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ふりがな文庫
“
距
(
へだ
)” の例文
そした
案配
(
あんばい
)
こ、おたがい野火をし
距
(
へだ
)
て、わらわ、ふた組にわかれていたずおん。かたかたの五六人、声をしそろえて歌ったずおん。
雀こ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
大江山警部の頭には、線路を
距
(
へだ
)
てて、真暗な林に
囲
(
かこま
)
れ立つ笹木邸の洋館が浮びあがってくるのを、
払
(
はら
)
いのけることができなかった。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
当時は
止利
(
とり
)
が法隆寺の釈迦三尊を刻んだ時とわずかに二十年余を
距
(
へだ
)
つるのみで、その様式はなお盛んに行なわれていたと思われる。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
例えばこの胆吹の如きは、日本本土の中央山脈とは相当の
距
(
へだ
)
たりがあり、伊勢路から太平洋を前にして、後ろは日本海を背にしている。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
数十里、数百里を
距
(
へだ
)
てたる測候所の観測を材料として吾人はいわゆる等温線、等圧線を描き、あるいは風の流線の大勢を認定す。
自然現象の予報
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
そこは宵から締めていたはずで、鐘五郎の命を狙う者などの忍び込んだはずはなく、裏へ廻ると、狭い庭を
距
(
へだ
)
てて長屋が五六軒。
銭形平次捕物控:136 鐘五郎の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
すこし
距
(
へだ
)
てて、一群の騎馬隊が
燦々
(
さんさん
)
と
手綱
(
たづな
)
轡
(
くつわ
)
をそろえて来るのが見えた。中ほどにある
年歯
(
ねんし
)
まだ二十一、二歳の弱冠が元康その人だった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の一日は低地を
距
(
へだ
)
てた灰色の洋風の木造家屋に、どの日もどの日も消えてゆく冬の日に、もう堪えきることができなくなった。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
しかもその渦巻たるや、この潮流の中でありながら、数十海里を
距
(
へだ
)
ててなおその怒号というか、叫喚というかが聞こえていたのであった。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
従って、恩返しの機会を待つ事は、恩人に何等かの事変が起るのを待つのと、余り
距
(
へだ
)
たった心持ではないと、彼は思って居た。
大島が出来る話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
かかる話を作り出したは理想力を全然
闕如
(
けつじょ
)
せぬ証左で、日本とメラネシアほど
太
(
いた
)
く
距
(
へだ
)
たった両地方に、偶然自然薯と鳶の話が各々出で来た。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それから、一方の端を、道を
距
(
へだ
)
てゝ、向ひ側の木にゆるく巻きつけ、いざと云へば、ピンと引つ張れるやうにしておきます。
けむり(ラヂオ物語)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
日は傾いてまさに地平線に沈まんとする頃、司教はその世を
距
(
へだ
)
てた場所に着いた。小屋の近くにきたことを知って、一種の胸の
動悸
(
どうき
)
を覚えた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
私の家と、お繁さんの家とは
僅
(
わず
)
かに
圃
(
はたけ
)
を一つ
距
(
へだ
)
てているばかりで、その家の屋根が見える。窓に
点
(
とも
)
っている
燈火
(
ともしび
)
が見える。
夜の喜び
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その後間もなく西が外務の留学生となって渡支してからも山海数千里を
距
(
へだ
)
てて二人は
片時
(
かたとき
)
も往復の書信を絶やさなかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「朝から何をしているんだ? お前もお前じゃないか? 店員と分け
距
(
へだ
)
てをするのが可愛がるんじゃないよ。お前こそ子供を殺してしまうんだ」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
落付
(
おちつ
)
く場所は道庁のヒュッテ
白銀荘
(
はくぎんそう
)
という小屋で、
泥流
(
でいりゅう
)
コースの近く、
吹上
(
ふきあげ
)
温泉からは五
丁
(
ちょう
)
と
距
(
へだ
)
たっていない所である。
雪の十勝:――雪の研究の生活――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
