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所為
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せい
ふりがな文庫
“
所為
(
せい
)” の例文
旧字:
所爲
読方
(
よみかた
)
だって、何だ、
大概
(
たいがい
)
、
大学朱熹章句
(
だいがくしゅきしょうく
)
で
行
(
ゆ
)
くんだから、
尊
(
とうと
)
い
御経
(
おきょう
)
を
勿体
(
もったい
)
ないが、この山には薬の草が多いから、気の
所為
(
せい
)
か知らん。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
午後になってから
益々
(
ますます
)
雲が多くなった、岳に近づいた
所為
(
せい
)
もあろうがどうも空模様が面白くない。
唯
(
た
)
だ割合に雲が高いので心丈夫だ。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
下宿が眼と鼻の間の
所為
(
せい
)
か、昇は
屡々
(
しばしば
)
文三の所へ遊びに来る。お勢が帰宅してからは、一段足繁くなって、三日にあげず遊びに来る。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「木々を伝う鶯が
己
(
おの
)
が羽風によって花を散らしている、その花の散るのを誰か他の者の
所為
(
せい
)
でもあるかのように、しきりに鳴く!」
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「あなたは嘘をおつきになっても後が続きませんわね。先刻は吉川さんの
所為
(
せい
)
になさいましたけれど、もう逐一白状でございます」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
そこで、県警察部でも兼五郎を召喚して、これ
亦
(
また
)
峻烈
(
しゅんれつ
)
な取調をしたが、兼五郎の
所為
(
せい
)
でないから、どうすることもできなかった。
唖の妖女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
二三日
能
(
よ
)
く眠らない
所為
(
せい
)
だと云う。三千代は
仰山
(
ぎょうさん
)
なものの云い方だと云って笑った。代助は気の毒にも思ったが、又安心もした。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かといって、又、己は俗物の間に
伍
(
ご
)
することも
潔
(
いさぎよ
)
しとしなかった。共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心との
所為
(
せい
)
である。
山月記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
カゼは以前には流行病の一つ、または眼に見えぬ悪霊の
所為
(
せい
)
とも想像せられていたことは、風邪という語からでもよくわかる。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
たった一人で暮らしている
所為
(
せい
)
かも知れないけれど、そんなことがこの意気地なしのおれに出来ていられるのは、本当にみんなお前のお蔭だ。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
章介 いや、私が昂奮しているのは提灯行列やお正月の
所為
(
せい
)
じゃありません。このアジアの、百年の運動についてですよ。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
仔細あって、この盗賊の入るのは、寺の方でも予期したことで、それッと言うと手が廻った
所為
(
せい
)
もあったでしょう。
新奇談クラブ:05 第五夜 悪魔の反魂香
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
血の
所為
(
せい
)
であろう。罪の父は、なお、ゆるされないのだ。意識は、一度死んで、生れ変った自分と思っても、血は、意識で作り更えることはできない。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
東京を立った三十日の朝、純一はなんとなく気が鬱してならないのを、曇った天気の
所為
(
せい
)
に帰しておった。本を読んで見ても、どうも興味を感じない。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
重なる不幸でヒステリイが激していた
所為
(
せい
)
もあるし、本来辰夫に遺伝するだけのものを此の人も充分
具
(
そな
)
えていたから、話が世の尋常とは余程異っていた。
母
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
黒ずんで見える峰々が、入りくみ、絡みあって、深々と
畝
(
うね
)
っている。其が見えたり隠れたりするのは、この夜更けになって、俄かに出て来た霞の
所為
(
せい
)
だ。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
それどころか、彼は、気の
所為
(
せい
)
か親方が、時々自分の方に、白い視線を送るようで、ひやりとしたものを感じた。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
その前年五月私が
酷
(
ひど
)
