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済度
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さいど
ふりがな文庫
“
済度
(
さいど
)” の例文
旧字:
濟度
送らんとする異教徒が住んでいるのか? われわれが
済度
(
さいど
)
せんとするその放縦兇暴な人間は誰であるか? もし何か人間に故障があり
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
例えば
耶蘇
(
やそ
)
教の神さんでも、その昔人民が罪悪に
陥
(
おちい
)
って
済度
(
さいど
)
し難いからというて大いに
憤
(
いきどお
)
り、大洪水を起して
総
(
すべ
)
ての罪悪人を殺し
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
やはり弘法大師が池の主を
済度
(
さいど
)
したという、かのせせらぎ長者の
妻
(
つま
)
虎御前
(
とらごぜん
)
の話(同上四巻三三九頁)と相似たる話を
遺
(
のこ
)
している。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
桃水や一休ほどの器量なきものが遊女を
済度
(
さいど
)
せんとして
廓
(
くるわ
)
に出入りすることはみずから
揣
(
はか
)
らざる
僭越
(
せんえつ
)
であり、運命を恐れざる無知である。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
頗無理な言葉の様ですが、先生の家出の動機の重なる一が、あなたはじめ先生の愛さるゝ人達の
済度
(
さいど
)
にあった事は決して疑はありません。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
……まだわからないのか……
済度
(
さいど
)
しがたい奴だなあ。じゃ青島、実物でやって見せるよりしかたがない、あれを持ち込もう。
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それにつけても、俗人の
済度
(
さいど
)
しがたいことを嘆いて、人里から一里ばかり山奥に庵を結び、遁世して禅定三昧に没入した。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
一寸
(
ちょっと
)
した物を買っても、すぐに暴利を貪ろうとする。実に懦弱で欲張り根性の突張った奴等ほど
済度
(
さいど
)
し難い者はないのだ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
更に又汝の感慨にして唯ほれぼれとするのみなりとせば、
已
(
や
)
んぬるかな、汝も流俗のみ、
済度
(
さいど
)
す可からざる乾屎橛のみ。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
済度
(
さいど
)
し給わんやと
願
(
ねがい
)
ければ上人
左右
(
そう
)
なく接引し給い静御前乃
振袖
(
ふりそで
)
大谷氏に秘蔵いたせしに一首乃歌をなん書記し給いぬ
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
流石
(
さすが
)
に
明治
(
めいぢ
)
の
御
(
おん
)
作者
(
さくしや
)
様方
(
さまがた
)
は
通
(
つう
)
の
通
(
つう
)
だけありて
俗物
(
ぞくぶつ
)
済度
(
さいど
)
を
早
(
はや
)
くも
無二
(
むに
)
の
本願
(
ほんぐわん
)
となし
俗物
(
ぞくぶつ
)
の
調子
(
てうし
)
を
合点
(
がてん
)
して
能
(
よ
)
く
幇間
(
たいこ
)
を
叩
(
たゝ
)
きてお
髯
(
ひげ
)
の
塵
(
ちり
)
を
払
(
はら
)
ふの
工風
(
くふう
)
を
大悟
(
たいご
)
し
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
すなわち彼は、こういう方法で殺害されることによってのみ、この種の
穢
(
けが
)
れた女は天国の門を
潜
(
くぐ
)
り得ると信じ、つまり
済度
(
さいど
)
のために殺しまわったのだった。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
救いは
隈
(
くま
)
なく渡るであろうか。衆生の
済度
(
さいど
)
はどうして果されるであろうか。もし知を有たずば神を信じ得ないなら、多くの衆生は
永
(
とこしな
)
えの迷路に
彷徨
(
さまよ
)
うであろう。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「それ見ろ、一度この中へ入って
済度
(
さいど
)
を受けてみんことにゃ、世の中の人情というものの
極意
(
ごくい
)
がわからん」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
迷亭もここにおいてとうてい
済度
(
さいど
)
すべからざる男と断念したものと見えて、例に似ず黙ってしまった。主人は久し振りで迷亭を
凹
(
へこ
)
ましたと思って大得意である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
故に
出生
(
しゅっしょう
)
せねば
済世
(
さいせい
)
が出来ぬと申すもこの事なり。済世というは則ちこの世の人を
済度
(
さいど
)
する事に御坐候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「いや、そうでない。大衆は
済度
(
さいど
)
しがたいものです。愚劣な敵討物を騒ぐだけでもそこらのことはよくわかります。調子を
低
(
さ
)
げれば大当り受合いだと思いますがな。」
仇討たれ戯作
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
対手
(
あいて
)
は
老朽
(
おいく
)
ちたものだけで、
年紀
(
とし
)
の
少
(
すくな
)
い、今の学校生活でもしたものには、とても
済度
(
さいど
)
はむずかしい、今さら、
観音
(
かんおん
)
でもあるまいと言うようなお考えだから
不可
(
いか
)
んのです。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それにより衆生の
済度
(
さいど
)
に任ぜんとする大乗仏教特有の菩薩の在り方と比較するとき、後者の無の立場に反し前者が有の立場たる生の完満に終始することは疑を容れぬと思う。
メメント モリ
(新字新仮名)
/
田辺元
(著)
「出来ないものは婦人科へ行っても出来やしない。お経で
後屈矯正
(
こうくつきょうせい
)
や
掻爬術
(
そうはじゅつ
)
