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浅墓
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あさはか
ふりがな文庫
“
浅墓
(
あさはか
)” の例文
旧字:
淺墓
「ホホホホ。それは相手によりけりだわ。妾がお眼にかける夢は、そんな
浅墓
(
あさはか
)
なもんじゃないわ。アトで怨んだって追つかない事よ」
女坑主
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ひどい封建時代に生れた
搾取
(
さくしゅ
)
時代の民器に、何の美があり得ようというのである。これは誠に実情を知らない者の
浅墓
(
あさはか
)
な非難に過ぎない。
改めて民藝について
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
先生にわらわれることをおそれたりして
浅墓
(
あさはか
)
な自分の知恵で秘密にことを運ぼうとするとその結果たるやますます悪くなるばかりである。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
自慢にはならぬが、話が上手で、というよりお
喋
(
しゃべ
)
りで、自分でもいや気がさすくらいだが、
浅墓
(
あさはか
)
な女にはそれがちょっと魅力だったらしい。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
浅墓
(
あさはか
)
な、つめたい、むごい、エゴイズムさ。生活のための仕事にだけ、愛情があるのだ。
陋巷
(
ろうこう
)
の、つつましく、なつかしい愛情があるのだ。
八十八夜
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
どんな事しても人民の方には判るまい——
斯様
(
こんな
)
浅墓
(
あさはか
)
な考を以て、当年も増税、明年も増税、諸君は止まる所を何となさるのでござりまするか
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
ファラデーに「俗人の
浅墓
(
あさはか
)
な生活や日日の事に
齷齪
(
あくせく
)
するのとは全くの別天地で、こんな所で研究をしておられたら、どんなに幸福でしょう」
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
恐ろしい平次の明智に打ちひしがれて、
浅墓
(
あさはか
)
な細工をした自分が恥かしくなったのでしょう。お藤は黙って首を垂れました。
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれども、そんな
浅墓
(
あさはか
)
な前提だけでもって、どうして、あの神秘的な力に仮説を組み上げることがお出来になりまして。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
この寺の他の坊さんと同様に、ただ、坊さんになればのらくらしていても楽に食って行けるといったように、ごく
浅墓
(
あさはか
)
な考えからそうしたのだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
こうした造化の設計には
浅墓
(
あさはか
)
なわれわれには想像もつかないような色々の意図があるかもしれないという気がする。
高原
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
通りすぎておかしいくらいだが、なにか一点、溶けあえぬものがある。家を思い国を思う真心は、見ねばすむといった
浅墓
(
あさはか
)
なものではないようである。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その時にふと机の上の雑誌に眼がつき、その中の写真版を引ちぎったのは、
浅墓
(
あさはか
)
な所為でした。その為に後であなたから疑われる結果になったのです。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
有尾人種などというものは
浅墓
(
あさはか
)
な自分の妄想であって、世界のどこを探し廻ったところでそんなものは実際には存在しないとこう諦めざるを得なかった。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
すると女などは
浅墓
(
あさはか
)
なものだから、そら鐘が鳴ったと云うので、めいめい
河岸
(
かし
)
へあつまって
半襦袢
(
はんじゅばん
)
、
半股引
(
はんももひき
)
の服装でざぶりざぶりと水の中へ飛び込んだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
浅墓
(
あさはか
)
な声で呼び立て乍ら、女将は、ひとりで慌てて、閉め切ってあった向う端の部屋の襖をガラリとあけた。
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
いろいろな神様を祭らせてなるべく信仰の種類を多くせうとした日蓮の策略は
浅墓
(
あさはか
)
なやうであるけれども
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
俺
(
わし
)
はな、
浅墓
(
あさはか
)
にも、相手の
罠
(
わな
)
にかゝって飛んでもないことをしてしまったのだ。あの木下の
奴
(
やつ
)
!