い熱病に
罹
(
かか
)
り、病後神経が過敏になった
所為
(
せい
)
か、新銭座の地所が何か臭いように鼻に感じる。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
色彩に
亢奮
(
こうふん
)
していた私の神経の
所為
(
せい
)
か、花嫁は
白粉
(
おしろい
)
を厚く塗って
太
(
はなは
)
だ
麗
(
うつく
)
しいけれど、細い切れた様な眼がキット
釣上
(
つりあが
)
っている、それがまるで孤の
面
(
つら
)
に似ている。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
苦労をさせて可哀そうなことをした、と思う気もちの裏で、それが何かお初の
所為
(
せい
)
のように思われてくる。
神楽坂
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
爾思うと心の
所為
(
せい
)
かアノ死顔も何だか其頃見た事の有る様な気がするテ、だからして何は兎も有れ己は先ず其女を捕えようと思うのだ、名前は何とか
云
(
いっ
)
たッけ
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
津村は例の脅迫状や、博覧会場での奇怪な出来事を、村井の
所為
(
せい
)
じゃないかとさえ疑った事があるのだ。
殺人迷路:10 (連作探偵小説第十回)
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
神経の
所為
(
せい
)
か知らぬが今夜も何だか頭の重いような、胸の切ないような、云うに云われぬ嫌な気持になって、思わず
半身
(
はんしん
)
を
起
(
おこ
)
そうとする折こそあれ、
闇
(
くら
)
い、
闇
(
くら
)
い
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
実際云ふとヷン・ダイクは
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
、リユウバンスには余り多くを
白耳義
(
ベルジツク
)
で観せつけられた
所為
(
せい
)
か少し
厭倦
(
あき
)
が来た様である。近代の作品にも目を惹く物は無かつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
千「あなた、お静かになすって下さいまし、
暴々
(
あら/\
)
しく遊ばして毀れますと
矢張
(
やっぱ
)
り
私
(
わたくし
)
の
所為
(
せい
)
になります」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これはあまりおびただしい
焔
(
ほのお
)
を見た
所為
(
せい
)
であろうか、それとも頭上に一撃を受けたためであろうか。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
「精神的に接するわ。」と、一つは神経の疲れていた
所為
(
せい
)
もあったろうが、ひどく身体を使った。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
B それは三等の切符を持っていた
所為
(
せい
)
だ。一等の切符さえ有れあ当り前じゃないか。
一利己主義者と友人との対話
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
「隠したのかな⁈ 己から奪ってしまう気なのかな⁈」彼は和歌子の見えなくなった原因を平常の話から和歌子の家庭の主権者である継母の
所為
(
せい
)
であると独断的に信じてしまった。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
「馬鹿な、卵が雞から生れるのぢや、女房が笑はぬのは俺らの
所為
(
せい
)
ぢやないぞ。」
その村を憶ひて
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
午後万歳の声を聞いて、
遽
(
あわ
)
てゝ
八幡
(
はちまん
)
に往って見る。
最早
(
もう
)
楽隊
(
がくたい
)
を先頭に行列が出かける処だ。岩公は黒紋付の羽織、袴、靴、
茶
(
ちゃ
)
の
中折帽
(
なかおれぼう
)
と云う
装
(
なり
)
で、
神酒
(
みき
)
の
所為
(
せい
)
もあろう桜色になって居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
で、その幽霊の頸のまわりや背中を下に垂れ下がっていた髪の毛は、
年齢
(
とし
)
の
所為
(
せい
)
でもあるように白くなっていた。しかもその顔には一筋の皺もなく、皮膚は
瑞々
(
みずみず
)
した盛りの
色沢
(
つや
)
を持っていた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
けれどもその
嘘言
(
うそ
)
は皆、真実を
材料
(
たね
)
にしたもので、ただ私がこの女の叔父であるという事と、馬に毒を
嘗
(
な
)
めさせたのを少年の
所為
(
せい
)
にしている事と、この二つのために全部が嘘に聞えているので
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だが気の
所為
(
せい
)
であろうか、暫くする中にどこかですあーすあーと不気味な騒音が聞え出したようだ。そしてそれがだんだんと強くなって来るようだった。土城の南の端の方でも崩れ出したのだろうか。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
