請取うけと)” の例文
僕の親仁おやじは日本橋檜物ひもの町に開業してるから、手紙を書いてろうといって、親仁名当なあての一封を呉れたから私は喜んでこれ請取うけと
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
うちの事をうちの奉公人がするのは当然あたりめえでがんすから、どうか二十両という金を請取うけとる訳はがんしねえから貰われやしねえ、駄目でござりやす
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
時の宰相ビスマルクににらまれて、だしぬけに休職といふ辞令を請取うけとつたので、強ひて平気な顔をして宰相に挨拶に往つたものだ。
この贅沢の資本がもしスパイの報酬として請取うけとった金なら公々然と同志の前で札びらを切る事は豈夫よも出来なかったろう。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
ただ向うから好意上で持って来る物を請取うけとって居られるだけで、ほかの総理大臣のように沢山取らないようでした。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
よろしゅうございます。行っていらっしゃいと云うて、その金子かね請取うけとったんじゃ、えか、諸君。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
祖父ぢいさまはそれを請取うけとり、銀貨をひつくらかへし、兎見角見とみかくみして、新らしい銀貨だとおつしやつて二ツともそのまゝ私に下すつて、まだ書物かきものがあるからといつて急に私にあちらへ行けとおつしやましたから
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
「ああそれは難有ありがとう。毎度お気の毒だと思うんだけれど、ツイね私の方も請取うけとる金が都合よく請取れなかったりするものだから、此方こっちも困るだろうとは知りつつ、何処どっこへも言って行く処がないし、ツイね」と言って莞爾にっこり
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
夜目よめなればこそだしもなれひるはづかしき古毛布ふるげつと乘客のりてしなさぞぞとられておほくはれぬやせづくこめしろほどりやしや九尺二間くしやくにけんけぶりつなあはれ手中しゆちゆうにかゝる此人このひと腕力ちからおぼつかなき細作ほそづくりに車夫しやふめかぬ人柄ひとがら華奢きやしやといふてめもせられぬ力役りきえき社會しやくわいつたとは請取うけとれず履歴りれき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
出し公儀にても御詮議ごせんぎありし處更に請取うけとる人の出ることもなく一年ほどて後番人九助儀町役人共差添さしそへ町奉行所へまかり出べき旨差紙さしがみに付家主五人ぐみ名主同道にてまかり出けるは舊冬きうたう九助がひろひし金八十兩のこらず下し置れしにより九助始め町役人一同有難く頂戴ちやうだいして歸りことに九助はゆめかとばかり打悦うちよろこび居たりし處其夜子刻ねのこく頃廿四五の男番屋ばんや
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ソコで今度の米国こうついても、役人が幕府から手当の金を一歩銀で請取うけとれば、亜米利加アメリカに行くときにはこれを洋銀のドルラルえなければならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
生憎あいにく今日は晦日みそか金円きんえん入用いりようで、まとまった金は出来んが、此処こゝへ五十円持って来たから、是だけ請取うけとって置いてくれ
丁度発行所の吉岡書店から原稿料を請取うけとって来た処だというので、紅葉はソンナラ午餐ひるめしおごれといい、自分は初対面であったが、三人して上野の精養軒へ行った。
柳を植えた……その柳の一処ひとところ繁った中に、清水のく井戸がある。……大通りかどの郵便局で、東京から組んで寄越よこした若干金なにがし為替かわせ請取うけとって、まきくるんで、トず懐中に及ぶ。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
でその費用は一般の寄進からとあつて、大きな奉加帳ほうがちやうが順繰りに富豪連かねもちれんの手に廻される事になつた。それを何番目かに請取うけとつたIといふ富豪かねもちは発起人の顔触かほぶれを見ると、急に苦い顔をした。
そこでピンビタンの役所に着いて二通のうちの一通を渡し、そして一通のシナ文字で書いた書面を請取うけとる訳なんです。ところが午後の一時半頃になって参ったものですから案のごとくくれないという。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
賄の代金は大阪で請取うけとると云う約束がしてあるからそれは宜しい。何日なんかかかっても構わぬ、途中からあがることは出来ぬと云う。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
と三百円の金を請取うけとり、前に春見から返して貰った百円の金もあるので、又作は急に大尽だいじんに成りましたから、心勇んで其の死骸をかつぎ出し、荷足船にたりぶねに載せ
「諸君、う馬鹿にし給ふな、片岡禅吉は最早托鉢坊主ぢやないよ、明日辞令を請取うけとれば台湾総督府の巡査片岡禅吉ぢや。大いに新領土の経営をして日本国家に報ゆる覚悟ぢや。」
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「こゝに五十弗ありますから、お請取うけとりを願ひます。」
ナニ金子なんざア要りませぬ、私がくなと云えばあがる気遣いはごぜえませんと云うのに、なんでもと仰しゃるから、金子を請取うけとって伊之助に渡し、因果を含めて証文を取り
五両の金を請取うけとり出てきましたが、残念で堪りませんゆえ、どうかして再び勾引かどわかそうと思い、須川村という処へ宿を取って様子を伺って居りますと、此方こっちは安心致しました。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
車夫しゃふは年頃四十五六しじゅうごろく小肥満こでっぷりとした小力こぢからの有りそうな男で、酒手さかて請取うけとり荷を積み、身支度をして梶棒かじぼうつかんだなり、がら/\と引出しましたが、古河から藤岡ふじおかまでは二里里程みちのり
其の紐の長さは一丈余もありまして、紐の先を御老中が持って居りますと、公用人が静かに印形を取出して奉行に渡し、奉行がこれを請取うけとってすというおきてですから中々暇が取れます。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お泊りがけのお方で、何処どこなんというしっかりとした何かしょうがないと、お寺も中々やかましくって請取うけとりませんが、わたくしどもの親類か縁類えんるいの人が此方こっちへ来て、死んだような話にして、どうか頼んで見ましょう
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
伴「ほんの草鞋銭わらじせんでございますが、お請取うけとり下せえ」
蟠「なに百金請取うけとった覚えはない」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)