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暴風
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あらし
ふりがな文庫
“
暴風
(
あらし
)” の例文
吉「旦那、棄てるのなら
私
(
わっち
)
に下せえまし、弁当も何も此の
暴風
(
あらし
)
で残らず流してしまったア、旦那が上らねえなら私どもに下せえな」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
法隆寺にゐる北畠男爵などはその一
人
(
にん
)
で、
暴風
(
あらし
)
のやうなあの人一流の
法螺
(
ほら
)
は一寸困り物だが、夏帽だけはパナマの良いのを着けてゐる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
生憎
(
あいに
)
くその木は小さかつたので、まるで
暴風
(
あらし
)
に吹かれてゞもゐるやうに、ゆら/\、ざわ/\と動いて、キクッタは今にも落ちさうでした。
熊捕り競争
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
その顔を見た瞬間に……又
暴風
(
あらし
)
だな……と直覚した私は、空っぽになったウイスキーの瓶を頭の中で、クルクルと廻転させた。
幽霊と推進機
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ひよつとしたらこの
静謐
(
せいひつ
)
は、ふたたび間近に迫らうとしてゐる
暴風
(
あらし
)
の準備をしてゐるのかも知れぬ。そのひまの片時の安らぎなのかも知れぬ。
母たち
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
上を向いて空を見るのも厭である。どうも
暴風
(
あらし
)
が吹いて来てこの山の根の方を崩してしまひはすまいかと思はれてならない。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
八方から口汚い
罵倒
(
ばとう
)
の
暴風
(
あらし
)
だった。百姓も云う、町人も
喚
(
わめ
)
く、女や
洟垂
(
はなた
)
らしの子供までが、
面罵
(
めんば
)
を浴びせかけて、云わして置けば
限
(
き
)
りがない。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白
(
しろ
)
いくまは、ふいに、そんなことが
頭
(
あたま
)
に
浮
(
う
)
かぶと、どっと
暴風
(
あらし
)
のように、
鉄
(
てつ
)
の
格子
(
こうし
)
に
飛
(
と
)
びついて
破
(
やぶ
)
ろうとしました。しかし、やっぱりだめでした。
白いくま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
朝曇り後晴れて、海のように
深碧
(
ふかみどり
)
に
凪
(
な
)
いだ空に、昼過ぎて、白い雲が
頻
(
しき
)
りにちぎれちぎれに飛んだ。其が
門渡
(
とわた
)
る船と見えている内に、
暴風
(
あらし
)
である。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
仏蘭西の地層から切出した石材のヴェルサイユは火事と
暴風
(
あらし
)
と白蟻との災禍を恐るる必要なく、時間の
無限中
(
むげんちゅう
)
に今ある如く不朽に残されるであろう。
霊廟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
少し風が
吹罷
(
ふきやん
)
で更に此の後へ大きな
暴風
(
あらし
)
が来はせぬか、此の
凪
(
なぎ
)
が却って
大暴
(
おおあれ
)
の前兆ではないかと気遣われる様な者だ。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
それなりに十八の歳になつて、村の役場に見習の格で雇書記に入つたが、恰度その頃、
暴風
(
あらし
)
の様な勢で以て、天理教が付近一帯の村々に入込んで来た。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
暴風
(
あらし
)
に吹き倒された樹が一本、長い鬚のある根をむき出し、かさかさに枯れた黄色い刺を見せて横たわっている。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
しかし夫人は待ち構えていたようにイソ/\と迎えてくれた。恐らく
暴風
(
あらし
)
の後の日本晴れだったろう。
一寸
(
ちょっと
)
誘いに寄ったにしても女は然う簡単に行かない。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
月が
灼
(
や
)
けた砲丸のやうに、大きく赤く、波の間に沈みかけて——それが
暴風
(
あらし
)
のやつて來るのに顫へながら、最後の血の色をした一瞥を地上に投げてゐました。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
道具箱から
鑿
(
のみ
)
と
金槌
(
かなづち
)
を持ち出して、裏へ出て見ると、せんだっての
暴風
(
あらし
)
で倒れた
樫
(
かし
)
を、
薪
(
まき
)
にするつもりで、
木挽
(
こびき
)
に
挽
(
ひ
)
かせた手頃な
奴
(
やつ
)
