戯弄からか)” の例文
旧字:戲弄
失われた恋に未練を残して人心地も無く日を送っている憐れな自分を戯弄からかうために、悪魔が親友の姿をして、此処にこうして歩いているのだ
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
家にいる他のたちはまたそれを面白がって、対手になって戯弄からかうと、彼女は生真面目きまじめな顔をしてそれに受けこたえをしているという有様である。
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
朝っぱらのお客はどこのカフェーでも歓迎されないものである上に、余計な事を云って戯弄からかったものだから、一層おこって手間を喰わしているのであろう。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そんな事を云つて、戯弄からかふのはよして下さい。僕はとうから姉さんに打ちあけて、是非お願ひしようと思つてたんです。——僕はほんとに澄子さんを思つてゐるんです。
受験生の手記 (旧字旧仮名) / 久米正雄(著)
実際連中は、お鶴がいつも私を抱いているので面白ずくによく戯弄からかった。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
その男は戯弄からかはれたのだと知ると、酸漿ほほづきのやうに顔をふくらませた。
「京人形、京人形の顔を二年も見なかったので、今そこへ来た時にはほかの人間かと思った」戯弄からかうようにそういうと、彼女はそれでも微笑もせず、反対に
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
私を戯弄からかうために仕組んだ、芝居に過ぎないのじゃないかしらん……と……そんな風に考えまわして来るうちに、今の今まで私の頭の中に一パイになっていた感激や、驚きや、好奇心なぞの山積が
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「三野村という人とは相変らず仲が好いのかい?」と戯弄からかうようにいって気を引いてみた。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
柳沢は私を戯弄からかうのか、それとも口では何でもなくいっていても、その実自分で大いにお宮に気があるのか、あるいはまた影の薄い私が思うようにお宮の顔を見ることが出来ぬのを惨めに思って
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
戯弄からかうようにいう。
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)