トップ
>
豹
>
ひょう
ふりがな文庫
“
豹
(
ひょう
)” の例文
立ち昇る白煙の下を、猛獣は
剥製
(
はくせい
)
の
豹
(
ひょう
)
のようにピンと
四肢
(
しし
)
を伸ばして、一転、二転、三転し、
遂
(
つい
)
に長々と伸びたまま動かなくなった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おまけに小肥りでありながら身のこなし全体が
豹
(
ひょう
)
のようなスバシコサ柔軟さを思わせるのは、なるほどな! と感じさせるものがある。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
こうして彼は次第に、気の長い猛獣狩りの土蛮が
豹
(
ひょう
)
を柵へ追いこむように追いつめられて、ついに曹操の大軍のうちに完封された。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
背後には
鬱々
(
うつうつ
)
と茂った山が、夜空に
矗々
(
ちくちく
)
と
聳
(
そび
)
えている。明るい美しい陽はないが、その代り満天の星の数が、
豹
(
ひょう
)
の眼のように光っている。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
寝台の足もとにべったりと降りた
豹
(
ひょう
)
。私たちを楽しませ、自分は一向楽しまない
熊
(
くま
)
。自分でも
欠伸
(
あくび
)
をし、人にも欠伸を催させるライオン。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
▼ もっと見る
身体より大きい
豹
(
ひょう
)
の生皮をかついで来る
玀々
(
ロロ
)
族にも——
纒足
(
てんそく
)
した女の
履
(
は
)
く、小さな桃色の可愛らしい靴を売っている男にも——
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
相手の言葉付は、
一眸
(
いちぼう
)
の
裡
(
うち
)
に変っていた。
豹
(
ひょう
)
が、一太刀受けて、
後退
(
あとじさり
)
しながら、低くうなっているような無気味な調子だった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
僕と
豹
(
ひょう
)
のような水夫が、海へ飛込んだまでは、読者諸君も、すでに御承知のことだが、その後、幽霊船
虎丸
(
タイガーまる
)
はどうなったか。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
その、落ちるところを空に引ッ掴んで、チャリイン! 丹波の突きを下から
弾
(
は
)
ね上げながら、
即
(
そく
)
、
豹
(
ひょう
)
のように躍って横地半九郎へ襲い掛った。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
女は叫び声を立て、向き返って、
豹
(
ひょう
)
のようにおどり上がり、男に飛びつき、あらん限りの卑しい恐ろしい悪態とともに男の顔に爪を突き立てた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
豹
(
ひょう
)
の皮のはられた藍色の壁に向って、スモオキングを着た男たちが、自分の影にむかって挨拶をしていた。だが、諸君。
大阪万華鏡
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
これまでこの男の槍先に
斃
(
たお
)
されましたところの虎が三十八頭、
豹
(
ひょう
)
が二十五頭、そのほか猛獣毒蛇をこの一本の槍先で仕留めましたること数知れず
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
虎
(
とら
)
や
豹
(
ひょう
)
は死してその毛皮をとどめる。そうして人間の生活になにがしかの貢献をすると同時に自己がかつてこの世に生存していたという実証を残す。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
日は
豹
(
ひょう
)
の
斑
(
ふ
)
のようにところまんだら地面へ落ちていた。捨吉達は山を一廻りして来て、懇親会の会場に当てられた、ある休茶屋の腰掛の一つを
択
(
えら
)
んだ。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
葉子はすかさず
豹
(
ひょう
)
のようになめらかに身を起こしていち早くもしっかり古藤のさし出す手を握っていた。そして
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
大隅は少しも油断せず、ドクトルが
豹
(
ひょう
)
のようにおどり懸ってくるのを警戒して、だんだんと戸棚の方に
退
(
の
)
いていった。全く息づまるような
睨
(
にら
)
み合いだった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
トラは
遽
(
あわ
)
てず、眼を
閉
(
と
)
じ、頭を
傾
(
かし
)
げて、
悠々
(
ゆうゆう
)
と味わい/\食って居る。小さな
豹
(
ひょう
)
か虎かを見て居る様で、
凄
(
すご
)
い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼は「ピアノの
獅子
(
しし
)
」や「ピアノの
豹
(
ひょう
)
」を許容することができなかった。——また彼は、ドイツで名高いりっぱな
衒学
(
げんがく
)
