“うまれつき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
生来23.2%
性来15.9%
性質14.5%
天性5.8%
生得5.8%
天禀4.3%
生付4.3%
生質2.9%
生來2.9%
生附2.9%
天質2.9%
稟賦2.9%
天然1.4%
天稟1.4%
天賦1.4%
性來1.4%
性得1.4%
禀性1.4%
稟性1.4%
稟身1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
成程女は氏なくして玉の輿という、生来うまれつきの美しさ、しとやかさ、すこやかさ、それらがやがて地位なり、財産というものなのだ。
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
こんな文句を毎日眼の前におきながら、弁当をぱくついてゐた雪堂といふ百人頭は性来うまれつきはぐきつよい、胃の腑の素敵に丈夫な男だつたらしい。
すると子飼こがいから粂之助くめのすけというもの、今では立派な手代となり、誠に優しい性質うまれつきで、其の上美男びなんでござります。
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
顔や肌の素地きじ天性うまれつきだから、どんなに磨いたところで、しれていますが、しかし心の化粧は、すればするほど美しくなるのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
欄干にもたれて東海道を覗いた三島宿の代表者。……これが生得うまれつき絵を見ても毛穴が立つほど鼠がきらいなんだと言います。ここにおいて、居士が、騎士ナイト鬢髪びんぱつを染めた次第です。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、この円転滑脱は天禀うまれつきでもあったが、長い歳月に段々と練上げたので、ことさらに他人の機嫌を取るためではなかった。
く人の好い生付うまれつきの性質と境遇のしからしめた淫奔の習慣とこの二つが混同してお千代は全く女の自衛という事を忘れてしまったのである。
夏すがた (新字新仮名) / 永井荷風(著)
たづぬるに武州埼玉郡さいたまごほり幸手宿さつてじゆく豪富がうふの聞え高き穀物こくもつ問屋とんやにて穀屋こくや平兵衞と言者あり家内三十餘人のくらしなるが此平兵衞は正直しやうぢき律儀りちぎ生質うまれつきにて情深なさけぶかき者なれば人をあはれたすくることの多きゆゑ人みな其徳そのとく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
髮は二寸も延びて、さながら丹波栗のいが泥濘路ぬかるみにころがしたやう。目は? 成程獨眼龍だ。然しヲートルローで失つたのでは無論ない。恐らく生來うまれつきであらう。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
謙遜があの方のお生附うまれつきです。ファウスト大先生が
は山水に目をうばはれたるに「火をかしなされ」とて烟管きせるさしよせたるかほを見れば、蓬髪みだれがみ素面すがほにて天質うまれつき艶色えんしよく花ともいふべく玉にもすべし。百結つぎ/\鶉衣つゞれ趙璧てうへきつゝむ。
かくて三年みとせばかり浮世を驀直まっすぐに渡りゆかれければ、勤むるに追付く悪魔は無き道理、殊さら幼少よりそなわっての稟賦うまれつき、雪をまろめて達摩だるまつくり大根をりてうそどりの形を写しゝにさえ、しばしば人を驚かせしに
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
荻沢は少し道理もっともなる議論と思い「成る程わかった天然うまれつき縮毛ちゞれげで無いからお紺の毛では無いと云うのだナ(大)サア夫が分れば追々云いましょう、 ...
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
既に天然うまれつきの縮毛では無く全く結癖ゆいぐせで斯う曲ッて居るのですからう云う髪を結べば此様な癖が附ましょう、私しは宿所へ来る髪結にも聞きましたがうも分らぬと云いました
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
此の人は誠に天稟うまれつき侠客きょうかくの志がございまして、弱い者を助け、強い者は飽くまでも向うを張りまするので、村方で困る百姓があれば、自分も困る身上みじょうでございますが
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
するとあがはなに腰を掛けて居たのは、吾妻郡あがつまごおり市城村いちしろむらと云う処の、これは筏乗いかだのり市四郎いちしろうと云う誠に田舎者で骨太な人でございますが、弱い者は何処までも助けようと云う天稟うまれつきの気象で、さんくらうまれ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
よく物を言ふ眼が間断ひまなく働いて、ほどけばに余る程の髪は漆黒くろい。天賦うまれつきか職業柄か、時には二十八といふ齢に似合はぬ若々しい挙動そぶりも見せる。一つにはだ子を有たぬ為でもあらう。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そのくせ朝湯あさゆけるは、屹度きつと寐坊ねばうなさるのね」と細君さいくん調戲からかやう口調くてうであつた。小六ころくはらなかこれあに性來うまれつき弱點じやくてんであるとおもんでゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
人間の體質や性質といふものが、うヲイソレと直されるものぢやない。おれの虚弱なのと陰鬱なのとは性得うまれつきで、今更自分の力でも、またひとの力でもうすることも出來やしない。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
卑屈な禀性うまれつきや、すたれた才能や、いかさま生活や……いろんな自己嫌悪がむらがって来る。そこで覚束ない酔っぱらいの気持に唆かされて自殺しようかと思う。
遺書に就て (新字新仮名) / 渡辺温(著)
もし彼の顔面筋の運動から彼の心情を読むことが不可能であるとするならばそれは彼の声調に就いてゞも亦同じことが想はれる。之れ彼の稟性うまれつきであるのか将修養の結果であるか。
逆徒 (新字旧仮名) / 平出修(著)
もはや官を退くより方法はないが、そうならそれでもっと逢いもっと物語ったあとでも、おそくはないという半ばは稟身うまれつきの悲しみを越えた気持は、ただ、いやがうえに逢いたさの迫るばかりであった。
花桐 (新字新仮名) / 室生犀星(著)