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嘲弄
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ちょうろう
ふりがな文庫
“
嘲弄
(
ちょうろう
)” の例文
それは彼の話しぶりや議論のやりかたでもわかるし、あまり頭のよくないような者を好んで
嘲弄
(
ちょうろう
)
する態度にも、よくあらわれていた。
末っ子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
甲高いよく
透
(
とお
)
る声で早口にものをいい、かならず人先に発言し、
真面目
(
まじめ
)
な話にも
洒落
(
しゃれ
)
や地口をまぜ、
嘲弄
(
ちょうろう
)
するような言いかたをする。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
四十男のヒポコンデリイ患者がね、八つになる男の子が食事のたんびに浴びせる
嘲弄
(
ちょうろう
)
に堪え兼ねて、その子供を
斬
(
き
)
り殺したという話さ。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
彼女は
嘲弄
(
ちょうろう
)
的な気質と寛大な気質とをともに具えていたのである。そして人を
揶揄
(
やゆ
)
しながらも、人の世話をするのが好きだった。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
巡査
(
じゅんさ
)
はそれから自分の言い分を申し立てた。それは打たれたことよりも、より多く自分が
嘲弄
(
ちょうろう
)
(あざける)された事実についてであった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
またはワーワッと笑いごえの致すのが、自分を
嘲弄
(
ちょうろう
)
するようにも聞き取れますんで、いろ/\の考えをおこし、ムシャクシャしてまいる。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
銅山
(
やま
)
を出れば、世間が相手にしてくれない返報に、たまたま普通の人間が銅山の中へ迷い込んで来たのを、これ
幸
(
さいわ
)
いと
嘲弄
(
ちょうろう
)
するのである。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あんたみたいな人
欺
(
だま
)
すぐらいじッきやわ、と、
嘲弄
(
ちょうろう
)
するようになって、しまいにはそれが面白うて何ぞいうとすぐ泣いたり
怒鳴
(
どな
)
ったりして
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は自分の好奇心を満足させた上で、兵卒と共にイエスを
侮
(
あなど
)
り
嘲弄
(
ちょうろう
)
したのです(ルカ二三の六—一二)。実に卑しむべき
奴
(
やつ
)
だ。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
八人の若侍が薄馬鹿の重太郎を囲んでしきりに
嘲弄
(
ちょうろう
)
しながら、大杯で酒をすすめる。それを重太郎がひきうけて八杯まで呑む。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そういう人を
愚
(
ぐ
)
にした
嘲弄
(
ちょうろう
)
のかけ声に、何も命令どおり、首を曲げる必要もありますまいが、折も折であり、不意だったので
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
嘲弄
(
ちょうろう
)
するごとく、わざと丁寧に申しながら、尻目に懸けてにたりとして、
向
(
むこう
)
へ廻り、お雪の肩へその白い手を掛けました。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
理想はその
燦爛
(
さんらん
)
たる物質の世において、空想という妙な名前をもらっていた。未来を
嘲弄
(
ちょうろう
)
したのは偉人の重大な軽率である。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
急に君子顔を装ったとて、また言葉だけに
珠
(
たま
)
をつらねたとても、音調に得た所がなければ、聴衆の
嘲弄
(
ちょうろう
)
を招くばかりである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
が、そうした立場の人たちの間にこそ、同情と理解をもって論じられもしたが、その
以外
(
ほか
)
では、
侮蔑
(
ぶべつ
)
と
嘲弄
(
ちょうろう
)
の的となった。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
神山は、気の弱そうな笑いと、
嘲弄
(
ちょうろう
)
するような笑いと、いつも二つを同時に含めているような笑い顔をする奴であった。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ところが、そんなぎょうさんな言葉はどれもこれも、私にはどうしたって嘘か
嘲弄
(
ちょうろう
)
としか、感ぜられはしないのです。
幻滅
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
あるものは
嘲弄
(
