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閻魔
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えんま
ふりがな文庫
“
閻魔
(
えんま
)” の例文
「……そうして
切
(
きり
)
の舞台に
閻魔
(
えんま
)
さまでも
躍
(
おど
)
らして地獄もこの頃はひまだという有様でも見せるかな……なるほど、これは面白そうだ」
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それを取って、矢立てと共に帯の前へさしこむと、尺取は大胆にも、通用口の
潜
(
くぐ
)
り門をガラリと開けて、
閻魔
(
えんま
)
の庁をのぞきました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうでした。頭のいやにでっかいやつの影でした。私は、地獄から、
閻魔
(
えんま
)
の
使者
(
ししゃ
)
として大入道が迎えに来たのかと思いました」
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「——なにか困ることがあったらおいでよ、あたしお
閻魔
(
えんま
)
さまのすぐ裏にいるからね、もしなんなら少しお小遣をあげようか」
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「お嬢さんが私にお父さんの
綽名
(
あだな
)
を教えて下さいましたわ。何処かの中学校では
閻魔
(
えんま
)
の
塩辛
(
しおから
)
とついていたそうでございます」
ロマンスと縁談
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
例へば、
嘘
(
うそ
)
をつくと死んでから、
閻魔
(
えんま
)
さんに舌をぬかれるといつたり、
辻
(
つじ
)
で銭をひろふと、
厄病
(
やくびやう
)
が家へやつて来る、といつたりするのである。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
祈る仏も多くあった中に、特に
閻魔
(
えんま
)
に児を申したというのは、別に近代の母親の相続せざる、一種戦国時代相応の理想があったためかと思う。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
階の上には一人の王様が、まつ黒な
袍
(
きもの
)
に金の
冠
(
かんむり
)
をかぶつて、いかめしくあたりを睨んでゐます。これは兼ねて
噂
(
うはさ
)
に聞いた、
閻魔
(
えんま
)
大王に違ひありません。
杜子春
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「これで切上げだ。下手人はとうとう解らないが、いずれ
閻魔
(
えんま
)
様が見付けて下さるだろう。最後の思い出に、二人で見て廻るとしようか、目黒の兄哥」
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「どうだね。あにい。おいらはひげすり
閻魔
(
えんま
)
さまへお参りしたのはきょうがはじめてだ。ひと回り見物するかね」
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「
咄嗟
(
とっさ
)
の場合、薬箱を投げて、あいつの気勢を反らせたので、お前は斬られずに助かったものの、そうでなかったら今頃は、
閻魔
(
えんま
)
の庁に行っているだろう」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
国会開設、改進々歩が国の
為
(
た
)
めに利益なればこそ
善
(
よ
)
けれ、
是
(
こ
)
れが実際の不利益ならば、私は現世の罪は
免
(
まぬ
)
かれても死後
閻魔
(
えんま
)
の庁で
酷
(
ひど
)
い目に逢う
筈
(
はず
)
でしょう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その亡者のような与の公と、お
閻魔
(
えんま
)
さまの蒲生泰軒とが、ぶらりぶらりと野中の一本道を
雁行
(
がんこう
)
していくのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「むむ。宿下がりの時にゃあ
何日
(
いつ
)
でもお
閻魔
(
えんま
)
さまへ一緒に行って、兄貴がいろんなものを食わしてくれる」
半七捕物帳:06 半鐘の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
花卉
(
かき
)
も面白いが、鬼の念仏や
閻魔
(
えんま
)
さまが得意、お堂のわきへ台をすえ、寒冷紗や
漉
(
すき
)
返しの紙に描いた自画の上へ、小石を置いて飛ばぬように並べて売っていた。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
また伝うるは虎に食わるるは前世からの因果で遁れ得ない、すなわち前生に虎肉を食ったかまた前身犬や豚だった者を
閻魔
(
えんま
)
王がその
悪
(
にく
)
む家へ生まれさせたんだ。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
代理殺人者
(
トリッガー・マン
)
の銃口を扉のそとに控えていても、
暗黒街
(
アンダーウォールド
)
の
閻魔
(
えんま
)
夫婦を目のまえに見ていても、不義不正や圧迫には一分の揺ぎもしない彼には、骨というものがある。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
が、
此處
(
こゝ
)
で
成程
(
なるほど
)
と
思
(
おも
)
つた。
石碑
(
