トップ
>
昔馴染
>
むかしなじみ
ふりがな文庫
“
昔馴染
(
むかしなじみ
)” の例文
「さうぢやあるまい、何んかお前思ひ込んで居るだらう。借金取に追つ駈けられるとか、義理が惡い
昔馴染
(
むかしなじみ
)
に取つちめられたとか」
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
こちらの三枝さんの奥さんは、日向さんの奥さんとは
昔馴染
(
むかしなじみ
)
でしたので、婆さんは出しなにちょっといとま
乞
(
ごい
)
に立寄ったのでした。
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
先程からの急促した気分はようやく消えて、ここではじめて、
昔馴染
(
むかしなじみ
)
に逢って、心ゆくばかり話のできるような気分にさえなりました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何故
(
なぜ
)
かと
申
(
もう
)
すに、
巌
(
いわ
)
の
上
(
うえ
)
から
見渡
(
みわた
)
す一
帯
(
たい
)
の
景色
(
けしき
)
が、どう
見
(
み
)
ても
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の
三浦
(
みうら
)
の
西海岸
(
にしかいがん
)
に
何所
(
どこ
)
やら
似通
(
にかよ
)
って
居
(
い
)
るのでございますから……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
彼はついひと月前から職に
就
(
つ
)
いたのだ。——
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の周囲のなかで、彼は病後の疲れに似た、何かの安らかな休息を感じてゐた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
▼ もっと見る
主殺しのお尋ね者が世間を憚らず、この江戸市中を徘徊して
昔馴染
(
むかしなじみ
)
をゆすって廻るなどは、重々不埓な奴であると半七は思った。
半七捕物帳:61 吉良の脇指
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
村住居はしても、会堂の牧師になる事を私が御免蒙ったので、信者の人々は
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の下曾根さんをあらためて
招聘
(
しょうへい
)
したのでした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
此方
(
こち
)
の
昔馴染
(
むかしなじみ
)
のヸーナス
殿
(
どの
)
を
美
(
ほ
)
めさっしゃい、
乃至
(
ないし
)
は
盲目
(
めんない
)
の
息子殿
(
むすこどの
)
、
例
(
れい
)
のコーフェーチュアの
王
(
わう
)
さんが
乞食娘
(
こじきむすめ
)
に
惚
(
ほ
)
れた
時分
(
じぶん
)
に
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
若
(
も
)
しお恵みが出来なければ、私だけ
此方
(
こちら
)
の
家
(
うち
)
へ無給金で使って呉れゝば私
一人
(
いちにん
)
の口が減るから、そうすれば姉が助かります、どうか
昔馴染
(
むかしなじみ
)
だと思って
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし
昔馴染
(
むかしなじみ
)
と言ふやうな、又は昔の恋人と言ふやうな単純な気分ではなかつた。
凝
(
ぢつ
)
として見詰めて立つた彼の前に、かの女の頭はおのづから下つた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
また何という気分の分散であろう。身も心も境もおしなべて変っている。普請中の
精養軒
(
せいようけん
)
で、主人公が外国からやって来た
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の女を待ち受けている。女が来る。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
流石
(
さすが
)
に今でも文壇に
昔馴染
(
むかしなじみ
)
が無いでもない。恥を忍んで泣付いて行ったら、随分一肩入れて、原稿を何処かの本屋へ
嫁
(
かたづ
)
けて、
若干
(
なにがし
)
かに仕て呉れる人が無いとは限らぬ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
打消
(
うちけ
)
し忠兵衞は
否
(
いや
)
然
(
さう
)
では有ますまい
隱
(
かく
)
す
程
(
ほど
)
顯
(
あら
)
はるゝと申如く
尚々
(
なほ/\
)
怪
(
あや
)
しき事にこそ
然
(
さり
)
ながら今迄
全
(
まつた
)
く
後家暮
(
ごけくら
)
しにて居られしならば少しは何かの
御相談相手
(
ごさうだんあひて
)
に
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の
甲斐
(
かひ
)
丈
(
だけ
)
は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかし、そのどれもこれもは、殆ど
仕立卸
(
したておろ
)
しと同様にチャンとした折目が附いている上に、身体をゆすぶってみると、さながらに
昔馴染
(
むかしなじみ
)
でもあるかのようにシックリと着心地がいい。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
現に
越前
(
えちぜん
)
三国
(
みくに
)
の
某
(
ぼう
)
という遊女俳人が、江戸に出て来て
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の家を、遊びまわったという話などは、是からまた百年も
後
(
のち
)
のことである。多くの遊女は旅をして遠くからやって来ている。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼女に幾分気があつたが、相手にされないのでいつか遠ざかつてゐた
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の客がなつかしげに現れたりすると、彼女はすつかり勢づいて声をはずませるのであつた、まア、おめづらしい
一の酉
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
天外
(
てんぐわい
)
萬里
(
ばんり
)
の
異邦
(
ゐほう
)
では、
初對面
(
しよたいめん
)
の
人
(
ひと
)
でも、
同
(
おな
)
じ
山河
(
やまかは
)
の
生
(
うま
)
れと
聞
(
き
)
けば
懷
(
なつ
)
かしきに、まして
