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華魁
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おいらん
ふりがな文庫
“
華魁
(
おいらん
)” の例文
それは宗祖紫琴女といふよりは、名ある
華魁
(
おいらん
)
のポーズです。體温にぬくめられて、
馥郁
(
ふくいく
)
として匂ふのは南蠻の媚藥でもあるでせうか。
銭形平次捕物控:283 からくり屋敷
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
本郷
界隈
(
かいわい
)
の或禅寺の住職で、名は
禅超
(
ぜんてう
)
と云つたさうである。それがやはり
嫖客
(
へうかく
)
となつて、玉屋の
錦木
(
にしきぎ
)
と云ふ
華魁
(
おいらん
)
に
馴染
(
なじ
)
んでゐた。
孤独地獄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
へえ
観音様
(
くわんおんさま
)
のうしろに……あなたは
吉原
(
よしはら
)
の
熊蔵丸屋
(
くまざうまるや
)
の月の
戸
(
と
)
華魁
(
おいらん
)
ぢやアございませんか。女「おや
何
(
ど
)
うしてわたしを
御存知
(
ごぞんぢ
)
です。 ...
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それから、遊廓の大通りへかかると、向うの木橋から、白い服の、そして胸高な青の袴の朝鮮の女が
楚々
(
そそ
)
として光って来た。
華魁
(
おいらん
)
なのだ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
早や
大引
(
おおびけ
)
とおぼしく、
夜廻
(
よまわり
)
の
金棒
(
かなぼう
)
の音、降来る夕立のように
五丁町
(
ごちょうまち
)
を通過ぎる頃、屏風の
端
(
はし
)
をそっと片寄せた
敵娼
(
あいかた
)
の
華魁
(
おいらん
)
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
美しい水色の
𧘕𧘔
(
かみしも
)
もそこには見えなかった。けばけばしい
華魁
(
おいらん
)
の衣裳もみえなかった。ただ白木の棺桶が荒縄で十文字にくくられているだけであった。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
英山等の
華魁
(
おいらん
)
繪、豐國、國貞等の役者の似顏、國滿が吉原花盛の
浮繪
(
うきゑ
)
などの卷物の
尾
(
しり
)
に芳虎の『英吉利國』の畫
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
殿様や若旦那の
長閑
(
のどか
)
な顔が曇らぬように、御殿女中や
華魁
(
おいらん
)
の笑いの種が盡きぬようにと、
饒舌
(
じょうぜつ
)
を売るお茶坊主だの幇間だのと云う職業が、立派に存在して行けた程
刺青
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だけれど彼の子も
華魁
(
おいらん
)
に成るのでは可憐さうだと下を向ひて正太の答ふるに、好いじやあ無いか華魁になれば、己れは來年から
際物屋
(
きはものや
)
に成つてお金をこしらへるがね
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
舞台はバテレン信徒を押し込めてある
牢屋
(
ろうや
)
の場面で、八重子の
華魁
(
おいらん
)
や、牢番や、侍が並んでいる。桜がランマンと舞台に咲いている。そして舞台には小鳥が鳴いていた。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
たとえば月待つほどの星の宵に、街灯の光りほの暗い横丁をゆく時、「新吉原ァ細見。
華魁
(
おいらん
)
のゥ歳からァ源氏名ァ本名ゥ職順※まで、残らずゥわかる細見はァいかが——」
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
「大さう話がむづかしくなりましたこと。あ、貴方の
華魁
(
おいらん
)
ね。あのしともひきましたよ。」
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
華魁
(
おいらん
)
鴨をうつわ、雪のしたから浜菜や
藜
(
あかざ
)
をほってくる、ロッペンの卵をあつめる。
海豹島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
此は
怪
(
け
)
しからず、
天津乙女
(
あまつおとめ
)
の威厳と、場面の神聖を
害
(
そこな
)
つて、
何
(
ど
)
うやら
華魁
(
おいらん
)
の道中じみたし、
雨乞
(
あまごい
)
には
些
(
ち
)
と
行過
(
ゆきす
)
ぎたもののやうだつた。が、何、降るものと
極
(
きま
)
れば、
雨具
(
あまぐ
)
の用意をするのは賢い。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『あんな貧乏人の娘を貰つちや世間や親類方の手前も惡い、せめて吉原の
華魁
(
おいらん
)
、入山形に二つ星の名ある太夫でも請出して來い』
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
されば竹に
囀
(
さへづ
)
る
舌切雀
(
したきりすゞめ
)
、月に住む
兎
(
うさぎ
)
の
手柄
(
てがら
)
、
何
(
いづ
)
れか
咄
(
はなし
)
に
洩
(
もれ
)
ざらむ、力をも入れずして
顋
(
おとがひ
)
のかけがねを
外
(
はづ
)
させ、高き
華魁
(
おいらん
)
の顔をやはらぐるも
是
(
これ
)
なり。