せきひ
)
の
面
(
おもて
)
の
意
(
い
)
を
解
(
かい
)
するには、
堂
(
だう
)
に
閻魔
(
えんま
)
のござるが、
女體
(
によたい
)
よりも
頼母
(
たのも
)
しい。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『どうして、え?』つて
訊
(
き
)
くと、
真面目
(
まじめ
)
な顔で、M(村の名)の勇助——ほれ、この春、死んだ歌唄ひさ。——あれが、
現今
(
いま
)
、
閻魔
(
えんま
)
の座に直つてゐるからだつてんだ。
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
中には
閻魔
(
えんま
)
の
巾着
(
きんちゃく
)
、浦島の火打箱などといういかがわしいものもあるにはあるのである。
西鶴と科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その怨みを報ぜんために雷神となって都の空を
翔
(
あまがけ
)
り、
鳳闕
(
ほうけつ
)
に近づき奉ろうと思っている、此の事は既に
梵天
(
ぼんてん
)
、四王、
閻魔
(
えんま
)
、
帝釈
(
たいしゃく
)
、五道
冥官
(
みょうかん
)
、司令、司録等の許しを得ているので
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
へえゝ、
驚
(
おどろ
)
いたね、
大層
(
たいそう
)
揃
(
そろ
)
つて
出来
(
でき
)
ましたね、
地獄
(
ぢごく
)
のお
閻魔
(
えんま
)
さまは
何
(
ど
)
うして
居
(
ゐ
)
ますね。
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その様子をみていると、本当に切なさそうで、全く、地獄で、
娑婆
(
しゃば
)
の罪人を
業
(
ごう
)
の
秤
(
はかり
)
にかけ、
浄玻璃
(
じょうはり
)
の鏡にひきむけて、
閻魔
(
えんま
)
大王の家来達が、
折檻
(
せっかん
)
しているようにしかみえなかった。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
そんな道理がミジンも通らぬ。息も
吐
(
つ
)
かれず、日の目も見えぬ。広さ、深さもわからぬ地獄じゃ。そこの
閻魔
(
えんま
)
は医学の博士で。学士連中が
牛頭馬頭
(
ごずめず
)
どころじゃ。但し地獄で名物道具の。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一把七、八十房ずつついた唐辛子三把を食った神田小柳町の車力徳之助という
閻魔
(
えんま
)
のような怪漢もあった。四文ずつの鮨代金にして一朱を胃袋へ送ったのは、照降町煙管屋の村田屋彦八。
食指談
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
閻魔
(
えんま
)
大王の姉の竜王が此の川に住んでいるから姉川と云い初めたという伝説があるが、閻魔大王の姉に竜王があるという話はあまり聞かないから、之れは土俗の伝説に過ぎないであろう。
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「このうどんを生きているうちに食わなければ、死んで
閻魔
(
えんま
)
に叱られる」——土地の人にはこう言い
囃
(
はや
)
されている名物。兵馬はそれと知らずにこのうどんを食べていると、表が
騒々
(
そうぞう
)
しい。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
地獄の鬼はみな虎の皮の
褌
(
ふんどし
)
を締めているが、その皮はいずこより得てきたか、地獄の
釜
(
かま
)
はいずこにて造りしか、
閻魔
(
えんま
)
の衣服はシナ風なるはいかん、極楽の仏は池中の
蓮華
(
れんげ
)
の上に座するが、もし
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
入るとすぐ右手にお
閻魔
(
えんま
)
様があり、続いて市営の公衆食堂があり、昔ながらの古風な縄のれんに、『官許にごり』の看板も古い牛込名代の飯塚酒場と、もう一軒何とかいう同じ酒場とが相対し
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
閻魔
(
えんま
)
様。そんなにおどかしちやあ困りますよ。(この一句
菊五
(
きくご
)
調)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
北鎌倉山ノ内、新居山円応寺、子育
閻魔
(
えんま
)
。
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
正月の十六日は、俗にいう
閻魔
(
えんま
)
の
斎日
(
さいじつ
)
。
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
寺には
閻魔
(
えんま
)
大王の木像が置いてある。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
差撥
(
さはつ
)
は彼を
拉
(
らっ
)
して、途方もなく広い刑務区域をぐんぐん歩いていき、やがて
閻魔
(
えんま
)
大王の
祠
(
まつ
)
ってある古い一堂を指さした。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
階の上には一人の王様が、まっ黒な
袍
(
きもの
)
に金の冠をかぶって、いかめしくあたりを睨んでいます。これは兼ねて
噂
(
うわさ
)
に聞いた、
閻魔
(
えんま
)
大王に違いありません。