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の
其人
(
そのひと
)
が、
現在
(
げんざい
)
此
(
この
)
地
(
ち
)
にありと
聞
(
き
)
いては
矢
(
や
)
も
楯
(
たて
)
も
堪
(
たま
)
らない、
私
(
わたくし
)
は
直
(
す
)
ぐと
身仕度
(
みじたく
)
を
整
(
とゝの
)
へて
旅亭
(
やどや
)
を
出
(
で
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
話せば話す程、相手が
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の様に思え、それにも
拘
(
かかわ
)
らず、どこで逢ったかは
愈々
(
いよいよ
)
分らなくなる。あなたにはこんな御経験はありませんか、実際変てこな気持のものですよ。神秘的、そうです。
モノグラム
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「そうして君も
序
(
ついで
)
ながら、
昔馴染
(
むかしなじみ
)
を一人思い出すか。」
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかもその親玉の
敏外
(
びんがい
)
という奴は、自分の
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の友達であった。だが、ここには、その親玉の坊主はいない。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
左手の浪人
檜木
(
ひのき
)
官之助は、伊八の
昔馴染
(
むかしなじみ
)
で、前から住んでゐる人を追つ拂つて住み込み、家賃も拂はずに、威張り返つて家主の伊八の世話になつて居ります。
銭形平次捕物控:303 娘の守袋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私
(
わたくし
)
も
何
(
なに
)
やら
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の
老人
(
ろうじん
)
にでもめぐり
逢
(
あ
)
ったような
気
(
き
)
がして、
懐
(
なつ
)
かしさが
胸
(
むね
)
にこみ
上
(
あ
)
げて
来
(
く
)
るのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
町が近づくにつれてその心は
躍
(
をど
)
つた。やがて
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の町や人家や半鐘台や小学校があらはれた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の
誼
(
よし
)
みもあると春見の所へ無心に参れば、打って変った
愛想
(
あいそ
)
づかし、実に
悪
(
にく
)
むべきは丈助にて、それには引替え、娘おいさの慈悲深く恵んでくれた三円で重二郎は借金の目鼻を附け
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
稀
(
まれ
)
にも
人
(
ひと
)
の
來
(
く
)
べき
筈
(
はづ
)
のない
此樣
(
こん
)
な
離
(
はな
)
れ
島
(
じま
)
へ、
偶然
(
ぐうぜん
)
とはいへ、
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の
君
(
きみ
)
の
見
(
み
)
へたのは、
全
(
まつた
)
く
天
(
てん
)
の
導
(
みちびき
)
のやうなもので、
之
(
これ
)
から
數年間
(
すうねんかん
)
、
同
(
おな
)
じ
家
(
いへ
)
に、
同
(
おな
)
じ
月
(
つき
)
を
眺
(
なが
)
めて
暮
(
くら
)
すやうな
運命
(
うんめい
)
になつたのも
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「お勢、今日一日俺は岡つ引きぢやねえ、お前の
昔馴染
(
むかしなじみ
)
——まア、兄貴か友達と思つて話してくれ」
銭形平次捕物控:030 くるひ咲
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこでお絹は、一も二もなく、この
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の若造を、異人にうんとよく売りつけてやろうという気になって、快く頼みを引受けた上に、うんと御馳走をして帰してやりました。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
天涯
(
てんがい
)
萬里
(
ばんり
)
の
此
(
この
)
帝國軍艦
(
ていこくぐんかん
)
の
艦上
(
かんじやう
)
にて、
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の
水兵等
(
すいへいら
)
に
對面
(
たいめん
)
したものと
見
(
み
)
える。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其処を出てかれは
猶
(
なほ
)
あちこちと町を歩いた。上さんの話で、自分が長い年月
種々
(
いろ/\
)
な経験を体感した間に、この
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の人達がいかに生活してゐたかといふことが
漸
(
やうや
)
くわかつて来たやうな気がした。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の友誼上、おたがいに相当の便宜もはかり、利用もしあっている。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「親分、困つたことに、叔母は何處かへ行つてしまひましたよ。お隣で聽くと、今晩は淺草の
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の後家さんのところに泊つて、明日晝前には歸るんですつて、仕樣のない婆アぢやありませんか」
銭形平次捕物控:272 飛ぶ若衆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たった今の陰惨な人生の
終焉地
(
しゅうえんち
)
から、思い出の決して快いものでない
昔馴染
(
むかしなじみ
)
に送られて、罪と罰とのかたまりを見せつけられるような道づれよりは、ここに華やかな唐代の貴公子の誘惑を
蒙
(
こうむ
)
ることが
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
昔
常用漢字
小3
部首:⽇
8画
馴
漢検準1級
部首:⾺
13画
染
常用漢字
小6
部首:⽊
9画
“昔”で始まる語句
昔
昔日
昔時
昔気質
昔噺
昔語
昔話
昔者
昔風
昔年