女心拾遺おんなごころしゅうい
常は無駄口の尠い唐沢周得氏が、どうしたはずみか、この数日来妙に浮きたって、食事の間も駄洒落をとばしたりしては家人を笑わせたりする。もともと脂肪肥りの血色のよい膚が、こんな時には、磨きをかけたように艶光りして、血糸の綾がすけてみえる丸っこい鼻 …