一名いちめい)” の例文
すなすべりのたに一名いちめいたにばるゝほどで、一度いちどこのあななか陷落かんらくしたるものは、到底とうていがれこと出來できないのである。
日本につぽんける大地震だいぢしん統計とうけいによれば、あまおほきくない町村ちようそんおいて、潰家かいか十一軒毎じゆういつけんごと一名いちめい死者ししやしようずる割合わりあひである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
さかうへはうから、いちごだ、いちごだ、と威勢ゐせいよくよばはりながら、跣足はだしですた/\とりてる、一名いちめいわつぱがある。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
この温帶林おんたいりんにはどんな樹木じゆもく生育せいいくしてゐるかといふと、一番いちばんいちじるしいのがぶなのです。本帶ほんたい一名いちめい椈帶ぶなたい』といふのもぶなが、その代表だいひよう樹種じゆしゆであるからです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
大空の丁度ちょうどま上に見える琴座ことざの一等星ベガ一名いちめい織女星しょくじょせいを目がけて、グングン高くのぼり始めた。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
右の写本しやほん一名いちめいつき三日間みつかかん留置とめおきおきてで社員へまわしたのです、すると、見た者は鉛筆えんぴつ朱書しゆがき欄外らんぐわいひやうなどを入れる、其評そのひやうまた反駁はんばくする者が有るなどで、なか/\面白おもしろかつたのであります
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
このついでにしるしてきたいのは、飛騨ひだ信濃しなの國境こつきようにある硫黄嶽いおうだけ一名いちめい燒岳やけだけたか二千四百五十八米にせんしひやくごじゆうはちめーとる)である。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
獅子しゝ友呼ともよび!。』と一名いちめい水兵すいへいさゝやいた。成程なるほど遠雷えんらいごと叫聲さけびごゑ野山のやま響渡ひゞきわたると、たちま其處そこもりからも、彼處かしこ岩陰いはかげからも三頭さんとう五頭ごとう猛獸まうじうぐんをなしてあらはれてた。
そのくせをかしいぢやありませんか。名所圖繪めいしよづゑなぞますたびに、めうにあのてらりますから、つてゐますが、寶物はうもつに(文幅茶釜ぶんぶくちやがま)——一名いちめい茶釜ちやがま)ありはうです。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おれは道夫をよろこばせ、つ愉快に勉強させてやろうと思って、これを買って来たんだ。これ一名いちめい親心おやごころのレコードという。道夫、さあ、かけてごらん。「算術さんじゅつの歌」というラベルの方だよ。
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二萬六千にまんろくせん人口中じんこうちゆう地下室ちかしつ監禁かんきんされてゐた一名いちめい囚徒しゆうとのぞほかこぞつて死滅しめつしたことにおい有名ゆうめいである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
いま工事中こうじちゆうであるから、明瞭あきらかこと出來できぬが、その一種いつしゆてい前端ぜんたん裝置さうちされたるきはめて強硬きようこうなる、またきはめて不思議ふしぎなる「衝角しやうかく一名いちめい敵艦衝破器てきかんしやうはき」とばれたる軍器ぐんき
ときに、一名いちめい弘法こうぼふ露呈あらはなことは、白膏はくこう群像ぐんざうとまではかないが、順禮じゆんれい道者だうじやむらむすめ嬰兒あかんぼいたちゝく……ざい女房にようばう入交いれまじりで、下積したづみ西洋畫せいやうぐわかは洗濯せんたくする風情ふぜいがある。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このこと西暦せいれき千九百二年せんくひやくにねん五月八日ごがつやうかマルチニックとうプレーさん噴火ふんかついしるしたとほりであるが、サンピール二萬六千にまんろくせん人口中じんこうちゆう生存者せいぞんしや地下室ちかしつ監禁かんきんされてゐた一名いちめい囚徒しゆうとのみであるので
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)