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こ
ベンヺ
其カピューレットの
例會に、
足下の
戀ひ
慕ふローザラインが、
此ヹローナで
評判のあらゆる
美人達と
同席するは
良い
都合ぢゃ。
はかなき
夢に
心の
狂ひてより、お
美尾は
有し
我れにもあらず、
人目無ければ
涙に
袖をおし
浸し、
誰れを
戀ふると
無けれども
大空に
物の
思はれて
あゝ
是れ『
浮きたる
心』だらうか、
何故に
自然を
愛する
心は
清く
高くして、
少女(
人間)を
戀ふる
心は『
浮きたる
心』、『いやらしい
心』、『
不健全なる
心』
然れども後には、その
伺見たまひし御心を恨みつつも、
戀ふる心にえ
忍へずして、その御子を
養しまつる
縁に因りて、その
弟玉依毘賣に附けて、歌獻りたまひき。その歌
彼が
最愛の
父濱島武文は、
遙なる子ープルスで、
今は
如何なる
夢を
結んで
居るだらう、
少年が
夢にもかく
戀ひ
慕ふ
母君の
春枝夫人は、
昨夜海に
落ちて、
遂に
其行方を
失つたが
あまさかる
鄙の
長道ゆ
戀ひ
來れば、
明石の
門より、
大和しま
見ゆ
ロレ
祖師フランシス
上人! こりゃまた
何たる
變りやうぢゃ! あれほどに
戀ひ
焦れておゐやつたローザラインを
幾度びか
顧りみて
思へば、さてもはした
無きことなり、
氏も
知らず
素性も
知らず、
心情も
何も
知れぬ
人に
戀ふとは、
我れながら
淺ましきことなり、
定なき
世に
定めなき
人を
頼む
ベンヺ いや、
眞實の
白状をなされ、こなたが
戀ひ
慕ふ
人とは
誰れぢゃ?
今日此頃の
全盛に
父母への
孝養うらやましく、お
職を
徹す
姉が
身の、
憂いの
愁らいの
數も
知らねば、まち
人戀ふる
鼠なき
格子の
呪文、
別れの
背中に
手加减の
秘密まで、
唯おもしろく
聞なされて
よし
山賤にせよ
庭男にせよ、
我れを
戀ふ
人世に
憎くかるべきか、
令孃の
情緒いかに
縺れけん、
甚之
助母君のもとに
呼ばれ、
此返事を
聞く
間なく、
殘り
惜しげに
出行たるあとにて、
玉の
腕に
此文を
抱き