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雑作
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ぞうさ
ふりがな文庫
“
雑作
(
ぞうさ
)” の例文
旧字:
雜作
彼らはもう売る物も、人に
頒
(
わ
)
けるものもないほど、すべてが衣食についやされたあとだったので、家を立ち退くには
雑作
(
ぞうさ
)
はなかった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
事も
雑作
(
ぞうさ
)
もあるものではない、とお角さんが張りきってこのことを伊太夫に申し出ると、伊太夫もこの際、一応はそれを承認しました。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私が彼奴を縛って行くのは
雑作
(
ぞうさ
)
もありませんが、あいつが
入牢
(
じゅろう
)
して吟味をうける。兇状が決まって江戸じゅうを引き廻しになる。
半七捕物帳:03 勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
苟
(
いや
)
しくも棟梁といわれる大工さん、それが出来ないという話はない、漆喰の塗り下で小舞貫を切ってとんとんと打っていけば
雑作
(
ぞうさ
)
もなかろう。
佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そこで打ち明けた話を腹蔵なく主人にすると、主人はなるほどなるほどと聞いているだけであったが、しまいに
雑作
(
ぞうさ
)
なく
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
御船蔵につないでおいた
安宅丸
(
あたけまる
)
が、鎖を切ってひとりで三崎まで流れていったためしもあるんだから、ちょっと細工さえすりゃア
雑作
(
ぞうさ
)
なくやれそうだ。
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
(もう
算術
(
さんじゅつ
)
だっていっこうひどくない。字だって
上手
(
じょうず
)
に書ける。算術帳とだって国語帳とだって
雑作
(
ぞうさ
)
なく書ける)
みじかい木ぺん
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ところがこの老人は三段のスロープの
蔭
(
かげ
)
に自分たちを連れて行って、何の
雑作
(
ぞうさ
)
もなく雪の上で大きい焚火をしてわれわれを暖めて見せてくれたのであった。
雪の十勝:――雪の研究の生活――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
こんどは、表の戸が
雑作
(
ぞうさ
)
なくあいた。けれども、中には、見た事も無い老婆がひとりいただけであった。
未帰還の友に
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それは人間ぐらいの大きさの花瓶に
蝦夷菊
(
えぞぎく
)
の花を山盛りに挿したもので、四五人がかりでもドウかと思われるのをその紳士は何の
雑作
(
ぞうさ
)
もなく一人で抱え
除
(
の
)
けますと
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
徳之助 何の、
雑作
(
ぞうさ
)
もないことさ。(酒造家の方へ行きかけ)我ながら旅ずれがしてきたかと思いながら、
楽
(
らく
)
に育った者の意気地なしで、大きな構えの家へは行き難い。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
少年の最も
懸念
(
けねん
)
したのは、青木主膳の眠りを破ることよりも、老女が眼をさますことであったが、運よく誰にも気が付かれずに廊下へ出ると、あとは何の
雑作
(
ぞうさ
)
もなかった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そこから階段を昇ってゆくと、私は友達に教えられた部屋の
扉
(
ドア
)
を認めました。鍵を持っているので、
雑作
(
ぞうさ
)
もなしに扉をあけて、私はその部屋の内へはいることが出来ました。
世界怪談名作集:15 幽霊
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
なに馬鹿馬鹿しい程
雑作
(
ぞうさ
)
もない方法だったのですが、それを実行する土地を探すのには
可也
(
かなり
)
手間どりました。ただ最初から中央線の沿線ということ丈けは見当をつけていました。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
なに、洗濯屋に出すから
好
(
い
)
いと言っても、
此様
(
こん
)
な物を洗うのは
雑作
(
ぞうさ
)
もないといって聴かなかった。私は又嬉しくなって、
此様
(
こん
)
な事なら
最
(
もっ
)
と早く敬意を表すれば好かったと思った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
勿論
(
もちろん
)
これは
雑作
(
ぞうさ
)
も
無
(
な
)
いことですが、それには
別室
(
べっしつ
)
の
修繕
(
しゅうぜん
)
を
要
(
よう
)
すると
