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手拭
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てぬぐ
ふりがな文庫
“
手拭
(
てぬぐ
)” の例文
そうかと思うと一人の女は、
鬱金
(
うこん
)
の
手拭
(
てぬぐ
)
いで鉢巻をし、赤い
襷
(
たすき
)
を十字に綾取り、銀色の縄で熊を結え、それを曳きながら歩いて行く。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「おっ、やっぱり旦那さまでございましたか」と彼は握りしめた
手拭
(
てぬぐ
)
いで鼻をこすりあげて、そして背のびをするようにして云った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
市さんを帰してからなお署長は念のために、机の引き出しやその他のところを捜しましたが、
手拭
(
てぬぐ
)
いはとうとう見つかりませんでした。
白痴の知恵
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
みなこれ
屈竟
(
くっきょう
)
の
大男
(
おおおのこ
)
、いずれも
手拭
(
てぬぐ
)
いに
面
(
おもて
)
を
覆
(
つつ
)
みたるが五人ばかり、手に手に
研
(
と
)
ぎ澄ましたる
出刃庖丁
(
でばぼうちょう
)
を
提
(
ひさ
)
げて、白糸を追っ取り巻きぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
左りの手を
膝
(
ひざ
)
の上にある畳んだ
手拭
(
てぬぐ
)
いの上に置いてたのだが、人情というものは誰れが感じても結局こう同じところに落ちるのかと感心して
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
▼ もっと見る
松吉は首に巻いてある
手拭
(
てぬぐ
)
いを取って、浪岡の膝を縛ろうとした。しかし、驚き切っている浪岡はその身近くに人を寄せようとはしなかった。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ほら、あたしが背中へ
跨
(
またが
)
って、
手拭
(
てぬぐ
)
いを手綱にして、ハイハイドウドウって
云
(
い
)
いながら、部屋の中を廻ったりして、———
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
娘はクリーム色の
金紗
(
きんしゃ
)
の羽織を着て、
如何
(
いか
)
にも女給のようだったし、母親は木綿の羽織に、
手拭
(
てぬぐ
)
いで襟あてをしていた。
貸家探し
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
囚衣から
手拭
(
てぬぐ
)
いのはしに至るまで、もう他では使用に堪えなくなったものばかりを、
択
(
よ
)
りに択って持ってくるのである。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
手拭
(
てぬぐ
)
いで汗をふきながら、梢の間から空をすかして見た。飛行機は、もはや遠くに去ったらしかった。私は歩き出した。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
手拭
(
てぬぐ
)
いを
姉
(
あね
)
さんかぶりに、久留米
絣
(
がすり
)
の着物の
裾
(
すそ
)
から赤いゆもじの端を垂らしている若いお主婦さんや、齢頃の娘たちは、笑いをおさえるのが苦しくて
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
ぼろぼろの
襤褸
(
つづれ
)
を着て、青い
鼻洟
(
はな
)
を
垂
(
た
)
らして、結う油もない頭髪を
手拭
(
てぬぐ
)
いで広く巻いて、叔父の子を背負いながら、村の鎮守で終日
田舎唄
(
いなかうた
)
を唄うころは無邪気であった。
ネギ一束
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そうして
濡
(
ぬ
)
れ
手拭
(
てぬぐ
)
いを肩にかぶせて、ビイル、私はコップ一ぱいだけ附合わせていただいて、あとはもったいないので遠慮して、次女のトシ子を抱いておっぱいをやり
おさん
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
正午
(
ひる
)
も
近
(
ちか
)
づけばお
峯
(
みね
)
は
伯父
(
おぢ
)
への
約束
(
やくそく
)
こゝろもと
無
(
な
)
く、
御新造
(
ごしんぞ
)
が
御機嫌
(
ごきげん
)
を
見
(
み
)
はからふに
暇
(
いとま
)
も
無
(
な
)
ければ、
僅
(
わづ
)
かの
手
(
て
)
すきに
頭
(
つむ
)
りの
手拭
(
てぬぐ
)
ひを
丸
(
まろ
)
めて、
此
(
この
)
ほどより
願
(
ねが
)
ひましたる
事
(
こと
)
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と、