が、たくさん積んであった。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
昔から何ほど
暴風
(
あらし
)
が吹いても、この椎森のために、僕の家ばかりは屋根を
剥
(
は
)
がれたことはただの一度もないとの話だ。家なども随分と古い、柱が残らず椎の木だ。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
が、そうした後では、じきに
暴風
(
あらし
)
が来る。思いがけないことから、不意と新吉の心の平衡が破れて来る。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
否
(
いいえ
)
、」とお
母
(
かあ
)
さんが
言
(
い
)
った。「わたしは
胸
(
むね
)
がどきどきして、まるで
暴風
(
あらし
)
でも
来
(
く
)
る
前
(
まえ
)
のようですわ。」
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
漳州船は
暴風
(
あらし
)
の後の長いうねりに押され、押し戻され、あてどもなく
漂流
(
ひょうりゅう
)
していたが、そのうちに浸水の速度が早くなって、胴ノ間の天井まで水がつくようになった。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
緑の密林の中から、
暴風
(
あらし
)
か落雷のためにぽっきり折れたらしく頭のない巨きな白樺の白い幹が一本、キラキラと光る形のいい大理石の円柱のように空中に聳えている。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
旦那、多分、お
痛
(
いた
)
はしいお心からでは御座んせんか。
暴風
(
あらし
)
の晩にたつた一邊かいだばかりで、一生忘られない花の香もありますから。たしか、今暴風の晩と
仰有
(
おつしや
)
いましたね。
わるい花
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
まやかしの露の上に夢みられたる一生涯のただ一つのゆめ、パラダイスの
暴風
(
あらし
)
のために故郷の岸から遠く吹き払われた不死の鳥が
何処
(
どこ
)
かの都に来て歌ったただ一つの歌であった。
人馬のにひ妻
(新字新仮名)
/
ロード・ダンセイニ
(著)
油断をすれば余は滑り落ちんとす、今はやや海上静まりしと見え、怒濤の破れ目より打込むような事はなけれど、決して
暴風
(
あらし
)
のやみしにあらず、船の動揺はなかなか激しくして
南極の怪事
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
妻があり、子があり、世間があり、師弟の関係があればこそ
敢
(
あえ
)
て
烈
(
はげ
)
しい恋に落ちなかったが、語り合う胸の
轟
(
とどろき
)
、相見る眼の光、その底には確かに
凄
(
すさま
)
じい
暴風
(
あらし
)
が潜んでいたのである。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
暴風
(
あらし
)
の吹いた後のように、帳場格子は折れ、硯箱はひっくりかえり、薬罐は
灰神楽
(
はいかぐら
)
をあげている店の間を、グルグル廻りながら(娘は?)と佐五衛門は、そのことばかりを思った。
猿ヶ京片耳伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
此頃
(
このごろ
)
の六月の
夜
(
よ
)
の薄明りの、
褪
(
さ
)
めたような色の光線にも、また翌日の朝焼けまで
微
(
かす
)
かに光り
止
(
や
)
まない、空想的な、不思議に優しい調子の、薄色の夕日の景色にも、また
暴風
(
あらし
)
の来そうな
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
路の二丁も担いで来ると、雪を欺く霜の朝でも、汗が満身に流れる。鼻息は
暴風
(
あらし
)
の如く、心臓は早鐘をたゝく様に、
脊髄
(
せきずい
)
から後頭部にかけ
強直症
(
きょうちょくしょう
)
にかゝった様に一種異様の
熱気
(
ねつけ
)
がさす。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
路
(
みち
)
の二丁も
担
(
かつ
)
いで来ると、雪を欺く霜の朝でも、汗が満身に流れる。鼻息は
暴風
(
あらし
)
の如く、心臓は早鐘をたゝく様に、
脊髄
(
せきずゐ
)
から後頭部にかけ
強直症
(
きやうちよくしやう
)
にでもかゝつた様に一種異様の熱気がさす。
水汲み
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
鶏冠
(
とさか
)
に真っ赤に血を注いで戦いを挑み、空の雄鶏は残らず来いと身構える——しかし、相手は、
暴風
(
あらし
)
に
面
(
おもて
)
を
曝
(
さら
)
すことさえ恐れないのに、今はただ、微風に
戯
(
たわむ
)
れながらくるりと向うをむいてしまう。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
しかしそれ程の
工
(
たく
)
みをしなくても済むようになった。なぜというに、その晩から
後
(
のち
)
には、男の
烈
(
はげ
)
しい色情が、
暴風
(
あらし
)
の
凪
(
な
)
いだように鎮まったからである。男は女を、疲れを帯びた優しさで待遇した。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