者にたいしても、あまり寛大ではなかった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あの
悪少年
(
ラスカル
)
は恐ろしい
毒蛇
(
コブラ
)
です。人を欺して血を吸います。あれは
魔神
(
デビル
)
が化けた
豹
(
ひょう
)
です。どこに居るかわかりません。けれどもどこからか出て来て悪い事をします。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ところが、おかしいことには、今度の髪切りは狐でもなく、猿でもなく、
豹
(
ひょう
)
の仕業だという噂でした
半七捕物帳:62 歩兵の髪切り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
白い壁に、
罌粟
(
けし
)
の花の油絵と、裸婦の油絵が掛けられている。マントルピイスには、
下手
(
へた
)
な木彫が一つぽつんと置かれている。ソファには、
豹
(
ひょう
)
の毛皮が敷かれてある。
故郷
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ただ
豹
(
ひょう
)
だけは仙人達に慣れなかったので、豹と見ると
叱声
(
しっせい
)
をたてた。と、豹は恐れて逃げ去った。
仙術修業
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
この長老がたまたま、家の印として
豹
(
ひょう
)
の爪を
有
(
も
)
つ・最も有力な家柄の者だったので、この老人の説は全長老の支持する所となった。彼等は秘かにシャクの
排斥
(
はいせき
)
を
企
(
たくら
)
んだ。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
あるいは、
珊瑚
(
さんご
)
、
豹
(
ひょう
)
の
趾
(
あし
)
か鳥の足、脳や肺臓や腸、それからあらゆる種類の排泄物を思わされる。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
虎も
豹
(
ひょう
)
もごろりと横になって寝ている。
孔雀
(
くじゃく
)
は
妍
(
けん
)
を競う
宮女
(
きゅうじょ
)
のように羽根をひろげて風の重みを受けておどおどしている。象は退屈そうに大きな鼻をぶらぶら振っている。
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
健かな肉付きは、胸、背中から下腹部、腰、胴へと
締
(
しま
)
つて行き、こどもの
豹
(
ひょう
)
を見るやうだつた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
午前中のその時刻の光線の
具合
(
ぐあい
)
で、
木洩
(
こも
)
れ
日
(
び
)
がまるで
地肌
(
じはだ
)
を
豹
(
ひょう
)
の皮のように美しくしている、その小さな坂を、ややもすると
滑
(
すべ
)
りそうな足つきで昇ってゆくその背の高い
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
二の烏
獅子
(
しし
)
、
虎
(
とら
)
、
豹
(
ひょう
)
、地を走る獣。空を飛ぶ仲間では、
鷲
(
わし
)
、
鷹
(
たか
)
、みさごぐらいなものか、餌食を掴んで
容色
(
きりょう
)
の
可
(
い
)
いのは。……熊なんぞが、あの形で、椎の実を拝んだ形な。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかしこれから多分十五、六日間は人に逢うことは出来ますまいから充分ご用心なすって、雪の中の
豹
(
ひょう
)
に喰われないようにお経でもお読みになってお越しになるがよかろう。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
豹
(
ひょう
)
は猿を殺して食うからむろん猿の敵であるが、猿同志は互いに食物を奪い合うものゆえ、猿もたしかに猿の敵である(Simia simiae lupus)、頸をかみ切って殺すも
動物界における善と悪
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
その他、
猩々
(
しょうじょう
)
の鼻や
豹
(
ひょう
)
の爪、
翡翠
(
かわせみ
)
の死体、鶴の抜け羽と種々のものをもらいに行くが、翡翠の死体を黒焼きにして飲むと肺病がなおるとか、動物園でも死にしだい塩漬けにしておくそうだ。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
それは
丁度
(
ちょうど
)
奇麗
(
きれい
)
に光る青い
坂
(
さか
)
の上のように見えました。一人は闇の中に、ありありうかぶ
豹
(
ひょう
)
の
毛皮
(
けがわ
)
のだぶだぶの着物をつけ、一人は
烏
(
からす
)
の王のように、まっ黒くなめらかによそおっていました。
ガドルフの百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
メエテルリンク夫人の
豹
(
ひょう
)
の
外套
(
がいとう
)
は、
仏蘭西
(
フランス
)
においても、
亜米利加
(
アメリカ
)
においても珍重されたといわれるが、現代の日本においては、気分的想像の上ですでにそんなものをば通り越してしまっている。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「七郎は
獲
(
と
)
った
豹
(
ひょう
)
を争って、人をなぐり殺して、つかまえられました。」
田七郎
