“風説(うはさ)” の例文
「あゝ……いまも風説(うはさ)をして、案(あん)じて居(ゐ)ました。お住居(すまひ)は澁谷(しぶや)だが、あなたは下町(したまち)へお出掛(でか)けがちだから。」
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
龍華寺の信如が我が宗の修業の庭に立出る風説(うはさ)をも美登利は絶えて聞かざりき、有し意地をば其まゝに封じ込めて、此處しばらくの怪しの現象(さま)に我れを我れとも思はれず
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……船中(せんちう)にて然(さ)やうな事(こと)は申(まを)さぬものだが、龍宮場末(りうぐうばすゑ)の活動寫眞(くわつどうしやしん)が宣傳(プロパガンダ)をするやうな風説(うはさ)を聞(き)いて、乘(の)らざるべけんやと、旅費(りよひ)の苦(くる)しいのが二人(ふたり)づれで驅出(かけだ)した。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
人形抱いて頬ずりする心は御華族の御姫樣とて變りなけれど、修身の講義、家政學のいくたても學びしは學校にてばかり、誠あけくれ耳に入りしは好いた好かぬの客の風説(うはさ)
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
丸岡(まるをか)の建場(たてば)に俥(くるま)が休(やす)んだ時(とき)立合(たちあは)せた上下(じやうげ)の旅客(りよかく)の口々(くち/″\)から、もうお米(よね)さんの風説(うはさ)を聞(き)きました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
人形抱いて頬(ほう)ずりする心は御華族のお姫様とて変りなけれど、修身の講義、家政学のいくたても学びしは学校にてばかり、誠あけくれ耳に入(い)りしは好いた好かぬの客の風説(うはさ)
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
家政學(かせいがく)のいくたても學(まな)びしは學校(がくかう)にてばかり、誠(まこと)あけくれ耳(みゝ)に入(い)りしは好(す)いた好(す)かぬの客(きやく)の風説(うはさ)、仕着(しき)せ積(つ)み夜具(やぐ)茶屋(ちやゝ)への行(ゆき)わたり、派手(はで)は美事(みごと)に、かなはぬは見(み)すぼらしく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
後(あと)で、近所(きんじよ)でも、誰(たれ)一人(ひとり)此(こ)の素(す)ばらしい群(むれ)の風説(うはさ)をするもののなかつたのを思(おも)ふと、渠等(かれら)は、あらゆる人(ひと)の目(め)から、不可思議(ふかしぎ)な角度(かくど)に外(そ)れて、巧(たくみ)に逸(いつ)し去(さ)つたのであらうも知(し)れぬ。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
父親(てておや)和尚は何処(どこ)までもさばけたる人にて、少しは欲深の名にたてども人の風説(うはさ)に耳をかたぶけるやうな小胆にては無く、手の暇あらば熊手の内職もして見やうといふ気風なれば
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
旅僧(たびそう)は冷々然(れい/\ぜん)として、聞(きこ)えよがしに風説(うはさ)して惡樣(あしざま)に罵(のゝし)る聲(こゑ)を耳(みゝ)にも入(い)れざりき。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
父親和尚(ちゝおやおしよう)は何處(どこ)までもさばけたる人(ひと)にて、少(すこ)しは欲深(よくふか)の名(な)にたてども人(ひと)の風説(うはさ)に耳(みゝ)をかたぶけるやうな小膽(せうたん)にては無(な)く、手(て)の暇(ひま)あらば熊手(くまで)の内職(ないしよく)もして見(み)やうといふ氣風(きふう)なれば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
当時(たうじ)飛鳥(とぶとり)も落(お)ちると言(い)ふ、お妾(めかけ)が一人(ひとり)乗(の)つて出(で)たが、船(ふね)の焼出(やけだ)したのは、主(ぬし)が見(み)さしつた通(とほ)りでがす。——其(そ)の妾(めかけ)と言(い)ふのが、祖父殿(おんぢいどん)の許嫁(いひなづけ)で有(あ)つたとも言(い)へば、馴染(なじみ)だとも風説(うはさ)したゞね。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
よもや植木屋(うゑきや)の息子(むすこ)にてはあるまじく、さりとて誰(た)れ住替(すみかは)りし風説(うはさ)も聞(き)かねば外(ほか)に人(ひと)の有(あ)る筈(はず)なし、不審(いぶかし)さよの底(そこ)の心(こゝ)ろは其人(そのひと)床(ゆか)しければなり、用(よう)もなき庭歩行(にはあるき)にありし垣根(かきね)の際(きは)
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
少しは欲深の名にたてども人の風説(うはさ)に耳をかたぶけるやうな小膽にては無く、手の暇あらば熊手の内職もして見やうといふ氣風なれば、霜月の酉(とり)には論なく門前の明地に簪(かんざし)の店を開き
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
思ひのまゝに遊びて母が泣きをと父親の事は忘れて、十五の春より不了簡をはじめぬ、男振にがみありて利發らしき眼ざし、色は黒けれど好き樣子(ふう)とて四隣(あたり)の娘どもが風説(うはさ)も聞えけれど
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其(その)恨(うら)み骨髓(こつずい)に徹(とほ)りてそれよりの見(み)る目横(めよこ)にか逆(さか)にか、女髮結(をんなかみゆひ)の留(とめ)を捉(と)らへて珍事(ちんじ)唯今(たゞいま)出來(しゆつたい)の顏(かほ)つきに、例(れい)の口車(くちぐるま)くる/\とやれば、此(この)電信(でんしん)の何處(いづく)までかゝりて、一町(てう)毎(ごと)に風説(うはさ)は太(ふと)りけん
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
惡い風説(うはさ)を立てられた事も無き筈を、天魔の生れがはりか貴樣といふ惡者(わる)の出來て、無き餘りの無分別に人の懷でも覗うやうにならば、恥は我が一代にとゞまらず、重しといふとも身代は二の次
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)