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かか
ふりがな文庫
“
拘
(
かか
)” の例文
両性の関係はかくの如く重
且
(
か
)
つ大なるものあるに
拘
(
かか
)
わらず、古来この問題が
如何
(
いか
)
ほど研究されたかというに、
甚
(
はなは
)
だ怠られて来て居る。
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
年は
二十
(
はたち
)
を多くは出ていなかったゞろう。が、そうした若い美しさにも
拘
(
かか
)
わらず、人を圧するような威厳が、
何処
(
どこ
)
かに備わっていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「そんな者はない」にも
拘
(
かか
)
わらず、ほんの一時の物好きと肉体的の要求とから、いかがわしい女を求めに行くと云うことだけだった。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
最初の印象は最も感銘の深いものであるに
拘
(
かか
)
わらず、此時は金峰山を除いて、秩父の山から何等の印象を受けなかったものと思われる。
思い出す儘に
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
戦時中、老媼の一家がいまのところに引越して来たにも
拘
(
かか
)
はらず将棋の如き、かういふ品物をも無くさずに持つてゐたのであつた。
日本大地震
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
▼ もっと見る
しかも、それにも
拘
(
かか
)
わらず、依然として此の生の歩みは辛い。私は私の歩み方の誤を認め、結果の前に惨めに厳粛に
叩頭
(
こうとう
)
せねばならぬ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そういう弥吉の目には、測り知れない例の憎念が、微笑んでいるに
拘
(
かか
)
わらず、児太郎の目に停らぬ程度で現われていたのである。
お小姓児太郎
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
目黒の与吉は、何が何やら解らない様子で、ぼんやり二人の話を聴いておりましたが、気が付くと
沽券
(
こけん
)
に
拘
(
かか
)
わると思ったものか
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
隠退させるために来た、にも
拘
(
かか
)
わらず、きさまは城代におべっかを使い、ごまをすり、逆に城代を居据らせてしまったではないか
半之助祝言
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかるにこの品がこの様に正にアマリリスの正品であるに
拘
(
かか
)
わらず世間では決して単にこれをアマリリスとはいわないのである。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
にも
拘
(
かか
)
わらず、誰よりも大きな打撃をうけたのは女の閑子なのだ。しかも閑子は投げ出された自分の羽目に、今もって納得できないでいる。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
人々の
智愚
(
ちぐ
)
賢不肖
(
けんふしょう
)
に
拘
(
かか
)
わらず、上士は下士を目下に見
下
(
くだ
)
すと
云
(
い
)
う
風
(
ふう
)
が
専
(
もっぱ
)
ら行われて、私は少年の時からソレに
就
(
つい
)
て
如何
(
いか
)
にも不平で
堪
(
たま
)
らない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そこの所が
一寸
(
ちよつと
)
明晰に区別が立たないものだから、相手は馬鹿の様な気がするにも
拘
(
かか
)
はらず、あまり与次郎の感化を蒙らない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし、この語が、かかる状態で世に
喧伝
(
けんでん
)
せられているに
拘
(
かか
)
わらず、それが何を指しているかは、実は明かに示されていないといってもよい。
日本精神について
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
上野の図書館は、コレラ流行時に
拘
(
かか
)
わらず、意外に賑って居た。死神が横行するとき、読書慾の起るのは古来の定則である。
死の接吻
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
当然老中会議が行われた上で罪科が決定するものと予想されていたにも
拘
(
かか
)
わらず、将軍綱吉の一存によってその日の中に切腹が申し渡された。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
「せめては
下肥
(
しもごえ
)
位はたまるだらう」と校長先生が考へたにも
拘
(
かか
)
はらず、校長先生の作男が下肥を汲みに行く朝は、其処は何時もからつぽだつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
事実、演者がその心持でシカケてヒラクと、観者は主観的に演者を鬼と感じて
終
(
しま
)
うので扮装の有無には
拘
(
かか
)
