不潔ふけつ)” の例文
清淨しやうじやうみづでもければ、不潔ふけつみづでもい、でもちやでもいのである。不潔ふけつみづでなかつたのは、りよがためには勿怪もつけさいはひであつた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
氷室ひむろは水のこほりををさめおくやうに諸書しよしよ注釈ちゆうしやくにも見えしが、水の氷れるは不潔ふけつなり、不潔をもつて貢献こうけんにはなすべからず。
障子しょうじは破れたきり張ろうとはせず、たたみはらわたが出たまゝ、かべくずれたまゝ、すすほこりとあらゆる不潔ふけつみたされた家の内は、言語道断の汚なさであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
こんな何處の山犬とも知れない不潔ふけつさうな女が、ノメノメと押掛けて來たのが、腹が立つてたまらなかつたのです。
中国式のかご不潔ふけつではあるが、読書することもできれば、眠ることもできて、僕には最も都合つごうよいが、轎夫きょうふのがやがやさわぐために大いに楽しみの程度をひくめられる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
以前いぜんねこつて、不潔ふけつなものをかれてこまつたばかりか、臺所だいどころらしたといふので近所きんじよから抗議かうぎまうまれて、ために面倒めんどう外交關係がいかうかんけいおこしたことがあつてから
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
さだめし舊石器時代きゆうせつきじだい人類じんるいは、身體しんたいをふくといふことはしなかつたので、身體しんたいよごれて不潔ふけつだつたでせうが、新石器時代しんせつきじだいいたつては、よし浴場よくじようはなかつたとしても
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
車室しゃしつうちはさのみ不潔ふけつ人間にんげんばかりではなかったが、ミハイル、アウエリヤヌイチはすぐ人々ひとびと懇意こんいになってたれにでもはなし仕掛しかけ、腰掛こしかけから腰掛こしかけまわあるいて、大声おおごえ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
不潔ふけつな、野卑やひな、非文化的な、下劣げれつなものがいるということを、都会ふうの、近代的な明るい藤井先生が、どうお考えになるかと思うと、まったく、いたたまらなかった。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
わたくしはこの小娘こむすめ下品げひんかほだちをこのまなかつた。それから彼女かのぢよ服裝ふくさう不潔ふけつなのもやはり不快ふくわいだつた。最後さいごにその二とうと三とうとの區別くべつさへもわきまへない愚鈍ぐどんこころ腹立はらだたしかつた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それは隨分ずいぶん不便利ふべんりにて不潔ふけつにて、東京とうけうよりかへりたる夏分なつぶんなどはまんのなりがたきこともあり、そんなところれはくゝられて、面白おもしろくもない仕事しごとはれて、ひたいひとにははれず
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
下品げひんでも不潔ふけつでもないんですけれど、やはり女遊びにちがいありません。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
えッ、あの不潔ふけつな、下等動物かとうどうぶつめ!もう二ふのは御免ごめんだ!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
氷室ひむろは水のこほりををさめおくやうに諸書しよしよ注釈ちゆうしやくにも見えしが、水の氷れるは不潔ふけつなり、不潔をもつて貢献こうけんにはなすべからず。
木綿物らしい貧しい布子ぬのこ、油氣のない胡麻鹽の頭、不潔ふけつらしさはないにしても、何んといふ凄まじい身扮みなりでせう。
と、かれはそれから患者等かんじゃらのこと、不潔ふけつ病室びょうしつうちくるしんでいること、などをおもおこす。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
もうつてくれ、無邪氣むぢやきないたづらをして、そのへんをかきみだすのは辛抱しんぼうするが、不潔ふけつなことをするおそれがある、つてもらない、そのまゝ默認もくにんしてゐるうちに、とこに、またたれた。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
また陸上りくじよういへんで、きたな塵埃じんあいをあたりにすてると不潔ふけつなばかりでなく、いろ/\の病氣びようきかゝることを實驗じつけんして、不潔物ふけつぶつみづにすて清潔せいけつ生活せいかつをするといふ意味いみもあつたかとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
と、かれれから患者等くわんじやらのこと、不潔ふけつ病室びやうしつうちくるしんでゐること、などおもおこす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
押入も手文庫も亂雜で不潔ふけつで、この女のだらしのなさを念入りに暴露してをります。
しかるにこんな不潔ふけつ有様ありさまでは駄目だめだ。また滋養物じようぶつ肝心かんじんである。しかるにこんなくさ玉菜たまな牛肉汁にくじるなどでは駄目だめだ、また補助者ほじょしゃ必要ひつようである、しかるにこんな盗人ぬすびとばかりでは駄目だめだ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
車室しやしつうちはさのみ不潔ふけつ人間計にんげんばかりではなかつたが、ミハイル、アウエリヤヌヰチはすぐ人々ひと/″\懇意こんいになつてたれにでもはなし仕掛しかけ、腰掛こしかけから腰掛こしかけまはあるいて、大聲おほごゑで、這麼不都合こんなふつがふきはま汽車きしやいとか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)