ものの五町とも
距
(
へだ
)
たらぬのだが、
齷齪
(
あくせく
)
と
糧
(
かて
)
を爭ふ十萬の市民の、我を忘れた血聲の喧囂さへ、浪の響に消されてか、敢て此處までは傳はつて來ぬ。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
同じ谷村ではあったけれど宝村とは山一つ
距
(
へだ
)
てた此処広教寺の住職の高島
智拳
(
ちけん
)
氏は斯う云って佐藤義範の様子を見た。
国事犯の行方:―破獄の志士赤井景韶―
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は、しまひには、その男を
殴
(
なぐ
)
りつけるつもりであつた。彼等は五六間を
距
(
へだ
)
てて口争ひして居た。其処へ、見知らない男の後から一つの
提灯
(
ちやうちん
)
が来た。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
仏教では、この大きな天地も、私たち小さな人間のいのちも、その根もとで一つに親密に繋がり融け合って、分け
距
(
へだ
)
てがないことを教えております。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
伸子の心の中にわれめをつくっているその精神の
距
(
へだ
)
たりや動坂のくらしに対する否定の感情はそのままでありながら
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
お葉は、ストーブを
距
(
へだ
)
てた右側のテーブルにいる二人の客と、その
対手
(
あいて
)
になっている朋輩に用心するように、ちらっとその方に眼をやりながら云った。
文妖伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
賑
(
にぎ
)
やかな浅草観音の境内の、五重の塔の中に、こんな泥坊が忍び込んでいようとは、そこから一町とは
距
(
へだ
)
たぬ交番のお
巡
(
まわ
)
りさんでも、気がつかなんだ。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
中新田に
止
(
とど
)
まり、氏郷は城の中に、政宗は城より七八町
距
(
へだ
)
たった大屋敷に陣取ったから、氏郷の先隊四将は本隊を離れて政宗の営の近辺に特に陣取った。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
今は昔、紀ノ国日高郡に道成寺と名づくる山寺ありしと伝うれど、およそ
幾許
(
いくそばく
)
の年日を
距
(
へだ
)
つるのころなるや知らず、情景はそのほとり不知の周域にもとむ。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
観音堂の後ろがまたずっと境内で、
楊弓場
(
ようきゅうば
)
が並んでいる。その後が田圃です。ちょうど観音堂の真後ろに向って田圃を
距
(
へだ
)
てて
六郷
(
ろくごう
)
という大名の邸宅があった。
幕末維新懐古談:11 大火以前の雷門附近
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
すぐにK駐在所から一里ばかりを
距
(
へだ
)
たったK分署に呼び付けられて、居残っていた法学士の分署長から、眼の玉の飛び出るほど叱責されなければならなかった。
老巡査
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
広東だけでも、誇張なしに、百万以上の人間が居り、また三、四リイグを
距
(
へだ
)
てた一都市にはこれ以上の人間がいる。しからば誰がこの省の住民を数え得ようか。
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
優しい
処女
(
おとめ
)
の声が、患者控室に当てた玄関を
距
(
へだ
)
てて薬局に
相対
(
むきあ
)
った部屋の中から漏れて来たが、廊下を歩く気配がして、しばらくすると、中庭の木戸が開いた。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
「君の家へ来てから特に僕はそう思うよ、君の生活と僕の生活とが余りにかけ
距
(
へだ
)
っているというようなことをね。何しろ君の家には若い者ばかりなんだからね。」
恩人
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
抜手
(
ぬきて
)
を切って行く若者の頭も段々小さくなりまして、妹との
距
(
へだ
)
たりが見る見る近よって行きました。
溺れかけた兄妹
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
獄舎の庭では
夜陰
(
やいん
)
に無情の樹木までが
互
(
たがい
)
に悪事の
計画
(
たくらみ
)
を
囁
(
ささや
)
きはせぬかと疑われるので、
此
(
か
)
くは別々に遠ざけ
距
(
へだ
)
てられているのであろうというように見えてなりません。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
此
(
この
)
大騷動
(
だいさうどう
)
の
後
(
のち
)
は、
猛獸
(
まうじう
)
も
我等
(
われら
)
の
手並
(
てなみ
)
を
恐
(
おそ
)
れてか、
