万事ばんじ)” の例文
旧字:萬事
「そのハルクも、ついでに片づけておきましたよ。万事ばんじ片づいてしまいました。あとは、一意、われわれの計画の実行にとりかかるだけです」
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
万事ばんじこの調子だから驚くです。かう云ふ事には最も理解があるき文壇でさへ、イズムで人間を律しようとするんですからな。
饒舌 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いつも、こうした取引とりひきにかけては、万事ばんじ自分じぶんまねていて、ぬけめがないとはおもいましたが、ねんのためにきいたのでした。
トム吉と宝石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
全体騾馬というのを満洲へ来て始めて見たが、腹が太くって、背が低くって、総体が丸くたくましくって、万事ばんじ邪気のないような好い動物である。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「じゃあ一つ、わしがそれを生捕いけどってあげよう。そのかわり、ほんとに生捕ることが出来たら、手荒なことをしないで、万事ばんじわしにまかしてくれるかね」
狸のお祭り (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
生死以外せいしいがいにも産土うぶすな神様かみさまのお世話せわあずかることは数限かずかぎりもございませぬが、ただ産土うぶすな神様かみさまわば万事ばんじ切盛きりもりをなさる総受附そううけつけのようなもので
博雄の行李を埋めた土の上に、更に土をかぶせ、水をかけ、万事ばんじ終了しゅうりょうの意識で心も軽く立ちあがった。ほんとうの学童疎開の日は、二三日さきのことだ。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
「知れたもんさ。しかし金で女を買ふなんざア、ちツとおひと好過よすぎらア。ぼくア公園で二三けん待合まちあひを知つてるよ。連れてツてやらう。万事ばんじ方寸はうすんうちにありさ。」
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
万事ばんじ心得たと云ってくれたが、半次郎、今夜の中に清兵衛さんの船へ、行っていたらどうだねえ。
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
万事ばんじは夜が明けてからのことです。それまでにじゅうぶん鋭気をやしなっておかねばなりません。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかしわたくしうまれたそのより今日こんにちまで、えず苦痛くつうめているのです、それゆえわたくし自分じぶん貴方あなたよりもたかいもの、万事ばんじにおいて、よりおお精通せいつうしているものとみとめておるです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「そうとも、そうともお前、万事ばんじ都合つごうよくいったというものよ、久子」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
一切いっさい万事ばんじ控目ひかえめにして世間の耳目じもくれざるの覚悟かくごこそ本意なれ。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「私のほうの学校はみんないい方ばかりで、万事ばんじすべてまるくいっていますから、始めて来た方にも勤めいいです。貴下あなたも一つ大いに奮発していただきたい。俸給もそのうちにはだんだんどうかなりますから……」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
今日きょうから、むらのものたちは、万事ばんじあつまりや、約束やくそく時間じかんを、この時計とけいによってしなければならぬとおもったからであります。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ラツールと玉太郎とは、もう万事ばんじあきらめ、たがいにしっかり抱きあい、ポチも二人のあいだへ入れて、最期さいごはいつ来るかと、それを待った。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「知れたもんさ。しかし金で女を買うなんざア、ちッとおひと好過よすざらア。僕ァ公園で二、三軒待合まちあいを知ってるよ。連れてッてやろう。万事ばんじ方寸ほうすんうちにありさ。」
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
少くとも国家を代表するかの如き顔をして万事ばんじ振舞ふるまうに足る位の権力家である。今政府の新設せんとする文芸院は、この点においてまさしく国家的機関である。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『で、きみ万事ばんじエウゲニイ、フェオドロイチのことばしたがうように、ねえきみたのむから。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
匪賊ひぞく首領かしらは降参して、心から玄王に仕えることになりました。が、まだあちこちに、玄王の元の部下もおれば、匪賊達もいます。李伯将軍が万事ばんじ指図をして、それらをみな治めることになりました。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
船長ノルマンは、自分たちに都合のよいことばかりかんがえ、そして万事ばんじぬかりのないように、先の段取だんどりを、心のうちに決めたのであった。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
人間にんげんつくった、機械きかいにはくるいがあるが、おさまのおあるきなさるみちにちがいはない。」といって、おじいさんだけは、日時計ひどけいいて、時刻じこくたので、万事ばんじ