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
長吉は第一に「小梅の伯母さん」というのは
元
(
もと
)
金瓶大黒
(
きんべいだいこく
)
の
華魁
(
おいらん
)
で明治の初め
吉原
(
よしわら
)
解放の時小梅の伯父さんを頼って来たのだとやらいう話を思出した。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そりや新聞に出てゐた通り、
南瓜
(
かぼちや
)
が
薄雲太夫
(
うすぐもだいふ
)
と云ふ
華魁
(
おいらん
)
に
惚
(
ほ
)
れてゐた事はほんたうだらう。さうしてあの
奈良茂
(
ならも
)
と云ふ
成金
(
なりきん
)
が、その又
太夫
(
たいふ
)
に惚れてゐたのにも違ひない。
南瓜
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
奇麗だねあの
娘
(
こ
)
はと鼻を
拭
(
ふき
)
つつ言へば、大巻さんより
猶
(
なほ
)
美
(
い
)
いや、だけれどあの子も
華魁
(
おいらん
)
に成るのでは
可憐
(
かわい
)
さうだと下を向ひて正太の答ふるに、好いじやあ無いか華魁になれば
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
道中姿の
華魁
(
おいらん
)
の胸から腰にかけて「正宗」とやつたのは露骨であるが奇拔である。Bacchus Venus と雙方を神性にする西洋の思想に對照して考へると更に一段と面白い。
京阪聞見録
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
さらに冷たきもの、真珠、鏡、水銀のたま、二枚わかれし蛇の舌、
華魁
(
おいらん
)
の
眸
(
め
)
。
第二真珠抄
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
これは
怪
(
け
)
しからず、天津乙女の威厳と、場面の神聖を
害
(
そこな
)
って、どうやら
華魁
(
おいらん
)
の道中じみたし、雨乞にはちと行過ぎたもののようだった。が、何、降るものと
極
(
きま
)
れば、雨具の用意をするのは賢い。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『あんな貧乏人の娘を貰っちゃ世間や親類方の手前も悪い、せめて吉原の
華魁
(
おいらん
)
、
入山形
(
いりやまがた
)
に三つ星の名ある
太夫
(
たゆう
)
でも受出して来い』
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は第一に「
小梅
(
こうめ
)
の
伯母
(
をば
)
さん」と
云
(
い
)
ふのは
元
(
もと
)
金瓶大黒
(
きんぺいだいこく
)
の
華魁
(
おいらん
)
で明治の初め
吉原
(
よしはら
)
解放の時
小梅
(
こうめ
)
の
伯父
(
をぢ
)
さんを頼つて来たのだとやら
云
(
い
)
ふ話を
思出
(
おもひだ
)
した。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
あなたは
情死
(
しんぢゆう
)
なすつたと
云
(
い
)
ふことで、あゝ飛んだことをした、いゝ
華魁
(
おいらん
)
であつたが
惜
(
を
)
しいことをしてしまつた
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
奇麗
(
きれい
)
だね
彼
(
あ
)
の
娘
(
こ
)
はと
鼻
(
はな
)
を
拭
(
ふき
)
つゝ
言
(
い
)
へば、
大卷
(
おほまき
)
さんより
猶
(
なほ
)
美
(
い
)
いや、だけれど
彼
(
あ
)
の
子
(
こ
)
も
華魁
(
おいらん
)
に
成
(
な
)
るのでは
可憐
(
かわい
)
さうだと
下
(
した
)
を
向
(
む
)
ひて
正太
(
しようた
)
の
答
(
こた
)
ふるに、
好
(
い
)
いじやあ
無
(
な
)
いか
華魁
(
おいらん
)
になれば
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
向うは
仲
(
なか
)
の
町
(
ちやう
)
でも指折りの
華魁
(
おいらん
)
だし、こつちは片輪も同様な、ちんちくりんの南瓜だからね。かうならない前に聞いて見給へ。僕にしたつて嘘だと思ふ。それがあいつにやつらかつたんだ。
南瓜
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さらに冷たきもの、真珠、鏡、水銀のたま、二枚わかれし蛇の舌、
華魁
(
おいらん
)
の
眸
(
め
)
。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「そんな氣のきいた話ぢやありませんよ。いつか話したでせう、薄墨
華魁
(
おいらん
)
のことで
鞘當
(
さやあ
)
てをしてゐる、
二本差
(
りやんこ
)
と藥種屋の若主人」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
大柄な女はいかほど
容貌
(
きりょう
)
がよく押し出しが立派でも兼太郎はさして見返りもせず、ああいう女は昔なら
大籬
(
おおまがき
)
の
華魁
(
おいらん
)
にするといい、当世なら女優向きだ
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それからあなたの
俗名
(
ぞくみやう
)
月
(
つき
)
の
戸
(
と
)
華魁
(
おいらん
)
と書いて毎日
線香
(
せんかう
)
を
上
(
あ
)
げて
居
(
を
)
りますが夢の
様
(
やう
)
でございます。
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何處からともなく
漂浪
(
さすら
