“蟄居:ちっきょ” の例文
“蟄居:ちっきょ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治12
ロマン・ロラン4
谷崎潤一郎3
三遊亭円朝2
太宰治2
“蟄居:ちっきょ”を含む作品のジャンル比率
歴史 > 地理・地誌・紀行 > アジア50.0%
社会科学 > 経済 > 経済学・経済思想28.6%
文学 > フランス文学 > 小説 物語11.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
旧里静岡に蟄居ちっきょしてしばらくは偸食とうしょくの民となり、すこともなく昨日きのうと送り今日と暮らす内
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そうしてこの新御直参一家はみずから没落し、徳川十六代亀之助かめのすけ様のお供、静岡蟄居ちっきょというはめにおちた。
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
かくの如く富岳、刀水は、一方においては鎌倉蟄居ちっきょの保証人たり、他方においては、米艦にとうじて外国に行くの保証人たり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
蟄居ちっきょ中の足利直義ただよし——頭を剃って恵源えげんといっていた直義は——とつぜん京都から姿を消した。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みすみす、主と仰ぐ若殿が、日ごろ下風に見ている新田党の手にかかって、その自由も蟄居ちっきょの門も、彼らの警固に、ゆだねられた上、
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足利一門の致命ともなりかねないような最悪の最後まで、じっと、蟄居ちっきょをまもっているはしまいし、その必要もなかったのだ。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
往来を歩いている時でも、部屋に蟄居ちっきょしている時でも、彼女の唇が恋しくなると、私はいきなり天を仰いで、はッはッとやりました。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しかし外光の中に出ると非常に苦しい心地がして、急いで家の中にもどり、雨戸を閉ざして室に蟄居ちっきょした。
彼は蟄居ちっきょ申し附けられたり、彼の『三国通覧』『海国兵談』はその板木はんぎさえも取り上げられたり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
この間、僕は東京郊外の茅屋ぼうおく蟄居ちっきょして、息づまる思いで世の激しい転変をながめていた。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
「細川どのは、遂に、公方くぼうどのにいとわれ、どこか田舎へ蟄居ちっきょされたそうです」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三日目になって、クリストフは好んで蟄居ちっきょしていたのが腹だたしく思えて、外出しようと決心した。
しばらく納戸に蟄居ちっきょさせられて不自由だったのに、今はさんさんたる日光の下で自由に動けるので、それが城介の気持を開放的にしたのだろう。
狂い凧 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
いわんや北国のせつ世界はほとんど一年の三分の一を白き物の中に蟄居ちっきょせざるべからざるや。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私の友人はさんざん行き悩んだ末、芸術よりほかに私の行く道はないといって、学校も欠席して毎日下宿屋の二階に蟄居ちっきょして一生懸命創作をした。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「赤山などみだりに重罪にしては——家中の者が動揺して、軽輩共が、又、二の舞を起してはならんから——蟄居ちっきょか、謹慎ぐらいにして——」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
即ち側用人そばようにん加藤清兵衛、用人兼松伴大夫はんたゆうは帰国のうえ隠居謹慎、兼松三郎は帰国の上なが蟄居ちっきょを命ぜられた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
この個人主義は充実したあふれきったものではなくて、執拗しつよう蟄居ちっきょ的なものだった。
かくのごとくしてついに同胞とその苦しみや、喜びを分け持つことなしにみずからの切り離された生活のうちに蟄居ちっきょするのが知恵ある生活であろうか。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
そのころ、当の金博士はどうしていたかというのに、彼は常住じょうじゅうの地下室から、更に百メートルも下った別室に避難し、蟄居ちっきょしてしまった。
岩瀬肥後も今は向島むこうじま蟄居ちっきょして、客にも会わず、号を鴎所おうしょと改めてわずかに好きな書画なぞに日々のさを慰めていると聞く。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あるものはまた、隠居、蟄居ちっきょ永蟄居えいちっきょ差扣さしひかえというふうに。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この特徴を形造った大天才は、やはりすべての日本的固有の文明を創造した蟄居ちっきょの「江戸人えどじん」である事は今更ここに論ずるまでもない。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かくて法然は黒谷に蟄居ちっきょの後はひとえに名利を捨て一向に出要を求めんと精進した。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いかにすべての世相に背を向けて家庭内に蟄居ちっきょした生活を送っているかということなぞ。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
