トップ
>
繕
>
つく
ふりがな文庫
“
繕
(
つく
)” の例文
中の三四人、序に運んで来た材木切れをそこに置き、身体の埃を打ち叩き、着物をかい
繕
(
つく
)
ろいなどしつつ作業を仕舞ったしこなし。
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
こう云った叔父は無言の空虚を充たすために、
煙管
(
きせる
)
で
灰吹
(
はいふき
)
を叩いた。叔母も何とかその場を取り
繕
(
つく
)
ろわなければならなくなった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あれこれと取り
繕
(
つく
)
ろって、執拗な主任の追求を
飜
(
ひるがえ
)
すようにしていたが、けれども、とうとう力尽きて、語り出した。
闖入者
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
お半は必死の調子でその場を
繕
(
つく
)
ろひますが、土藏の窓に下がつた赤い
扱帶
(
しごき
)
の祕密は、ガラツ八の注意をひしとつかんで容易にわき目を振らうともしません。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
おつぎは
十八
(
じふはち
)
というても
其
(
そ
)
の
年齡
(
とし
)
に
達
(
たつ
)
したといふばかりで、
恁
(
こ
)
んな
場合
(
ばあひ
)
を
巧
(
たくみ
)
に
繕
(
つく
)
らふといふ
料簡
(
れうけん
)
さへ
苟且
(
かりそめ
)
にも
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
ない
程
(
ほど
)
一
面
(
めん
)
に
於
(
おい
)
ては
濁
(
にごり
)
のない
可憐
(
かれん
)
な
少女
(
せうぢよ
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
酒色に酖ると見えしも、木村氏の前をかく
繕
(
つく
)
いしのみにて、夜な夜な撃剣のわざを
鍛
(
きた
)
いぬ。任所にては一瀬を打つべき
隙
(
ひま
)
なかりしかば、
随
(
したが
)
いて東京に出で、さて望を
遂
(
と
)
げぬ。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
怪
(
あや
)
しさよと
計
(
ばか
)
り
敏
(
さとし
)
は
燈下
(
とうか
)
に
腕
(
うで
)
を
組
(
く
)
みしが、
拾
(
ひろ
)
ひきしは
白絹
(
しろぎぬ
)
の
手巾
(
はんけち
)
にて、
西行
(
さいぎやう
)
が
富士
(
ふじ
)
の
烟
(
けむ
)
りの
歌
(
うた
)
を
繕
(
つく
)
ろはねども
筆
(
ふで
)
のあと
美
(
み
)
ごとに
書
(
か
)
きたり、いよいよ
悟
(
さとり
)
めかしき
女
(
をんな
)
、
不思議
(
ふしぎ
)
と
思
(
おも
)
へば
不思議
(
ふしぎ
)
さ
限
(
かぎ
)
りなく
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
人力は尽くさねばならぬ! ヤアヤア
水夫
(
かこ
)
ども帆を下ろせ! 帆柱を仆せ!
短艇
(
はしけ
)
の用意! ……胴の間の囚人解き放せ! あかを
汲
(
か
)
い出せ!
破損所
(
いたみしょ
)
を
繕
(
つく
)
ろえ!
