“からか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
揶揄48.5%
調戯21.8%
4.2%
4.2%
嘲弄3.8%
戯弄3.8%
調弄3.1%
調戲2.3%
1.5%
挑戯1.1%
揄揶0.8%
弄戯0.8%
愚弄0.8%
0.4%
嘲戲0.4%
悪戯0.4%
悪謔0.4%
戯談0.4%
戯謔0.4%
挑発0.4%
0.4%
翻弄0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
手拭てぬげかぶつてこつちいてる姐樣あねさまことせててえもんだな」ふさがつたかげから瞽女ごぜ一人ひとり揶揄からかつていつたものがある。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「お前はよくそんな事まで覚えてゐるね。」——夫にかう調戯からかはれると、信子はかならず無言の儘、眼にだけこびのある返事を見せた。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
私も傍で聞いていてからかうのだと思った。女房も始めは笑談じょうだんにしていたが、銭占屋はどこまでも本気であった。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
暑い暑いといいながら二人三人と猫の子のようにくッつき合って、一人でおとなしく黙っているものにからかいかける。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「おちやん、おいとしぼや。……」なぞと、お駒を嘲弄からかふものもあつたが、お駒は洒々として、襷がけで働いてゐた。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
家にいる他のたちはまたそれを面白がって、対手になって戯弄からかうと、彼女は生真面目きまじめな顔をしてそれに受けこたえをしているという有様である。
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
こんな事を言つて半ばは調弄からかつてゐる間に、下女は、板の間に買ひ立ての焜爐や鍋などを並べて、自分の鉛筆を削るナイフを持つて玉葱の皮を剥いたりしてゐる。
胡瓜の種 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
そのくせ朝湯あさゆけるは、屹度きつと寐坊ねばうなさるのね」と細君さいくん調戲からかやう口調くてうであつた。小六ころくはらなかこれあに性來うまれつき弱點じやくてんであるとおもんでゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いやはや困った御笑談ごじょうだんを申さるる御方じゃ。御立派やかな若殿が老人をからかうものではござらぬわい。一揆の証拠どこにおじゃる。石垣の修築と境内の秋芝刈りを願おうと存じたのでな。
それがまた坑夫達には可笑しいので、声を揃えて笑いながら口々にやはり挑戯からかうのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ところ或日あるひのこと、やはり學校がくかう歸途かへり庄園しやうゑんかべうへでラクダルを揄揶からかつて少年こどもの中に、なんおもつたかひど感心かんしんしてしま自分じぶん是非ぜひ怠惰屋なまけやにならうと決心けつしんした一人ひとりあつた。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
弄戯からかつて通つてゆく
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
いくら騒いでも、愚弄からかっても、よしんば踏んだりたりしても、彼らは自分と共に一枚の板に彫りつけられた一団の像のように思われた。寝るときは布団ふとんは敷かなかった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とくと改められし處歳の頃四十三四百しやうていの男にて身の内にきず三ヶ處頭上づじやうよりほゝへ掛て切付しきず一ヶ所よりはら突通つきとほせし疵二ヶ所其わきからかさ一ぽんすてこれ有其からかさ澤瀉おもだかに岩と云字の印し付是あり懷中には鼻紙入はながみいれ藥包くすりつゝみ一ツほかに手紙一通あり其上書うはがき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私はそれを思ふと、何となく人に嘲戲からかはれさうな氣がして、氣羞かしくて堪りませんでした。
そうではのうてあの狐めのたわむれ半分の悪戯からかいから、殿の心をたぶらかし、この山吹を賭物かけものにして、もしこの山吹をわが君が、心に従わすことが出来たなら、あの狐めも殿の御心みこころ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ふとある疎藪ぼさの所で彼れは野獣の敏感さを以て物のけはいをぎ知った。彼れははたと立停ってその奥をすかして見た。しんとした夜の静かさの中で悪謔からかうようなみだらな女の潜み笑いが聞こえた。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「あなたは空想家だ。小栗風葉の書いた欽哉きんやにそっくりだ。」と、戯談からかうように「欽哉々々。」と言っては
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
ソレを巻きつけ髷をコワして浪人の様に結び其上へ頬冠りをして鉄砲をかつひで行きました。処が私は鉄漿かねを付けて居るから兵隊共が私の顔を覗き込んで、御卿様おくげさまだなどと戯謔からかつて居りました。
千里駒後日譚 (新字旧仮名) / 川田瑞穂楢崎竜川田雪山(著)
傍から女房が芸妓買ですかと挑発からかったを、急に買物がと心懸しんけんに言訳して初めて我部屋に入り、もう暮てもいゝ頃と思ったのが午後四時、それからの一時間をやっと送って、過日このあいだの伏糸で宿を立出で
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
僕は毎晩のように、あなたの夢を見て、あなたの名を——「僕のいとしい女中さん」と寝言に呼んで、隊中の者からからかわれました。……
アンドロギュノスの裔 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
盗んだ品をあくる日返すのは、盗みを道楽にしている人でなきゃア、私どもを翻弄からかっているに相違ございません、何とかしてあの野郎をフン捕まえなきゃア、銭形の平次も世間へ顔向けがなりません