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しょうは、たくさんの大根だいこんなかから、いちばんできのいいのを十ぽんばかりって、それをむら地主じぬしのところへってまいりました。
大根とダイヤモンドの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
でも、困つたのよ、安いのを買はうとすると、そばから、三輪さんの奥さんが、こつちがいゝつて、高いのをるんですもの……。
屋上庭園 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
とにかく、夜明けまでには、晩香波バンクーバーへ着く。それに、本船には大砲があるのだ。ヴィデ君、君も、砲術にかけては、り抜きの名手じゃないか。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
憲作は平気な顔で又ダイヤをり初めた。最も光りの強い新型に磨いたダイヤ入りの指環をり出して徳市に見せた。
黒白ストーリー (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
尤も他所よそとは家風が異って帽子でもネクタイでも皆奥さんが買って当てがうのだそうだから、自分でって来る人ほど見覚えのないのも無理はない。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
とにかく、りにった悪玉と悪玉とが、この夜、手を結んだのは、弦之丞の身にとって、怖るべき不幸のちょうだ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お馨さん死去の電報に接して二週間目の二月十六日、午餐ごさんの席に郵便が来た。彼此とり分けて居た妻は、「あらッ、お馨さんが」と情けない声を立てた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ほかに数十人の傭人がいるけれど、それは園主がりに撰って、機械の様にお人好しで愚鈍な連中ばかりを傭入やといいれたのだから、まさかその内にこのすばしっこい
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
すでに昨夜ゆうべも、神楽坂の縁日に、桜草を買ったついでに、いのをって、昼夜帯の間に挟んで帰った酸漿を、隣家となりの娘——女学生に、一ツ上げましょう、と言って
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そんなに沢山拝見しないでも——その内の二三枚だけ……」「どれどれ僕が好いのをってやろう」と迷亭先生は「これなざあ面白いでしょう」と一枚の絵葉書を出す。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
昨日きのふ此近傍このあたりうはさけば松島まつしまさまは世間せけん評判ひようばんかたおくさまたうならどりにやまほどなれど何方どれもおことはりで此方こなたへのおいで孃樣ぢようさまうへにばかりりがちがうか
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこで直ぐは帰らず山内のむしい所をってぶらぶら歩るき、何時いつの間にか、丸山の上に出ましたから、ベンチに腰をかけて暫時しばら凝然じっと品川の沖の空をながめていました。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「要らないものは何でも彼にやるがいいよ。勝手にり取らせてもいい」と母は言った。
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
人程見かけにらない者はありません。これから気をけてると、黒髪かみも人知れず染め、鏡を朝晩にながめ、御召物のしま華美はでなのをり、忌言葉いみことばは聞いたばかりでいやな御顔をなさいました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いつも暗いところばかりって歩くのだそうだ。
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
淋しい方へとるように、進んで行った。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
りあまされて寒きあけぼの 探志たんし
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
だから今から一週間の内に、東西南北の四ツの国のうちで一番の美しい賢い娘を一人ずつり抜いて御殿まで差し出せ。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
金右衛門は死骸から取り上げた幾つもの品のうちから、その紙入れをって谷底へポンと捨てて、次に
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
園主の招待を受けた、りすぐった猟奇りょうきの紳士淑女達は、畸形きけいなゴンドラに乗せられて、悪魔の扮装をした船頭のあやつる竿さおに、ずこの椿のアーチをくぐるのだ。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
乞食こじきはかんめのいたのや、きびんなどをっていますうちに、お人形にんぎょうつけて、りあげました。そして、これをふくろなかへいれて、まちほうへとあるいてゆきました。
風の寒い世の中へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
このしづかな夫婦ふうふ安之助やすのすけ神戸かうべから土産みやげつてたと養老昆布やうらうこぶくわんをがら/\つて、なかから山椒さんしよりのちひさくむすんだやつしながら、ゆつくり佐伯さへきからの返事へんじかたつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「さすがは大どころで育った学者だけあって、目が高い。乃公の豆は一粒りなんだぜ。田舎者にゃわからねえ。全く乃公の豆は、ほかのもんとは比べ物にならねえ。乃公はきょう幾らか、おばさんのところへ持ってってやるんだ」
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
善悪共に社会のトップのトップを切った記事をりすぐって、ほかの新聞と競争して行かなければならない……と云ったら大抵の人間が眼をわすだろう。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この静かな夫婦は、安之助の神戸から土産みやげに買って来たと云う養老昆布ようろうこぶかんをがらがら振って、中から山椒さんしょりの小さく結んだ奴をり出しながら、ゆっくり佐伯からの返事を語り合った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
外の声にかれながら、紙入れを取り出して、せかせかと二朱金の粒を
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
残念ながら、追うものは、りに撰ったボロ自動車。とても相手を追い抜く力はない。見失わぬ様について行くのはやっとである。その上、頼みに思う交番は、怪物の方で、巧みによけて通るのだ。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「ですからさあ……妾だって全くの世間知らずじゃないんですから、好き好んで泥濘ぬかるみって寝ころびたくはないでしょ。ね。ですから云うのよ。モウ少し待って頂戴って……」
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これだけの助太刀に、俺たち三人が足場をって待ちかまえているんだ。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
憲作はそこに拡げられたダイヤ入りの指環のケースをあれかこれかとって見せた。
黒白ストーリー (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)