利助
(
りすけ
)
さんは、
水
(
みず
)
をのんで
汗
(
あせ
)
が
出
(
で
)
たので、
手拭
(
てぬぐ
)
いでふきふきいいました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
先
(
ま
)
ず日本製のもので一番多いのは、風呂屋向きのザンギリのイナセな男女が豆絞りの
手拭
(
てぬぐ
)
いなど肩にかけた肖像画や諸国名勝などであります、あるいは長崎あたりへ来た黒船の図なども多いのです。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
男は固く丸めた
手拭
(
てぬぐ
)
いを取って、再び猿ぐつわをはめる用意をした。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ま
深
(
ぶ
)
かにかぶった
手拭
(
てぬぐ
)
いのため、瞳もかくれてしまいそうだったが、そのときひょいと彼の方を見あげ、すると、彼女のみひらかれた
瞼
(
まぶた
)
は
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
掘りだされた死体は
紺絣
(
こんがすり
)
が単衣の筒袖で、黒い
兵児帯
(
へこおび
)
をまとい、頭の部分には
手拭
(
てぬぐ
)
いが巻きついていて、それが後ろの方で結んでありました。
頭蓋骨の秘密
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
白い頭を
手拭
(
てぬぐ
)
いに包んで、
鍬
(
くわ
)
の
柄
(
え
)
を杖に、
綻
(
ほころ
)
びかけた梅の花を仰いでいるお爺さんを想い描かずにはおられないのです。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
紙をすくのは娘や
嫁
(
よめ
)
の
手業
(
てわざ
)
になっているらしく、庭先に働いている人たちはほとんど
皆
(
みな
)
手拭
(
てぬぐ
)
いを
姐
(
ねえ
)
さん
被
(
かぶ
)
りにしていた。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
正午
(
ひる
)
も近づけばお峯は伯父への約束こころもと無く、
御新造
(
ごしんぞ
)
が御機嫌を見はからふに
暇
(
いとま
)
も無ければ、
僅
(
わづ
)
かの手すきに
頭
(
つむ
)
りの
手拭
(
てぬぐ
)
ひを
丸
(
まろ
)
めて、このほどより願ひましたる事
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
薄暗い
磧
(
かわら
)
の方から今まで水浴をして居たらしく
手拭
(
てぬぐ
)
いで身体を拭きながら歩いて来る男が居る。上半身は裸だが将校
洋袴
(
ズボン
)
を穿いた半身は、暗がりにそれと判るほどびっこを引いて居るのだ。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
桃色大輪の吉野桜、それが千本となく万本となく、
隅田
(
すみだ
)
の
堤
(
どて
)
、上野の丘に白雲のように咲き満ちています。花見
衣
(
ごろも
)
に赤
手拭
(
てぬぐ
)
い、幾千という江戸の男女が毎日花見に明かし暮らします。酒を飲む者。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
乞食
(
こじき
)
のような身なりで赤子をかかえ、四、五日まえにあたしのところへ帰って来て、亭主が
手拭
(
てぬぐ
)
いをさげて銭湯へ出かけて、それっきり
他
(
ほか
)
の女のところへ行ってしまった、と泣きながら言うけれど
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
乾いた
手拭
(
てぬぐ
)
いをもそこに出した。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
と、その時、納戸の方から黒い布で覆面した一人の
曲者
(
くせもの
)
が、一本の古
手拭
(
てぬぐ
)
いを手にさげて、みしりみしりと歩いてきました。
白痴の知恵
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
平六はそこで、廊下に上がり、
手拭
(
てぬぐ
)
いを鉢巻きにして、
面白可笑
(
おもしろおか
)
しく手足を振りながら座敷の中へ
這入
(
はい
)
って行った。
手品
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
四人はついておりまして
手水
(
ちょうず
)
をつかうにも一人が
柄杓
(
ひしゃく
)
で水をかけると一人が
手拭
(
てぬぐ
)
いを持って待っている
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
誰も見ているものは無いのだが、短かくからげた着物の
裾
(
すそ
)
を気にしているのであった。立ちあがって、手についた砂ほこりを
叩
(
たた
)