云
(
い
)
うそのことです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
葉子がこの侍女を絶対安全な
乾分
(
こぶん
)
に仕立てあげるのは、何の
雑作
(
ぞうさ
)
もないことであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「やいっ、今の若党、出てうせいっ。ようも、わしが家来を、投げおったな。出てうせねば、討ち入るぞよ。こんな、古土塀の
一重
(
ひとえ
)
や
二重
(
ふたえ
)
、蹴つぶして通るに、なんの
雑作
(
ぞうさ
)
もないわ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一声
(
ひとこえ
)
くりかへすと、ハヤきこえずなりしが、やうやう心たしかにその声したる
方
(
かた
)
にたどりて、また坂ひとつおりて一つのぼり、こだかき所に立ちて
瞰
(
み
)
おろせば、あまり
雑作
(
ぞうさ
)
なしや、堂の
瓦屋根
(
かわらやね
)
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
初手
(
しょて
)
からいってる
通
(
とお
)
り、おめえやお
袋
(
ふくろ
)
の
臍
(
へそ
)
くりから、
引
(
ひ
)
っ
張
(
ぱ
)
り
出
(
だ
)
そうたァいやァしねえや。
狙
(
ねら
)
いをつけたなあの
若旦那
(
わかだんな
)
、
橘屋
(
たちばなや
)
の
徳太郎
(
とくたろう
)
というでくの
棒
(
ぼう
)
よ。ふふふふ。
何
(
な
)
んの
雑作
(
ぞうさ
)
もありァしねえ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
のみならずやはりいくらかは自分に似ているような気もした。顔の長さが二寸ぐらいで塗りつぶすべき面積が狭いだけに思ったよりは
雑作
(
ぞうさ
)
なく顔らしいものができた、と思ってちょっと愉快であった。
自画像
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
たかが知れた猫女、取り戻すのに
雑作
(
ぞうさ
)
はないわい。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
竜之助は近寄って、何の
雑作
(
ぞうさ
)
もなく、いま中へ飛び込もうとする足をグッと持って引っぱると、たあいもなく下へ落ちました。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
切り抜ける手はいくらもあるが、
手詰
(
えづめ
)
に出られると
跳
(
は
)
ねつける勇気はない。もう少し冷刻に生れていれば何の
雑作
(
ぞうさ
)
もない。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
腕に覚えはある、刀は銘刀である、骨の細い女ひとりを
打
(
ぶ
)
っ放すのは、なんの
雑作
(
ぞうさ
)
もないことではあるが、八橋を切る——それを思うと、彼はなんだか腕がふるわれた。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
憚
(
はゞか
)
りながら、御城中へ忍び入りまして、殿下のお命を亡きものにして参りましょう、それなら何の
雑作
(
ぞうさ
)
もないことでござりますと、至極やす/\と申しますので、なるほど
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ああ、遠くからですね」
鳥捕
(
とりと
)
りは、わかったというように
雑作
(
ぞうさ
)
なくうなずきました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
御城番
(
ごじょうばん
)
の
膝下
(
ひざもと
)
でさえ、夜ごとに、五人や七人の生血を塗った助広はここにある。ぶッた斬ろうと思う分には、女の一人や半分は、なんの
雑作
(
ぞうさ
)
もねえところだ。それをやらねえお十夜の
肚
(
はら
)
の底を
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(さあどうぞお構いなく、とんだご
雑作
(
ぞうさ
)
を頂きます。)
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私の鼓膜は
雑作
(
ぞうさ
)
なしにハッキリと受け入れた。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
誠に
雑作
(
ぞうさ
)
もないことです。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「息を吹き返させるのは
雑作
(
ぞうさ
)
はねえが、その前に痛みどころを
繕
(
つくろ
)
っておかねえと、息を吹き返してからかえって苦しがる」
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
我々のは申すまでもなくヘボ碁ですから、石を
下
(
くだ
)
すのも早いし、勝負の片づくのも
雑作
(
ぞうさ
)
はありません。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ええ、
雑作
(
ぞうさ
)