と昔語りに話して聞かせた
所為
(
せい
)
であろう。ああ、薄曇りの空低く、見通しの町は
浮上
(
うきあが
)
ったように見る目に浅いが、
故郷
(
ふるさと
)
の山は深い。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その日は眠い所を無理に早く起されて、
寐
(
ね
)
足らない頭を風に吹かした
所為
(
せい
)
か、
停車場
(
ステーション
)
に着く頃、髪の毛の中に風邪を引いた様な気がした。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
所為
(
せい
)
か此方からは自然足遠くなると思っていたところへ、最近
先方
(
むこう
)
から旅行の途中寄ってくれた。その折子供の話が出た。
首席と末席
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そして、その二人を殺した餅も、やはり金に眼をつけた村の悪漢の
所為
(
せい
)
であったが、その悪漢も日ならず村はずれの松並木の下で
磔殺
(
たくさつ
)
せられた。
地獄の使
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
幸
(
さいわい
)
に雨は
歇
(
や
)
んだが、動かないでいた
所為
(
せい
)
であろう薄ら寒くなって来た。見ればずぶ濡れの全身から湯気が立っていた。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
それをただその事の
所為
(
せい
)
にでもなさるかのように、「勝手の分からぬ所に参っている者共はどうしているだろうな」
かげろうの日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
これまで、良人の情事を慶太郎へだけはひた
秘
(
かく
)
しに秘してきただけに、夫人は今をとりかえしのつかぬことに思い、それを見せたのが自分の
所為
(
せい
)
のように愧入った。
女心拾遺
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
それどころか——朝から天候の悪かった
所為
(
せい
)
もあろうが——もうなんとなく薄暗くさえなって来て、荒涼とした
廃頽的
(
はいたいてき
)
なこの原が、
暗澹
(
あんたん
)
たる
夜
(
よ
)
の
帷
(
とばり
)
に覆われるのも
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
室外の空気に頭を
晒
(
さら
)
していた
所為
(
せい
)
か、重かった頭も大分に
軽
(
かろ
)
く
清
(
すず
)
しくなって、胸も
余
(
よ
)
ほど
寛
(
くつろ
)
いで来たから、そのまま枕に就いて
一霎時
(
ひとしきり
)
うとうとと眠ったかと思う間もなく
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何
(
な
)
んぞというとあなたは私の
所為
(
せい
)
に成さいますが、当人が病身だと云って、十九の時にあなたが
彼
(
あれ
)
を連れて往らしって、あなたが芸者を買ったと云うじゃア有りませんか
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「分りません。私はやっぱり頭が変になった
所為
(
せい
)
じゃないかと思っているんですが——」
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
それにしても恐ろしい
手練
(
しゅれん
)
で、匕首を抜かなかった
所為
(
せい
)
か、ろくに血も出ておりません。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
のたうち廻ッて
腸
(
はらわた
)
を
噛断
(
かみちぎ
)
る……初の快さに引替えて、文三も今は苦しくなッて来たから、
窃
(
ひそ
)
かに叔母の
顔色
(
がんしょく
)
を伺ッて見れば、気の
所為
(
せい
)
か
粋
(
すい
)
を通して見て見ぬ風をしているらしい。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そういえば、夢の中で
摂
(
と
)
る美食の
所為
(
せい
)
であろうか、彼は近頃めっきり
肥
(
ふと
)
ってきた。顔色もすっかり良くなり、空咳も何時かしなくなった。見るからに生き生きと若返ったのである。
南島譚:01 幸福
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
収 どうも唇が乾いて仕方がないのですが、あれは、やはり胃が悪い
所為
(
せい
)
でしょうか。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
「よくも、
隣住居
(
となりずまい
)
をいいことにして、いろんなからくりをしやがったな。兄貴の非業の死も、
因
(
もと
)
はといえば、みんなくそ婆め、うぬの
所為
(
せい
)
だ。見ていろ、泥を吐かせてくれるから」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“所為”の意味
《名詞》
(しょい)
(せい ;現在では通常仮名書きされる)
(出典:Wiktionary)
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
為
常用漢字
中学
部首:⽕
9画
“所為”で始まる語句
所為無