彼奴迄
(
あいつまで
)
が、荘田の犬になっていようとは夢にも悟らなかったのだ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
このわしをそんな手で
欺
(
だま
)
そうとするのは、
浅墓
(
あさはか
)
だよ。わしは何もかも知っているのだ。若し罪がないものなら、なぜ逃げ隠れをするのだ。それも普通の逃げ方ではない。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
浅墓
(
あさはか
)
にもいじらしいわが心よ。しかしお前は気をつけねばいけない。あの方は禁慾離苦の御身だ。あの方を真に思って上げるなら、あの方を忘れて上げなければいけない。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
又売物の
掛直
(
かけね
)
同様にして、斯くまでに厳しく
警
(
いまし
)
めたらば少しは注意する者もあらんなど、
浅墓
(
あさはか
)
なる教訓なれば
夫
(
そ
)
れまでのことなれども、真実
真面目
(
まじめ
)
に古礼を守らしめんとするに於ては
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そんな神は宇宙間の
何所
(
どこ
)
にも居ない。それはただ人間の
浅墓
(
あさはか
)
な心にのみ存在する。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
諄々
(
くどくど
)
と
黒暗
(
くらやみ
)
の
耻
(
はじ
)
を
申
(
もうし
)
てあなたの様な
情
(
なさけ
)
知りの御方に
浅墓
(
あさはか
)
な
心入
(
こころいれ
)
と
愛想
(
あいそ
)
つかさるゝもおそろし、さりとて夢さら御厚意
蔑
(
ないがしろ
)
にするにはあらず、やさしき御言葉は骨に
鏤
(
きざ
)
んで七生忘れませぬ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と聞くと
浅墓
(
あさはか
)
な考へを持つ男達は直ぐ今日から自分達の職業や社会的地位をとられたり、面倒な家庭の仕事を分担させられたり、自分達が勝手に遊び歩いたり、酒を飲んだりするやうに
男性に対する主張と要求
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
彼の
歓
(
よろこ
)
び知るべきである。かく神を事実上に見てその全能を悟るや、自己の無力
汚穢
(
おわい
)
は何よりも痛切に感ぜらるるに至り、
驕慢
(
きょうまん
)
にして自己に頼りし既往の
浅墓
(
あさはか
)
さは
懺悔
(
ざんげ
)
の種とのみなった。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
私は思想で、自ら欺いて、
其様
(
そん
)
な
浅墓
(
あさはか
)
な事を思っていたが、思想に上らぬ実際の私は全く別の事を思っていた。
如何
(
どん
)
な事を思っていたかは、私の言う事では分らない、是から追々
為
(
す
)
る事で分る。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
少女心
(
おとめごころ
)
の
浅墓
(
あさはか
)
にも、近所の家に
掛
(
か
)
けありし着物を盗みたるなりとぞ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
こちらの
世界
(
せかい
)
の
事情
(
じじょう
)
が
少
(
すこ
)
し
判
(
わか
)
って
見
(
み
)
ると、それがいかに
浅墓
(
あさはか
)
な、
勝手
(
かって
)
な
考
(
かんがえ
)
であるかがよく
判
(
わか
)
りますが、あの
時分
(
じぶん
)
の
私達
(
わたくしたち
)
夫婦
(
ふうふ
)
はまるきり
迷
(
まよ
)
いの
闇
(
やみ
)
にとざされ、それがわが
娘
(
こ
)
の
済
(
すく
)
われるよすがであると
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
流石
(
さすが
)
のドン様ドン様連中も、
最早
(
もはや
)
イケナイと覚悟したらしいんだね。実に現金な、
浅墓
(
あさはか
)
な話だとは思ったが、しかし悪い気持ちはしなかったよ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
少
(
すくな
)
くとも、切り抜かれ抹消された文字を無視して、残る文字だけを綴って、恋と判じ、死と読むのは、それはいかにも
浅墓
(
あさはか
)
なことではありませんか。
奇談クラブ〔戦後版〕:01 第四の場合
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は、自分の
浅墓
(
あさはか
)
な
悦
(
よろこ
)
びを考えると、じつに無限と云っていいくらい、胸の中が
憐憫
(
あわれみ
)
で一杯になってしまうのです。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それにはまず朝霞の心を掴んでおくにかぎると
浅墓
(
あさはか
)
な才覚をし、側見するところ、保平は口にこそ出さないが
無月物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
この薔薇は、私が、
瞞
(
だま
)
されて買ったのである。その欺きかたが、
浅墓
(
あさはか
)
な、ほとんど暴力的なものだったので、私は、そのとき実に、言いよう無く不愉快であった。
善蔵を思う
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「今年の春」と梅子は
微
(
かす
)
かに
吐息
(
といき
)
洩らして「
浅墓
(
あさはか
)
な
彼
(
あ
)
の頃を
私
(
わたし
)
はホンたうに耻づかしく思ひます、世を
棄
(
す
)
て人を逃れた古人の心に、私は、篠田さん、今ま始めて真実同情を ...