両側に、空気抜きと採光とを兼ねた、一尺四方の小窓がつけてある。別に、大小便口がある。この箱の中に、二人は、一週間、蟄居ちっきょすることを命ぜられた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
ある者は官学的な信条のうちに蟄居ちっきょし、ある者は革命的な信条のうちに蟄居していた。
ユダヤ人の部落に蟄居ちっきょして悲惨な生活をつづけたけれども、誰も助ける者はなかった。
レンブラントの国 (新字新仮名) / 野上豊一郎(著)
そして錦小路の門に蟄居ちっきょしていたが、もちろんこの謹慎は心からなものではなかった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
堀主水が鎌倉かまくら蟄居ちっきょしていると、江戸から早馬で注進があった日に、宮内と慎九郎とは、支配頭に呼び出されて、頭ごなしにしかりつけられた。
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
幕府の持筒頭もちづつがしら、水野藤右衛門とうえもんなる者が、配下の与力同心と共に、遠島、蟄居ちっきょを命ぜられ、御膳番ごぜんばんの天野なにがしは、切腹。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「立てこもるんだって!」とクリストフは笑いながら言った。「外に出てるほうがいいじゃないか。野外に出ることの好きな君が、蟄居ちっきょなどということを説くのかい?」
いつまでも、同じうめきとも返辞ともつかない呟きを繰返していたが、やがて彼の心はだんだん佐和山に蟄居ちっきょしている不遇な友のほうへ傾かずにはいられなかった。
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昔の私は、着る浴衣もなくて、紅い海水着一枚で蟄居ちっきょしていた事もある。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
そう行かなかったというものは、この尼僧を奥さんにせられた事からやはりチベットでもそれが幾分か攻撃の種になって、自然蟄居ちっきょしなければならんようになったと言う。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
彼はおおやけの沙汰を待たないで、自分から門を閉じて蟄居ちっきょした。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
小さい自我の周りに垣を作ってその中に蟄居ちっきょしようという心が、自己の中にある積極的なあらゆるものを自由に伸して湧き上る生命の泉に躍入ろうとする心に移って行った。
語られざる哲学 (新字新仮名) / 三木清(著)
末期の眼を目標とする日本の伝統的小説の限界内に蟄居ちっきょしている彼こそ
可能性の文学 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
この三年間は四畳半に蟄居ちっきょして小言はただの一度も聞いた事がない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まだ逗子に蟄居ちっきょしていた時分で、それに何かと病気がちの折だったので、私はおばにいわれていた事がときどき気になりながらも、なかなかひとりで東京に出てけなかった。
花を持てる女 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
去年、失脚しっきゃくの後、かれは越前えちぜん大野郡おおのごおり蟄居ちっきょしていたが、先ごろの秀吉対信雄家康——の紛争が険悪となった頃、秀吉は、それに使いをやって、
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その他の僧侶はみな自分の室に蟄居ちっきょして居なければならぬ。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
飯「今は日のあるうち血を見せてはけがれる恐れがあるから、夕景になったら手打にするから、部屋へ参って蟄居ちっきょしておれ、これ源助、孝助を取逃とりにがさんように手前に預けたぞ」
「世間へ分ったら、大岡十家は、また三年前の閉門蟄居ちっきょのやり直しだ。いや、こんだあそんなお沙汰じゃすむまい。おれにつながる身寄りの奴らは、三軒や四ん軒はぶッ潰れるぞ。わははは」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その安逸が——いいえ蟄居ちっきょとでも申しましょうか。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
今月はお金を使いすぎて、蟄居ちっきょの形なのです。
小さいアルバム (新字新仮名) / 太宰治(著)
石居は当時既に蟄居ちっきょゆるされていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ついに怨みを買って蟄居ちっきょのあいだに死んだが、自分の経験を一冊のしょつづりて『桜花物語おうかものがたり』と題して子孫にのこしたが、その人は常に左の古歌を愛吟あいぎんした。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
足利氏のもとに九州探題となって、統治に抜群の功を立てた人、後義満のとき、離間の策をろうした人があるらしく、義満の不興をこうむり、遠江とおとうみ蟄居ちっきょして他意のないことを示した。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
ま、そんないろ/\の利害が顧慮されて、当分蟄居ちっきょを命ぜられたゞけであったが、人なき部屋に閉じ籠っていた彼は、いかにその後の奥御殿の情景に思いを馳せつゝ懊悩おうのうの日を送ったであろうか。
限界もなき蒼空そうくうを住家となし、自在に飛揚し、自在にさえずり、食を求めてついばみ、時を得て鳴き、いまだ人間の捕らえて、籠裏ろうり蟄居ちっきょせしむるがごときことあるを知らざりき。