もありません。」と、丸山は勇造に言付けて、ひとりの原住民を呼ばせた。
麻畑の一夜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「さて、どこでこいつを
殺
(
ばら
)
したもんだろう。ただの囚人なら
雑作
(
ぞうさ
)
もねえが、なにしろ禁軍八十万の師範だ。いくら
首枷
(
くびかせ
)
がはめてあるからって、もしやり損なったらこっちの首がすぐ
失
(
な
)
くなる」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
泳
(
およ
)
いで行くことができたら一つの峯から次の
巌
(
いわ
)
へずいぶん
雑作
(
ぞうさ
)
もなく行けるのだが私はやっぱりこの
意地悪
(
いじわる
)
い大きな
彫刻
(
ちょうこく
)
の
表面
(
ひょうめん
)
に
沿
(
そ
)
ってけわしい処ではからだが
燃
(
も
)
えるようになり少しの
平
(
たい
)
らなところではほっと
息
(
いき
)
を
マグノリアの木
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
こいつ一人を袋だたきにして、海の中へたたき込むには、何の
雑作
(
ぞうさ
)
もないと思ったから、多少、事を分けるはずの貸元も、
中盆
(
なかぼん
)
も、気が荒くなって
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
どうして私の
悪口
(
わるくち
)
を自分で肯定するようなこの
挨拶
(
あいさつ
)
が、それほど自然に、それほど
雑作
(
ぞうさ
)
なく、それほど
拘泥
(
こだ
)
わらずに、するすると私の
咽喉
(
のど
)
を
滑
(
すべ
)
り越したものだろうか。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そいつはな、
雑作
(
ぞうさ
)
ない。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
これが行く先さえ分っていれば、七兵衛の足だから先廻りをするに
雑作
(
ぞうさ
)
はないが、なにぶん土地不案内のことです。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
丸い
卓
(
テーブル
)
には、
薔薇
(
ばら
)
の花を模様に
崩
(
くず
)
した五六輪を、淡い色で織り出したテーブル
掛
(
かけ
)
を、
雑作
(
ぞうさ
)
もなく引き
被
(
かぶ
)
せて、末は同じ色合の
絨毯
(
じゅうたん
)
と、
続
(
つ
)
づくがごとく、切れたるがごとく
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そいつはな、
雑作
(
ぞうさ
)
ない。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「いいですとも……それでも結構ですよ。その場合には、拙者も筆をなげうって、鍬をとる位は
雑作
(
ぞうさ
)
ありません」
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
夏の
半
(
なかば
)
から秋の始めへかけてやる遊戯としてはもっとも上乗のものだ。その方法を云うとまず庭へ出て、一匹の
蟷螂
(
かまきり
)
をさがし出す。時候がいいと一匹や二匹見付け出すのは
雑作
(
ぞうさ
)
もない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこでもまた再びその影も形も認めることができないから、ともかくも中へ入ってみようとする気になったらしく、そっとその木戸を押してみると、
雑作
(
ぞうさ
)
なく開いた途端に
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何の
雑作
(
ぞうさ
)
もなくただ現今の日本の開化と云う、こういう簡単なものです。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あっけに取られている四方の人の
慌
(
あわ
)
てふためいている間に、再び走りかかった米友が、右の娘の袂をつかまえて、全く動かさないことにしてしまったのは、
雑作
(
ぞうさ
)
もないことで
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
津田は女の
髷
(
まげ
)
がそんなに
雑作
(
ぞうさ
)
なく
結
(
ゆ
)
える訳のものでないと思った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「覚えこめば
雑作
(
ぞうさ
)
ないよ、さあ、ついでだから、もう少しつづきを教えてあげよう」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「僕は二十七さ」と甲野君は
雑作
(
ぞうさ
)
もなく言って
退
(
の
)
ける。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
雑
常用漢字
小5
部首:⾫
14画
作
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“雑”で始まる語句
雑
雑沓
雑巾
雑魚
雑木
雑鬧
雑誌
雑言
雑人
雑兵