あはれ
汝
(
なんぢ
)
らが
矜
(
ほこり
)
高かる心には
暴風
(
あらし
)
もなどか今さらに悲しからむ。
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
誰が怒罵号泣の
暴風
(
あらし
)
を吹き
荒
(
すさ
)
ませるのです。150
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
大剛
(
だいがう
)
の力者あらびぬ上つ毛の赤城
平
(
だひら
)
に雨す
暴風
(
あらし
)
す
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その手の下に息を殺した
暴風
(
あらし
)
と波と
風は草木にささやいた:01 風は草木にささやいた
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
夜
(
よる
)
の
稜威
(
みいづ
)
暴風
(
あらし
)
の
襲來
(
おそひ
)
、恐ろしき
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
暴風
(
あらし
)
のしまき、夜の海、——
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
ささげ畑の
暴風
(
あらし
)
の晩も
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
暴風
(
あらし
)
の如き売行き!
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
よい
暴風
(
あらし
)
。雨
海辺小曲(一九二三年二月――)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
暴風
(
あらし
)
の去った一瞬の後は、誰の
面
(
おもて
)
にも、何か考え事が
絡
(
から
)
んでいて、事件の起った前よりも遙かに、
静粛
(
せいしゅく
)
な気が流れていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若し潮流最も劇しく、
暴風
(
あらし
)
の力これを助長するときは、諾威国の哩数にて、渦巻の縁を
距
(
さ
)
ること、一哩の点に船舶を進むるだに、甚だ危険なるべし。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
いままで、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
に
吹
(
ふ
)
いていた
暴風
(
あらし
)
は、こうあざらしに
問
(
と
)
いかけられると、ちょっとその
叫
(
さけ
)
びをとめました。
月とあざらし
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
其が
門渡
(
とわた
)
る船と見えてゐる内に、
暴風
(
あらし
)
である。空は愈青澄み、昏くなる頃には、藍の様に色濃くなつて行つた。見あげる山の端は、横雲の空のやうに、茜色に輝いて居る。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
がやがやと、まるで
暴風
(
あらし
)
の海のやうに、いろいろの取沙汰や論議が人々の間に持ちあがつた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
一つの心配はこの恐ろしい
暴風
(
あらし
)
の中から、
如何
(
いか
)
にして三千代を救い得べきかの問題であった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
山小屋
(
ヒュッテ
)
の
窓々
(
まどまど
)
は、暗い海を照らす灯台のように、明るく、温かくまたたいた。
暴風
(
あらし
)
の海へ出た肉親の帰りを待つような真剣な顔つきで、いっしんに窓のそとの物音に耳を立てていた。
キャラコさん:02 雪の山小屋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
……果して……と思うと、
暴風
(
あらし
)
に慣れない私は少々ドキンとした。そのまま大急ぎで船室に引返したが、水夫長はモウ別の階段から出て行ったらしく、船室の
扉
(
ドア
)
が開け放しになっていた。
幽霊と推進機
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私は以前二百十日の頃には折々立続くこの獄吏の家の板塀が
暴風
(
あらし
)
で
吹倒
(
ふきたお
)
される。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
おかみさん、そら、あつた、こゝにあつた、ひとりぽつちで
忍冬
(
すいかづら
)
の中に
潰
(
つぶ
)
れてゐた。たつた、ひとりぽつちでさ、この花は世界に一つしか無いんだ。それ、
暴風
(
あらし
)
と涙と
幸
(
さいはひ
)
の
香
(
にほひ
)
がしないかね。
わるい花
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
“暴風”の意味
《名詞》
暴 風(ぼうふう)
激しく吹く風。
風力階級11の風。
(出典:Wiktionary)
暴
常用漢字
小5
部首:⽇
15画
風
常用漢字
小2
部首:⾵
9画
“暴風”で始まる語句
暴風雨
暴風報
暴風雨計
暴風雨模樣