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
両腕の肩の下のところには
豹
(
ひょう
)
だか
獅子
(
しし
)
だかの頭がついていて、その開いた口から腕を吐き出した格好になっている。その口には
牙
(
きば
)
や歯が刻んである。それがまたいかにも堅そうな印象を与える。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「あのねえ須磨寺の
豹
(
ひょう
)
が逃げたんです、人が二人たべられましたって」
豹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかもその又風呂敷包みの中から
豹
(
ひょう
)
に似た海綿をはみ出させていた。
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
象。
豹
(
ひょう
)
。野牛。
自然豚
(
ワイルド・ボア
)
。
鹿
(
しか
)
。土人娘。これらへの鉄砲による突撃。アヌラダプラとポロナルワの旧都における考古学の研究。幾世紀にわたる
せいろん人
(
セイロニイズ
)
独特の
灌漑
(
かんがい
)
術。
旅行記念物
(
ヌメントウ
)
の収集。宝石掘り。
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
婦はむっくりと立ち上って彼の方へ
豹
(
ひょう
)
のようにかぶりついて来た。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
赤い毛糸の帽子をかむって、
豹
(
ひょう
)
の皮の
外套
(
がいとう
)
にくるまっている。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
例の檻には一頭の若い
豹
(
ひょう
)
が入れられた。
断食芸人
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
神谷は猫を飼ったことがあるので、そういう舌の恐ろしさをよく知っていた。
兇暴
(
きょうぼう
)
な肉食獣の舌、猫か
虎
(
とら
)
か、でなければ
豹
(
ひょう
)
の舌だ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
豹
(
ひょう
)
の子には、日が来れば、きっと
牙
(
きば
)
が生えるんです。元来、われわれ武門の血は、ついきのうまで、野放しに育って来た人間ですからな。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
豹
(
ひょう
)
のような水夫も、さすがに心細くなったとみえ、今はもう、もぐらもちのように
意気地
(
いくじ
)
がなく、浪に乗り、浪に沈みながら、悲鳴をあげている。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
さすがの
蛇
(
へび
)
もぐにゃぐにゃした上着ではちょっとどうしていいか見当がつかないであろう。この映画ではまた金網で
豹
(
ひょう
)
や
大蛇
(
だいじゃ
)
をつかまえる場面もある。
映画雑感(Ⅲ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
古沼に
蛟
(
みずち
)
が泳いでいるよ。ご覧よ、
豹
(
ひょう
)
を追っかけて
裸体
(
はだか
)
の人間が走って行くから。おおとうとう追い付いた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
(ふーん、一体この船には何十頭の猛獣がいるのかしら)と貝谷が、溜息とともに呟いた。檣の下には、今や少くとも九頭か十頭のライオンと
豹
(
ひょう
)
が集っている。
幽霊船の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
片手に刀をダラリとさげ、斬っさきが地を撫でんばかり……
足
(
そく
)
を八の字のひらき、体をすこしく及び腰にまげて、若い
豹
(
ひょう
)
のように気をつめて左膳を狙うようす。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
が、荘田と云う名を聞くと、瑠璃子は
直
(
す
)
ぐ、
豹
(
ひょう
)
の眼のように恐ろしい
執拗
(
しつよう
)
なその男の眼付を思い出した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
二の烏
獅子
(
しし
)
、
虎
(
とら
)
、
豹
(
ひょう
)
、地を走る
獣
(
けもの
)
。空を飛ぶ仲間では、
鷲
(
わし
)
、
鷹
(
たか
)
、みさごぐらゐなものか、餌食を
掴
(
つか
)
んで
容色
(
きりょう
)
の
可
(
い
)
いのは。……熊なんぞが、あの形で、
椎
(
しい
)
の
実
(
み
)
を拝んだ形な。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“豹”の意味
《名詞》
(ヒョウ)哺乳綱食肉目ネコ科ヒョウ属に分類される食肉類動物。パンサー。
ファイル:Namibie Etosha Leopard 01edit.jpg|ヒョウ
(出典:Wiktionary)
“豹(ヒョウ)”の解説
ヒョウ(豹、Panthera pardus)は、哺乳綱食肉目ネコ科ヒョウ属に分類される食肉類。
(出典:Wikipedia)
豹
漢検準1級
部首:⾘
10画
“豹”を含む語句
海豹
雌豹
豹変
牝豹
全豹
黒豹
虎豹
豹皮
虎豹鶴鷺
豹一
豹虎
海豹島
飛豹
豹身
豹軒
豺狼虎豹
豹子頭
豹隠
豹変武士
豹狩
...