成人せいじん)” の例文
ぞくかみ申子もうしごよわいなどともうしますが、けっしてそのようなものではなく、この立派りっぱ成人せいじんして、父親ちちおや実家じっかあとぎました。
卯平うへいもとより親方おやかたからうち容子ようすやおつぎの成人せいじんしたことや、隣近所となりきんじよのこともちくかされた。卯平うへいくぼんだ茶色ちやいろあたゝかなひかりたたへた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と敏子も得意になってり返った。なんにもしないものに食ってかかって来るところは成人せいじんした新女性によく似ている。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
しかしこの皇子は、後にすっかりご成人せいじんになって、長いお下ひげがお胸先むねさきにたれかかるほどにおなりになっても、お口がちっともおきけになりませんでした。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
呼江戸の得意とくいのこらず預け私し成人せいじんの後娘にめあはせんとの遺言ゆゐごんを利兵衞も承知しようちに付父茂兵衞は安心あんしんいたしやが相果あひはて申候夫より利兵衞は江戸へいでみせをも開し由四五年を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
やがて、少年しょうねん学校がっこう成人せいじんすると、にぎやかな都会とかいにあこがれ、そこでらすようになりました。
きつねをおがんだ人たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
掛物かけものにしてふるびがき時代がきますによつて、せがれ成人せいじんいたしませう、そればかりが楽しみでございます、何分なにぶんどうかお世話を願ひますと、親はそれほどに思つてゐるのに
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし成人せいじん今日こんにちでは、それにも別段辟易する必要をみとめない。たゞこたへるのは、自分の青年時代と、代助の現今とを混同して、両方共たいした変りはないと信じてゐる事である。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
以前いぜん、これが「少年倶楽部」に連載されていた当時の愛読者は、成人せいじんして、今日では政治家になったり、実業家になったり、文化人になったりして、みな社会の一線に立っている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女かのぢよ長男ちやうなんつとむゆめのやうに成人せいじんした。小學時代せうがくじだいから學業がくげふ品行ひんかうとも優等いうとう成績せいせきで、今年ことし中學ちうがくへると、すぐに地方ちはう專問學校せんもんがくかう入學試驗にふがくしけんけるためにつたのである。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
この人の紹介せうかい社中しやちうに加はる事になつたのでした、其頃そのころ巌谷いはや独逸協会学校どいつけふくわいがくかうまして、おばうさんの成人せいじんしたやうな少年で、はじめ編輯室へんしうしつに来たのは学校の帰途かへりで、黒羅紗くろらしや制服せいふくを着てました
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
教会けうくわい草木さうもくまた動物どうぶつの如き自然物しぜんぶつにあらず、草木は時期じきさだめてはなむすび、小児せうに時期じき経過けいくわすれば成人せいじんして智力ちりよく啓発けいはつに至るべし、しかれども教会けうくわい人為的じんゐてきなり、復興ふくこうせんとほつせば明日めうにち
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
卑怯ひきょう成人せいじんたちに畢竟ひっきょう不可解ふかかいなだけである。
雲源うんげんと申十五さいとき出家仕しゆつけつかまつり候へども幼少えうせうよりぬすこゝろあり成人せいじんなすにつけ尚々なほ/\相募あひつのすでに一昨夜さくや伊勢屋いせやしのいりて金五百兩ぬすみ取其隣の金屋かなやとやらんへも忍入しのびいつぬすいたし出る處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お二人は、角刺つのさしのお宮でだんだんにご成人せいじんになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
ころたれしらぬ樣になし成人せいじんの後に名乘出なのりいづべしと心ふとくも十二歳の時はじめおこ大望たいもうの志ざしこそおそろしけれ既に其歳もくれて十二月十九日となりければ感應院には今日けふは天氣もよければ煤拂すゝはらひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)