いて払い、ゆるんだ
頬
(
ほお
)
かむりの
手拭
(
てぬぐ
)
いを口に
咥
(
くわ
)
えた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
お
聞
(
きゝ
)
なされませ
書生
(
しよせい
)
の
千葉
(
ちば
)
が
初戀
(
はつこひ
)
の
哀
(
あは
)
れ、
國
(
くに
)
もとに
居
(
お
)
りました
時
(
とき
)
そと
見初
(
みそ
)
めたが
御座
(
ござ
)
りましたさうな、
田舍物
(
いなかもの
)
の
事
(
こと
)
なれば
鎌
(
かま
)
を
腰
(
こし
)
へさして
藁草履
(
わらぞうり
)
で、
手拭
(
てぬぐ
)
ひに
草束
(
くさたば
)
ねを
包
(
つゝ
)
んでと
思召
(
おぼしめし
)
ませうが
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「おい、その辺に僕の
手拭
(
てぬぐ
)
いが無いか。」
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
信清さんが落とした
手拭
(
てぬぐ
)
いを拾ったのを幸いに、それを先生の首にまいて罪を信清さんになすりつけようとしたんだ。
髭の謎
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
豊作さんは、あんなに言ってくれるんだがら、一層のことあの人と一緒に東京さ行ってしまおう! 菊枝は
手拭
(
てぬぐ
)
いの端を噛みしめながらこう
呟
(
つぶや
)
いて、力なく歩いて行った。
駈落
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「そうそう、お茶よりも先に
手拭
(
てぬぐ
)
いだった。つめたいのを一つ絞っておいで」
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
霜月
(
しもつき
)
の
酉
(
とり
)
には
論
(
ろん
)
なく
門前
(
もんぜん
)
の
明地
(
あきち
)
に
簪
(
かんざし
)
の
店
(
みせ
)
を
開
(
ひら
)
き、
御新造
(
ごしんぞ
)
に
手拭
(
てぬぐ
)
ひかぶらせて
縁喜
(
ゑんぎ
)
の
宜
(
い
)
いのをと
呼
(
よ
)
ばせる
趣向
(
しゆこう
)
、はじめは
恥
(
はづ
)
かしき
事
(
こと
)
に
思
(
おも
)
ひけれど、
軒
(
のき
)
ならび
素人
(
しろうと
)
の
手業
(
てわざ
)
にて
莫大
(
ばくだい
)
の
儲
(
もう
)
けと
聞
(
き
)
くに
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「そうでないですよ。白痴の家で行われた犯罪なら白痴が知っているはずだというだけです。それよりもまず絞殺に用いられた
手拭
(
てぬぐ
)
いを見せてもらいましょう」
白痴の知恵
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
しかし、彼自身は背広の首に花見の
手拭
(
てぬぐ
)
いを一本結んでいるだけで、仮装はしていなかった。
仮装観桜会
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ところが今朝父は
手拭
(
てぬぐ
)
いで首を絞められて冷たくなっておりまして、しかも、その手拭いには、兄が滞在していた須磨の××旅館の文字がついておりましたので、警視庁から来られた刑事は
髭の謎
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
蟇口
(
がまぐち
)
の中がからであるということと、首に
手拭
(
てぬぐ
)
いが巻かれてあるということからして、富三は、盗人のために山奥に連れられ絞め殺されて、五十円の金を奪いとられたのであろうと推定しました。
頭蓋骨の秘密
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
しかも首に
手拭
(
てぬぐ
)
いをまかれて絞殺されて横たわっておりました
墓地の殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「それが証拠というのは、あの
手拭
(
てぬぐ
)
いだけだからねえ……」
髭の謎
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
“手拭”の解説
手拭(てぬぐい)は、顔や手を洗った後の汗や水を拭ったり、入浴時に体を洗ったりするための木綿の平織りの布である。その他、寒暑除けや塵除けなどの目的や、祭礼においての装身具として頭にかぶるものである。
鎖手拭(くさりてぬぐい)については鎖帷子を参照。置手拭兜(おきてぬぐいかぶと)については兜を参照。
(出典:Wikipedia)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
拭
常用漢字
中学
部首:⼿
9画
“手拭”で始まる語句
手拭掛
手拭地
手拭紙
手拭入
手拭懸
手拭染
手拭様
手拭浴衣
手拭鉢巻