妖怪報告 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「そうだ。かつて、わしが蟄居ちっきょの日にも、警固の垣を窺って、生命いのちがけで幽所の兄に近づこうとしてくれたこともあったな。……ああやはり弟よと思われて、あのとき、口に出さねど、うれしかった」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父善右衞門は百日の間蟄居ちっきょ致してまかれという御沙汰でございますから、翌年に相成りようやく蟄居がりましたなれども、う五十の坂を越して居ります善右衞門、大きに気力も衰え
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と、蟄居ちっきょを命じられたという。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
建武二年、新田勢が朝命の下に東海道をくだり、尊氏は“義貞弾劾状”をちょうへ出して後、ただちに蟄居ちっきょの一寺から上洛の兵をすすめて、両者、箱根の奇勝に拠って、雌雄しゆうを争ったあのときの戦である。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
違犯第一にあげられたのは、その年の春さき、持筒頭もちづつがしらの水野藤右衛門の配下が、門に集まったはとつぶてで落したというとがを問われ、藤右衛門は免職、与力同心はみな蟄居ちっきょさせられた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
——もはや、もう、私ども老人の出る幕ではないと観念いたしまして、ながらく蟄居ちっきょしてはなはだ不自由、不面目の生活をしてまいりましたが、こんどは、いかなる武器をも持ってはならん、素手すでなぐってもいかん
男女同権 (新字新仮名) / 太宰治(著)
蟄居ちっきょする
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
アダム・スミスはもとグラスゴー大学の道徳哲学モーラルフィロソフィーの教授であったが、のち職を辞して仏国に遊び、それより帰国ののちは、自分の郷里なるスコットランドの小都市カーコゥディーに蟄居ちっきょし、終生ついに妻を迎えず
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
「いかなるこらえを抱いても、新田殿へ膝は折るな、蟄居ちっきょのせがれに会わせて給えなどと、義貞殿にすがってはならぬぞと、わがつまの貞氏どのからも、つねには固い御書状であったが……よも今は、後でのお怒りもありますまい」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たゞ、こゝに少しく右の写本を読むに至った来歴を説くならば、あれは私が高野山の龍泉院に蟄居ちっきょして盲目物語を書き上げた年であったから、たしか昭和六年のこと、或る日私は、江州長浜町の某と云う人から一通の書簡を受け取ったことがあった。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この伏見の地震は、河竹黙阿弥の地震加藤の史劇で有名な地震で、石田三成等の纔者ざんしゃのためにしりぞけられて蟄居ちっきょしていた加藤清正は、地震と見るや足軽を伴れて伏見城にかけつけ、城の内外の警衛に当ったので、秀吉の勘気も解けたのであった。
日本天変地異記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「なんといっても、きゃつは原士を自由に動かす権力家、殿のお怒りもなみではないが、目下の場合に内部から騒乱が起こってはならぬと、ひとまず川島へ蟄居ちっきょを命じ、それより先に、弦之丞めをという手配になった。そこで、わしはこれから岡崎の船関へいそごうと思う」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いいや、家老がね、なんの罪もねえのに、もう三月ごし、蟄居ちっきょ閉門を食っているというんですよ。しゃべらしたなあの門番のじいやだがね、そいつが涙をぽろりぽろりとやって、こういうんだ。閉門食っているおかたは村井信濃しなの様とかいう名まえの江戸家老だそうながね。
すなわちカーコゥディーにおける蟄居ちっきょ六年間の彼の仕事は、倫理学者としてのからを打ち割り、自己多年の面目を打破し、自己の力により自己の身を化して有史以来いまだかつて有らざりしところの全く新たなる種類の学者たる経済学者なるものを産み出さんがための努力であったのである。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
義俊の父家親いえちかが、楯岡甲斐かいの家で毒を進められ、余吾之介の父松根備前が、幕府に訴えて黒白こくびゃくをつけようとしましたが、証拠がないために敗れて流され、幕府はそれを口実に、山形の所領を収めて、義俊母子を近江おうみ三河一万石に蟄居ちっきょさせてしまったのでした。
十字架観音 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
彼等はアダの話で夢中なのだがアダがかつて土人街に蟄居ちっきょしていた日本の売笑婦だと云ったり、或るものは自分はヴィクトリア公園の熱帯樹の下を黒奴ニグロの中年の紳士と日傘をさして歩いていた彼女を見かけたことがあると真実ほんとうらしく話して、彼女が洋妾ラシャメンだろうと云う。
孟買挿話 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
わがフランスが戸外の空気を恐れて病室に蟄居ちっきょすることを、僕は少しも望まない。病苦の生存を長引かせることを僕は好まない。われわれのように一度偉大となった暁には、偉大でなくなるよりもむしろ死ぬほうがよいのだ。世界の思想をわれわれの思想界に飛び込ませるがいい。僕はそれをけっして恐れない。
考えてもみい、今の浅野の浪人どもがそのような暴挙に出て、お膝元ひざもとを騒がしたら、戸田のお家はどうなると思う? 去年内匠頭様たくみのかみさま刃傷にんじょうの際にも、大垣の宗家そうけを始め、わが君侯にも連座のおとがめとして、蟄居ちっきょ閉門へいもんをおおせつけられたではないか。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)