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頑
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かたくな
ふりがな文庫
“
頑
(
かたくな
)” の例文
仮令
(
たとえ
)
幾晩となく眠られない夜が続きに続いて彼の小さな魂を揺するようにしても、
頑
(
かたくな
)
な捨吉は独りで耐えられるだけ耐えようとした。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あのやうに
頑
(
かたくな
)
な親の側へやるよりは御邸に置いて、何の不自由なく暮させてやらうと云ふ難有い御考へだつたやうでございます。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
苛酷
(
かこく
)
な冬が来る、恐しい日は始ったのだ。——彼は身に降りかかるものに対して身構えるように、じっと
頑
(
かたくな
)
な気持で畳の上に蹲っていた。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
イエスは彼らの心のあまりの
頑
(
かたくな
)
さに心の底から深く嘆き給い、塵を足の裏より払ってただちにダルマヌタを引き揚げ給いました。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
わがなほ
頑
(
かたくな
)
にして動かざるをみて彼少しく心をなやまし、子よ、ベアトリーチェと汝の間にこの壁あるを見よといふ 三四—三六
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
▼ もっと見る
衣の綻びたるは、
墻
(
かき
)
踰
(
こ
)
え
籬
(
まがき
)
を
穿
(
うが
)
ちし時の
過
(
あやまち
)
なり。われ。さらば女はいかなりし。渠。晝見しよりも美しかりき。美しくして
頑
(
かたくな
)
ならざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
旧
(
むかし
)
に返し得べき未練の吾に在りとや想へる、愚なる精衛の
来
(
きた
)
りて
大海
(
だいかい
)
を
填
(
うづ
)
めんとするやと、
却
(
かへ
)
りて
頑
(
かたくな
)
に自ら守らんとも為なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それは村の者の
愚
(
おろ
)
かしさの
印
(
しる
)
しであろうか、それともその老外人の
頑
(
かたくな
)
な気質のためであろうか? ……そう言うような話を聞きながら、私は
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
これまで決していい目は見て来なかったが、順吉は
頑
(
かたくな
)
な男ではなかった。頼りない身の上であったから、それだけにまた人の親切は身にしみた。
夕張の宿
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
そして姫にもここへ来て
頑
(
かたくな
)
な範宴の心をうごかせとすすめるように姫の方を見たが、姫は地へ泣き伏しているのみである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
本当に嫌やでたまらない
彼
(
あ
)
の他人の冷たい家の中に、
頑
(
かたくな
)
な心冷たい気持で帰つて行かねばならぬ情なさに迫まらるれば
乞食の名誉
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
時々異様な感傷を覚えたが、それと戦って、そしてそれに対抗せしむるに、最近二十年間に得た
頑
(
かたくな
)
な心をもってした。そういう状態は彼を疲らした。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
頑
(
かたくな
)
な口調であった。一寸扱いかねる感じだったが、宇治は何か放っておけない気持でなお執拗に言葉をついだ。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
けれども、
頑
(
かたくな
)
な当麻氏の語部の古姥の為に、我々は今一度、去年以来の物語りをしておいても、よいであろう。まことに其は、
昨
(
きぞ
)
の日からはじまるのである。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
犬ならチンチン、オアズケなどするのであるが、このタマ貰い小僧どもはミジンもユーモアなく稚風なく、ただタマを返送すべきことを
頑
(
かたくな
)
に要求する態である。
神経衰弱的野球美学論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そしていちがいに嘲弄されたと思った自分の、
頑
(
かたくな
)
な心ざまをかえりみて脇のあたりにじっとりと汗を感じた。だが
文
(
ふみ
)
はそこからしだいに強い語調に変っていた。
菊屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
度の過ぎた
潔癖症
(
けっぺきしょう
)
の果てが狂気に通ずるように、
頑
(
かたくな
)
なその一途さはふと常規を外れていたかも知れない。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
彼
(
かれ
)
は
極
(
きは
)
めて
頑
(
かたくな
)
で、
何
(
なに
)
よりも
秩序
(
ちつじよ
)
と
云
(
い
)
ふことを
大切
(
たいせつ
)
に
思
(
おも
)
つてゐて、
自分
(
じぶん
)
の
職務
(
しよくむ
)
