりつ
)
をしていたわけだった。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
不気味
(
ぶきみ
)
で
投出
(
なげだ
)
さうとするとずる/″\と
辷
(
すべ
)
つて
指
(
ゆび
)
の
尖
(
さき
)
へ
吸
(
すひ
)
ついてぶらりと
下
(
さが
)
つた
其
(
そ
)
の
放
(
はな
)
れた
指
(
ゆび
)
の
尖
(
さき
)
から
真赤
(
まつか
)
な
美
(
うつく
)
しい
血
(
ち
)
が
垂々
(
たら/\
)
と
出
(
で
)
たから、
吃驚
(
びツくり
)
して
目
(
め
)
の
下
(
した
)
へ
指
(
ゆび
)
をつけてじつと
見
(
み
)
ると
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
救うのがいやだからではないのだ。僕は友人たちがくる前に、船長室のあの
不気味
(
ぶきみ
)
な
飾
(
かざ
)
りものを処分しよう。
死者
(
ししゃ
)
の
霊
(
れい
)
をあつかう役目に僕を任命していただければ、光栄だ
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
肱をばさりと
振
(
ふる
)
ったけれども、よく
喰込
(
くいこ
)
んだと見えてなかなか放れそうにしないから
不気味
(
ぶきみ
)
ながら手で
抓
(
つま
)
んで引切ると、ぷつりといってようよう取れる、しばらくも
耐
(
たま
)
ったものではない
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いや、
様子
(
やうす
)
が
如何
(
いか
)
にも、
我
(
わ
)
が
顔
(
かほ
)
ながら
不気味
(
ぶきみ
)
さうに
見
(
み
)
えた。——
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
ひそ
)
めて
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
なんという
不気味
(
ぶきみ
)
な、いやらしい恰好の地底機関車だろう!
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
顔色
(
かほいろ
)
の
蒼
(
あを
)
ざめた
墨
(
すみ
)
の
法衣
(
ころも
)
の、がんばり
入道
(
にふだう
)
、
影
(
かげ
)
の
薄
(
うす
)
さも
不気味
(
ぶきみ
)
な
和尚
(
をしやう
)
、
鯰
(
なまづ
)
でも
化
(
ば
)
けたか、と
思
(
おも
)
ふたが、——
恁
(
か
)
く/\の
次第
(
しだい
)
ぢや、
御出家
(
ごしゆつけ
)
、……
大方
(
おほかた
)
は
亡霊
(
ばうれい
)
が
廻向
(
えかう
)
を
頼
(
たの
)
むであらうと
思
(
おも
)
ふで、
功徳
(
くどく
)
の
為
(
た
)
め
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
味
常用漢字
小3
部首:⼝
8画
“不気”で始まる語句
不気嫌
不気慊