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樋
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ひ
ふりがな文庫
“
樋
(
ひ
)” の例文
……貞阿はそう思い定めると、
暫
(
しばら
)
くじっと
瞑目
(
めいもく
)
した。雪が早くも解けるのであろう、どこかで
樋
(
ひ
)
をつたう水の音がする。……
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
一所
(
ひとつところ
)
に土橋がかかっていた。その下に
枯蘆
(
かれあし
)
が茂っていた。また一所に
樋
(
ひ
)
の口があった。枯れた
苔
(
こけ
)
が
食
(
く
)
っ
付
(
つ
)
いていた。
隠亡堀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
其晩
(
そのばん
)
は
湿
(
しめ
)
やかな
春雨
(
はるさめ
)
が
降
(
ふ
)
つてゐた。
近所隣
(
きんじよとなり
)
は
闃
(
ひつそ
)
として、
樋
(
ひ
)
を
洩
(
も
)
れる
細
(
ほそ
)
い
雨滴
(
あまだれ
)
の
音
(
おと
)
ばかりがメロヂカルに
聞
(
きこ
)
える。が、
部屋
(
へや
)
には
可恐
(
おそろ
)
しい
影
(
かげ
)
が
潜
(
ひそ
)
んでゐた。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
山村のここの水之尾、
樋
(
ひ
)
のへりにみそ萩さきて、みそ萩に水だまはねて、水ぐるまやまずめぐれり、その
水口
(
みなくち
)
に。
篁
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
周囲に
柵
(
さく
)
を結いたれどそれも低く、錠はあれど
鎖
(
さ
)
さず。
注連
(
しめ
)
引結いたる。青く
艶
(
つやや
)
かなる
円
(
まろ
)
き石の
大
(
おおい
)
なる下より
溢
(
あふ
)
るるを
樋
(
ひ
)
の口に受けて木の
柄杓
(
ひしゃく
)
を添えあり。
一景話題
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「八日。(五月。)晴。今夜姫路鳥取行乗船。但安石同伴夜四つ時前
四
(
よ
)
つ
樋
(
ひ
)
より
竹忠船
(
たけちゆうふね
)
へ乗込。直出帆。」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
石の
井筒井
(
いづつい
)
から、掛け
樋
(
ひ
)
が小流れへ落ちている。その小さい
飛沫
(
しぶき
)
のさきに、小鳥が降りて、
戯
(
たわむ
)
れていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なる程、
我
(
われ
)
正直に
過
(
すぎ
)
て
愚
(
おろか
)
なりし、お
辰
(
たつ
)
を
女菩薩
(
にょぼさつ
)
と思いしは第一の
過
(
あやま
)
り、
折疵
(
おれきず
)
を隠して刀には
樋
(
ひ
)
を彫るものあり、根性が腐って
虚言
(
うそ
)
美しく、田原が
持
(
もっ
)
て来た手紙にも
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
粉碾車
(
こひきぐるま
)
をめぐらさんとて
樋
(
ひ
)
をゆく水の、
輻
(
や
)
にいと近き時といへどもそのはやきこと 四六—四八
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
わがいふ家の石垣よりのぞきたる三條の
樋
(
ひ
)
の口は水を吐きて石盤に入らしむ。この家はわがためには
尋常
(
よのつね
)
ならぬおもしろ味あり。そをいかにといふにわれはこの家にて生れぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
モウ年を
老
(
と
)
っちまって仕様がねえだ、
若
(
わけ
)
え時分に一緒に松戸の
樋
(
ひ
)
の
口
(
くち
)
へ通う時分にゃア一晩でも
女郎買
(
じょろうけえ
)
をしねえと気が済まねえで、一度などは雨が降った時に
簔
(
みの
)
を着て往った事が有ったが
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「南無三、
好事
(
こうず
)
魔多し」と髯ある人が
軽
(
かろ
)
く膝頭を打つ。「
刹那
(
せつな
)
に千金を惜しまず」と髯なき人が葉巻の
飲
(
の
)
み
殻
(
がら
)
を庭先へ