を
遣
(
や
)
り
終
(
おほ
)
せるには、
何
(
なん
)
でも
其鐵拳
(
そのてつけん
)
を
以
(
もつ
)
て、
相手
(
あいて
)
の
顏
(
かほ
)
だらうが、
頭
(
あたま
)
だらうが、
胸
(
むね
)
だらうが
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
いつもは居づらそうにしてすぐ立って行くお安が、たどたどしく糸目を
辿
(
たど
)
りながら、つづきの座敷に朝から
頑
(
かたくな
)
に居坐っている。あてつけがましくていい気持がしない。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
パウロも「神は
頑
(
かたくな
)
にせんと欲するものを頑にし、順にせんと欲するものを順にす」といっている。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
庸三は汽車のなかで、その時の
頑
(
かたくな
)
な態度と、露骨な争闘とを思い出していたが、瑠美子を庸三から引きわけて胸に抱きしめながら、嘆いていた彼女の姿も目に浮かんだ。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
夫よりはるかに複雑でない性質の彼女は、自分の道徳上の誠意のうちに、また、自分の義務としてる多少
頑
(
かたくな
)
な理知的なしかしごく高尚な意見のうちに、うずくまり込んでいた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
... も
欺
(
あざむ
)
きぬ。……
類
(
たぐい
)
なき
艶色
(
えんしょく
)
、
前
(
さき
)
の日七尾の海の渡船にて見参らせし
女性
(
にょしょう
)
にも勝りて)……と云って……(さるにても、この若き女房、心
頑
(
かたくな
)
に、
情
(
なさけ
)
冷
(
つめた
)
く、言わむ方なき
邪慳
(
じゃけん
)
にて、)
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
街の悪童の
漫罵
(
まんば
)
の中に、
泥酔
(
でいすい
)
した父親を背負って帰る屈辱感が、ベートーヴェンの負けじ魂を一層
頑
(
かたくな
)
なものにし、
荊
(
いばら
)
の道を渋面作って踏み破る最初のスタートになったのであろう。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
私はおまえのいうことを素直に
受容
(
うけい
)
れる。だが、この言葉はまた、おまえ自身、
頑
(
かたくな
)
な現実の壁に行き
当
(
あた
)
って、さまざまに苦しみ抜いた果ての体験から来る
自戒
(
じかい
)
の言葉ではあるまいか。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
わたしの
頑
(
かたくな
)
なむしろむごたらしい気もちはこんなに永い間お前を封じていた。
みずうみ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
この青道心のかちかちに
頑
(
かたくな
)
だつた青頭も、いつのまにかふつくりと黄熟する。
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
季子
(
すゑのこ
)
作之治なるものが
一〇
生長
(
ひととなり
)
の
頑
(
かたくな
)
なるをうれひて、京の人見するとて、
一一
一月あまり二条の
別業
(
べつげふ
)
に
逗
(
とど
)
まりて、
三月
(
やよひ
)
の
末
(
すゑ
)
一二
吉野の奥の花を見て、知れる寺院に七日ばかりかたらひ、此のついでに
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
手束弓
(
たづかゆみ
)
紀の
関守
(
せきもり
)
が
頑
(
かたくな
)
に 碩
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
あのやうに
頑
(
かたくな
)
な親の側へやるよりは御邸に置いて、何の不自由なく暮させてやらうと云ふ難有い御考へだつたやうでございます。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
岸本の過去は不思議なくらい
艱難
(
かんなん
)
な日の連続で、たださえ
頑
(
かたくな
)
な彼はその戦いのために余計に自分の心を堅く閉じ
塞
(
ふさ
)
げてしまった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
されどパードヴァは、その民
頑
(
かたくな
)
にして義に
背
(
そむ
)
くにより、程なく招の
邊
(
ほとり
)
にて、かのヴィチェンツァを洗ふ水を變へむ 四六—四八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
ペツポ怒りて、
頑
(
かたくな
)
なる女かな、この木履もてそちが頭に、ピアツツア、デル、ポヽロの
通衢
(
おほぢ
)
のやうなる穴を
穿
(
あ
)
けんと叫びぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
父は僕に対しては多く
頑
(
かたくな
)
な無関心な態度でいて、うち解けてくれることもすくないのです。それに父はあまり僕を好きではないらしいようです。
わが師への書
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
ひとつ、
某女
(
そなた
)
が兄半兵衛と共に参って、そこの
頑
(
かたくな
)