)
ふて來た
傀儡師
(
くぐつまはし
)
の肩の上に、生白い
華魁
(
おいらん
)
の首が、カツクカツクと眉を振る物凄さも、何時の間にか人々の記憶から掻き消されるやうに消え失せて、寂しい寂しい冬が來る。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「それが大ありで、『江口の君』といふのは、昔々大昔の
華魁
(
おいらん
)
だ。一
休
(
きう
)
樣と掛け合ひの歌を詠んで、
普賢菩薩
(
ふげんぼさつ
)
に化けた——」
銭形平次捕物控:315 毒矢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
道場破りの
宮本武蔵
(
みやもとむさし
)
来らず、内弟子ばかりに取巻かれて先生々々といはれてゐれば剣術使も楽なもの。但しかういふ先生芝居ではいつも
敵役
(
かたきやく
)
。
華魁
(
おいらん
)
にはもてませぬテ。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
喜「
華魁
(
おいらん
)
が貴方にお目に掛りたいと仰しゃいますんで」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三日の月谷底見れば
廓
(
くるわ
)
にはならぶ
華魁
(
おいらん
)
豆の如しも
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「手代の佐太郎ですよ、——ちよいと良い男で、薄墨
華魁
(
おいらん
)
を觀音樣の
化身
(
けしん
)
のやうに思つてゐる——これはあのこまちやくれた小僧の春松の惡口ですがね」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
天下不用意にして遣りそこなうものは悉く賞せずんばあるべからず。
聞説
(
きくならく
)
吉原では
華魁
(
おいらん
)
の梅毒病院に入るを恥となすと。吉原は人外の土地なり。然るが故に己の不用意より災を招くものを推賞せず。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
華魁
(
おいらん
)
、
何
(
なに
)
をそんなに
見
(
み
)
てお
出
(
い
)
でなの
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「さう言ひますね。
煮〆
(
にし
)
めたやうな汚ない
襦袢
(
じゆばん
)
に、腐つたやうな
褌
(
ふんどし
)
ぢや、
華魁
(
おいらん
)
買の恰好はつきませんからね」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
華魁
(
おいらん
)
、ちよいと、
御覧
(
ごらん
)
なさいな
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「それが一と通りの女遊びぢや無いんで、係り合つた女といふ女、
華魁
(
おいらん
)
も新造も、藝子も素人衆まで、一々二の腕に、自分の名を彫らせるといふから、大したものでせう」
銭形平次捕物控:295 万両息子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
華魁
(
おいらん
)
は
灯
(
ひ
)
のつかぬ
五時
(
ごじ
)
ごろの
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
この世の中に様々な姿を、あるが
儘
(
まま
)
に写して、後の世に伝えるのは、絵筆とる者の勤めでござります。——今時
華魁
(
おいらん
)
や役者の絵を描いて、一人で悦に入っていられましょうか
芳年写生帖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
華魁
(
おいらん
)
の首
生
(
なま
)
じろく
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
近所で聞いてみると、大川屋の主人といふのは、働き盛りの四十男ですが、早く
配偶
(
つれあひ
)
を失ひ、先年吉原で馴染を重ねた
華魁
(
おいらん
)
を
請出
(
うけだ
)
して、親類の
承諾
(
しようだく
)
を得て後添に直しました。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
近所で聞いてみると、大川屋の主人というのは、働き盛りの四十男ですが、早く
配偶
(
つれあい
)
を失い、先年吉原で馴染を重ねた
華魁
(
おいらん
)
を請出して、親類の承諾を得て後添いに直しました。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「達者な下女ですね。手代の美代吉に氣があることゝ、小金を
溜
(
た
)
めて居ることは確かですが、下手人にしちや、少し汚なづくりですね。あんなのに殺されちや
華魁
(
おいらん
)
が浮ばれねえ」
銭形平次捕物控:280 華魁崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
吉原三浦屋の
華魁
(
おいらん
)
で小紫、これは一代の国色で、引手
数多
(
あまた
)
の全盛を極めましたが、昨年の春風邪の心地で床に就いたのが
因
(
もと
)
で、暫らく今戸の寮に出養生までさせて貰って居るうち
新奇談クラブ:06 第六夜 人形の獄門
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「親分、大變なことを聽きましたよ。昨夜、あの取りすました後家
華魁
(
おいらん
)
のお染が——」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
華
常用漢字
中学
部首:⾋
10画
魁
漢検準1級
部首:⿁
14画
“華魁”で始まる語句
華魁衆
華魁鴨
華魁草