龍骨
(
りゅうこつ
)
が折れたら一大事! 帆柱を
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
震
(
ふる
)
はしつゝ茲な恩知ず者め傳吉どのが留守中
何時
(
なんどき
)
の間にやら
不義
(
ふぎ
)
いたづら傳吉殿に此伯母が
何
(
なに
)
面目
(
めんぼく
)
のあるべきや思へば
憎
(
にく
)
き女めと人目
繕
(
つく
)
らう
僞
(
にせ
)
打擲
(
ちやうちやく
)
も是れ又見捨て置れねば又人々は
取押
(
とりおさ
)
へ彼是れ
騷動
(
さうどう
)
大方ならず時に憑司は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
太き石もて
繕
(
つく
)
ろひぬ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
人眼
(
ひとめ
)
に立つようになってからでは奉公人の口がうるさい今のうちならとかく
繕
(
つく
)
ろう道もあろうと父親にも知らせずそっと当人に
尋
(
たず
)
ねるとそんな覚えはさらさらないと云う深くも追及しかねるので
腑
(
ふ
)
に落ちないながら
一箇月
(
いっかげつ
)
ほど捨てておくうちにもはや事実を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その隙を
飽
(
あ
)
くまで
取
(
と
)
り
繕
(
つく
)
ろって、他人の前に、何一つ不足のない夫を持った妻としての自分を示さなければならないとのみ考えている彼女は
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
で、ございますから、しまはこれをいうとき右手で袖口をちょっと
掻
(
か
)
い
繕
(
つく
)
ろい、取仕切った薄笑いを片唇に
泛
(
うか
)
べながら気取った首の振り方をいたします。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「俺は此邊中の雪駄直しを一人殘らず當つて見る。あの裏金を剥がした後の
繕
(
つく
)
ろひは、素人の手際ぢやねえ」
銭形平次捕物控:068 辻斬綺談
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「だいぶ御邪魔をしました」と立ち
懸
(
か
)
ける前に
居住
(
いずまい
)
をちょっと
繕
(
つく
)
ろい直す。
洋袴
(
ズボン
)
の
襞
(
ひだ
)
の崩れるのを気にして、常は出来るだけ楽に坐る男である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
着てゐる浴衣は、別れた母親
讓
(
ゆづ
)
りの品らしく、二三十年前江戸で
流行
(
はや
)
つた、洗ひ
晒
(
ざら
)
しの大時代物、赤い帶も
芯
(
しん
)
がはみ出して、
繕
(
つく
)
ろひ切れぬ淺ましい品だつたのです。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
襟
(
えり
)
も
白襯衣
(
しろしやつ
)
も
新
(
あた
)
らしい
上
(
うへ
)
に、流行の
編襟飾
(
あみえりかざり
)
を
掛
(
か
)
けて、浪人とは
誰
(
だれ
)
にも受け取れない位、ハイカラに取り
繕
(
つく
)
ろつてゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
難破して
堺
(
さかひ
)
の浦に流れついた、異人の船が持つて來たもので、その船の
繕
(
つく
)
ろひや、歸りの路用に困つて、他のいろ/\の品物と一緒に、土地の商人に賣つたものだが、あんまり値段が高いのと
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
然
(
しか
)
し
宗助
(
そうすけ
)
には
丸
(
まる
)
で
時間
(
じかん
)
を
潰
(
つぶ
)
しに
來
(
き
)
た
樣
(
やう
)
な
自覺
(
じかく
)
が
明
(
あき
)
らかにあつた。それを
斯
(
か
)
う
取
(
と
)
り
繕
(
つく
)
ろつて
云
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
ふのも、
自分
(
じぶん
)
の
腑甲斐
(
ふがひ
)
なさからであると、
獨
(
ひと
)
り
耻
(
は
)
ぢ
入
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし宗助にはまるで時間を
潰
(
つぶ
)
しに来たような自覚が明らかにあった。それをこう取り
繕
(
つく
)
ろって云って
貰
(
もら
)
うのも、自分の
腑甲斐
(
ふがい
)
なさからであると、
独
(
ひと
)
り恥じ入った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ならん事もあるまいがね、おれにはどうもお父さんの云う事が変でならないんだ。垣根を
繕
(
つく
)
ろったの、家賃が
滞
(
とどこお
)
ったのって、そんな費用は元来
些細
(
ささい
)
なものじゃないか」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これは自分を
取
(
と
)
り
繕
(
つく
)
ろいたくないという結構な精神の働いている場合もありましょうし
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それを無理矢理に
体裁
(
ていさい
)
を
繕
(
つく
)
ろって
半間
(
はんま
)
に調子を合せようとするとせっかくの
慰藉
(
いしゃ
)
的好意が水泡と変化するのみならず、時には思いも寄らぬ結果を呈出して熱湯とまで
沸騰
(
ふっとう
)
する事がある。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女は、僕自身で僕の卑怯な意味を充分自覚していながら、たまたま
他
(
ひと
)
の指摘を受けると、自分の弱点を相手に隠すために、
取
(
と
)
り
繕
(
つく
)
ろって
空
(
そら
)
っとぼけるものとこの問を解釈したらしい。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕は自分で自分の事をかれこれ取り
繕
(
つく
)
ろって好く聞えるように話したくない。しかし僕ごときものでも
長火鉢
(
ながひばち
)
の
傍
(
はた
)
で起るこんな戦術よりはもう少し高尚な問題に頭を使い得るつもりでいる。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
繕
常用漢字
中学
部首:⽷
18画
“繕”を含む語句
修繕
身繕
声繕
御繕
取繕
見繕
衣紋繕
御身繕
金粉繕
道修繕
羽繕
繕物
繕写
紙繕
瓦斯器修繕屋
毛繕
引繕
大抵論繕写刊刻之工
営繕課
口繕
...