容易
(
ようゐ
)
に
近
(
ちか
)
づかない、それでも
此處
(
こゝ
)
を
立去
(
たちさ
)
るではなく、
四五間
(
しごけん
)
を
距
(
へだ
)
てゝ
遠卷
(
とほまき
)
に
鐵檻
(
てつおり
)
の
車
(
くるま
)
を
取圍
(
とりま
)
きつゝ、
猛然
(
まうぜん
)
と
吼
(
ほ
)
えて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
その訪れは唐突で乱暴で、今のさっき迄の苦しい思いが、もはや捉えがたい
彼方
(
かなた
)
へ
距
(
へだ
)
てられていました。彼はこんなにやさしくはなかった昨日までの女のことも忘れました。
桜の森の満開の下
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
……それ、その
一間
(
ひとま
)
を
距
(
へだ
)
てた向うの
襖
(
ふすま
)
の中には、現在この俺を生んだ母が何か
喋舌
(
しゃべ
)
っているではないか。それがこの俺の耳に今聞えているではないか。そら! その襖が開くぞ。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
現場から右手に十間程
距
(
へだ
)
てて、真黒な影をつくっているこんもりとした雑木林があった。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
それに、もうやがて、庭を横ぎって、
濡縁
(
ぬれえん
)
か、戸口に入りそうだ、と思うまで
距
(
へだ
)
たった。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分を霊の
救主
(
すくいぬし
)
として信ぜず、政治的の王として擁立しようとするのだ。なんという
距
(
へだ
)
たりであろう。なんという無理解であろう。彼らには自分の心が少しも通じていないのだ。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
道の左側には、巨大な
羊歯
(
しだ
)
族の峡谷を
距
(
へだ
)
てて、ぎらぎらした豊かな緑の
氾濫
(
はんらん
)
の上に、タファ山の頂であろうか、
突兀
(
とっこつ
)
たる
菫色
(
すみれいろ
)
の
稜線
(
りょうせん
)
が眩しい
靄
(
もや
)
の中から覗いている。静かだった。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
君は、人の心をむすびあわせておくことができる
唯一
(
ゆいいつ
)
の
絆
(
きずな
)
をきろうとしているんだ。考えること、感じることを、いっさい
距
(
へだ
)
てなく分ちあえるのに、それをこわそうとしているのだ。
妻
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ブラゴウエシチェンスクと黒河を
距
(
へだ
)
てる黒竜江は、海ばかり眺めて、育った日本人には馬関と門司の間の海峡を見るような感じがした。二ツの市街が岸のはなで睨み合って
対峙
(
たいじ
)
している。
国境
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
すなわちこれを前後に
距
(
へだ
)
たること十七日の日が重要な期日と考えられていた。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そういう手合いは砂糖のように真白な歯を残らず
剥
(
む
)
きだして、頬をやけに波打たせながら、恐ろしく大声をあげて笑うものだから、中ふたつ戸を
距
(
へだ
)
てた三番目の部屋に寝ていた男が夢を破られ
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
煎餅屋を三町と
距
(
へだ
)
たらない同じ森川町の橋下二一九號に移つて行つた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
そこにどれ丈けの
距
(
へだ
)
たりがあるね?
泥沼呪文
(新字新仮名)
/
細井和喜蔵
(著)
戸を
距
(
へだ
)
てての押問答。
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
距
(
へだ
)
てぬ
處
(
ところ
)
に
同商業
(
どうしやうげふ
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
警備の隊員も見物人も、ざわざわとざわめいたが、折角の○○獣も、セメントの壁に
距
(
へだ
)
てられて見えないのが物足りなさそうであった。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
有馬屋のお糸と、乾物屋のお柳と、吉五郎の娘お留は、三人とも十九の
厄
(
やく
)
で、身分の
距
(
へだ
)
てを
他所
(
よそ
)
に、長い間仲よく付き合っておりました。
銭形平次捕物控:086 縁結び
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
距
常用漢字
中学
部首:⾜
12画
“距”を含む語句
距離
相距
遠距離
震原距離
遠距
長距離
測距儀
距事
長距離競走
長距
遠距離通信
近距離
距離間隔
半減距離
石距
着弾距離
焦點距離
有效距離
押距
射程距離
...