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効
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かい
ふりがな文庫
“
効
(
かい
)” の例文
旧字:
效
「え、五時過ぎ。遅くなッた、遅くなッた」と、平田は思いきッて帯を締めようとしたが、吉里が動かないのでその
効
(
かい
)
がなかッた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
老臣の分別や重役の
支
(
ささ
)
えも何らの
効
(
かい
)
なく、得物を取って宮津武士の百人余りは今しも愛宕へ差して
海嘯
(
つなみ
)
の如く
襲
(
よ
)
せようとしていた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それも手に持ち
袂
(
たもと
)
に入れなどして往きたるは
効
(
かい
)
なし、腰につけたるままにて往き、懐より手を入れて解き落すものぞ、などいふも聞きぬ。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
今更
如何
(
いか
)
に
責
(
せ
)
めたりともその
効
(
かい
)
あらんようなく、かえって恥をひけらかすに
止
(
とど
)
まるべしと、かつ
諌
(
いさ
)
めかつ
宥
(
なだ
)
めけるに、ようように
得心
(
とくしん
)
し給う。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
たとい
効
(
かい
)
のないことにしてももとの女主人のところにもいって話してみようという気になって、また電話で都合を訊くと
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
▼ もっと見る
葉子は途切れ途切れに言って、激情に体を
戦
(
おのの
)
かせていた。庸三は驚き
傍
(
そば
)
へ寄って、
宥
(
なだ
)
めの言葉をかけたが、
効
(
かい
)
がなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
効
(
かい
)
のないことであったから、あの以前のある夜のことなどは話題にせず、そんなことは忘れてしまったのかと思われるほど平静なふうを見せていた。
源氏物語:50 早蕨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
可愛
(
かわゆ
)
き児の、何とて小親にのみは
懐
(
なつ
)
き寄る、はじめて
汝
(
な
)
が頬に口つけしはわれなるを、
効
(
かい
)
なく
渠
(
かれ
)
に
奪
(
と
)
らるるものかは。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
然るに祈祷の
効
(
かい
)
があって若君が誕生されたので、世間は
挙
(
こぞ
)
って豊臣家の萬歳を唱え、太閤は五十七歳の老齢に達して世継ぎの子を
儲
(
もう
)
けたうれしさの餘り
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
笊屋の女房は手当ての
効
(
かい
)
もなくて、明くる朝死んでしまった。それに就いて又いろいろの噂が立った。
半七捕物帳:55 かむろ蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
われわれは有らゆる手段をつくしたけれど、何の
効
(
かい
)
もありませんでした。麻酔死——あの恐ろしい麻酔死というやつが、彼女を私の手から永久に奪ってしまったのです
麻酔剤
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
と
憚
(
はばか
)
るところ無く
白
(
もう
)
しける。されど燕王答えたまわねば、
数次
(
しばしば
)
書を
上
(
たてまつ
)
りけるが、皆
効
(
かい
)
無かりけり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
田舎紳士
(
いなかしんし
)
は宿場へ着いた。彼は四十三になる。四十三年貧困と戦い続けた
効
(
かい
)
あって、昨夜
漸
(
ようや
)
く
春蚕
(
はるご
)
の
仲買
(
なかがい
)
で八百円を手に入れた。今彼の胸は未来の画策のために詰っている。
蠅
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
そして、ゴンドラは予自身のもののほかには一つも見えなかったけれども、多くの屈強な泳ぎ手が、すでに流れの中にあって、水面でかの宝を捜し求めていたが、その
効
(
かい
)
もなかった。
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
幸い療養の
効
(
かい
)
ありて、追い追いと快方におもむき、この節は食事も
障
(
さわ
)
りなく、
疵
(
きず
)
は日に増し
癒
(
い
)
え候方に向かいたれども、気分いまだ平静に相成らざる容体にて、心配の至りに御座候。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何の
効
(
かい
)
もなく何れも夜が明けてから
悄然
(
しょうぜん
)
と引上て来た、然るに朝になって悪魔は
嘲
(
あざけ
)
る如く又も新田一家を愚弄した、それは配達された一通の郵便で、粗悪な封筒と巻紙に墨痕踊るが如く
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