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
母は
浅墓
(
あさはか
)
ですけれども、その浅墓さが幾枚も重なり合っていて、
剥
(
む
)
く骨折さえ
厭
(
いと
)
わなかったら、その
芯
(
しん
)
に何かありそうにさえ見える女でございました。父はそれに引っかゝった。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「藤尾には君のような人格は解らない。
浅墓
(
あさはか
)
な
跳
(
は
)
ね
返
(
かえ
)
りものだ。小野にやってしまえ」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御
(
おん
)
おもかげの変りたる時にこそ
浅墓
(
あさはか
)
ならぬ
我
(
わが
)
恋のかわらぬ者なるを
顕
(
あらわ
)
したけれと、無理なる
願
(
ねがい
)
をも神前に
歎
(
なげ
)
き
聞
(
きこ
)
え
候
(
そろ
)
と、愚痴の数々まで記して丈夫そうな状袋を
択
(
えら
)
み、封じ目油断なく
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
吾々人間の
浅墓
(
あさはか
)
な智慧などでは到底いつまでたっても究め尽せないほど不思議な
真言
(
しんごん
)
秘密の小宇宙なのである。それが、どうしてこうも情ない、紙細工のようなものにしか描き現わされないであろう。
烏瓜の花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
この上妹まで、
獣
(
けだもの
)
の
餌食
(
えじき
)
にしたくないばかり、——今晩が過ぎたら、何とかなるだろうと思う
浅墓
(
あさはか
)
な考えから、突くともなしに、後ろから突いてしまいました
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかしこの考えが
浅墓
(
あさはか
)
であることは間もなくわかった。妻木君は私と向い合って坐るとすぐに云った。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私はなんてまあ
浅墓
(
あさはか
)
な軽薄そうな男だろうと
呆
(
あき
)
れ、つくづく芸術家という種族の人間を嫌悪した。
十五年間
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これに対して、蝶ちゃんのおふくろの
浅墓
(
あさはか
)
な技巧は
却
(
かえ
)
って渡りに舟なのだ
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ハムレットさま、そんな
浅墓
(
あさはか
)
な
韜晦
(
とうかい
)
は、やめて下さい。若い者なら若い者らしく、もっと素直におっしゃったら、いかがです。とても隠し切れるものでは、ありません。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
……ああ……
浅墓
(
あさはか
)
な私……私は校長先生のお金に関する醜いお仕事の数々を知り過ぎるくらい、存じておりました。けれども女性に対しては、どこまでも潔白なお方と信じ切っていたのでした。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「光栄です。」と私は、ほとんど
生粋
(
きっすい
)
の都会人の如き
浅墓
(
あさはか
)
な社交振りを示して、「その弟さんは、しかし、あなたに似て頭がいいのでしょう? その点は僕と違うようですね。」
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
浅墓
(
あさはか
)
な苦労なぞの及ぶところではないであろう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あれ以来というものは、全く、ふやけた
浅墓
(
あさはか
)
な通俗小説ばかりを書くようになりました。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
若い才能と自称する
浅墓
(
あさはか
)
な少年を背後に従え、公園の森の中をゆったり歩きながら、私は大いに自信があった。果して私が、老いぼれのぼんくらであるかどうか、今に見せてあげる。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
たいてい
浅墓
(
あさはか
)
で興覚めな、けち臭い打算ばっかりやっている哀れな、
賤
(
いや
)
しい存在だが、それを見破ったからとて、こちらでただ
軽蔑
(
けいべつ
)
して、のほほん顔でいたならば、ひどい目に遭う。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
大いそぎで一時のがれのごまかしを
捏造
(
ねつぞう
)
して、ちょっとうまい事をしようとたくらんでいる政治家など無ければ幸いだが、そんな
浅墓
(
あさはか
)
な言いつくろいが日本をだめにして来たのだから
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
浅
常用漢字
小4
部首:⽔
9画
墓
常用漢字
小5
部首:⼟
13画
“浅”で始まる語句
浅間
浅葱
浅草
浅黄
浅
浅慮
浅薄
浅草寺
浅猿
浅茅