わらない。扮装していれば尚鬼である。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
セマン人いわく、太古夫婦あれど子を生む事を知らず、他の諸動物皆子あるに我独りなしと恥じ入り、薪を
拘
(
かか
)
えて子を持ったごとく見せかけた。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ところが私が身分などを言うてはならぬと
戒
(
いまし
)
めて置いたに
拘
(
かか
)
わらず、主人が「このお方はセラのアムチーでなかなか
尊
(
たっと
)
い方、法王の侍従医です」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「一千一夜物語」は子供の
間
(
あひだ
)
に知れ渡つてゐるにも
拘
(
かか
)
はらず本当の値打が僅かに
亜剌比亜
(
アラビア
)
語学者にしか認められてゐないと云ふ感慨が
洩
(
も
)
れて出た。
リチャード・バートン訳「一千一夜物語」に就いて
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これをもってわが指令書の中にも、
首
(
しゅ
)
として土国の
嫌疑
(
けんぎ
)
を
醸
(
かも
)
すべき諸事を避け、宗教の事に
拘
(
かか
)
わる
条款
(
じょうかん
)
に至りては、ことに過多の寛裕を与えたり。
「ヒリモア」万国公法の内宗教を論ずる章(撮要)
(新字新仮名)
/
ロバート・フィリモア
(著)
二十七 しかし博士のかかる用心に
拘
(
かか
)
わらず、世界は実に心配した。火星からの信号が益々激しい。確かにこれは一種の警報である、警告である。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
わが隊の携帯用無電機眼がけて拳をふりあげて来った怪物団は、その甲虫の如き頑丈なる身体つきにも
拘
(
かか
)
わらず、力ははなはだ弱きことを発見せり。
大宇宙遠征隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「——
御訓誡
(
ごくんかい
)
、ありがとう存じまする。……にも
拘
(
かか
)
わらず、慈悲の
御袖
(
みそで
)
にすがって、おねがい申さねばならぬ儀は」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
シカモ大筋ニ臨ムニ
迨
(
および
)
テ私情ニ
拘
(
かか
)
ハリ公義ヲ失フニ非ラザレバ
則
(
すなわち
)
畏縮退避シテ活ヲ草間ニ
窃
(
ぬす
)
ムモノ往往ニシテアリ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
市五郎は
焦
(
じ
)
れ気味で
独言
(
ひとりごと
)
を言っているに
拘
(
かか
)
わらず、自分は長火鉢の前へ
御輿
(
みこし
)
を据えて、悠々と
脂下
(
やにさが
)
っていました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
アメリカではあんな髭をはやしているのは黒ン坊ばっかりだから、あの髭はあなたの人気に
拘
(
かか
)
わります。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
痴人
(
しれもの
)
というのはそち達がことじゃ。先夜上野の山下で初めて汝らに巡り合い
滾々
(
こんこん
)
不心得を
訓
(
さと
)
したにも
拘
(
かか
)
わらず、今夜再び現われ出で、押し借りの悪行を働くとは天を
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
武甲山より二里
許
(
ばか
)
り奥に、
三峰山
(
みつみねざん
)
があって、三峰神社の信仰者は多く登山するが、武甲山の方は近いに
拘
(
かか
)
わらず、信仰の
伴
(
ともな
)
わない山だから、滅多に登山するものがない。
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
蓋
(
けだ
)
しこれ本校の世好に
拘
(
かか
)
わらずその理学の一科を設け、数年の
後
(
の
)
ち大にこれを勧むるの地歩を為さんと欲するもの
乎
(
か
)
。余、その用意の疎ならざるを賀するなり(喝采)。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
一つの季節までが附け加えられ説明せられているにも
拘
(
かか
)
わらず、この親切な下の句は、結局芭蕉の名句を殺し、愚かな無意味なものとするほかには何の役にも立っていない。
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それにも
拘
(
かか
)
わらず、私はときどきややもするとそれ
等
(
ら
)
のものことごとくを見失い、そしてまるっきり放心状態になっている自分自身に気がついて、思わずどきっとするのだった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
もう十分暗黙の了解が成立っていると確信していたにも
拘
(
かか
)
わらず、Tはまだ仕事以外の言葉を話しかける勇気がなく、相変らず帳簿のことなぞを話題にしてS子と話していました。
算盤が恋を語る話
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
貫一はその何の意なりやを