幸福の鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
馬鹿ばか云つちや不可いけない。発起人つて、表向おもてむきの発起人ぢやない。たゞ僕がさう云ふくわいを企だてたのだ。つまり僕が原口さんをすゝめて、万事ばんじ原口さんが周旋する様にこしらへたのだ」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三木がそういったので、万事ばんじは決った。もちろん隆夫は協力を同意したし、二宮も手を貸すといい、四方までが、ぼくにも手伝わせてくれと申出た。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
わたしのだいきらいなかぜたらないし、人間にんげん万事ばんじいいようにしてくれますからね。しかし、なにしろ高価こうかなことをいいますから、ちょっとおきゃくがわたしにはせないのです。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もちろん、仏にとっては、そんなわずらわしいことに、頭を使いたくなかったので、万事ばんじアンにまかせることに同意した。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いなかに、じっとしていれば、心配しんぱいなしだが、一足ひとあしたびれば、かねよりたよりになるものはない。万事ばんじかねなかだけ、かねのありがたみもわかるが、また、かねがおそろしくもなる。
かたい大きな手 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さすがに海底超人の新人たるロロー殿下は、博士の言葉をよくかみわけ、そして博士に万事ばんじをまかせたのである。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
金持かねもちは、みずをやったり、肥料こやしをやったり、てたりしましたが、はなは、ちいさなときから、したしく、れた、おじいさんのはなれてしまったので、万事ばんじ調子ちょうしわったとみえて、しだいに
花と人間の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そう決めましょう。じゃ万事ばんじよろしく」捜査課長は、何が嬉しいのか、帆村の手をギュッと握った。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なぜドイツ側の手に入ると、万事ばんじがおしまいになるのですか。一体、どんなことが起るのですか——
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そこへ入っていった岡部の顔を見ると、少佐は、いちはやく万事ばんじを察したが、それとは口に出さず
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
万事ばんじ明白めいはくになるからと、しきりにその事を申し述べたのであるが、車掌と憲兵とは、それを実行しようとも何とも言わずに、彼を三等車の隅っこに押しこんで、附近の乗客に
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「なんだか、薬壜くすりびんのようだネ」万事ばんじ了解りょうかいしたらしい様子の帆村が、低声こごえで云った。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「え、そいつは、すばらしいじゃないか。たいへんな金もうけがころがりこんだものだ。いや……お前、これは大もうけになるぜ。おれに万事ばんじをまかせなよ。そして利益は五分五分に分けよう」
透明猫 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その野獣的な彼らの形相ぎょうそうに、また太古たいこのままの好戦的な性格まるだしの有様ありさまに、僕はいささかひるみはしたけれど、ここで決心を曲げては万事ばんじ水の泡と思い、こっちも負けずに大声を張りあげた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「いや、今度ばかりは、おれは駄目さ。始めからそう思っていたし、それにこの部屋を一目見て断念したよ。おれには科学は苦手さ。君に万事ばんじを頼む」と、いつになく白木は、あっさりさじをなげて
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
頑固だったオンドリも、ついに礼をいって、万事ばんじを相手にまかせた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「はい、はじめてですから、万事ばんじまごついてばかりいます」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「一体どうすりゃいいんです。艇長に万事ばんじ一任いちにんしますよ」
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もし此処で卒倒そっとうしたらば、それで万事ばんじきゅうすだ!
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「うふ。組長は、万事ばんじぬかりが、ねえな」
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
丁坊ははじめて万事ばんじをさとった。
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「私が万事ばんじ心得ています」
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
万事ばんじきゅうす!
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)