が出来て溜るもんか。見す/\効能のない御祈祷を平気で
捧
(
あ
)
げているんだから坊主という奴は
済度
(
さいど
)
し難いよ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「さうだ/\、其のとほりの
野暮天
(
やぼてん
)
なんだから、是非花ちやんの
済度
(
さいど
)
を仰ぐのだ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
だが精々三十分ぐらいで、お暇しようと思い乍ら、氏の書斎へ通ったが最後一番
可
(
よ
)
い椅子へ腰を下ろし、四時間ぐらいたてつけに
喋舌
(
しゃべ
)
る、この私の不作法には、
済度
(
さいど
)
しがたいものがある。
小酒井不木氏スケッチ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
見れば世の中には不可思議無量の事なしと言い
難
(
がた
)
し
殊
(
こと
)
に
仏家
(
ぶっか
)
の書には奇異の事を
出
(
いだ
)
し
之
(
これ
)
を
方便
(
ほうべん
)
となし
神通
(
じんつう
)
となして
衆生
(
しゅじょう
)
を
済度
(
さいど
)
の
法
(
のり
)
とせり
是
(
こ
)
の篇に説く所の怪事も
亦
(
また
)
凡夫
(
ぼんぷ
)
の迷いを示して凡夫の迷いを
怪談牡丹灯籠:02 序
(新字新仮名)
/
総生寛
(著)
慈悲も
済度
(
さいど
)
も時と場合によりけりじゃ。
普
(
あまね
)
き信者が信心こめた献納の
祠堂金
(
きどうきん
)
は、何物にも替え難い浄財じゃ。それなる替え難い浄財を尊き霊地に於てスリ取った
不埒者
(
ふらちもの
)
匿
(
かくま
)
うことが、何の慈悲じゃッ。
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
江戸に芭蕉起りて幽玄なる禅道の妙機を
闡
(
ひら
)
きて、主として平民を
済度
(
さいど
)
しつゝありし間に、難波には近松巣林子出でゝ艶麗なる情筆を
揮
(
ふる
)
ひて、一世の趣味を
風靡
(
ふうび
)
したり、次いで西鶴、
其磧
(
きせき
)
の一流立ちて
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
さりながら
人気
(
じんき
)
の
奴隷
(
どれい
)
となるも
畢竟
(
ひつきやう
)
は
俗物
(
ぞくぶつ
)
済度
(
さいど
)
といふ
殊勝
(
しゆしよう
)
らしき
奥
(
おく
)
の
手
(
て
)
があれば
強
(
あなが
)
ち
無用
(
むよう
)
と
呼
(
よ
)
ばゝるにあらず、
却
(
かへつ
)
て
之
(
こ
)
れ
中々
(
なか/\
)
の
大事
(
だいじ
)
決
(
けつ
)
して
等閑
(
なほざり
)
にしがたし。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
私はこれに対して「私は仏道修行をして一切
衆生
(
しゅじょう
)
を
済度
(
さいど
)
しようために参ったのでございます」とこう
先方
(
むこう
)
の実際的の問を
外
(
はず
)
して形而上の仏教的説明の答をしたです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
訳
(
わけ
)
のわからぬ彼らが
己惚
(
うぬぼれ
)
はとうてい
済度
(
さいど
)
すべからざる事とするも、天下社会から、彼らの己惚をもっともだと是認するに至っては
愛想
(
あいそ
)
の尽きた不見識と云わねばならぬ。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
念仏
(
ねんぶつ
)
の法語は繰り返して云う。
弥陀
(
みだ
)
の
誓願
(
せいがん
)
を信ぜよ。その誓いに誤りはなく洩れはなく怠りはない。
済度
(
さいど
)
こそは
如来
(
にょらい
)
の
本願
(
ほんがん
)
である。救うことと如来たることとは同じ意である。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
然し武太さんの同情者が乏しい様に、久さんのおかみもあまり同情者を有たなかった。唯村の天理教信者のおかず
媼
(
ばあ
)
さんばかりは、久さんのおかみを
済度
(
さいど
)
す可く彼女に近しくした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
結婚という名目であの身体が独占できると思いますか?
況
(
いわ
)
んやあいつの精神が? 野獣にも精神があるというならあの女にも精神はあるでしょうが、仏力で野獣が
済度
(
さいど
)
できますかな。
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「うむ、佐竹の奥方が恨む、その奥方の怨霊とやらが残っているなら、こんなところに閉じ籠めておいてはなお悪い、明け開いて
綺麗
(
きれい
)
に
済度
(
さいど
)
してやるがよろしい。お吉、邪魔をするな」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その勧むるや、中心
止
(
や
)
まんと欲して止む
能
(
あた
)
わざるなり。彼の
狭隘
(
きょうあい
)
なる度量も、この時においては、
俄然
(
がぜん
)
膨脹するを見る。彼が眼中敵もなく、味方もなく、ただ彼が
済度
(
さいど
)
すべき
衆生
(
しゅじょう
)
あるのみ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そこでその徳を備え居るところの有形の体を現わして、世の
衆生
(
しゅじょう
)
を
済度
(
さいど
)
するために仮にこの世に生れて来た。すなわち仮にこの世に化けて来たところの身という意味から
化身
(
けしん
)
という。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
茶道の堕落は
遠州
(
えんしゅう
)
あたりから著しくなる。末期に至っては悪趣味の泥中に沈んで
済度
(
さいど
)
しがたい。恐らく誤った茶人ほど、工藝に対してひどい見方をしている者は他にないと云ってもよい。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「大無量寿経」は仏のこの驚くべき行いを説くために書かれてある。それ故、人の善悪を選ばず、信不信を待たず、一切の人間の一切の作は、少しの例外をも許さず、仏の
済度
(
さいど
)
を受けているのである。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
済
常用漢字
小6
部首:⽔
11画
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
“済”で始まる語句
済
済南
済世
済々
済州
済寧
済之助
済民
済勝
済北