抛
(
たた
)
きつける。隣りの合奏はいつしかやんで、
樋
(
ひ
)
を伝う
雨点
(
うてん
)
の音のみが高く響く。
一夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
樋
(
ひ
)
を掛けて漏る雨を受けて、漏らない處にお遷り遊ばされました。後に國中を御覽になりますと、國に烟が滿ちております。そこで人民が富んだとお思いになつて、始めて租税勞役を命ぜられました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
と云つて、
御陵
(
ごりよう
)
の
樋
(
ひ
)
の
口
(
くち
)
に続いた森を指さしたりしました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「この
樋
(
ひ
)
の
山
(
やま
)
からの眺望は東洋第一だと申します」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
樋
(
ひ
)
はさぐり、樋はまた咽ぶ——
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
……貞阿はさう思ひ定めると、
暫
(
しばら
)
くじつと
瞑目
(
めいもく
)
した。雪が早くも解けるのであらう、どこかで
樋
(
ひ
)
をつたふ水の音がする。……
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
清
(
きよ
)
らかなる
樋
(
ひ
)
の
口
(
くち
)
に
冷
(
つめ
)
たき
其
(
そ
)
の
土
(
つち
)
を
洗
(
あら
)
ふを
見
(
み
)
て、
山
(
やま
)
の
芋
(
いも
)
は
鰻
(
うなぎ
)
になる、
此
(
こ
)
の
牛蒡
(
ごばう
)
恁
(
か
)
くて
石清水
(
いはしみづ
)
に
身
(
み
)
を
灌
(
そゝ
)
がば、あはれ
白魚
(
しらうを
)
に
化
(
くわ
)
しやせんと、そゞろ
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
を
置
(
お
)
きしが。
城の石垣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
樋
(
ひ
)
の
破目
(
われめ
)
から漏れおちる
垂滴
(
すいてき
)
の
水沫
(
しぶき
)
に、光線が美しい虹を
棚引
(
たなびか
)
せて、
凧
(
たこ
)
の
唸声
(
うなりごえ
)
などが空に聞え、乾燥した浜屋の前の往来には、よかよか
飴
(
あめ
)
の太鼓が子供を呼んでいた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
欄間
(
らんま
)
や
厨子
(
ずし
)
を見廻して、そこに日本左衛門の居ることすら度外したような顔でいますと、自分の帯から二寸ばかり上の胸元に、
樋
(
ひ
)
へ流したような刀のみねが、ピタリと突きつけられて来ました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
樋
(
ひ
)
より池に落つる
清水
(
しみづ
)
の音にしてひとところただにうち凹めつつ
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
山が高いので地の下に
樋
(
ひ
)
を通わせ
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
清々
(
すが/\
)
しいのは、かけ
湯
(
ゆ
)
の
樋
(
ひ
)
の
口
(
くち
)
をちら/\と、こぼれ
出
(
で
)
て、
山
(
やま
)
の
香
(
か
)
の
芬
(
ぷん
)
と
薫
(
かを
)
る、
檜
(
ひのき
)
、
槇
(
まき
)
など
新緑
(
しんりよく
)
の
木
(
き
)
の
芽
(
め
)
である。
松葉
(
まつば
)
もすら/\と
交
(
まじ
)
つて、
浴槽
(
よくさう
)
に
浮
(
う
)
いて、
潛
(
くゞ
)
つて、
湯
(
ゆ
)
の
搖
(
ゆ
)
るゝがまゝに
舞
(
ま
)
ふ。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
樋
(
ひ
)
の
堰
(
せき
)
を切れ」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
樋
漢検準1級
部首:⽊
15画
“樋”を含む語句
雨樋
樋口
大樋
伏樋
樋竹
竹樋
樋放
木樋
掛樋
懸樋
樋口一葉
石樋
竪樋
戸樋
樋口兼光
大伏樋
樋田
樋速日
樋口次郎兼光
樋竹売
...