また三宅も
某
(
それがし
)
殿
(
との
)
のふぐり玉にかかわりあい、それぞれの見識にしたがって勉強しているわけであったが、皆がてんでにおなじような実検をしていても
効
(
かい
)
ないことだから、各々の分担をきめ
玉取物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ついにその
効
(
かい
)
がありませんでした。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
医師の注射はもう
効
(
かい
)
がなかった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
見極めにやったのだ。——ないようでござります、などという
曖昧
(
あいまい
)
なことでは何の
効
(
かい
)
もない。確実か、否か、はっきり復命せい
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そんな時は、お島は店の若いもののような
仮声
(
こわいろ
)
をつかって、
先
(
さき
)
の処と名を突留めようと骨を折ったが、その
効
(
かい
)
がなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
武器を参らす、郊外に猟などして、
自
(
みずか
)
ら励まし
給
(
たま
)
へ、聞くが如き其の
容体
(
ようだい
)
は、薬も
看護
(
みとり
)
も
効
(
かい
)
あらずと医師のいへば。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今はもう思っても何の
効
(
かい
)
もないことを、しかも始終それを思いつめておれば、なしてならぬことをなしたい心も出てくるであろう、それは宮の御ため、中の君
源氏物語:50 早蕨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
真実
(
ほんとう
)
に腹から「棄てないで下さい!」と言うのならば、思い切って、何うかして下さい、とでも、も少し打明けて相談をし掛けないのであろうと、それを
効
(
かい
)
なく思っていた。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
その看病の
効
(
かい
)
があったのか、一時はむずかしそうに見えた病人も、明くる朝からだんだんに落ちついて、その日の午飯には粥を食うようになったので、まあ好かったと喜んでいると
半七捕物帳:47 金の蝋燭
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
巍は燕王に書を
上
(
たてまつ
)
りしも
効
(
かい
)
無かりしを
歎
(
たん
)
ずれば、鉉は忠臣の節に死する
少
(
すくな
)
きを憤る。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
終にここを捨てて女子高等師範学校の教官となりしは昨年春の事なりけん。
尋
(
つい
)
で九月始めて肺患に
罹
(
かか
)
り後赤十字社病院に入り療養を
尽
(
つくし
)
し
効
(
かい
)
もなく今年二月一日に亡き人の数には入りたりとぞ。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そなたはまだ、出家をするのに一二年
間
(
ま
)
があるが、まろはことし
得度
(
とくど
)
するのだと、上人が仰っしゃっていらしった。だが、この忌まわしい根性が直らぬうちは、菩提の道へ志したとて何の
効
(
かい
)
があろう。
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
焦心
(
あせ
)
るな、今日あいつが柿岡へ出向くことはたしかなのだ。……七日の
祈祷
(
きとう
)
は顕然と
効
(
かい
)
があらわれたものといえる、前祝いに、一杯飲め」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嫉妬、
怨念
(
おんねん
)
、その業因があればこそ、何の、中気やかて見事に治療をして見せる親身の妹——尼の示現の
灸
(
きゅう
)
も、その
効
(
かい
)
がなかったというもんやぞ、に。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
言っても
効
(
かい
)
のないことを言って
嫉妬
(
しっと
)
がましい心を見られる必要もないと中の君は思い返して、宮の新しい御縁組みのことは耳にはいってこぬふうで過ごしていた。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
市郎が唯一の
希望
(
のぞみ
)
の光も消えた。あれほどの
難所
(
なんじょ
)
を越えてようよう
此処
(
ここ
)
を尋ね当てた
効
(
かい
)
も無く、暗い窟の奥には何の秘密も無かった。彼はお杉に有らぬ
疑惑
(
うたがい
)
を掛けたのを、今更
大
(
おおい
)
に後悔した。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これは好いところだ、こんなところにいたのか。いつからここにいたの。まあ、それでもこんなところにいたのならば、私も遠くにいて長い間会わなくっても、及ばずながら心配して上げた
効
(
かい
)
があったというものだ。うう好い箪笥を
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「手術の
効