ちょうろう
)
するように、あるものは
憐愍
(
れんびん
)
の面持ちをもって「病気なんだよ。悪い病気のせいなんだよ」と言うた。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
いたずらに他の
腕白
(
わんぱく
)
生徒
(
せいと
)
の
嘲弄
(
ちょうろう
)
の道具になるばかりですから、かえって気の毒に思って退学をさしたのだそうです。
春の鳥
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
老人は苦しそうに笑い笑い、
茉莉花
(
まつりか
)
の
匂
(
におい
)
のするハンカチイフを出した。これはただの笑いではない。人間の
愚
(
ぐ
)
を
嘲弄
(
ちょうろう
)
する悪魔の笑いに似たものである。
不思議な島
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
地獄谷の
庵室
(
あんしつ
)
と仰しゃったのを心当てに尋ねてみましたが、これはどうやら例のお人の悪い御
嘲弄
(
ちょうろう
)
であったらしく
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
君はどうであろうと好きなようにしてよろしいが、高級裁判所は
嘲弄
(
ちょうろう
)
されて黙ってはいないということをよく胸に畳んでおくべきだ、というのだった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「
既
(
とう
)
に洗ってしまったでしょう。ですが、そういう御質問をなさると、ヘルマン(十九世紀の毒物学者)が
嗤
(
わら
)
いますわ」鎮子は露骨に
嘲弄
(
ちょうろう
)
の色を
泛
(
うか
)
べた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その三文信用を
挟
(
さしはさ
)
んで人に臨んで、人を軽蔑して、人を
嘲弄
(
ちょうろう
)
して、人を侮辱するに至ッては文三腹に
据
(
す
)
えかねる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「
嘲弄
(
ちょうろう
)
がましいことを申すなッ。こちらにはちゃんと証拠の品が手にはいっているのだ。能書きはあとにしろ」
右門捕物帖:30 闇男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
吃驚
(
びっくり
)
して一瞬私は
嘲弄
(
ちょうろう
)
されたような気になって眼を
瞠
(
みは
)
ったが、恩人の子供だといったカ氏の言葉を思い出して
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
やったものだろう。坊主に
嘲弄
(
ちょうろう
)
されるのは当然だ。だがあの調子では、
奴
(
やっこ
)
さん別にうしろ暗いところがあるようでもない。どうも、やっぱり訳が分らないな
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は
嘲弄
(
ちょうろう
)
の間に座って、静かにしかも燃えながら彼の信ずる道を進んだ。私は今来るべき工藝を論ずるに当って、しみじみ彼の気持に活きることができる。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
その間ののびた歌声は明らかに彦太郎を
嘲弄
(
ちょうろう
)
した調子を帯びていたけれども、彦太郎は一向通じない様子で、自分も釣られたように、
口三味線
(
くちじゃみせん
)
を入れながら
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
この時まで前の若紳士は中川の言葉に何か
隙
(
すき
)
あれかしと
窺
(
うかが
)
いおりしが
俄
(
にわか
)
に進み
出
(
い
)
でてさも
嘲弄
(
ちょうろう
)
する
如
(
ごと
)
き
口気
(
こうき
)
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
畳に手を突いて動かない姿……
裃
(
かみしも
)
こそきていないが、あの元日、御番部屋でそうして
嘲弄
(
ちょうろう
)
を受けていた神尾喬之助と、その位置、その態度、寸分違わないのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
皆
(
みんな
)
にまた
口汚
(
くちぎた
)
なくいわれる
疑懼
(
ぎく
)
と、ひとつは
日頃
(
ひごろ
)
嘲弄
(
ちょうろう
)
される
復讐
(
ふくしゅう
)
の気持もあって、実に男らしくないことですが、手近にあった東海さんの上着からバッジを
盗
(
ぬす
)
み
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そして、これはいたって明白と思われる考えであり、だからそれを
論駁
(
ろんばく
)
しようとすれば、傾聴などされるよりも、しばしば
嘲弄
(
ちょうろう
)
的の微笑をもって迎えられるのである。
マリー・ロジェエの怪事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
自分は質屋の高い台の上に、着物や首飾を差し上げ、なんだこんなガラクタ、と質屋の番頭に
嘲弄
(
ちょうろう
)