念
(
おも
)
はず、又その突然の
来叩
(
おとづれ
)
をも
怪
(
あやし
)
まずして、
畢竟
(
ひつきよう
)
彼の疏音なりしはその
飄然
(
ひようぜん
)
主義の
拘
(
かか
)
らざる
故
(
ゆゑ
)
、
交
(
まじはり
)
を絶つとは言ひしかど、
誼
(
よしみ
)
の吾を棄つるに忍びざる故と
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
けれども彼の年輩の少年に
負
(
まけ
)
は取らなかった。彼は家庭の影響と貧苦の影響とで至って柔和な少年であった、——むしろ弱い少年であった。にも
拘
(
かか
)
わらず彼は非常な野心を抱いていた。
愛か
(新字新仮名)
/
李光洙
(著)
川が暖かい陽当たりに向いて流れるにも
拘
(
かか
)
わらず、利根川の方が水温が低い。
水と骨
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
主義だから、早速、俺の左に坐つて居た奴を捕へて話しかけた。「君もこん度が始めだね」と、聞くと「そーだ」と云ふ。「どんな風だつたい」と、チヨツカイをかけると、すぐ
拘
(
かか
)
つたね。
俺の記
(新字旧仮名)
/
尾崎放哉
(著)
平三郎は眼を
睜
(
みは
)
っておどろいてこっちを見ている婢と顔を見あわした。今の女はたしかにその婢のようであるが、第一右の首筋をしたたか斬ってあるに
拘
(
かか
)
わらず、傷らしいものも見えない。
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
欲
(
ほっ
)
すると否とに
拘
(
かか
)
わらず、ぼくねんじんの顎十郎がいつの間にか、江戸でこんな大勢力になっているということは、たれもあまり知らない。いわんや、叔父の庄兵衛などが知ろうはずがない。
顎十郎捕物帳:05 ねずみ
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
参謀長
磊落
(
らいらく
)
物に
拘
(
かか
)
はらざるが如くわれらに向つて常に好意を表す。しかれども
未
(
いま
)
だかつて管理部長を叱責せしことを聞かざるなり。これまたその磊落なるの致す所か
将
(
は
)
た部長特にその
寵
(
ちょう
)
を得たるか。
従軍紀事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
終
(
おは
)
りに
臨
(
のぞ
)
み
熊
(
くま
)
に就て一言すべし、熊の巣穴は山中に無数あるにも
拘
(
かか
)
はらず、藤原村に於て年々得る所の
熊
(
くま
)
は数頭のみ、之れ猟師の
勇気
(
いうき
)
と
胆力
(
たんりよく
)
と甚少きを以てなり、即ち
陥穽
(
かんせい
)
を
設
(
もう
)
けて熊を
猟
(
りやう
)
するあり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
徒
(
あだ
)
なることに
拘
(
かか
)
らいて、泣くことを忘れいたりしよ、げに忘れ
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
また教育上の智識も経験も無いに
拘
(
かか
)
わらず、成瀬君の女子大学設置に熱心な賛成を致し、
且
(
か
)
つご依頼に依て多少知るところの友人
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
それにも
拘
(
かか
)
わらずただ一筋に妻をおもうと言いくだし、それが通俗に堕せないのは、一首の古調のためであり、人麿的声調のためである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
信一郎が夫人の本心を知ってから、可なり妥協的な心持になっているのにも
拘
(
かか
)
わらず、夫人の態度の険しさは、少しも
緩
(
ゆる
)
んでいなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「若様は急に命に
拘
(
かか
)
わる事もありますまい。それより大事なのは、お家の
瑕瑾
(
きず
)
にもなる縄付の始末です。利助はいつ頃ここを出かけました」
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それで三左衛門を呼び、「今日の犬追い物は当藩弓道の名誉を見せるもので、その成敗は池田家の面目にも
拘
(
かか
)
わるものだからすぐに出仕せよ」
備前名弓伝
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それにも
拘
(
かか
)
わらず、直接証拠がないために、彼を罪に陥れることが出来ません。即ち男が自白しない限りは彼を罰することが出来ないのです。
三つの痣
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
この様にその事実が最も明瞭なるに
拘
(
かか
)
わらず、我が邦人はどうしてこれを間違え Ovule を胚珠としたのかというと
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
拘
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
“拘”を含む語句
拘泥
拘引
不拘
拘々
拘留
拘束
拘攣
拘禁
拘薩羅
拘置所
拘置
拘縛
拘睒弥
拘留所
拘留孫仏
拘留場
拘束力
拘捉
拘引状
拘尸那
...