(
かい
)
はないですか。」
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
春以来、心をこめて、
飼
(
こ
)
うて来た
効
(
かい
)
があり、御承知の、
武蔵青毛
(
むさしあお
)
の四歳
駒
(
ごま
)
。秋にのぞんで、ひと
際
(
きわ
)
、
駿足
(
しゅんそく
)
の
敏
(
びん
)
をあらわして来たかに見らるる。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
効
(
かい
)
があってこの夏はの、そのお子がさる立派な学校へ入らっしゃるようになったに就いて、先生様は
邸
(
やしき
)
を出て、自分の
身体
(
からだ
)
になりたいといわっしゃる。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう今になってはどんなに騒ぎ立てても
効
(
かい
)
のないことであって、しかも御身分に対して失礼である。
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
硬論を主張するものは、陽春の候もやがて近し、死馬を喰って頑張っても、その時を待って一戦を決せずんば、遥かに南下した
効
(
かい
)
もないという。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見たら、どんなにか喜ぶであろ。それこそ死なずにいた
効
(
かい
)
があると、喜びますじゃろ。ああ、ほんとうに。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
祈っているのに、その
効
(
かい
)
がなくて、もう声すら聞かせていただけなくなったのは悲しいことじゃありませんか。私をあとに残して行っておしまいになったらどんなに恨めしいでしょう
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
立身のためだ、名を揚げるためだ、
故郷
(
ふるさと
)
へ錦を飾るためだ、そのほか人間と生れた
効
(
かい
)
をあらゆる点で満足させるためだ。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
用は、この
小児
(
こども
)
の
二年
(
ふたつ
)
姉が、眼病——むしろ目が見えぬというほどの容態で、随分
実家
(
さと
)
の医院においても、治療に
詮議
(
せんぎ
)
を尽したが、その
効
(
かい
)
なく、一生の不幸になりそうな。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どんな時を費やしても
効
(
かい
)
のないことであって、そして人目に怪しまれるに違いないことであると思った薫は帰って行くのであった。まだ
宵
(
よい
)
のような気でいたのに、もう夜明けに近くなっていた。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
細川ガラシヤの死は、三成に、そういう
姑息
(
こそく
)
な手段が、真の武士の内室に対しては、何の
効
(
かい
)
もないことを教えた。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまはわれにもあらで声高に、母上、母上と呼びたれど、叫びたれど、ゆり動かし、おしうごかししたりしが、
効
(
かい
)
なくてなむ、ひた泣きに泣く泣くいつのまにか寝たりと
覚
(
おぼ
)
し。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
恋人の死の前後の悲しい心の動揺を今さら言いだしても
効
(
かい
)
のないことではあるが、だれよりもこの方に聞いていただきたい自分であることを薫は知りながら、言いだせば自分の弱さがあらわになり
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
閑
(
かん
)
の身境、
寂
(
じゃく
)
の心境。やはり人間には、尊いものに相違ございません。けれど、まったくの閑人となっては、その
効
(
かい
)
もありません。
空寂
(
くうじゃく
)
というべきです。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまはわれにもあらで
声高
(
こわだか
)
に、母上、母上と呼びたれど、叫びたれど、ゆり動かし、おしうごかししたりしが、
効
(
かい
)
なくてなむ、ひた泣きに泣く泣くいつのまにか寝たりと
覚
(
おぼ
)
し。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
同時に自分等の丹精にも、ようやく苗から一本立ちにまで育てて来た
効
(
かい
)
を見て、急に、胸迫って来たのだった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奥の
大巌
(
おおいわ
)
の中腹に、祠が立って、
恭
(
うやうや
)
しく
斎
(
いつ
)
き祭った神像は、大深秘で、軽々しく拝まれない——だから、参った処で、その
効
(
かい
)
はあるまい……と
行
(
ゆ
)
くのを留めたそうな
口吻
(
くちぶり
)
であった。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
効
常用漢字
小5
部首:⼒
8画
“効”を含む語句
効果
効力
効験
効能
効々
生効
成効
効性
無効
年効
有効
効目
即効紙
効無
馴染効
効驗
効能書
成効者
頼効
奏効
...