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「これで切上げだ。——下手人は到頭解らないが、いづれ
閻魔
(
えんま
)
樣が見付けて下さるだらう。最後の思ひ出に、二人で見て廻るとしようか、目黒の兄哥」
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
箱根から
熱海
(
あたみ
)
の方へ越える
日金
(
ひがね
)
の頂上などにも、おそろしい顔をした石の像が二つあって、その一つを
閻魔
(
えんま
)
さま、その一つを
三途河
(
そうずか
)
の婆様だといいました。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
百万長者も叩き大工も、
閻魔
(
えんま
)
の庁へゆけば裸一貫よ、その時こそは勝負がつくんだ、そう思って辛抱しようぜ
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お爺さんやお婆さん達の中には、
閻魔
(
えんま
)
さんをおもひ出したのか、また、なむあみだぶ、なむあみだぶ、といつて丸い背中をよけい丸くしたものがありました。
百姓の足、坊さんの足
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
それから、胎内の方は野見の
親父
(
おやじ
)
さんの受け持ちで、
切舞台
(
きりぶたい
)
には
閻魔
(
えんま
)
の踊りを見せようという趣向。
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それから大津屋へ出入りの女絵かきは、
孤芳
(
こほう
)
という号を付けている女で、年は二十三四、
容貌
(
きりょう
)
もまんざらで無く、まだ
独身
(
ひとりみ
)
で、新宿の
閻魔
(
えんま
)
さまのそばに
世帯
(
しょたい
)
を持っているそうです。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「もういいだろう。駕籠屋駕籠屋、方角変えだ。行く先ゃ柳原のひげすり
閻魔
(
えんま
)
だぜ」
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
尊慧がそれを開けてみると何と
閻魔
(
えんま
)
の庁からの招待状である。閻魔の庁で大法会が行なわれるから、参加するようにというのである。尊慧は承諾の返事を書いたところで目が覚めた。
現代語訳 平家物語:06 第六巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
それ以上に深く考える奴がすなわち精神病者か、白痴で、そこまで考え付かない奴が所謂オッチョコチョイの
蛆虫
(
うじむし
)
野郎だ。この修養が出来れば地蔵様でも
閻魔
(
えんま
)
大王でも手玉に取れるんだ。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それは
無線遠視
(
テレヴィジョン
)
——つまり、『眼で見るラジオ』というのが完成して実用されるからだ。
無線遠視
(
テレヴィジョン
)
は冥土に於いては
夙
(
つと
)
に発達している。地獄の絵を見ると、お
閻魔
(
えんま
)
さまの前に大きな鏡がある。
十年後のラジオ界
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
馬鹿にするない、見附で
外濠
(
そとぼり
)
へ乗替えようというのを、ぐっすり
寐込
(
ねこ
)
んでいて、
真直
(
まっす
)
ぐに運ばれてよ、
閻魔
(
えんま
)
だ、と怒鳴られて驚いて飛出したんだ。お供もないもんだ。ここをどこだと思ってる。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……貴様も年貢の納め時、首を切られて地獄へ行き、
閻魔
(
えんま
)
の庁へ出た時に、誰に手あてになったかと聞かれて返辞が出来なかったら、悪党冥利面白くあるめえ。よし、それでは知らせてやろう!
天主閣の音
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
見あげると蟻のようにぞろぞろ、頭の窓からは上野や浅草が手に取るばかり、体内には古物の展覧と
閻魔
(
えんま
)
さまの像、四、五月頃の開場で相応の人出であったが、その年九月の大荒れで無慚や大破。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
一時片時も心安き事なし——『日本国ハ皆日蓮ガ敵トナルベシ——恐レテ是ヲ云ハズンバ、地獄ニ落チテ
閻魔
(
えんま
)
ノ責ヲバ
如何
(
いかん
)
セン——』これですから堪りません、
悪
(
にく
)
まれます——しかし、駒井さん
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
余は
閻魔
(
えんま
)
の大王の構へて居る
卓子
(
テーブル
)
の下に立つて
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
“閻魔”の意味
《固有名詞》
閻魔 (えんま)
(インド神話、ヒンズー教)ヤマ。地獄、冥界の王で死者の生前の罪を裁く。
(仏教)閻魔天。
《名詞》
閻魔 (えんま)
閻魔堂。閻魔詣で。
(比喩)借金取り。
(隠語)釘抜き。
借金がある人。
(出典:Wiktionary)
“閻魔”の解説
閻魔(えんま)は、仏教の地獄、冥界の主であり、冥界の王として死者の生前の罪を裁く神。閻王ともいう。インドにおける死者の主であるヤマが仏教に入ったものである。
(出典:Wikipedia)
閻
漢検1級
部首:⾨
16画
魔
常用漢字
中学
部首:⿁
21画
“閻魔”で始まる語句
閻魔様
閻魔堂
閻魔王
閻魔帳
閻魔面
閻魔樣
閻魔大王
閻魔堂橋
閻魔鳥
閻魔天像