されながら、わずかの銭を受けとり、すぐその足で薬屋に走るのだ。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
廓
(
くるわ
)
外の事だから、深い御とがめはあるまいと思うが、何んとしても世上の
嘲弄
(
ちょうろう
)
の口は
塞
(
ふさ
)
がれない。
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
拇指
(
ぼし
)
を鼻の頭に当てがって、はるかに追いかけて来る探偵を指の先で
嘲弄
(
ちょうろう
)
し、侮辱してやった。
怪夢
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして電気殺人たることは判っているのにもかかわらず、それを
瞞著
(
まんちゃく
)
しようとてか短刀を乳房の下に刺しとおしてあるではないか。係官は犯人の
嘲弄
(
ちょうろう
)
に
悲憤
(
ひふん
)
の
泪
(
なみだ
)
をのんだ。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
また甚だしきは当路に
媚
(
こ
)
びたり、浅薄なる外来宣教師に
佞
(
ねい
)
したり、予を悪口
嘲弄
(
ちょうろう
)
する奴もある。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「おのれ、主君を
嘲弄
(
ちょうろう
)
するか! いま一言申して見よ、一刀の下に切り斃してくりょう! ただしは深い意味あって今の
雑言
(
ぞうごん
)
洩らしたか! 返答致せ! えい、
売僧奴
(
まいすめ
)
が!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
老人が役所を
出
(
い
)
ずるや、人々はその周囲を取り囲んでおもしろ半分、
嘲弄
(
ちょうろう
)
半分、まじめ半分で事の成り行きを尋ねた。しかしたれもかれのために
怒
(
おこ
)
ってくれるものはなかった。
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
彼女のいったことはどこまでが真実でどこまでが
嘲弄
(
ちょうろう
)
なのか、彼には見当がつかなかった。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
そればかりでなく、荘田の逆襲的
嘲弄
(
ちょうろう
)
に、直也自身まで、獣のように
荒
(
すさ
)
んでしまった。彼の手は、いつの間にか知らず
識
(
し
)
らず、ポケットの中に入れて来た
拳銃
(
ピストル
)
にかかっていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
学校では、女の子は別な教場で教えることになっていて、一しょに遊ぶことも
絶
(
たえ
)
て無い。若し物でも言うと、すぐに友達仲間で
嘲弄
(
ちょうろう
)
する。そこで女の友達というものはなかった。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
まるで私を
嘲弄
(
ちょうろう
)
しているみたいな
恰好
(
かっこう
)
で、ぼんやりこっちを振り返ったりしているのだ。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
こう考えると、彼は自分を
嘲弄
(
ちょうろう
)
した自分の敵のように、彼自身を嘲弄してみたくなった。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
今までは一向気にも留めざりし
鴉
(
からす
)
の鳴声も、かの大木の梢に聞付け候時は、
和尚奴
(
おしょうめ
)
、ざま見ろ。いゝ気味だと
嘲弄
(
ちょうろう
)
致すものゝやうに聞きなされ、
秋蝉
(
あきぜみ
)
の鳴きしきる声は、惜しよ惜しよ。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
異
(
かわ
)
ったコムビなので、二人は行く先き先きで発見された。葉子で庸三がわかり、庸三で葉子が感づけるわけだった。非難と
嘲弄
(
ちょうろう
)
のゴシップや
私語
(
ささやき
)
が、絶えず二人の神経を脅かしていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その
島田髷
(
しまだまげ
)
や帯の乱れた後ろ姿が、
嘲弄
(
ちょうろう
)
の言葉のように目を打つと、親佐は口びるをかみしめたが、足音だけはしとやかに
階子段
(
はしごだん
)
を上がって、いつもに似ず書斎の戸の前に立ち止まって
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
……(
嘲弄
(
ちょうろう
)
口調で)「言葉、ことば、ことば」か……まだあの太陽がそばへこないうちから、あなたはもうにっこりして、目つきまであの光でトロンとしてしまった。邪魔はしませんよ。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
菊子の病気を冷笑する心は、やがてまた僕の妻のそれを
嘲弄
(
ちょうろう
)
する心になった。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
嘲
常用漢字
中学
部首:⼝
15画
弄
常用漢字
中学
部首:⼶
7画
“嘲弄”で始まる語句
嘲弄的
嘲弄者
嘲弄侮慢