な敵の城門を叩いてみるのだ。よいかの。真心をこめて訪れるのだ。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
枕をも
得挙
(
えあ
)
げざりし病人の今かく
健
(
すこやか
)
に起きて、常に来ては親く慰められし人の
頑
(
かたくな
)
にも強かりしを、
空
(
むなし
)
く
燼余
(
じんよ
)
の断骨に
相見
(
あひみ
)
て、弔ふ
言
(
ことば
)
だにあらざらんとは
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
しかし教えを聞き、模範を見るだけでは、この
頑
(
かたくな
)
な人の心は悔い改めて神の霊を受けることができないのです。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
私はこの人を愛してはゐないと常に
頑
(
かたくな
)
に言ひ張る声をききつづけねばならぬのは、この人の場合に限つて
狼園
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
彼はただ
頑
(
かたくな
)
な姿勢で暗い年月を堪えてゆこうとした。が、次第に彼は茫然として思い耽るばかりだった。
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
彼
(
かれ
)
は
極
(
きわ
)
めて
頑
(
かたくな
)
で、
何
(
なに
)
よりも
秩序
(
ちつじょ
)
と
云
(
い
)
うことを
大切
(
たいせつ
)
に
思
(
おも
)
っていて、
自分
(
じぶん
)
の
職務
(
しょくむ
)
を
遣
(
や
)
り
終
(
おお
)
せるには、
何
(
なん
)
でもその
鉄拳
(
てっけん
)
を
以
(
もっ
)
て、
相手
(
あいて
)
の
顔
(
かお
)
だろうが、
頭
(
あたま
)
だろうが、
胸
(
むね
)
だろうが
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
少年のをり、土井は誰よりもその兄に愛されてゐた。
頑
(
かたくな
)
で
我儘
(
わがまゝ
)
で、そして
時
(
とき
)
としてはひどい
怠
(
なま
)
けものであつた異腹の末弟の彼を、兄は何んな場合にも自分の子供のやうに愛した。
閾
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
(ああ、われこそは心
頑
(
かたくな
)
に、
情
(
なさけ
)
なく邪慳無道であったずれ。耳うときものの人十倍、心のひがむを、
疾
(
やまい
)
なりとて、神にも人にも許さるべしや。)と
追
(
おッ
)
つけ、
慚愧
(
ざんき
)
後悔をするのです。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だが、この言葉はまた、おまえ自身、
頑
(
かたくな
)
な現実の壁に行き当って、さまざまに苦しみ抜いた果ての体験から来る自戒の言葉ではあるまいか。とすれば、おまえの血と汗の籠った言葉だ。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
北ノ坪の入口に
築泥
(
ついじ
)
の高塀をつくり、善世という
頑
(
かたくな
)
な召次のほか、男と名のつくものは一切奥へ入れぬようにしたが、間もなく姉娘の葛木姫が泰文の眼をぬすんで法皇に嘆願の文を上げたので
無月物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
おせんはそう答えるが、伏し眼になった姿勢はそういう好意を受ける気持のないことを
頑
(
かたくな
)
なほど表明していた。……そうなのだ、幸太の言葉を聞きながら、おせんは心のうちで庄吉に呼びかけていた。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ただただそれが
頑
(
かたくな
)
な心のあらわれのように見られることはいかにも残念であるとするのが、彼の包み隠しのないところである。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
思ふに今日地上を歩むいかに
頑
(
かたくな
)
なる人といふとも、このときわがみしものをみて
憐憫
(
あはれみ
)
に刺されざることはあらじ 五二—五四
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
また神はエジプトのパロの心を
頑
(
かたくな
)
にして、モーセの数度の努力にかかわらず、イスラエルに苦難を与え給うた。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
人いちばい
権
(
けん
)
をふるったり意慾を
恣
(
ほしいまま
)
にしたけれど、こういう人間ほど、半面には、
頑
(
かたくな
)
なくらいな道徳的良心をもっているので、失脚すると共に自己の良心で
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われは歸るさに
故意
(
わざ
)
と手帳を
遺
(
わす
)
れ置きぬ。そは日暮れて再び往かん爲めなり。
原
(
も
)
と女といふものは、只二人居向ひては
頑
(
かたくな
)
ならぬが多し。さて我は再び往きぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
“頑”の意味
《名詞・形容動詞》
(かたくな)頭が固く、他人の考えを拒む様子。
《形容動詞》
(ガン) (「頑として」の形で)人の意見や助言などを拒むさま。
(出典:Wiktionary)
頑
常用漢字
中学
部首:⾴
13画
“頑”を含む語句
頑固
頑丈
頑童
頑強
頑愚
頑是
頑張
頑癬
頑冥
頑健
頑迷
頑陋
頑固爺
頑固者
頑冥不霊
頑然
頑民
頑執
昏庸頑夫
頑固親爺
...